マトイ かいたいコラム

内装解体工事を検討するときに知っておきたいこと

かいたいコラム

 「解体工事」というとビルや家屋をすべて取り壊して、「ゼロ=更地」にする工事と思っている方が多くいらっしゃいます。でも、それだけではありません。
 今回は解体工事の一つである「内装解体工事」についてご紹介します。

いろいろな種類がある解体工事のひとつ「内装解体工事」

 解体工事にはいろいろな種類があります。その一つが内装解体工です。まずは、解体工事全般について、どのような種類があるのかに触れ、次に内装解体工事について説明していきます。

建物の種類や目的によって分かれる解体工事の種類

 冒頭で触れたように、解体工事は建物を取り壊して更地にするだけではありません。
 まず、皆さんがイメージしているように家屋をすべて解体して更地に戻す解体工事。これを「家屋解体工事」といいます。
 それとは別に、屋内の一部だけを解体する「内装解体工事」というものがあります。こちらの光景はオフィスビルや商業施設など、テナントが入っているビルや店舗で見かけることがよくあると思います。
 さらに、解体をする建物がどのような建築材料で造られているか、建物の大きさや規模、そして解体や解体後の土地の利用目的などによっても解体工事の方法は細かく異なります。特に発がん性物質として知られている石綿(アスベスト)のような、私たちの体に有害なものが含まれている建材が使われている建物を解体する際には、安全な工事に向けてさらに厳密な対策が講じられます。

リフォームや原状回復で行われる「内装解体工事」

 内装解体工事とは文字通り内装だけを解体することです。テナントの撤退や入れ替わりに際した原状回復やリフォーム・リノベーションのために今ある内装を解体する、などを目的に行われます。家屋解体と異なって、建物本体や構造物をすべて取り除くのではなく、建物の中を取り除きます。
 この内装解体工事では、「スケルトン工事」、「原状回復工事」の二種類があります。
 まず「スケルトン工事」では建物を造っている骨組みだけを残して、間仕切りや柱、天井や床などを取り除き、内部の電気配線やエアコン、排気ダクトなども撤去して、何もない空間だけの状態にします。
 「原状回復工事」は、入居前の状態に戻すことが原則です。オフィスや店舗として借りた際の状態に戻すことが原状回復工事の役割であり、借り手に求められます。
 そのために、借りたときの状態がどのようであったかによって工事の完成形が変わります。例えば、借りたときにスケルトン状態であったなら、返却するときもスケルトン状態にして返します。借りたときからある柱や間仕切りなどは残して、そのほかの余計なものは撤去します。飲食店などに使用した時によく見かけられますが、以前も飲食店として利用していた設備が残っている状態で引き継いだ場合には、それらの設備を残した状態で引き渡すのが原状回復工事の特徴です。
 このように借りている事務所や店舗から転居・撤退を検討しているような場合は、きれいに内装解体工事を済ませて返却することが必要となります。

内装解体が必要となった時の施主様の事前準備

 それでは、円滑に内装解体工事を進めるために事前に施主様が行っておくべきポイントを、事前準備の流れとともに見ていきましょう。

貸主様との打ち合わせ

 これは最初に行うべき最も大切なことです。
 まず撤退・転居、またはリフォーム等の検討を始めた段階で、賃貸の契約書を確認しましょう。そこに撤退・転居時の引き渡し方法が書いてあります。またリフォームなどについても記載があると思います。こういったことは、契約書を交わした時点では納得していても、月日が経つうちに記憶が曖昧になりがちです。そのため、内装解体工事が必要になった場合には、貸主様との話し合いに備えて事前に確認しておくことが大切です。
 そのうえで貸主様に撤退・転居を考えていることを伝え、どのような形で工事を進めていくかについて話し合います。
 引き渡し方法については、原則、「原状回復」として借りた当初の状態に戻すことが一般的です。しかし、契約書によっては「引き渡し方法は話し合いによって決める」とか、引き渡しについての記載がない場合もあります。
 さらに、次に入るテナントや利用者がきまっている場合にはそれに合わせて貸主様から希望を提示される場合もあります。
 また利用している間に傷んできて修繕が必要と思われるような箇所が出てきたり、実際に工事に入ってみたら次の利用者が入る際に修繕が必要な個所が現れたりすることもあります。そういった場合は修繕するか否か、修繕にかかる料金負担はどうするかも含めて、貸主様と施主となる借主様とで事前にしっかり話し合っておくことが重要です。

Point
*借主様は話し合いに備えて、契約書を準備・確認。
*話し合いによって工事の種類、期間、契約書に記載されている内容以外に修繕が必要な個所が生じた場合の対応と料金負担、工事スケジュールなどを話し合っておく。

解体業者を選ぶ

 解体業者を選ぶ前段階で、借主様とで解体方法や工期について余裕をもって決めておきましょう。
 なぜならばスケルトン解体にするか、原状回復工事にするかによって、工期や費用に差が出てくることがあります。施主様の予算の問題はもちろん、工期の都合が合わないような場合には、その後に入るテナントや施主様の予定や建物を管理する貸主様の都合に大きな影響を与えてしまいます。
 解体業者を選ぶ際は費用に重点を置きがちですが、希望の解体方法や工期に対応してくれることも同じくらいに大切です。複数の業者にあたって話を直接聞き、見積もりを取り、工法・工期・費用の3要素で希望に応えてくれる業者を選ぶようにしましょう。
 できれば、この段階でも現場を見てもらいます。周辺の道路や建物、隣り合う部屋や店舗などの状況によって使用する重機や工事の開始時間や工程に違いが出る場合があり、それによって見積もりと実際の費用とで大きな差が生じることがあるからです。
 また、解体工事では多くの産業廃棄物が出ます。施主様としては発生した産業廃棄物がきちんと処分されるまで責任があると思ってください。だからといって、廃棄物が処分されるまで見届けることは無理な話です。業者を選択する際に、産業廃棄物の処分についても産業廃棄物処理法の規定に則って適切に処分している業者を選ぶことが必要です。そのため、産業廃棄物処理の管理表(マニフェスト)のコピーを最後にいただける解体会社を選ぶと良いでしょう。

Point
*業者を選ぶ前に、借主様と解体方法や工期を決めておく。
*複数の業者に話を持ち掛け、現場を見てもらって見積もりの提示を依頼。
*工期・工法・費用の3つの希望に応え、廃棄物処理までしっかり行ってくれる業者を選ぶ。

業者による現地調査

 業者が決まって実際に契約を結んだら、あらためて現場を見ながら施主様とともに細かい部分を打ち合わせていきます。
 内部に置かれた処分品はどれか、その状況から工事開始までに施主様に行っておいていただくことはあるか、工事する建物や周辺の養生はどのような種類でどの程度の範囲で行うか、周辺の道路環境や実際に工事時間として考えている時間帯の交通量はどうか、隣り合う店舗の営業時間、何を撤去して何を残すか、見積もり作成段階に不明確だった点、等々を確認して実際の工事計画を立てます。
 この時に、もし建物に関する不動産情報資料や建築図面などがあれば準備しておくと、現地調査にとても役立ちます。

Point
*現地調査には施主様も一緒に立ち会う。
*不動産情報資料や建築図面などを準備しておくと現地調査に役立つ。

隣り合う店舗や事務所、近隣住民への挨拶

 具体的な工事期間が決まったら貸主様に知らせます。
また工事期間中は、隣近所や同じ建物内の事務所や店舗に少なからず迷惑をかけることになります。そのため前もって挨拶をして、工事をすること、簡単な工事内容や期間などを伝えておきます。工事期間や工事の概要などを記した案内状を持って伺うといいでしょう。
 こういった挨拶は施主様と近隣の方々とのお付き合いの程度によって、施主様が挨拶に回った方がいい場合、業者が挨拶に回った方がいい場合、施主様と業者担当者がともに挨拶に回った方がいい場合などがあります。どのように行うのが良いか業者の担当者と相談して行います。

Point
*工期などが決まったら、近隣住民や同じ建物内の事務所や店舗に挨拶を。

残置物の撤去

 残置物とは、工事スペース内で使っていた家具や什器です。工事の際に一緒に処分することもできますが、余分な費用がかかる可能性があり、工期も伸びてしまうことがあります。
 そのため解体工事が始まるまでに、施主様ご自身で撤去できるものは撤去しておくことをおすすめします。再利用が可能な物であればリサイクルショップやフリマアプリなどを利用するのもいいでしょう。
 こういった残置物の処分をはじめ、工事にあたって施主様側で行うことがあります。施主様ご自身も計画を立てて事前準備を進めることをおすすめします。

Point
*家具や什器など、ご自身で処分できるものは工事開始前から計画的に行う。

ガスや通信設備など、ライフラインの停止

 電気、ガス、有線やCATV、浄化槽、水道といったライフラインを停止します。この連絡作業は、前述の残留物の撤去と同時に施主様、もしくは解体会社が行います。具体的には次の通りです。
 ただし、これらライフラインについてはその建物全体で契約を行っている場合がありますので、事前に貸主様の確認を取って、適切な対応をとることが重要です。
・電気……電力会社に電気の停止と電気メーターの吸引線の撤去を依頼。
・ガス……都市ガスの場合は閉栓撤去、ガス管の地堺切断を、LPガス(プロパンガス)の場合は回収手続きを依頼。
・有線・CATV……移設もしくは解約と引き込み線撤去を依頼。
・浄化槽……専門業者に汚泥の除去と清掃を依頼。
・水道……解体作業中や解体後の清掃のために工事中も使用するので、解体業者に確認を取ってから停止を決定。

Point
*ライフライン停止の連絡については解体会社にも確認し、自分で行う場合は事前に連絡する。
*事前に貸主様に建物全体で契約しているライフラインを確認したうえで、停止依頼の連絡を行う。
*水道の停止は工事終了まで待って業者に確認を取ってから行う。

内装解体の流れと納得の工事のためのポイント

 建物をすべて解体して更地に戻す家屋解体工事と違って、建物内部の一部を解体する内装解体工事の場合は、工事の流れや配慮する部分も異なる点が加わります。そうしたことも含めて内装解体工事の流れとポイントを説明しましょう。

【ステップ1】足場や養生の設置

 足場や養生をしっかり行うことは、工事によって発生する埃や騒音などを最小限に抑えるとともに、工事現場の近隣の方や同じ建物内の事務所や店舗の方々への安全のためには必須です。また、廃棄物を運搬する際などにエレベーター内や階段・通路などを傷つけないように、工事場所以外の部分も広く養生を行います。

Point
*円滑な工事を支え、近隣住民や同じ建物を利用する人たちの安全を守る養生。施主様自身も確認し、気づいたことはその都度業者に確認。

【ステップ2】内装材の撤去

 内装材とは工事スペースにある電気・ガラス・ドア・壁紙などです。この作業では埃や粉塵が起こりやすいため、作業員はマスクやゴーグルを装着して作業します。そして、蛍光灯はガラス部分と安定器を分けるなど廃棄物の分別を行いながら作業を進めます。

【ステップ3】床材の撤去

 使用されている床材にはさまざまな種類があり、その種類によって使われる接着剤が異なります。コンクリート製の床材が使われている場合は、ハンマーなどでその床材を砕いて撤去します。このように床材の種類に応じて撤去方法は異なります。また、床材を取り除いた後は地面が凸凹した状態ですので、それを平らにする作業も加わります。
 なかには床材を使っていないところもありますが、その場合はこの撤去作業は省かれます。また、ときには「床材の撤去は行わないで、そのままでいい」、と貸主様から言われることがあります。その時もこの作業は省かれます。

Point
*床は床材だけでなく撤去後の床を平らに整えるまでが一つの作業(※今後張替えをする場合は整えないこともあります)。
*内装材や床材で撤去不要な物の有無を事前打ち合わせの際に貸主様に確認しておくと、工事がよりスムーズ。

【ステップ4】産業廃棄物の処理

 内装材や床材の撤去作業では石膏ボード・木材・鉄・プラスチック・コンクリートガラなどさまざまな廃材が出てきます。それらをリサイクル処分が可能な物とそのまま処分するものとを細かく分別・収集し、搬出します。
 内装解体によって生じたゴミや廃棄物を不法投棄すると処罰の対象となりますが、施主様としても責任があります。そのため、前段の「業者選び」ですでに触れたとおり、産業廃棄物処理の管理表(マニフェスト)に則って、一連の廃棄作業を正しくしっかり行ってくれる業者を選ぶことが重要です。

Point
*工事で発生したごみや産業廃棄物については、産業廃棄物処理の管理表(マニフェスト)に則った廃棄作業を行う業者の選択することが大きなポイント。
*事前に粗大ごみなど、施主様自身で処分できるものは処分しておくことが、最終的な廃棄物の軽減と経費削減につながる。

【ステップ5】室内の清掃

 室内清掃は解体工事の仕上げといえます。解体作業では大きな廃材のほか、大小さまざまなゴミや汚れがあって汚い状態です。大きな廃棄物の搬出が終わるとホッとしますが、空っぽになった空間のごみや汚れを取り除いてきれいな状態にし、養生を取り除いて解体工事がすべて終了したことになります。

Point
*最後の清掃を含めて、しっかりと行ってくれる業者を最初に選ぶことが重要。

貸主様・借主様双方の気持ち良い締めくくりのために

 どのような工事でも”想定外!” と思えることは常に起こりえます。そういった場合は、関係者同士が話し合い、共通認識を持ちながら迅速かつ柔軟に対応していくことで工事を円滑に進められます。
 内装解体工事では物件が施主様ご自身の所有する建物である場合と、施主様が借主となっている場合があります。施主様ご自身が所有する物件の場合は、修繕やリフォームも含めて想定外の事態にも施主様の判断で対応を即決できますが、借りている場合は貸主様との細やかな話し合い・お打ち合わせが重要なカギとなります。
 さらにそういった事態にも何でも相談でき、速やかに対応してもらえるような、他業種との幅広いネットワークと軽いフットワークを備えた業者を選ぶことも大きなポイントとなります。株式会社マトイは、そういう存在であり続けるために常に研鑽を積んでいます。
 “立つ鳥跡を濁さず” という古い言葉のように、工事開始から最後の清掃作業まで、施主様・貸主様、そして業者とがチームワークを発揮して気持ち良い締めくくりを迎えましょう。