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廃墟を作り出す所有者不明の空き家。その解体は誰が行う?

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 空き家のなかでもとくに周囲の環境に影響を及ぼすものが、所有者不明となった空き家です。所有者が不明のまま管理されず、荒れ放題。まさに廃墟状態となっている空き家も少なくありません。
 今回は、そんな所有者不明の空き家について取り上げてみました。

 空き家を所有している方のなかには、図らずも管理ができないまま荒れ果てた状態になっている……という方もいらっしゃるでしょう。そんな方は、ぜひマトイにご相談ください。一緒にベストな対策を考えさせていただきます。
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所有者不明で廃墟となった家屋が地域社会に与える影響は?

 最近、“廃墟ツアー”などといって、使用されなくなった工場やホテルなどの建物を巡ってスリルを味わうイベントが行われているのを見聞きします。レジャーのように扱われていますが、その周辺で暮らしている人たちにとっては廃墟もツアーも迷惑なはなしです。

廃墟とはどんな状態?

 廃墟は小説や映画などのファンタジーの世界だけでなく、現実にもあります。
そもそも廃墟とは、「荒れ果てた家屋やビルなどの建物や街の跡」を意味します。同じような言葉に「廃屋」がありますが、これは家屋だけに使われます。広い意味で、荒れ果てた家屋=廃屋は廃墟に含まれますが、1つの廃屋が周辺に影響してその一帯を廃墟にする可能性があります。

廃墟となった家屋が周囲に及ぼす影響

 廃墟と化した街や家屋は、その周辺の地域や周辺で暮らす人たちに、次のような問題やや影響を与えることが考えられます。

【影響1 廃墟となっている場所、およびその周辺に治安の悪化をもたらす】

 廃墟・廃屋となった地域や建物は、そこで生活して建物や環境を管理する人がいない状態です。
 その建物は時間の経過や天候の影響によって劣化が進み、強度が低下します。そのため激しい風雨など自然災害による倒壊リスクが高まり、外壁や屋根材の飛散による周辺地域の建物や住人を傷つけることも考えられます。
 さらに無人状態となった建物や地域に不法侵入や住み着く人がいることで火災やごみの放置、犯罪などが発生するリスクもあります。こういったことは、周囲の人を巻き込む可能性もあるのです。

【影響2 不衛生な環境を作り出す】

 廃墟は害虫や害獣にとって格好の住処です。
家屋に対する害虫として知られるシロアリは、木材のほかにプラスチックやコンクリートなども食べるそうです。柱だけでなく基礎部分に使われるようなコンクリートなども蝕まれてしまったら、建物は元も子もありません。人が居住していれば変化を早期に発見できますが、空き家の廃墟では崩れ去るのを待つばかりです。
 また、害獣が住み着く可能性があります。害獣が持ち込んできた残飯の食べ残しや糞尿は、その場を汚染します。加えて、人目がつかないことから廃棄物の不法投棄もなされ、環境と衛生面の悪化に拍車をかけます。
こういった場所から発生した異臭や病原菌などは、気流とともに周辺の生活空間にも流れ、衛生面でも大きな影響を与えるのです。

【影響3 固定資産税の徴収が難しくなることで、税制面の不利益をもたらす】

 廃墟となった建築物は所有者不明となっているものが多くあります。
 土地や建物などの不動産には、通常、固定資産税等の税金が所有者に徴収されます。しかし、所有者不明の状態になっていると、その徴収が難しくなります。その分、所有者不明で廃墟となっている建築物が存在する自治体の税収は少なります。もちろん、自治体は所有者を探すことなどの取り組みを行いますが、その費用は私たちが収めた税金です。目には見えず、直接実感することはないかもしれませんが、所有者不明の空き家の存在は、私たちの不利益につながっています。

廃墟となる恐れがある“所有者不明”の空き家

 空き家といっても、いろいろな種類があります。
 所有者が明確になっている空き家は、最低限のレベルであっても管理されている傾向があり廃墟・廃屋となる可能性は低いといえます。
 問題は所有者不明の空き家です。所有者が死亡したり施設入所や行方不明になったりして相続する人が不明のケースがあれば、相続人である人が相続放棄しているケースもあります。
 所有者不明の空き家は管理されず、倒壊リスクが高く、衛生面や景観上の問題も引き起こす可能性が高くなります。そこからその街自体が廃墟となってしまいかねないのです。

こちらのコラムでは空き家の種類や空き家が抱えるリスクなどについて説明しています。どうぞ、こちらもお読みください。

廃墟を作り出す所有者不明の空き家。その解体は誰が行う?

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意外と知らない空き家の定義。どういう物件が空き家になるのか。

廃墟の対処は行政が?!

 空き家、とくに所有者不明の空き家の対策については、固定資産税等の徴収が難しく、しかも周囲の人々や建物に危険を及ぼすなどの影響が考えられる場合は、行政によってその対策が講じられることがあります。その一例が新聞にも紹介されていました。

廃墟となった旅館の解体費用が7千万円! 行政負担‼

 紹介されていたのは、和歌山県和歌山市内にある元旅館です。
 見晴らしのいい場所に建てられていた鉄筋コンクリート3階建て(一部木造)の元旅館の建物は、1975年ごろから営業をしなくなっていたそうです。関係者および法人の破産手続きが進められるなか、所有者が他界すると相続人の相続放棄などがあり、所有者を特定できない状態となって月日が流れました。
 その間にどんどん劣化が進み、倒壊の危険が高くなってきました。そのため昨年、行政によって解体工事が行われたそうです。が、その費用はなんと約7千万円。この費用は国と和歌山市が4割ずつ、そして和歌山県が残りの2割を負担することになる、とのことでした。
 特定空き家などに指定されて行政代執行として解体工事が行われた場合には、その費用は建物の所有者に請求されます。
 では、所有者不明の場合はどうなるのでしょうか? その場合は行政代執行同様に行政が所有者を探し出し、解体費用を回収することになります。
 しかし、この元旅館の所有者を特定できておらず、この元旅館の解体記事が紹介されたころ和歌山市長は「いまのところ市が肩代わりするしかない」と話していたそうです。
 日本国内には、人口減少に伴う町の過疎化、高齢化による住民の介護施設等への入所、そして自然災害のリスクなどが複合的に関連して空き家が増えている地域があります。こうした地域やそこにある空き家は廃墟となる可能性が高いといえるかもしれません。

所有者不明の空き家の対処で生まれる住民の不利益

 空き家の増加は空き家の所有者・相続する人そして行政だけの問題ではありません。
 すでに「廃墟となった家屋が周囲に及ぼす影響」の項で触れているように、その周囲で生活をする人たちに安全面・衛生面・税制面における不利益をもたらしています。
 これは決して見過ごすことのできないことです。まずは暮らしている地域の環境に視線を配り、空き家などの変化で気づいたことは行政と連絡を取り合うなどの関心を向けることが、生活環境の保全と不利益を生ませないために大切なことでないでしょうか。

 空き家を所有している方のなかには、空き家周辺の方から直接クレームが届けられるケースもあるようです。それをきっかけに解体工事等のご検討を始めるような場合は、どうぞマトイの無料見積りや無料相談をご利用ください。丁寧に状況に合わせたアドバイス等をさせていただきます。
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住民の利益を守る空き家対策と法改正のあゆみ

 地域の空き家等に関心を向けることは、自分たちの生活を守るためにも大切です。そして、そのためには行政がどのような空き家対策を講じているのかを知ることも必要です。
 以下にこれまでの行政による空き家対策の流れを紹介します。

所有者不明の空き家の現状

 総務省による令和5年住宅・土地統計調査を見ると、空き家は900万戸と過去最多になりました。これは2018年に行われた前回調査時から51万戸も増加し、30年前の約2倍になっています。空き家率も13.8%と過去最高となりました。
 このなかで所有者不明の空き家はどのくらいあるのかというと、その正確な数は把握されていません。これは空き家の1軒1軒に対して建物登記や相続登記の確認や、住民票を取り寄せて相続人やその住所などを確認して検証していく必要があり、膨大な労力を必要とするからです。
 国や自治体は増え続ける空き家への対策として法改正や制度の整備を進めています。

空家対策特別措置法交付:2014(平成26)年11月 特定空き家の指定

 この法律は増加する空き家の対策のエビデンスとして制定され、2015(平成27)年2月から施行されました。
 この法律に基づく具体的な対策の1つが、「特定空き家」です。
 特定空き家とは、適切に管理されないまま家屋の傷みが進んで、倒壊や周辺の住民や家屋等にも危険を及ぼす可能性が高い空き家に適用されるものです。特定空き家の指定を受ける状態には、次のようなものがあります。

〇家屋の傷みや損壊などがあって倒壊の危険がある。
〇悪臭や害虫の発生・害獣の住みつきなどによって衛生上の問題がある。
〇周囲の景観を損なっている。
〇空き巣や放火等の犯罪リスクが高い。

 特定空き家には、自治体からの助言・指導・勧告・命令の段階を経て指定され、改善策を取らないと最終的に行政代執行が実施されます。また、固定資産税の軽減措置適用が外されて、翌年の固定資産税が大幅に増加します。
 国土交通省の調査によると、2015(平成27)年から2019(令和元)年度までに、特定空き家として助言から行政代執行等を受けた空き家は下の図のようになります。5年間で69軒の家屋が行政代執行で解体されています。

表 特定空き家等に対する措置状況

令和2年3月31日時点 国土交通省・総務省調査より引用。

 特定空き家の指定条件や行政代執行に至る流れ等について、こちらのコラムでも詳しく説明していますので、参考になさってください。

廃墟を作り出す所有者不明の空き家。その解体は誰が行う?

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特定空家を解体する方法は? その手続き・段取り・補助金について解説

法改正2:2023(令和5)年12月~ 管理不全空き家の創設

 特定空き家に該当しない限り罰則は科せられず、更地にすると住宅用地の特例が適用されなくなる、この2点から空き家をそのままにしておく人は多くいます。しかし、そういった空き家は、特定空き家になる可能性がとても高いといえます。
そのため、特定空き家予備軍ともいえる管理が不十分な空き家を「管理不全空き家」として、住宅用地の特例を受けられなくすることになりました。これによって翌年の固定資産税の負担が大幅に増えることになります。
この管理不全空き家が加わったことで、特定空き家の状態になる以前に、空き家を適切に管理するか、解体もしくは売却するかの対応の選択をすることになります。

 行政は空き家対策をより推進するために、さまざまな取り組みを進めています。管理不全空き家もその1つ。「管理しきれない……」と感じたときの対処法をこちらのコラムで説明しています。どうぞご一読なさってください。

廃墟を作り出す所有者不明の空き家。その解体は誰が行う?

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持て余した空き家をおトクに処分するには?

法改正3:2023(令和5)年4月~ 相続土地国庫帰属法の創設

 なにやら難しい印象を与える「相続土地国庫帰属法」ですが、これによって相続や遺贈されたものの不要な土地を国に返還できるようになりました。
 似たような制度として、以前から「相続放棄」があります。これは不要なものの相続を拒否できる制度です。この制度ではすべての財産の相続を拒否することになります。
相続放棄と相続土地国庫帰属制度の違いは、相続土地国庫帰属制度は不要な土地の権利だけを放棄でる点です。ただし、以下に挙げるような土地は対象外となります。

〇建物が建っている土地。
〇ため池などがある土地。
〇危険な崖がある土地。
〇有害物質で汚染されている土地。
〇境界不明瞭などの理由で他社と権利関係で争っている土地。
〇担保権が設定されている土地。

 また、申請には次の費用が必要になります。

〇土地1筆あたり14,000円の審査手数料。
〇土地の返還が承認されたら、10年分の土地管理費相当額の負担金を納める。
〇土地管理負担金は、宅地・農地の場合は面積に関係なく20万円。一部の市街地においては面積に応じて算定する。

 なお、この制度を利用する場合は次のような流れで進めます。

〇その土地が所在する地域の法務局に相談する。
〇申請書類を提出する。
〇承認通知書が届いたら負担金を納付。

 相続段階で、相続土地国庫帰属制度や相続放棄制度を上手に利用することによって、不要な空き家等を抱えることを防げ、空き家の増加も阻止できます。

法改正4:2024(令和6)年4月~ 相続登記の義務化

 本来、不動産を相続したら相続登記する必要があります。しかし、所有者不明の空き家が増加してきた背景には、この相続登記や所有者が転居した際に住所変更の登記が行われていない、といったことがあります。
そのため、不動産を相続した場合の相続登記が義務化されるようになりました。
 相続登記については、次のような留意点があります。

〇登記は、相続の開始を知ったときから3年以内に行う。これが行われないと10万円以下の過料が科せられることがあるので注意が必要。
〇相続登記の際には、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)が必要。
〇相続登記の手続きは自身で行うか、司法書士に依頼することも可能(その場合の報酬は8万円~)。

法改正5:2026年4月~ 所有者情報変更の義務化

 不動産の住所変登記が行われないと、不動産の所有者名がわかっても所有者の所在地を知ることができず、所有者不明の空き家を生み出しています。
 そこで不動産所有者の住所や氏名が変わった場合には、2年以内に変更登記の申請を行うことを義務化することになりました。この手続きを期間内に行わないと、5万円以下の過料が科されます。

 相続した家屋や土地を解体・売却しようとする段階で登記が適切にされていないことに気づくこともあるようです。こちらのコラムでは未登記の建物の解体・売却について取り上げています。どうぞ参考になさってください。

廃墟を作り出す所有者不明の空き家。その解体は誰が行う?

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未登記の建物を解体、売却するには。気をつけることや手続きなど。

まとめ

 本文でも触れているように、空き家が所有者不明になるには相続や住所・名前の変更の登記がされていなかったことが理由の1つとなっています。空き家をすでに所有している方、これから相続する方々には、適切に登記をしていただきたいものです。
 とはいえ、居住していない空き家を適切に管理し続けるのは大変なこと。そして国の空き家対策が進むなか、空き家の所有者の方々は空き家管理のプレッシャーをより重く感じていらっしゃるのではないでしょうか。
 その場合には、貸家や倉庫・資材置き場などとして貸し出す、家屋を解体して駐車場などにする、もしくは売却するといったことの検討をお勧めします。
 マトイでは解体工事はもちろんのこと、家屋解体に伴う自治体の補助金・助成金の利用や、解体工事後の土地活用などについてのご相談にも対応しています。
 どうぞ、お気軽にマトイにご相談ください。無料のお見積りとともに対応させていただきます。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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