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古民家を移築して住みたい!そのときに必要な費用や段取りを説明

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 古いものには、ときを重ねてきた深みや、現在ではなかなかできそうにない技術が込められています。それは家についても同じことがいえ、古民家の価値や魅力となっています。
 その思いは、そこでの時を過ごした方にとってはなおさらでしょう。古くなったからといって、簡単に処分に踏み切れることはないはず。
 今回のコラムでは、古民家の移築を取り上げます。処分以外の選択のヒントにしていただければ嬉しいです。

古民家とは?

 「古民家」とは、一般的に建築されてから50年以上経過した建物、とされています。
また、古民家の再生を推進している団体では、「昭和25年の建築基準法制定時にはすでに建てられていた伝統的建造物の住宅」としています。戦争を挟んだ厳しい時代を耐え、現在に至っている、とても力強い建物です。

古民家移築とそのメリットとデメリット

 さまざまな魅力をもった古民家をそのまま朽ちさせたくない、使い続けたいと願う人はたくさんいます。そのための方法として「移築」があります。
 ここで移築とそれに伴うメリットやデメリットについて説明しましょう。

古民家移築とは

 古民家を移築するとは、一度解体して別の場所に移して建て直す、ということです。
 しかし、それには古民家ゆえの難しさがあります。
 古民家の多くは、柱と柱、柱と板を接合するにも釘などの金具を使わず、「木組み」と呼ばれ伝統的な工法で造られています。そのため扱うには、古民家の構造や伝統工法を熟知した職人でないと難しい点が多くあります。

古民家移築のメリット

 それでも古民家移築には、次のような価値の高いメリットがあります。

① 新築よりも安い費用で移築できる可能性が高い。
 移築にかかる費用のなかでも、その費用への影響が大きいものとして移築方法と移築する場所までの距離があります。
 どのような移築方法を選ぶか、移動距離はどの程度かによって、費用は新築よりも安くなる場合があります。とくに解体しないで移築する場合は、新築よりも安い費用で行える傾向にあります。

② ニーズや好みによって家屋内の設備や内装を新しくカスタマイズできる。
 建物全体の雰囲気や質感は気に入っていても、キッチンや浴室などの設備は新しいものの方が使いやすく快適です。古民家に最新の設備をカスタマイズすることで、より心地よく快適な住環境を作れます。

③ 廃材が少なく、環境にやさしい。
 建て替えや新築の場合は、廃材が多く、新たな建築資材を用いるなど環境に負荷をかけます。しかし、移築であればその多くの材料が再利用できるため、環境への負荷をより少なくできます。

④ 現代では手に入りにくい耐久性の高い天然木を利用した暮らしができる。
 古民家に使われている梁や柱などの部材を活用することで、耐久性が高く、体に優しい住環境を作れます。

⑤ 固定資産税が安くなる。
 建物の資産価値は建物が古くなると下がります。それに伴って、固定資産税も経年原価補正が行われて安くなります。

古民家移築のデメリット

 一方、デメリットもあり、これらの点には注意が必要です。

① 移築できる住宅は木造に限られる。
 移築では、組み立てられている建材を逆の順番で解体し、移動先で順番通りに組み立てていきます。これは、「木組み」といわれる木造住宅だけにできることです。そのため木組みされていない建物や木造でない建物は移築できません。

② 移築する場所や移築する建物によっては多額の費用が必要になる場合がある。
 メリットの点で、新築よりも安い費用でできる場合がある、と説明しました。しかし逆に、高くなってしまうことがあります。それは次のような場合です。

*古民家では、現在の耐震基準に沿った耐震補強工事が必要になります。さらに劣化が進んでいると、その程度に応じた補強が必要となって費用が増します。
*建材を再利用することを前提に移築を行いますが、劣化が進んで使えないものもあります。その場合、他の古材の調達が必要になって費用がかさむことがあります。また移築自体を断念せざるを得なくなる可能性があります。

③ 新築時よりも、住み始めるまでに時間がかかる。
 古民家移築では、その建物の状態を調べたり、工事の打ち合わせをしたり、設備のカスタマイズなどのために時間がかかります。
 以上のことから、思わぬ費用がかかったり、移築ができなかったりすることがあります。そのため、計画段階から業者を交えてしっかり確認することが必要です。

古民家を移築する際の注意点

 すでに説明したように、“この家!”と思った古民家が必ずしも移築できるとは限りません。その構造によっても移築できない場合があります。また長くその役割を果たしてきた部材のなかには、劣化が進んで再利用が難しい状態のものもあります。
 移築前に、その建物の構造体や部材等が劣化していないかどうか、建物全体および各部材の状態をしっかり確認することが大切です。

古民家はどのように移築する? 知っておきたいその方法

 古民家を移築するためには、解体する方法と解体しない方法の3種類があります。どの方法で古民家を移築するかは、古民家が現存している場所から、移動させたい場所までの距離によって分かれます。

解体して移築

 移築する場所が遠方の場合は、長時間の移送ができるように建物を解体します。
 その際、トラックに積める程度の大きさに解体し、各部材に分け、移築する場所まで運搬します。
 この方法では遠い場所まで運搬することが可能ですが、解体した建材は再度組み立てるため、高い技術と丁寧で確実な作業が求められます。そのため扱える職人は限られ、日数もかかるため、続いて紹介する方法よりも費用が高くなりがちです。

解体しないで曳家(ひきや)で移築

 建物をジャッキアップして基礎から離し、そこに「コマ」と呼ばれる丸太やレールのようなものを挟み込んで、それを転がしながら建物を移動させます。
 この方法は家屋をそのままの大きさや形の状態で動かすことが特徴です。しかし、そのために多くの距離を動かすことはできません。敷地内で移動させるような、限られた範囲内での移築に適しています。

解体しないで吊り上げ(つりあげ)で移築

 この方法は曳家と同じように、解体をしないで移築する方法です。
 曳家と異なる点は、曳家は建物を解体することなく移築するのに対して、吊り上げは屋根・天井・壁・床などを取り除いて、ほぼ構造体だけの状態にして移築する点にあります。ほぼ構造体だけになった家屋を、クレーンで吊り上げて移築するため、その距離は曳家の時と同じように限られています。
 移築後は、移築前に取り除いた壁や天井などを新設します。

古民家を移築する際の流れ

 「古民家をリノベーションして住みたい」と考えたとき、次のような流れで進めていきます。

① 物件を探す
 すでに相続などで移築やリノベーションをしたい古民家が決まっていればいいですが、そうでない場合は、物件探しから始めます。
 各地の空き家バンクやNPOなどは、古民家の情報を得る窓口になります。

② 施工会社を探す
 古民家の移築やリノベーションを得意としてそれを手掛ける業者は、一般の建築会社よりも限られがちです。そのなかでも、できれば物件がある土地の施工会社をお勧めします。なぜなら、その古民家が置かれていた地域の気候や環境、建物の湿気・乾燥対策をどのようにするべきかを、より理解していると考えられるからです。

③ 自分たちなりのイメージづくりと予算計画
 施工会社探しとともに、どのような家にしたいかといったイメージづくり、どの程度の予算確保が可能かといった予算計画を行いましょう。

④ 複数の施工会社から相見積りを取って、依頼する施工会社を決定
 複数の会社を選んで、相見積りを取ります。全体の費用やリノベーションのプランの提案内容などを併せて業者を選択します。

⑤ 移築プランや予算計画の選択・調整・確認、そして確定見積り
 施工会社を決定したら、改めて移築およびリノベーション計画を検討し、細部にわたった調整や確認を行います。そして、最終的な見積りを出してもらいます。

⑥ 契約
 契約を結び、契約書を交わします。

⑦ 着工
 工事を開始します。

⑧ 竣工
 なお、古民家移築を進めるための流れでは、業者の選択や相見積りなど解体を進める場合と共通する注意点がいろいろとあります。こちらのコラムもご覧になって、参考にしてください。

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どこから手を付けたらいい? 解体工事の進め方

古民家を移築する際にかかる費用

 では、実際に古民家の移築にはどのくらいの費用がかかるでしょうか?
 前段でも触れているように、どのような方法で移築するかによっても費用に違いが出てきます。解体して移築する場合は、そうでない方法で移築するよりも費用は高くなります。
 また、その古民家の状態や内部の設備をどの程度リノベーションするかによっても修復費用な設備設置費用などによって全体の費用も大きく変わってきます。そういったプラスアルファとなる費用は別にして、一般的な移築費用は1坪あたり70万円が目安となります。

一般的な移築費用
70万円~/坪

30坪の古民家の移築費用の相場
2,000万円~

【古民家移築にかかる費用の内訳】
 移築には、さまざまな費用がかかります。その費用の内訳は次の通りです。
* 解体費
* 図面作製費
* 現地調査費
* 建材の洗浄費
* 建材の運搬費
* 直接工事費(仮設費用、基礎工事、断熱工事、木工事、屋根工事、板金工事、左官工事、金属製建具、木製建具、ガラス工事、内外装工事、雑工事、電気設備工事、給排水衛生設備、諸経費)

古民家の移築計画とともに考えるべき転居や解体

 自分たちの住まいとして古民家の移築を検討しているとき、移築以外にも考えるべきことがあります。それは、現在の住まいをどうするか、ということとそれに関連することです。

現在の住居の扱いを検討

 古民家移築と並行して、「現在の住まいをどうするか?」ということも検討する必要があります。
 現在の住まいの敷地に余裕があって、使用していない部分に古民家を移築するのであれば、現在の住まいはそのままで問題はないでしょう。
 また、現在の住まいとは別の場所にカフェなどの事業活動の場として活用するのであれば、移築と事業活動に絞って検討を進めればいいことです。
 しかし、現在の住まいを撤去してその跡に移築するのであれば、移築以外にも考えなくてはならないことがあります。それは、古民家移築の目的に伴って現在の住まいをどうするのか、ということです。

古民家移築費用のほかにかかる、現在の住居の転居や解体費用

 古民家の移築のために転居したり、現在の住まいを解体したりする必要がある場合は、どの業者に依頼するか、見積りを取る、予算の計画を立てる、などが必要です。そして仮住まいを見つけて引っ越す、現在の住まいを解体する、古民家の移築が完成して実際に住める状態になったら仮住まいから引っ越しをする、というように引っ越しと転居を繰り返すことになります。
 そのため、移築にかかる費用のほか、仮住まいの家賃、2回の引っ越し費用が必要になってきます。
 これについては、建て替え時の流れとほぼ同様になります。このコラムで取り上げていますので、併せてお読みください。参考になると思います。

古民家を移築して住みたい!そのときに必要な費用や段取りを説明

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家の建て替えの流れについて。費用はいくら? どんなものにかかる?

全体の費用を安く抑えるためのポイント

 移築費用や現在の住まいの解体費用も含めて、出費はできるだけ抑えたいものです。そのためのポイントを説明します。それは次の3点です。

1.移築も解体も、複数の業者から相見積りを取る。

 古民家の移築を依頼する業者や現在の住まいを解体する業者を決める際は、複数社選び出して、相見積りを取りましょう。それによって予算の計画をたてやすくなりますし、業者の説明や対応などで、その業者の善し悪しも判断できます。
 相見積りでは、どうしても費用の安い業者に傾きがちになるかもしれませんが、そのほかに、わかりやすい見積り書の提示、不明点などに対する丁寧な説明、依頼ごとに対する迅速な対応などをしてくれているかどうかも見て、依頼する業者を決めてください。
 例えば、見積り金額が一番安い業者でも、雑な仕事で周辺とのトラブルを招いたり、あとからの追加工事が必要になったり、さらに過剰な追加請求をされたり、ということがありえます。
 見積り時の提示価格も大切ですが、施主様に対して誠実でしっかりした作業をする業者を選ぶことが大切です。そのためには、金額以外の点にも注目して業者を選んでください。

2.建物内の残置物を少なくする。

 「解体費用の半分近くは、廃棄物の処理費用」といわれるほど、廃棄物の処分費用は高いものです。そのために、建物内の残置物は自分たちで処分しておくことが、費用を抑えるための大切なポイントです。
 移築をする古民家にも、残置物がいろいろとある場合があります。それらについては、そのまま古民家とともに活用することを考える、という選択もあります。そのうえで、不用品と判断したものは地域のゴミ回収や粗大ゴミ回収などを利用して廃棄しておくようにしましょう。
 また、現在の住まいを解体する場合も同様です。現在は環境負荷を減らすために、不用品処分についてもリサイクルが積極的に行われています。自治体の廃棄物処理のルール等を守りながら、処分することが大切です。
 解体前の片付けに関して、こちらのコラムで取り上げています。どうぞ、参考になさってください。

古民家を移築して住みたい!そのときに必要な費用や段取りを説明

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解体前の片付けには、どのくらいの費用を確保しておけばいい?

3.補助金を有効に活用する。

 古民家の移築では、活用できるいくつかの補助金制度があります。
 ただし、それらの内容や支給条件、申請方法などはそれぞれの自治体によって異なりますので、実際に活用を検討する際は、自治体に確認してください。
 ここでは、どのような補助金があるかを紹介します。

① 耐震補強に関するもの
 古民家の移築では、木材の老朽化などで耐震補強に問題があるものがあります。
 また、現在の耐震基準を満たしていないものがあります。その場合、耐震補強の工事が必要になります。その際、自治体の補助金を受けられる可能性があります。

② 省エネに関するもの
 この補助金では、太陽光パネルの設置や省エネタイプの設備の設置、断熱性の工事、LEDの設置といった省エネに関するものに補助金を受けられます。
 気密性が低い古民家では、とくに冬季は冷気の侵入などが住みやすさの課題となりますが、それに伴う省エネ対策の補助金はぜひ活用してほしいものです。

③ バリアフリー化に関するもの
 これは「高齢者住宅改修費用助成制度」として、要支援、または要介護に認定された人が同居する場合、バリアフリー化のリフォームに関して介護保険から工事費用の補助が受けられるものです。
 なお、現住まいの解体などでも、さまざまな補助金を活用できる可能性があります。それについてはこちらのコラムでも取り上げていますので、ご覧ください。

古民家を移築して住みたい!そのときに必要な費用や段取りを説明

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家の解体費用、支払いが難しそうなときに知っておきたい解決法!

解体はもちろん、不用品処分もマトイにおまかせ

 すでに述べているように、古民家を移築する場合、そのほかに現在住んでいる家を解体することも一緒に進める場合があります。
 古民家の移築はマトイでは行っていませんが、現在の住まいの解体、古民家内や解体する家屋内にある不用品の処分はマトイの本分です。
 残置物の処分では、できれば施主様ご自身で地域のゴミ回収などを利用して処分することが、もっとも無駄な費用を出さないためのコツです。
 しかし、施主様のお仕事などの都合によってはそれができないことがあります。そんなときは、どうぞマトイにご相談ください。解体、および不用品の処分など、施主様の計画がスムーズに進むようにお手伝いをさせていただきます。
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まとめ

 古民家がもつ風合いは、なかなか現代建築の建物からは得られないものがあります。そのためでしょうか、古民家に関心を持つ人たちは多く、古民家や古材を利用した店舗もみられています。また、環境保全やSDGsにおける「住み続けられるまちづくり」等にも深く関係しています。
 古民家を移築して活用することは、単に個人的なことにとどまるのではなく、“環境”という点で周囲の人たちや社会にさまざまな影響を与えていることを感じます。それは1人ひとりの行動から、隣人同士のかかわり、そして社会へと広がっていくもの。
 まずは1人から、そして1つの会社の1つ1つの行動から……。そういう気持ちをもって、私たちマトイでは、日々の仕事と環境や関わる皆様の健康や快適さを結びつけながら、丁寧な仕事を心掛けています。
 そして、お客様の声や相談事にも真摯に対応していくようにしています。どうぞお気軽にお声を掛けてください。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

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