所有者でない人が建物を解体。その際、同意書の書き方と手順を解説!
かいたいコラム 世の中には土地に建てられている建物が、その土地の所有者の名義でないことは多く見受けられます。
また、そのなかには土地の所有者が「その建物を解体してほしい」といった事情を抱えている場合もあります。
しかし、土地所有者が勝手に名義の異なる建物を解体することはできません。まずは、建物の所有者と話し合って、解体の同意を得る必要があります。これについては当コラムでも、以前、取り上げました。
その同意を得る際、必要なのが「同意書」です。これは、建物および土地所有者双方が、建物の解体に際して必要な事項を共通認識するためにも必要になります。
今回は、この「同意書」を中心にコラムを進めます。
土地の所有者と建物の所有者が異なるケースとは?
土地とその土地に建てられている建物の所有者が異なるのは、具体的には次に挙げるようなケースです。
〇土地の所有者以外の人が、その土地を借りて建物を建てた。
〇土地を親名義、建物を子の名義とした。
〇相続に際して土地と建物を別々の人が相続した。
〇以前の名義人から、名義変更がされていない。
土地の所有者は、他者名義の建物を解体できる?
その建物が建てられている土地が自分のものだとしても、建物が自分名義でない場合は勝手に解体することはできません。原則として、建物の解体は建物の所有者だけに認められる権利です。
土地の所有者が建物の解体を希望する場合、プロセスを踏んで建物の所有者の同意を得る必要があります。
土地と建物の所有者の名義が異なる場合の解体について、こちらのコラムでも取り上げています。
名義が異なる建物を土地の所有者が解体する際の手続きとその流れ
ここでは、土地の所有者が建物を解体するまでの手続きや流れについて説明します。
名義が異なる建物をその土地の所有者が解体する理由
自分の土地に建っている、他者名義の建物の解体を要求する理由は、ケースごとにさまざまです。その一例を挙げると次のようなものがあります。
〇建物の老朽化が進み、周囲の安全を脅かす可能性が出てきた。
〇土地の所有者が、別目的でその土地を活用することになった。
〇土地所有者の都合で土地を売却することになり、更地であることが買い手の条件になっている。
これらのほか、1つ1つのケースにさまざまな理由や事情があります。それだけに、建物所有者とのやり取りでは、一方的な申し入れだけでなく、相手の都合等にも耳を傾け、双方のコミュニケーションが大切になります。
このコラムでは、土地所有者の方の側から、説明を進めています。しかし、建物の解体を持ち掛けられた建物所有者側の方にとっても、戸惑いや事情があるはずです。
マトイでは、双方の立場に立たされた方々からのご相談やお見積り等にも対応させていただきますので、お気軽にお声掛けください。
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他者名義の建物を解体するまでの流れ
では、具体的にどのように建物の解体へと進めていくのか、その流れについて順を追って説明します。
建物所有者と連絡を取る
はじめに行うべきことは、土地所有者から建物所有者へ連絡を取ります。
建物解体を依頼したいのは土地所有者のほうなので、土地所有者から働きかけることになります。
なお、建物所有者との連絡がスムーズにいかない場合の対応として次のような方法があります。
【建物所有者の住所等がわからない場合】
建物の住所と所有者の氏名をもとに住民票を取得し、そこから連絡先を調べる。
【住民票を調べてもわからない場合】
裁判所に「公示送達」という手段をとって、訴訟を提起する。
公示送達とは、裁判所から発行される文書を公的な場所に掲示することで、それが建物所有者に送達されたとみなす手続き。
この方法によって建物所有者の行方がわからなくても裁判を進めることができる。この法的な手続きをとることで、建物の名義が異なっても土地所有者が建物を解体することが可能になる。
【その建物が共有名義になっている場合】
この場合は、共有名義として挙がっている人全員の同意が必要。
1人でも反対する人がいる場合は、解体できない。また、連絡が取れない人には、他の共有名義として名を連ねている人から聞いたり、それでもわからない場合は前述の「公示送達」の手続きをとったりする。
もしも共有名義として名を連ねている人全員の同意を得ずに解体を行った場合、損害賠償請求されたり、建造物損壊罪としての罪を課せられたりする。
【特定空き家や同レベルの老朽化の状態である場合】
行政に相談して解体できる可能性がある。
特定空き家の定義や特定空き家に指定されるまでの流れ等については、是非、こちらのコラムをお読みください。
建物所有者と話し合いの場をもつ
建物の所有者と連絡がついたら、話し合いをします。
話し合いへとスムーズに進めるために、話し合いの場所や日にちなどの提案ができるようにあらかじめ想定し、最初の連絡の際に先方の希望や意向も確認しておきます。
また、話し合いの場において建物所有者と円滑に進められるように、話し合うべき内容のポイントをまとめておくようにすると良いでしょう。
同意書を交わす
話し合いの場において、建物解体の目的や条件および建物所有者の意見・要望などを話し合い、その結果、建物所有者から解体の同意が得られたら、その内容を同意書にまとめます。
同意書が完成したら、その内容を建物所有者と土地所有者の双方で共有し、同意書に署名して交わします。
解体工事に着工する
話し合いを経て建物所有者の同意を得たら、解体業者に連絡をして解体工事に着手します。
建物所有者は、借地契約を結んでいる場合も多くあります。
こちらのコラムで、借地建物の処分について説明していますので、こちらも併せてお読みください。
建物所有者との話し合いのポイント
建物所有者と土地所有者の話し合いは、できれば土地所有者の意向を理解してもらい、建物の解体に同意してもらえるように勧めたいものです。
また、建物所有者の要望が出てくる可能性があります。建物所有者の要望にも耳を傾ける余裕をもって、話し合いに臨む必要があります。
話し合いでは次に説明するようなポイントを踏まえながら進めるといいでしょう。
話し合いに向けての事前準備
話し合いに向けた事前準備では、建物所有者に建物解体の理由を正しく理解してもらったうえで同意を得る必要があります。また、そのためには建物所有者の要望などについても、しっかりと聞く姿勢をもつ必要があります。
これらの点を踏まえて事前に以下のことを、わかりやすくまとめておきましょう。
〇建物を解体する理由や目的。
〇解体費用の負担や解体に際して、建物内にある家具等の撤去スケジュールやその費用負担などについて。
〇土地所有者が解体の同意を拒否する場合を想定しての代替案など。
〇解体費用負担などの話し合い時の参考情報となるよう、事前に解体業者に依頼して解体費用等の見積り金額を把握しておく。
〇解体時期が未確定であるとの条件を伝えたうえで、見積りを通して解体業者と打ち合わせの前段階から連携を取っておく。それによって、建物所有者の同意を得られたら、スムーズに工事着工が可能となる。
話し合いに臨む姿勢
実際に対面して話し合う際には、次の点を心掛けて話し合いましょう。
〇普段からのコミュニケーションが希薄な場合、先入観や思い込みを抱きやすい傾向がある。その点に注意し、フラットな気持ちで相手と話し合う。
〇土地所有者の言い分を伝えるとともに建物所有者の意見もしっかりと聞く。
話し合うべき内容
話し合いでは解体理由等も含めて、次のようなことを具体的に話し合って同意を得る必要があります。
〇建物解体を希望する理由。
〇解体する具体的な範囲。
〇予定している解体工事期間と解体工事費用。
〇解体費用はだれが負担するか。
解体費用の補助金・助成金の活用も視野に入れて話し合いを
今回のケースでも、解体費用はそれを支払う人にとっては大きな負担になります。自治体のなかには、建物の解体に対して補助金や助成金などで解体工事や建て替え等を支援する制度を整えているところがあります。
ただし、基本的に建物の解体は建物の所有者に認められるものであるため、今回のように建物所有者の同意を得て土地所有者が解体する形になると、補助金・助成金の申請は一般的に難しい、と考えられます。
この点を踏まえつつ、話し合いで解体の同意を得たら、誰が解体工事の施主となるか、解体費用をだれがどのように負担するか、といった点では補助金等の活用も視野に入れて打ち合わせておくといいでしょう。
また、話し合い以前に、建物が所在する自治体の補助金・助成金制度の有無や申請条件などの情報を収集しておくことをお勧めします。
家の解体工事では、自治体によってさまざまな補助金・助成制度があります。これは費用負担を軽くするので、積極的に活用するとよいでしょう。こちらのコラムでは、補助金・助成金にどのようなものがあるか、資金計画のポイント、解体に向けたスケジュールなどを説明しています。どうぞ参考にしてください。
同意書の作成
話し合いによって決まったことを同意書にまとめます。
なお、同意を得るべき内容や同意書に記載すべき内容については以下のようになります。
内容を明確にして同意を得るべき内容
〇解体する建物の所在地・名称・所有者名。
〇解体の目的や理由について。
〇解体後の土地の利用計画の概要。
〇解体の範囲と解体方法。
〇解体費用を負担する人物、およびその割合などについて。
〇その他、それぞれにケースによる条件。
〇建物所有者と土地所有者の署名と日付。
同意書を作成する際の留意点
同意書は土地所有者と建物所有者の話し合いの内容を双方が正しく把握し、解体工事はもちろんのこと、建物の解体にまつわるトラブルを回避するために重要なものです。
次の点を留意して記載および作成することが大切になります。
〇建物所有者と土地所有者とで話し合った内容をすべて明確に記載する。
〇建物所有者と土地所有者の署名と日付を必ず記載し、お互いが話し合った条件等で解体に同意したことの証明とする。
〇同意に至るまでの話し合いや将来的にトラブルの可能性が感じられるような場合、弁護士や不動産の専門家に立ち合ってもらうことを検討する。
〇弁護士や不動産の専門家の立ち合いが推奨されるケース
*建物所有者が抱えている事情や土地所有者の権利関係が複雑な場合。
*建物所有者と土地所有者の契約が法的に明確な状態でない場合。
*建物所有者が同意に向けて必要以上にさまざまな要求を重ねてくる場合。
*承諾書に法的な拘束力を確実に持たせたい場合。
まとめ
今回のテーマのように土地所有者が自身の所有物ではない建物の解体を持ち掛ける場合は、従来の解体ケースよりも解体に至るプロセスが複雑になります。また、いろいろな点で気遣いも必要になってくることでしょう。
私たちマトイでは、これまでにもさまざまな解体ケースの経験を重ねてきていますので、お力になれることがあります。どうぞ、無料ご相談・お見積りにアクセスして、お気軽にご相談ください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
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