マトイ かいたいコラム

解体工事は開始前の事前準備から

かいたいコラム

 建物を解体する……。それは多くの施主様にとっては初めてのこと。そのため、何をどうするのかわからずに、ほとんどを業者任せにする方もいらっしゃることでしょう。
 でも、施主様自身でできること、施主様が行うべきことはいろいろあります。それによって費用を抑えることも可能です。しかし、やみくもに行うと工事の流れを妨げたり、後々に影響を残したりします。解体業者とコミュニケーションを図りながら計画的に進めることをおすすめします。
 費用はもちろん、工期や解体後の土地の活用に合わせた工事の仕上がりなど、納得のいく解体工事のために、今回は事前準備を中心に施主様ご自身もできることについて説明します。

解体工事の工程を知って事前から工事に参加

解体工事の工程

 解体工事は「解体する!」と施主様が決意したときから始まり、工事終了の最終確認まで、施主様の行うべきことと責任はあります。以下に解体工事の流れと、それに伴う施主様が行えることを示しました。
 この流れを抑えながら、施主様が行えること、業者に委託することなどを決めて計画的に解体工事を進めると混乱なく解体を終えることができます。

 図のように、本来、施主様が行うことは工事が始まる前の段階から終わったときまで、いろいろあります。とくに工事開始前は各申請手続きと粗大ごみや電化製品の処分などを並行して行わなくてはならないことや、申請手続きなど期限が決められていることがあります。
 そうした煩雑さから、多くを業者が委託している現状もあります。そのため、委託した分は工事費用に加算されます。では、実際にそれをすべて施主様が行えるかといえば、個々の事情によって異なります。解体する建物と施主様が暮らしている地域が遠く離れている場合、お仕事などが忙しくて時間的に余裕がない場合など、いろいろな状況によってできること、できないことがあるでしょう。
 そこで、解体工事の流れと各段階で行うことを知り、施主様の事情に応じてどこができて、どこができないのかを検討し、工事開始前に解体業者と準備段階で必要な作業の分担や委託、それに伴う見積金額の交渉などを行うことで、納得のいく解体工事となることでしょう。

パートナーとなる解体工事業者を決めるまで

 建物を解体しようとするとき、その要となるのは解体業者です。解体作業を進める際、解体することはもちろんですが、それに付随するさまざまなことについて施主様とコミュニケーションをとりながら進めていきます。施主様にとって解体業者はより良い相談者であり、施主様の想いを現実とする実戦部隊です。パートナーを選ぶように慎重に業者を選んでください。
 では段階を追いながら、そのポイントについて説明していきます。

Step1 解体業者探し
 何よりも信頼できる業者を選ぶことが重要です。もし建築業に関係する職に就いていたり、建物を解体した経験がある人が周囲にいたら、その人たちにアドバイスを求めるといいでしょう。
 また、インターネット環境が普及している現在では、多くの業者が自社のホームページを開設しています。それを閲覧して候補となる業者を選ぶのもいいと思います。このときのポイントとしては、単にページの印象だけではなく、内容が施主様の立場になって、施主様が知りたいことが掲載されているかどうかを見ることも大切です。例えば、解体工事の具体的な内容がわかりやすく掲載されている、目安となる料金体系が掲載されている、これまでの工事をした事例が紹介されている…等々です。
 いろいろなアンテナを張るなかから “ ここは?! ” という業者を最低でも3~4社ぐらいを選んでみましょう。

Step2 概算見積りを提出してもらう
 依頼できそうな業者の候補があがったら、次はそれぞれに連絡を取って概算見積書を提出してもらいます。その際には、土地の広さ、建物の大きさ(建坪数)、木造や鉄骨造等といった建物の種類、建物のほかに庭木や井戸などの有無などについての情報を伝えます。さらに、「〇月〇日ぐらいまでに提出してほしい」といったことも伝えておきましょう。
 概算見積書でも、正式な見積書でも、極端に安い、もしくは極端に高いといったものは注意が必要です。また、具体的な項目があまり書かれていなかったり、施主様の質問に対する答えに誠意を感じられなかったりするようであれば、その業者は避けた方がよいでしょう。

Step3 現地調査
 候補として絞った数社の業者に現地を直接見てもらい、その状態や道路や交通量、周辺の建物などの環境を調べて正式な見積書を作成してもらいます。
内部に置かれた処分品がどれくらいあるか、その状況から工事開始までに施主様が行っておくことはあるか、工事する建物や周辺の養生はどのような種類でどの程度の範囲で行うか、周辺の道路環境や実際に工事時間として考えている時間帯の交通量はどうか、近隣の環境はどうであるか等々を確認して、業者は正式な見積書を作成して実際の工事計画を立てます。
 現地調査には施主様も立ち会うことをおすすめします。業者と一緒に現地を確認することで、井戸や浄化槽など建物以外に解体・撤去する必要があるものを確認したり、それらの中で施主様自身が処分できるもの、逆に作業的もしくは時間的に業者に依頼した方が良いものなどの判断やその相談をすることができます。また、後から提出される見積書の内容を理解したり、それが適切であるかどうかを判断したりするのに役立つからです。

Step4 見積書の検討と業者との交渉・解体業者決定
 現地調査を経て正式な見積書が提出されたら、その内容を確認します。費用の総額は気になるところですが、それだけではなく養生やカーポートや門扉・フェンス等の付帯工事の内容、それぞれの項目における廃材処分・リサイクル費用などがどのようになっているかも注意してみてください。例えば「付帯工事一式○○円」となっていたり、その内訳が明確でなかったりすると、後からオプション料金として追加請求され、トラブルの原因になりかねません。きちんと確認しましょう。同時に、「裏庭にある井戸はどうなるんだろう?」というように、見積書に記載されていないもので気になることがあれば確認が必要です。
 また、できるだけ費用を抑えたい場合や、引き続き現場は所有地とするために付帯工事の内容を見直したい場合などを含めて、見積書を挟んで業者と相談・交渉します。

例えば
*建物内の家具や電化製品を一緒に処分してもらう場合に費用はどのように変わるか、
*更地になった土地は引き続き所有するので敷地周辺のフェンスはそのままに、
*できるだけ費用を抑えたいから庭木の撤去は自分たちでしようと思う、
*費用は〇〇〇円以内に抑えたいと思っている、等々。

 工事開始前に施主様の希望を業者に率直に伝え、相談してください。
 また、解体工事では多くの産業廃棄物が出ます。解体工事で発生した産業廃棄物は、きちんと処分されるまでが施主様の責任ですが、それらが確実に処分されるまで見届けることは無理な話です。業者を決めるもう一つの条件として、産業廃棄物処理法の規定に則って廃棄物を適切に処分していることが挙げられます。そのため、あとで産業廃棄物処理の管理表(マニフェスト)のコピーを提出してもらえるのか確認しましょう。
 こうして工事の内容・工期・費用の3点で納得のいく業者に決定し、契約書を交わします。

解体工事の事前準備

 解体業者を決めるまでの段階で、かなりの時間と手間がかかります。
 しかし、ここからが本番です。解体業者が決まってから工事が始まるまでの間に、本来、施主様が主体となって動くべきことがいくつかあります。それは解体現場の近隣の方々に対しての挨拶、関係機関への各種申請・手続き、そして建物内と敷地内にある不用品の処分の3点です。以下に、それぞれについて説明していきます。

解体物件周囲の方々への挨拶回り

 解体工事が具体的に決まったら、工事現場のご近所の方々への挨拶回りが必要です。
 工事では防塵・防音シートを使うなどして、近隣の方々へのご迷惑をかけないように最大限の配慮を行いますが、それでも工事車両の往来など、少なからず迷惑をかけることになります。そのために事前に工事をすることとその内容・期間を伝え、挨拶に回ります。
 その場合、施主様と近隣の方々とのお付き合いの程度によって、施主様が挨拶に回った方がいい場合、業者が挨拶に回った方がいい場合、施主様と業者担当者がともに挨拶に回った方がいい場合などがあります。
 また、工事現場が施主様の暮らしている場所から遠方にあって、近隣の方々と面識がない場合は、解体業者に一任してもよいでしょう。遠方であっても、何らかのお付き合いがあるような場合は、解体業者に任せるとしても、前もって電話で挨拶をしておくとか、現地調査に訪れた際に声を掛けておくなどすると相手の心証を害することは避けられます。
 いずれの場合も、どのように挨拶回りを行うのがよいか業者の担当者と相談するとよいでしょう。

建設リサイクル法に基づく申請手続き

 建設リサイクル法(「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)とは、簡単にいうと解体工事で出た建設資材や産業廃棄物を適切に分別して、できるだけ再資源化することを目的とした法律です。そのため、解体工事業者の登録制度を設け、施主様(発注者または自主施行者)による事前の届け出を義務付けています。
 この法律は、床面積が80平米(約25坪)以上の建物を壊すときに適用されます。この届出でとくに注意が必要なのが期日です。この届出は、工事開始日の1週間前までに解体する建物が所在する市区町村に、工事場所や工事内容などを記載した届け出書類を提出しなければなりません。(※市区町村によっては違うこともあります。詳しくは各自治体へお問い合せください。)
 この手続きは施主様が行うものですが、多くは施主様が委任状を解体業者に渡して、解体業者が申請を行っています。施主様自身が行うにしても、解体業者に委任するにしても、「解体工事開始の7日前までに届け出る」ことは、解体工事を進めるスケジュールにおいて重要なことですから、しっかり覚えておきましょう。

道路使用許可申請

 通常、道路では交通の妨げになるものを置いたり、道路上の人や車を傷つけたりするような行為は道路交通法で禁止されています。しかし、工事や地域のお祭りなどのイベントのように、公益上、社会慣習上、道路の使用がやむを得ないと認められたものについては、この申請を出すことで道路の利用が可能となります。
 解体工事に必要な重機の搬入・搬出、解体した資材の搬出などで、現場の道路を行き来し、人や車の通りを妨げることが少なからずあります。そのため道路交通法に則って、解体工事をする際に、資材の搬出等の関係で道路使用する許可を所轄の警察署長宛に申請する必要があります。
 解体工事の場合、この申請は解体工事業者に提出が義務付けられており、有償として「道路使用許可申請費」、または「行政・官庁への届け出費」などとして見積書に盛り込まれている場合があります。見積書が提出されたら、この点についても確認してみてください。
 この申請は施主様が行うことも可能です。申請用紙は警視庁のホームページからダウンロードでき、道路使用の目的、場所または区間、期間、現場責任者などを申請して、所轄の警察署長宛に提出します。
 前述の建設リサイクル法に関する申請手続きや、この道路使用許可申請などについては、交渉によっては費用がサービスとされたり、施主様ご自身が行うことでその分を差し引かれたりすることもできる可能性がありますので、見積書が提出された時点で話し合ってみてください。

電気・ガス等、ライフラインの停止申請

 具体的には、電気、ガス、有線やCATV、水道です。これらの停止連絡作業は、施主様が行います。

電気……電力会社に電気の停止と電気メーター、引き込み線撤去を依頼。
ガス……都市ガスの場合は閉栓撤去、ガス管の地堺切断を、LPガス(プロパンガス)の場合は回収手続きを依頼。
有線・CATV……移設もしくは解約と引き込み線撤去を依頼。
水道……解体作業中や解体後の清掃のために工事中も使用するので、工事終了時に解体業者に確認を取ってから停止します。

電化製品や粗大ごみの処分

 いまは空き家となっている建物であっても、そこは人が生活や仕事をしていた場所です。ですから、暮らしに必要なものが詰まっています。
 私たちは解体物件の中に置かれたものを「残置物」と呼んでいますが、解体工事をする場合、それらを処分して建物だけの状態にした方が工事もスムーズに進みます。また、コストも抑えられます。残置物を工事の際に施主様が解体業者に依頼して処分することもできますが、その量と種類によってはかなりの費用がかかる可能性があります。そのため解体工事が始まるまでに、施主様自身で建物の内部にある品々で撤去できるものは、できるだけ撤去しておくことをおすすめします。

*残置物は適切に分類して処分
 残置物には、一般ごみとして処分できるものと、できないものがあります。
 一般ごみとして処分できるものは、私たちが普段から行っている可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみとして分別して、それぞれの自治体のルールに沿ってそれぞれの回収日に出します。
 なお、ここで注意したいのは、廃棄するものの大きさと家電の種類です。
 可燃物・不燃物として廃棄できるものであっても、その大きさの1辺の長さが30㎝を越えるものは粗大ごみの扱いになります。明らかに大きなものは粗大ごみの扱いとしてわかりますが、1辺が30㎝を少し超えるくらいの大きさのものだと粗大ごみとしての扱いを見落としがちで、トラブルの原因となりかねません。そういったものは、できるだけ小さくまとめて捨てるようにしましょう。
 また、電子レンジ、オーブントースター、掃除機、扇風機、ドライヤーなどは不燃ごみとして処分できますが、同様にその大きさに注意してください。例えば、掃除機のように長いチューブがついていたり、柄や取っ手によって1辺の長さが30㎝以上になってしまうようなものは、切断したり、段ボール箱などに入れて小さくまとめたりして不燃ごみとして出します。そういったことができないようなものは、粗大ごみとして処分します。

*粗大ごみは自治体施設に運ぶと無料に、自治体により家庭の事情に配慮した制度もあり
 一般的に粗大ごみは、自治体に収集を申し込み、処理費用としてのシールなどを購入して決められた日時に指定の場所で回収してもらいます。このように粗大ごみの回収は多くの自治体では有料となります。しかし、各自治体によっては粗大ごみのリサイクルセンターなどに持ち込むと無料、もしくは費用が割引になります。
 また、練馬区の例ですが、児童扶養手当を受給している家庭は、粗大ごみの処理手数料が申請により減額または免許されます。(※令和3年6月1日現在)
 こういったルールはそれぞれの自治体によって異なる点がありますので、事前に確認しておいた方がよいでしょう。

*冷蔵庫やエアコンなどの大型家電は家電リサイクル法に則って処分
 「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」というものがあるのをご存じでしょうか。これは、一般家庭や事務所から不要となって出された家電を処分する際は、リサイクルを義務付けた法律です。この対象となるのは、「エアコン」、「テレビ(ブラウン管、液晶、プラズマ)」、「冷蔵庫・冷凍庫」、「洗濯機・衣類乾燥機」の4品目です。これらを回収して、まだ使える部品や材料をリサイクルしては異物を減らし、資源の有効利用を推進しようとするものです。この法律によって、4品目は正しくリサイクルすることが求められ、自治体のごみ回収などに出すことはできません。
 これらを処分する場合は、①購入したお店に引き取りを依頼する、②各自治体に問い合わせて指定する取引場所にご自身で持っていく、③各自治体に問い合わせて指定業者に回収を依頼する、といった方法があります。①~③のいずれも自治体やその製品のメーカーなどによって方法やリサイクル料金を含めて支払う費用が異なるため、まずは自治体のホームページなどを調べて詳しい方法を教えてもらうことが必要です。

浄化槽内の処理

 浄化槽を使用している場合、その撤去は解体業者に依頼することができます。しかし、そのためには、事前に内部にたまっている汚泥の除去と洗浄を専門業者に依頼することが必要です。また、最近ではほとんど見なくなった汲み取り式便所ですが、地方の古い建物などでは残っていることがあります。その場合は、浄化槽と同じように便槽の内部を専門業者に除去と清掃を依頼します。そのうえで解体業者に便槽を撤去してもらいます。
 いずれも解体料金とは別料金で請求されることになります。現地調査の段階で、浄化槽や便槽の有無も確認され、撤去については見積書に含まれているはずですが、記載がない場合は確認が必要です。
 撤去費用の目安としては、5~7人用のものであれば3万円から5万円程度ですが、見積書に撤去に関する項目がなかったり、極端にこの費用が安かったりしたら注意が必要です。業者の中には、撤去しないで地中にそのまま埋めてしまう場合があるからです。しかし、埋めてしまうのは廃棄物処理法違反ですので、しっかりと確認して、きちんと撤去してもらうようにしてください。

解体終了後の手続きも忘れずに

 ここまで、解体工事における事前準備について説明してきました。これらの事前準備が済んだら、あとは実戦部隊としての解体業者が中心になって作業を進めます。この段階になると、施主様もホッと一息つけるのではないでしょうか。
 ただし、最後を締めくくるのはやはり施主様の出番です。
 解体作業を終えた作業現場が、きれいな更地になっているかの確認を業者とともに行い、この段階で水道を停止します。もちろん、この後に何かを建てる予定があるならば、水道はつないだままにしておきます。
 加えて、大切なのが「建物の消失登記申請」です。これは、建物があった地域の地方法務局に出向いて施主様自身で手続きを行います。解体業者は代行できません。もし施主様自身が手続きに関する書類作成や登記などを行うことが難しいようならば、土地家屋調査士が代行してくれます。その場合、手月に必要な印紙代のほかに土地家屋調査士の手数料が発生します。
 いずれにしても、この消失登記申請は解体終了時から1か月以内に行わなくてはなりません。手続きが完了したら、取り壊した建物の固定資産税の納付義務はなくなります。しかし、手続きを行わないでいつまで放置していると、銀行などから借り入れができなくなったり、罰金を科せられたりすることがあります。最後まで気を抜かずに、しっかり締めくくりたいですね。

解体工事は施主様のライフスタイルに合わせて計画的に

 ここまで、解体工事における事前準備について説明してきました。一つひとつを取り上げるとかなりの量の仕事をしなくてはならないことに、取り組む前からどっと疲れを感じてしまうのではないでしょうか。
 でも、ご安心ください。ここに挙げた事前準備をすべてご自身でこなせる施主様は、そんなに多くはいらっしゃらないと思います。まずは施主様の日々のライフスタイルを大切に、そこを大きく乱すことのない余裕ある計画を立てることが大切だと考えます。
 もちろん解体工事は普段とは違ったイベントのようなものです。日常の暮らしに全く影響なく行われることは、そう多くはありません。しかし、その影響を最小限にとどめながら、納得のいく解体工事にするには、施主様ができること、私たち業者に委託してくださること、それに伴う費用のことなどを率直に話し合って、工事の計画と施主様の暮らしの計画を組むことが重要です。
 まずはより良いパートナーとなるべき解体業者を選び、率直なコミュニケーションをとりながら進めることで、施主様のさまざまなご負担は軽くなるでしょう。
 株式会社マトイはプロの解体業者であることはもちろん、常に施主様の疑問や「困った!」の声に耳を傾け、よりよきアドバイザーでありサポーターであることに力を注いでいます。