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解体工事にもお国柄が現れる? 海外の解体事情

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 “グローバル”、“多様性” などの言葉が日常的に使われている今日この頃。
 日ごろから当然と思っていることでも、国が異なればさまざまな違いがあることに気づかされます。解体工事についても同じことが言えます。

異国に暮らしていたからわかる? 日本の細やかさ

重機や作業員の機敏で細やかな動きは日本ならでは

「びっくりしちゃった!」
 ある日の夜、私に電話をかけてきた友人のMさんは開口一番に言いました。
 彼女は、30年ちょっとフランスで暮らして、最近、日本に戻ってきました。
 そんな彼女が暮らす家の近所で、解体工事があったそうです。Mさんはその様子を窓から眺めていました。
 現場は「防塵」とか「防音」と印刷されたシートに覆われていたものの、その隙間や通りから現場に出入りする重機や作業員の方々の様子が見えました。
 決して広くない住宅街の道から現場に重機を運び込むコントロールの繊細さ、つるはしやバールのようなものを手に動く作業員のきびきびとした様子、それらの工具で要領よく使いこなして部屋内部の壁板や壁紙をどんどん剥がしていく手際の良さ。
「やっぱり日本人よね」
 Mさんはやや興奮気味に話し続けました。
 そんな様子を見ているうちに重機からアームが伸びて、その先端をまるで人の手のように動かし、屋根板がバリバリと剥がされていきました。そして大切なものを扱うように屋根の中央にあった太い柱(きっと棟木のことでしょう)をつかんで地面に置いたそうです。
「一気にすべてを崩すのかと思ったら、そうではないのね。きっとあの柱は屋根の中心となって、あの家に住んでいた人たちを守ってきたも同然の柱だったのよ。そういった柱を、大切なものとして丁寧に取り外していく様子は、感動ものだったわ。さすが日本ね。機械も、一人ひとりの職人さんの動きもすごいわ。誘導している人に至っては笑顔で挨拶しながら案内して。私が暮らしていたフランスの町では、あんな光景は見られなかったわ。」
 久しぶりに目の当たりにした日本の工事現場の様子に、よほど感動したのでしょう。解体工事を目にしてしばらく時間がたっていたにもかかわらず、Mさんの言葉は熱を帯びていました。
 

解体方法にも表れるお国柄

フランスの一般住宅では見る機会が少ない解体工事

 Mさんによると、フランスで一般の戸建て住宅が解体されるのはあまり見かけなかったと言います。たぶん、石造りの家が多いヨーロッパでは、住宅の耐久年数が長いことから新築するよりも古くからある家に住むことが多いせいではないか、と言います。
 Mさん自身もパリ近郊の古いアパルトマンで数年暮らした後、パートナーとともにドイツ国境近くの村に移り住みました。自宅として購入した家は、築100年以上の石造りの建物で、昔は村の役場や郵便局として使われていたそうです。二人でコツコツと石造りの壁を壊して暖炉に作り替えたり、床板を剥がしてテラコッタのタイルに張り替えたりしてリフォームしてきました。完成するまでに10年近い年月をかけたそうです。
 その様子に触発されたのか、向かいの家でもある時からリフォームをはじめたそうです。つるはしや大きなハンマーなどを使って、石造りの物置を数か月かけて壊し、母屋につながる部屋を作ったそうです。こういったエピソードから、解体するよりもすでにあるものを利用したり、少しぐらいの解体は自分たちで行ったりする暮らしぶりがうかがえます。
 もちろん、解体工事が全くないわけではないようです。
 インターネットで、古い教会を大きな重機で壊す映像を見たことがあります。その建物の重厚感から、長年の歴史や信者の人々の心の拠り所になっていたことを感じますが、大型重機はそんな感傷を微塵も感じさせることなく、シンボルとなっている教会の大きな屋根を一撃していました。私たち日本人だったら、もう少し異なる方法を取るのではないか…と思わずにはいられませんでした。

海外の大型建物の解体でみられる爆破解体

 Mさんが体験したように、フランスを含めて既存の建物をリフォームやリノベーションしながら活用する傾向が強いヨーロッパですが、老朽化した建物はやはり解体されます。それが大型や高層の建物の場合、爆破解体が選ばれることが多く、それはフランスだけでなくアメリカや中国などでも同様です。
爆破解体はその名の通り、ダイナマイトなどの爆薬を用いて建物を爆破・解体する方法です。高層ビル、煙突、スタジアム、橋といった大型の建造物の解体に用いられます。もちろん通常の解体作業以上に危険物を扱うために、専門家による綿密な計画と立ち合いのもとで作業は行われます。
爆破解体では、人力では何日もかかってしまいそうな大型建造物さえも、足場や多くの重機を用いることなく一気に壊すことができます。そのため、人件費が削減され、作業時間も大きく短縮できて、経費が抑えられます。これは爆破解体の大きなメリットです。
しかしリスクもあります。
 大量の爆薬を使用しますので、その取扱いの不備によって想定外の大爆発を引き起こすことがあります。
 また、綿密な計算を基にした破壊計画に基づいていても、ちょっとした違いや風向きの変化などで建物が計画外の方向に倒壊したり、途中で倒壊が止まって完全に倒壊しなかったり、というケースもあります。
 さらに爆破解体では、大量の粉塵や破片が発生して周辺に飛散します。それらが周辺の建物や人に被害を与える可能性があります。実際、爆破によって飛び散ったコンクリート片の一部が、爆破解体を見物していた人の頭にぶつかって命を落としたケースもあります。一見、巨大な建造物が一気に崩れ落ちるさまは映画のシーンのようですが、さまざまな危険を伴うものなので、周囲にいる人たちもくれぐれも注意が必要です。
 ちなみに日本では、1992年に琵琶湖湖畔で一度だけ爆破解体が行われたことがあり、その当日は4万人を超える観衆が集まったそうです。しかし、火薬等の法規制が厳しいことと、爆破解体を行おうとするほどの大型建造物がある場所は、多くの場合、その建物の周りにもさまざまな建物が隣接していることから、現在は行われていません。

中国と日本とは意味が異なる建物の「手壊し」

 解体業者が使う言葉に「手壊し(てこわし)」というものがあります。
これは、重機を使わずに、手作業だけ―人力だけで解体する方法のことです。この方法では、騒音や振動を最小限に抑えられ、解体作業で出た廃棄物も分別しながら作業ができるために、破棄物処分もスムーズに行えるといったメリットがあります。
 その一方で、機械を使わずに人の手だけで作業を行っていくので手間がかかり、より多くの時間がかかります。その分、工事期間が長くなってコストもかかります。一般的な重機を用いた解体工事よりも30~50%程度コストが高くなります。
 そのため手壊しが導入されるのは、作業現場への路が狭くて重機を運び入れられない、現場周辺の建物が密集していて周囲の家々への工事の影響が大きいなど、何らかの事情がある場合に限られます。
 しかし、海外ではそういった解体現場の事情に関係なく、手壊し作業を行う場合もあるようです。
あるインターネットのサイトで見た中国の解体作業の映像では、200m以上もある高層ビルの解体現場で、解体中のフロアにショベルカーが設置されていました。そのアームは空中に伸びて外壁に向いていました。なんとそのアームの先端に人が乗っていて、外壁を手壊ししている出ではありませんか。よく見るとアームと作業員は命綱らしき紐が結ばれているもののあまりにも危険です。ビルの外側に伸ばされたショベルカーのアームの下は空中です。もしも転落したら……。それでも作業員は、手にした工具を振りかざしていました。命綱につながれているとはいえ、危険この上ありません。
 その他にも、ビルの上階の縁に立ってハンマーなどの工具を使い、自分の足元から建物の床や壁などを叩いていく、といった方法をとる国も多いそうです。
 日本では足場を組んだり、シートで養生したりししっかり安全対策を行ったうえで解体作業を行うことが常識ですが、そうではない国があることに驚きを感じます。こうした情報に触れるたび、周囲の方々のためにも、作業員自身のためにも、引き続き万全の対策を取ってより良い作業をすべきだと思うのです。

竹の足場で工事現場が一つのオブジェのよう

 養生は粉塵が周辺に大量に飛散したり、解体工事によって出た破片が落下したりするのを防ぎます。また防音・防炎に効果を発揮するシートもあります。現場の周辺に住む人たちや工事現場付近を通る人たち、そして作業員の安全を守る大切なアイテムです。
 ところが、香港ではその足場が、なんと竹で作られています。ある工事現場では隣接した高層ビルとビルの間に竹を渡して足場を作ったり、建築中の高い建物がまるで竹製の大きな鳥かごをかぶせたようになっていたり……。その様子はまるで足場というよりも、竹で作られた大きなオブジェを見るようです。
 金属製の足場が常識となっている私たちが見ると、柔らかく、しなる竹の足場をみると「大丈夫?」と不安になります。
 しかし、竹を使うには訳があります。その最大の理由は何といっても「竹が安い」という経済的な理由からだそうです。同じ長さの竹と鉄パイプでは、鉄パイプは竹の5倍以上高くなるそうです。加えて、竹は軽いため、運搬も組み立ても、そして解体も楽です。さらに高温多湿な気候の香港では、金属はさびやすいのですが、竹は湿気を含むことでギュッと絞まって丈夫になります。このように竹の足場を使うには香港の経済事情や気候風土などが背景にあるようです。
 なお、この竹の足場は、誰でも組めるものではありません。専門の職業訓練校があり、そこで国が定める一定のコースで学んだ職人によって行われます。
 一見、柔らかい竹の足場で本当に安全を守れるのかと心配になりますが、香港の気候と竹の特性を十分に生かした方法であり、しっかり教育を受けた職人による技術によって足場として高い機能を保っているのです。

 解体方法一つを取り上げても、それぞれお国柄を見ることができます。それには竹の足場のようにその国の風土に合わせたものもあり、国民性が垣間見られるようなものもあります。マトイでは、より安全性が高く、環境に優しく、お客様の希望に添える方法をカスタマイズしながら仕事をしていきたいと思います。

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
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