リサイクルを優先した解体現場の廃棄物、業者と施主様の心がけ
かいたいコラム 解体工事の現場では、さまざまな廃棄物が排出されます。しかし、“廃棄物”といっても、それらを単にゴミとして廃棄するわけではありません。
建築関連の現場でも、環境に配慮した取り組みが行われています。その大きなものの1つが、廃棄物の取り扱いです。
今回は、解体現場から出される廃棄物にはどのようなものがあるのか、それらに対してわれわれ解体業者や施主となる立場の方々がどのような責任をもって、環境に配慮した取り組みを行っているのかなどについて説明します。
解体工事を検討する際、施主となる方は周辺への環境の影響も不安に感じることでしょう。そういったことも含めて、マトイの無料相談や無料見積りをご利用ください。
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解体工事で発生する廃材のいろいろ
建築物の解体工事では、さまざまな廃棄物が排出されます。
その主なものは廃材と呼ばれる木材・木くず、コンクリート塊、レンガ片、アスファルト片、ガラスくず、廃プラスチック類などで、解体作業によって取り崩された建築物を構成していたものです。
また、これらに加えて「残置物」と呼ばれるものも解体現場に置いたままにすると廃棄物という扱いになります。残置物は施主様が片付けきれず解体する建築物のなかに残された家具や食器類など生活のために使われていたものです。
解体工事によって排出されるこれらのものは「廃棄物」として分別し、処理を進めることになります。
そもそも「廃材って何?」と思う方もいらっしゃるでしょう。廃材の定義について、こちらのコラムもぜひご覧ください。
産業廃棄物と一般廃棄物の違い
「廃棄物」ならば、日常の暮らしで出てくる廃棄物と同じ扱いでいいじゃないか、と思われがちです。しかし、解体工事で排出される廃棄物は、事業活動によるものとして「産業廃棄物」の扱いとなります。
ここで、廃棄物の分類について説明します。廃棄物には「一般廃棄物」と「産業廃棄物」があります。一般廃棄物のなかには、「家庭廃棄物」と「事業系一般廃棄物」という区分があります。それぞれの内容は次のようになります。
【一般廃棄物】
日常生活によって排出される廃棄物です。これには「家庭一般廃棄物」と「事業系一般廃棄物」「し尿」があります。
家庭一般廃棄物は、私たちが日々の生活を営むなかで家庭から排出されるものです。この家庭一般廃棄物の処理は、市区町村が担います。
一方、事業系一般廃棄物は会社の事務所などから排出される紙くず・木くず・繊維製のゴミ・生ごみ、そして働く従業員等が個人的に出すペットボトルや弁当の容器などです。この事業系一般廃棄物は、同じ廃棄物でも処理責任は排出事業者が担うことになっています。そのため、自治体によって異なることがあるものの、地域のゴミ集積所などに排出できない場合があります。
【産業廃棄物】
事業活動によって排出される廃棄物を指し、法律によって20種類のものが産業廃棄物に定められています。この処理責任は排出事業者が担います。
家屋の解体工事では、建物以外に敷地内にある様々なものの撤去が必要になります。それらは付帯工事として行うとともに、個々に合わせた廃棄物の分類も必要になります。こちらのコラムでは解体工事に必要な法律・規則、付帯工事などについて説明しています。どうぞご覧ください。
解体工事現場の産業廃棄物に対する責任は?
前述のように、廃棄物はどこから排出されたものかによってその分類と処理責任等が異なります。
さらに建築工事の場合は、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律)によって解体した建築資材の分別やリサイクルが義務付けられています。また、施主となる建築工事の発注者と実際に解体工事を行う解体業者のそれぞれの立場で廃棄物に対する処理責任が生じます。
施主としての責任と行うべきこと
施主の立場となる解体工事の依頼者は、廃棄物等の処理について次のことを行う必要があります。
〇 解体工事を、建設業の許可もしくは解体工事業の登録を行っている信頼のおける業者に依頼しましょう。
〇 解体工事を行う場合は、建設リサイクル法に基づく事前届け出の義務が施主様にあります。これを怠った場合は、罰則が適用されます。なお、この届出については、施主様から解体業者に委任することも可能です。
〇 施主様は建築物等の構造、工事のスケジュール、分別解体等の工事計画等について書面等に基づいてしっかり説明を受けて契約を結びましょう。
〇 施主様は解体工事着工前に、建物内にある家具、エアコン等の電化製品、その他残置物を撤去しておきましょう。これによって解体工事による廃棄物の量が増えてしまうのを防げます。
〇 解体工事が終了したら、業者を介して廃棄物の再資源化等を含めた、適切な処理が行われたことをマニフェスト伝票等で確認しましょう。
解体工事を行う際、施主様が行うべきことはいろいろとありますが、まず必要なことは全体の流れを把握すること。こちらのコラムで、建て替えを前提とした解体工事のステップを説明しています。どうぞお読みください。
解体業者としての責任と行うべきこと
実際に廃棄物を適切に分別して処理へとつなげるのは、解体業者の重要な役割りです。そのために、次のことを責任もってしっかりと行います。
〇 発注者である施主様に対して、建築物等の構造、工事のスケジュール、分別解体等の工事計画等について書面等に基づいてしっかり説明します。
〇 施主様自身による届け出が難しい場合、その委任を受けて建設リサイクル法に基づく事前届け出を着工の7日前までに行います。
〇 解体工事着工後は、再資源化を前提にしっかりと分別解体を行います。また、工事の施工管理する技術管理者を配置するとともに、標識を掲示します。
〇 解体工事にあたっては、周囲の方々に向けて騒音や振動等に対して十分に配慮を行いながら工事を進めます。
〇 工事が終了し、再資源化等が完了したら、そのことを施主様に書面で報告するとともに、再資源化の実施状況に関する記録を作成・保存します。
解体工事では、業者はもちろん施主様もいろいろと行うべきことがあります。しかし、施主様のお仕事などの都合によって、それらすべてを施主様自身で行うことが難しいと思います。そういったことも含めて、マトイの無料相談等をご利用ください。施主様にとってより良い解体工事のお手伝いをいたします。
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社会資源としての解体廃材の扱い
すでに記しているように、解体工事を含めた建設工事では建設リサイクル法を守ることが義務付けられ、廃材等はこれに基づいた取り扱いを行います。
解体廃材は社会資源としてリサイクルが大前提
そもそも建設リサイクル法は、廃棄物処理による環境負荷を減らすことを目的にしています。そのため、解体工事や建設工事によって排出される廃棄物を可能なかぎりリサイクルして廃棄量を減らし、環境負荷の低減を図ることを目的にこの法律が作られました。
現在、建設工事現場ではこの法律に基づいて、廃材はリサイクルできる社会資源として、正しく分別して次の処理段階へと進めることが基本となっています。
解体廃材の処分の流れ
では、リサイクルを大前提とした廃材の取り扱いはどのように進められるでしょうか。それは次のような段階を経て処理されていきます。
Step1:工事現場で分別解体
木くず、コンクリート塊、鉄くず、プラスチック類、石膏ボード、紙類、外壁材類、ガラス類、陶器類などに分類しながら、解体作業を進めていきます。
Step2:産業廃棄物中間処分場(中間処理施設)へ運搬
廃棄物の種類に応じて焼却、破砕・選別、圧縮・成形、中和、脱水などの操作を行い、廃棄物を減量・減容化、安定化、無害化、資源化を行います。
Step3:最終処分場
最終的にリサイクルできない廃棄物を、埋め立て処分や海洋投入という形で最終的に処分します。
分別解体を適正に行うためには、業者選びの段階からそのことを意識する必要があります。こちらのコラムでは、業者決定の段階から現場での取り扱い、そして処理場で処分されるまでの流れについて説明しています。どうぞお読みください。
リサイクルされる解体廃材の最終形
解体工事によって排出された廃棄物は中間処理の段階で処理されて、新たな形に再生されリサイクルされます。
木くず
木くずの90%以上はリサイクルされています。
解体現場から排出された木屑は中間処理施設で細かく粉砕され、「木質チップ」とか「木質ペレット」と呼ばれる状態に加工されます。そして、セメント工場やバイオマス発電施設での燃料、また家庭や店舗などで使われるペレットストーブの燃料として使われています。
また、木質チップをさらに細かく破砕して「おが粉」にし、培養土やたい肥の水分調整剤として利用することもあります。
さらに、木質チップを加熱圧縮して板にしたものは、壁・床・屋根などの下地材や家具素材としても使われています。
コンクリート塊
コンクリート塊は、その100%近くが「再生砕石」として砂利や砂状態にしてリサイクルされています。
具体的にはコンクリート塊を細かく破砕して不純物を取り除いて、砂利や砂の状態にします。これを骨材と呼び、この骨材に水やセメントを混ぜて再びコンクリートとして調合します。調合したコンクリートは、道路の路盤材や構造物の基礎材として利用しています。
以前は、既存の山から切り出して作った砕石を使っていましたが、この再生砕石を用いるようになってからは、既存の山から切り出して砕石を利用することは少なくなってきているため、環境保全にもつながっています。
アスファルト・コンクリート塊
アスファルト・コンクリート塊は、建設工事で発生するアスファルトとコンクリートの混合物です。
コンクリートと同様に破砕・選別・混合物の除去、そして粒度の調整などを行った後、RCと混合して再生加熱アスファルト混合物、再生骨材として再利用されています。
プラスチック類
プラスチック類はさまざまなものにリサイクルされていますが、そのリサイクル方法には次の3種類があります。
【マテリアルリサイクル】
廃プラスチックを溶かして原材料化し、再び新たなプラスチック製品に加工します。
家庭一般廃棄物などにある使用済みペットボトルやレジ袋等の状態のいい廃プラスチックからは作業着やユニフォームなどの衣料品、ボールペンやクリアファイルなどの文具類などが作られます。
また、建築工事現場から出る廃プラスチックは公園の遊具や路面材の原料となります。
【サーマルリサイクル】
廃プラスチックを燃やしたときに発生する熱をエネルギーとして活用します。
廃プラスチックは紙類と比べて発熱量が大きいため、焼却時の熱や蒸気によって発電したり、温水プールを温めたりします。ただし、その際にCO2や有害物質が発生する点がデメリットとしてあります。
また、廃プラスチックを主原料に紙や木くずを混ぜて作る固形燃料(RPF)があります。これは石炭と同様の発熱量があり、取り扱いや貯蔵性にも優れ、経済性やCO2削減効果も期待され、製糸工場ややパルプ工場などで利用されています。化石燃料の代替品として有望視されています。
【ケミカルリサイクル】
廃プラスチックを科学的に処理して炭化水素やガスに分解し、原料や燃料として再利用します。
油化、ガス化、原料・モノマー化、コークス炉化学原料化、高炉原料化など手法がありますが、施設の建設や維持のためのコストが高く、処理のためにエネルギーを必要とするなどの理由から、普及がなかなか進んでいません。
石膏ボード類
再生石膏ボードとして再利用するものと、地盤改良材として再利用するものがあります。
再生石膏ボードは、石膏を細かくして石膏ボードとして成形しなおし、新しい石膏ボードとして利用します。そのため、汚れがひどい石膏ボードは再生石膏ボードの原料には使えません。
また、石膏ボードはその名称の通り主原料が石膏です。既存の地盤改良材も石灰分を多く含む粉体であるため、石膏ボードの石膏を粉体状にして地番改良剤として使用します。
ガラス類
ガラス類は、細かくしたものを溶かして再生ビンやタイルやブロックなどの建材原料となります。
鉄くず
鉄くずはほぼ100%が鉄骨製品として再利用されています。
紙 類
紙類は、水や苛性ソーダに混ぜてほぐし、漂白などを行った後に古紙パルプとなって製紙原料として再利用されます。
しかし、紙類のなかには感熱紙やラミネート紙のように不純物を多く含むものがあります。これらは製紙原料として利用することはできません。その場合は、廃プラスチックから固形燃料を作る際に混ぜて利用します。
発泡スチロール
発泡スチロールは、専用の液や熱を加えて溶かした後、再び固形の棒状の発泡スチロールに加工され、発泡スチロールとして再利用されます。
まとめ
とくに建物を解体撤去する場合、作業によって発生するもののほとんどは産業廃棄物です。しかし、廃棄物とか廃材といわれるものも、実は「捨てるしかないだけのゴミ」ではないことを、今回のコラムでご理解いただけたのではないでしょうか。
例えば、紙類や鉄類のほとんどはリサイクルされ、木くずでも90%以上がリサイクルされています。建設廃棄物の場合、全体の97%が再資源化・縮減化されています。このことからも、社会にとって有益な再資源であり、分別解体を徹底して実践することが、私たち解体業者が環境保全へ貢献することにつながっています。
マトイでも、適切に分別解体するとともに、残置物撤去など施主様が行うべきことに対して、施主様のご都合や要望に応じてサポートすることも環境への配慮につながっていると考えています。
この点からも、解体工事はわれわれ業者と施主様との協同作業といえます。最初の段階から業者と施主様のそれぞれの立場で行うべきことについて、率直に意見を出し合い、協力し合って解体工事を進めていきましょう。そうすることが、施主様にとってはもちろん、環境にとっても優しい解体工事を効率的に行うことにつながります。
どうぞお気軽にお声をかけてください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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