解体見積り書の見方と注意点について
かいたいコラム 「見積りを受け取ったものの、どう見る?」「どんなことに注意して読んだらいい?」と疑問を感じている方、解体工事に限らずいらっしゃるのではないでしょうか?
実際に、解体工事で相見積りを取ったほうがいいと聞いて「相見積りを取ったものの、結局、合計金額欄だけを見て業者を決めてしまった」という方もいるようです。
今回のコラムでは、見積りをしっかり理解するためのポイントや注意点について説明します。
解体見積り書の内容をひとめで理解できますか?
見積り書の中に記載されている内容については、その字面などから「なんとなく、こんなことかなぁ?」とイメージできるかもしれません。しかし、はっきり言葉にしようと思うと難しいのではないでしょうか。
見積り書を作成する私たち業者も、できるだけ一般の皆さんにわかりやすいように記載する努力をしているものの、やはり専門用語を使わざるをえません。
さらに業者が異なれば見積りの書式も用語も違います。それぞれを並べて比較するときに、その違いから見積り書の内容を読み解くのに苦労するのではないでしょうか。
そこで、見積り書をしっかり理解して、内容を把握するために必要なことを説明します。
見積り書を理解するためのカギ
解体の見積り書を理解するためのカギとなるのは、記載されている項目をざっくりとでも把握すること、そして用語や単位を理解することです。それぞれについて、説明します。
見積り内容を構成する4つのカテゴリー
まず、大切なことは見積書にどのようなことが書かれているか、その全体像を把握することです。
ではどのようなことが書かれているかというと、大きく分けて次の4つに分類できます。
カテゴリー1:中心的な建物の解体に関すること
建物を解体する際の人件費や重機などの機械費等です。
カテゴリー2:付帯設備の解体に関すること
付帯設備としては、駐車場、敷地内に建てられた物置、庭木などの植栽や庭石、ブロック塀などがあります。
カテゴリー3:工事から出た廃棄物の処分に関すること
解体によって出た木屑やクロス、コンクリート片などのほか、家屋内に残されている不用品なども含まれる場合があります。
カテゴリー4:その他
諸経費や備考など。
しかし、これらが明確に分類された形で記載されているとは限りません。業者によっては、家屋の解体費や駐車場などの付帯設備の解体費に廃棄物の処分費用を加えている場合もあります。また、付帯設備の解体工事では、建物全体の解体工事ということで「一式」という表現でまとめて記載しているところもあります。
業者が違えば、記載項目やその内容が異なるのはあり得ることです。そのため、見積り書をしっかり読み解いて、この4つのジャンルに関することがもれなく入れ込まれているかを確認し、それぞれ記載内容を見比べてみることが大切です。
見積り書に記されている用語の意味
内容を理解するためには、まず使われている用語を理解することが必要です。そこで、前述のジャンルごとに、見積り書によく使われている用語をピックアップして説明します。
カテゴリー1:建物取壊し費用
【建物取壊し費用】(たてものとりこわしひよう)
本体となる建物を解体するための費用です。
【内部解体】(ないぶかいたい)
解体は建物の内部の解体と、外部の解体で分けられます。解体費用の内訳として表記されることがあります。
【外部解体】(がいぶかいたい)
内部解体と同様に、建物取壊し費用の内訳として表記されることがあります。
さらにその作業内容に付随した次のような項目があります。
【手壊し】(てこわし)
隣家との間隔が狭い場所、周辺道路が狭い場所、敷地や周囲の土地に高低差がある場所、解体目的以外の場所に影響を与えそうな場所、可能な限り騒音を小さくとどめたい場合、等々に用います。重機を使わずに、作業員による手作業で解体を進めます。
同様の意味をもつ用語として、「手ノコ」(てのこ)、人力解体(じんりきかいたい)といった用語が使われることがあります。
【重機解体】(じゅうきかいたい)
「手壊し」と対になる言葉として重機解体があります。これは重機を用いて解体することを示しています。
一般的には、内部を手壊しし、建物の構造部分を重機で効率よく解体する、というように前述の手壊しと併用して解体作業を行います。
この部分の費用は、解体する建物がどのような構造であるかによって大きな違いが出てきます。構造別の解体費用についてはこちらのコラムでも取り上げていますので、ご覧ください。
カテゴリー2:付帯設備の解体費用
建物本体に関する取壊しとは別に、外構やカーポートなどの解体作業にかかる費用です。
【外構撤去費用】(がいこうてっきょひよう)
解体の中心となる建物以外の解体・撤去です。「付帯工事費一式」というようにまとめて記載されている場合もあります。
これには、庭石、庭木、ブロック塀、フェンス、浄化槽などの撤去費用が挙げられます。具体的に「ブロック塀撤去費用」というように撤去するものの名称を記載している場合もありますが、まとめて記載されている場合は、その「一式」のなかにどのような工事が含まれているか確認することが大切です。
また、カーポートやブロック塀などの基礎部分解体では、次のような作業が見積書に加わることがあります。
【はつり工事】(はつりこうじ)
これはコンクリートやアスファルトで固められた壁や地面の基礎部分を解体する作業です。
【土間撤去】(どまてっきょ)
はつり工事と同じような意味です。
【設備撤去費】(せつびてっきょひ)
電気、ガス、電話、水道などを撤去する費用です。
カテゴリー3:工事から出た廃棄物の処分
解体工事によって発生した廃棄物はすべて産業廃棄物となります。また、その処分にかかる費用は高く、解体工事費用の半分近くは廃棄物処理にかかる費用です。
【廃棄物処理費用】(はいきぶつしょりひよう)
文字通り、廃棄物を処理するための費用です。解体時に発生する廃棄物を、現場から処理施設に持ち込んで処理を依頼しますが、廃棄物の種類によって処理施設が異なります。そのため、「木材」「鉄くず」「瓦」「がれき」というように、廃棄物の品目ごとに表記される場合があります。
また同じ意味で「廃材処分費」と表現する業者もあります。
【廃材運搬費】(はいざいうんぱんひ)
現場で発生した廃材を、その内容に応じた処分場まで運搬するための費用です。
廃棄物の処分に関して、運搬費用の記載が見積り書になくて廃棄物処理費用の項目だけだとしたら、「運搬の費用は含まれていますか?」と確認してください。
産業廃棄物を現場から運搬するには、産業廃棄物収集運搬許可が必要です。もし解体を依頼した業者がその許可をもっていない場合は、別の業者に廃棄物運搬を依頼することになり、費用がかさむ可能性があります。
マトイでは解体工事業とともに産業廃棄物収集運搬の許可も得ているため、解体から廃棄物の運搬まで一貫した作業ができるので安心してください。また、解体とは別に不用品処分なども行っているため、施主様の負担の少ない形でのご提案と見積りをさせていただいております。詳しくはお気軽にご連絡ください。
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カテゴリー4:その他
【諸費用】(しょひよう)
解体工事、付帯工事、廃棄物処理などのカテゴリーに入らないようなものを諸費用としてまとめて記載する場合があります。
なお、その内容としては次のようなものがあり、その1つひとつを記載している見積りもあります。
【各種届出費用】(かくしゅとどけでひよう)
解体工事ではさまざまな届け出が必要になってきます。それらは基本的には施主様が行うものですが、業者が施主様の委託を受けて行うこともあります。その際の手数料や届け出にかかる費用などです。
【重機回送費】(じゅうきかいそうひ)
使用する重機によっては公道を走れないために、トラック等に乗せるなどして現場に運びます。そのための費用がかかる場合があります。
【工事関係車両駐車料金】(こうじしゃりょうちゅうしゃりょうきん)
現場の状況によっては、工事関係車両を停める場所がないときは駐車場やそのための場所を借りることがあります。そのための費用が必要になる場合には請求されます。
解体工事で必要になる届け出については、こちらのコラムでも詳しく説明してありまので、参考になさってください。
また解体する場合は、事前にアスベストを含む建材の使用や吹付をしているか否かを調べることが必要ですが、2022(令和4)年4月からその事前調査結果の報告が義務付けられるようになりました。その届け出についても見積り書に記載されているかどうかもご確認ください。
なお、アスベストの事前調査等については、こちらのコラムで説明していますのでご覧ください。
見積り書に記されている単位の意味
見積り項目やその内訳などに並んで記載されているものは、その単価や量です。これは量や大きさをイメージするためにも把握しておきましょう。
【㎥】(りっぽうめーとる)
「立米」(りゅうべい)とも記載。量を表します。
庭木などダンプに積み込める量を表記しています。その量の目安としては、
*4tダンプ……6~8㎥
*2tダンプ……3~4㎥
*軽トラック……1~1.5㎥
【㎡】(へいほうめーとる)
「平米」(へいべい)とも記載。面積を表します。
建物の広さや土間コンクリートやブロック塀などの解体範囲を示す場合に使われています。
なかには、㎥とか㎡といった具体的な量や範囲を示さずに、「一式」でまとめている見積り書もあります。この場合、後々のトラブルになりかねませんので、実際の範囲と照合して確認が必要です。
【坪】(つぼ)
㎡と同じように、広さを示します。1坪をmで換算すると約3.3㎡、畳では約2畳分です。これは昔から日本で用いられている面積の単位ですが、最近ではあまり使われていません。しかし、坪の方がイメージしやすい人もいるため、慣習的に坪の表記を用いている業者もいます。
【t】(とん)
重さを示す単位です。なお、1tは1㎥です。
備考・特記事項の内容のチェックを忘れずに
そして忘れてはならないのが、「備考」とか「特記事項」という欄のチェックです。
ここには、数字で表記しきれない次のようないろいろな条件が書かれています。
*支払い条件
*業者から施主様への依頼事項
*地中埋設物をはじめとして、工事中、突発的に起こったことに対する追加工事への対応など
*工事車両などの駐車や資材の仮置き等の依頼
*別途見積りとなるもの
解体見積り書を読み解くポイント
では、実際に見積り書を手にした際、どのような点に気をつけながら、見積り書の内容を理解していくべきでしょうか、そのポイントを挙げてみます。
Check 1 各項目にどのような内訳が含まれているか!
次のことを、1つ1つ確認してみましょう。
*どのような項目があるか
*各項目にどのような内訳が記載されているか
*それぞれの量や範囲はおおよそ実際のものと食い違いははいか
*これまでに説明してきた項目や内容はあるか、記載されていないものはないか
*外構工事など、その内容が実際のものと合っているか
*施主様が依頼したい解体範囲や解体してほしいものが網羅されているか
*各項目や内訳の単価と合計は合っているか
Check2 追加工事や追加請求についての記載がされているかもチェック
工事が始まってから予定していなかった追加工事が発生したら、施主様としては予算に大きく影響を与えるために困ってしまいます。追加請求や突発的事態への備えが、見積り書に記載されているか、その内容が施主様にとって納得のいくものであるかを確認しましょう。こういった内容は、「備考」や「特記事項」に記載されています。
Check3 重機費用や工事関係者車両の駐車場などの費用もチェック
現場環境によっては工事車両の駐車スペースがなかったり、重機搬入が難しかったりする現場があります。そういった周辺環境に合わせた対応が見積り書に記載されているかも確かめましょう。そういったことが記載されていない場合、あとから必要になって追加請求となることがあります。できれば追加請求は避けたいため、見積り段階で確認しておきましょう。
見積り書の内容を読み進め、内容に漏れているものがないかを確認するときに、解体工事の流れと併せながら考えていくと、確認しやすいと思います。解体工事の流れについてはこちらにわかりやすく説明していますので、参考になさってください。
見積り書から良い業者、悪い業者を見抜いて依頼先を決める!
できれば、依頼する業者は良心的で良質な仕事をしてくれる業者であってほしいもの。それは1枚の見積り書をとおして見抜くことができます。とくに相見積りとなればなおさらで、その際のコツをお伝えします。
相見積りで提出された各社の見積り書を比較する際のポイント
見積書の内容を比較する際は、次のことをポイントにしてチェックしてましょう。
全体の総額を見る!
最初に確認するべきは「総額」です。
極端に安い、逆に極端に高い、といった見積りがあれば、他の見積りと比較してその違いを見つけましょう。
極端に総額が安かったり高かったりする場合は、
・見積り項目が大雑把で「一式」といったあいまいな表現で済ませている
・不要な項目を盛り込んでいる
・養生など、入れるべき工程を除いている
・それぞれの単価を高く設定している、などの原因が見つけられるはずです。
注意して確認しましょう。
必要な工程とその内容が記載されているかを見る!
解体工事では、必ずしもすべてを解体して更地にするわけではありません。施主様ごとにそれは異なります。施主様が予定している解体工事の範囲や内容が盛り込まれているかを確認してください。
例えば、フェンスやブロック塀は残しておく、庭木は一部だけを伐採する、といった要望がある場合は、それを踏まえた見積り書であることが重要です。
また、解体工事では安全に工事を進めるために、一定の流れに沿って工事を進めていきます。しかし、その工程を踏まないで解体工事を進めるような業者もいます。例えば、防音や防塵のための養生を省いたり、廃棄物を敷地内に埋めてしまったり、というようなことです。養生が抜けていたり、廃棄物処理の費用が極端に安かったりする場合、この点に注意が必要です。
営業担当者を見る!
しかし、いくら見積書を見比べても完全にそれぞれの違いやその業者の善し悪しを見極められるとはいえません。その意味からも営業担当者は重要な存在です。
見積りの不明点や疑問などを積極的に質問し、それに感じよく、わかりやすく、丁寧に答えてくれるか、依頼したことにすぐに対応してくれるかを見てください。
悪い見積りと良い見積りを見抜いて、業者を選ぼう!
その会社から提示された見積もりが悪い見積りか、それともよい見積りか、そして営業担当者はどんな人柄であるか、この3点によって良い業者を選ぶことができるでしょう。では、悪い見積り、よい見積りとはどんなものかを、ここでまとめてみます。
悪い見積りとは!
悪い見積りの条件をあえて挙げると次のようなことがいえます。
*単価や価格が「一式」とだけの記載で詳細な内訳の記載がない。
*追加工事等の備考や特記事項の記載がない。
*用語や詳細の説明を求めても、具体的に理解できるような説明が営業担当者からなされない。
良い業者とは!
*項目の内訳や単価などが詳細に記載されている。
*備考や特記事項に、施主様の要望に対する対応条件などが記載されている。
*施主様の不明点などの質問にわかりやすく答え、要望に臨機応変に対応してくれる。
*施主様の立場になって、必用な提案と料金の明確な提示をしてくれる。
解体費用を安くするためのコツ
見積り書が出てくるとある程度の費用がわかります。そして、その金額と突発的な事態への備えを含めて予算を確保する必要があります。いずれにしても費用は可能な限り抑えたいものです。そのためのコツをお伝えします。
複数の業者から相見積りを
できるだけ「相見積り」を行うと、業者について比べられて良いでしょう。
ただし、選択するのは「金額が一番安い」ことではなく、施主様がわかりやすくて、納得のいく見積り内容であること、そしてそれでもわからないことや困っていることを丁寧に説明し、アドバイスしてくれる営業担当者かどうか、という点を基準においてください。
この2点は、工事のクレームやトラブルなどを防ぐ、もしもそういった事態が起こったとしても比較的スムーズに収まり、不要な出費を防ぐことにつながります。
見積書を挟んで業者と施主様とで話し合い
見積りはあくまでも見積りです。見積り内容と提示額、営業担当者の対応などから業者を決めたら、考えていた予算と見積り内容との差を率直に伝え、価格交渉をしてみましょう。希望に沿った価格になるかもしれません。もし、それがかなわないとしても、提示の価格に満足できるような内容の提案をしてくれる可能性があります。
自分たちでできることは自分たちで行う
残置物処分や庭木などの処分等、施主様ご自身で行うことで廃棄物処分費用を節約することができます。
詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
まとめ
見積り書は、解体を実行するため、そしてより良い業者を選ぶための“最初の1歩”です。それだけに、1部の見積り書からどのような業者であるかを見極める必要があります。
もちろん、それだけですべてを判断できるわけではありません。業者の顔となる営業担当者が、どのような人物で、どのようにわかりやすく見積り内容を説明してくれるか、いかに施主様の立場になって考えて、アドバイスをくれるか、といったことも必要です。
その意味で、私たちマトイは定評があります。一度、マトイにお仕事を任せてくれた施主様が、同じように解体工事を検討しているお知り合いの方をご紹介くださることが多くあります。それは、営業担当者をはじめとしたマトイの仕事に満足してくださっていることの現れと自負しています。
また、このコラム内でも触れましたが、マトイでは解体工事のほか不用品の回収・処分、産業廃棄物運搬等も承っています。こうした業務範囲の広さは、必ずご依頼いただく皆様のご負担を軽くできるものと考えています。
どうぞ、お気軽にマトイにお問い合わせ、ご相談ください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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- お客様を第一に考え、終了後まで全面サポート!
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