建設リサイクル法に基づく分別解体の義務と再資源化の手順
かいたいコラム
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解体工事では、騒音や振動などによる環境への影響が問題視されます。たしかに現場および現場周辺の環境に対する工事の影響は避けられません。
しかし、現在は法整備がしっかりと行われ、それによって解体工事の方法も環境に配慮した分別解体が通常となっています。これは一般の方々にはわかりにくいかもしれませんが、私たち解体業者および施主様にとっては大変なことです。
今回は解体工事における環境配慮の根拠となる建設リサイクル法や、その内容を実際の解体方法に落とし込んだ分別解体、廃棄物の再資源化などについて説明します。
マトイは東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県で解体工事やリフォーム工事を承っております。またそれに付随した不用品の処分、建築物石綿含有建材調査者の資格を有した職員によるアスベスト対応などを通し、工事では一貫した環境配慮を行っています。
解体工事は、どうぞ安心してお任せください。
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環境配慮の根拠となる建設リサイクル法とは
近年はより環境への配慮が必要になってきていますが、それは解体工事や建設工事を行う際も同様です。周辺に暮らす人々の安全・安心、穏やかな生活を守ること、そして私たちが暮らす環境の負荷をより減らすことが大きな課題となっています。
その根拠となって取り組みを支えている法律が建設リサイクル法です。
建設リサイクル法は、解体工事や建設工事で排出される廃棄物の再資源化(リサイクル)の促進を目的とする法律で、廃棄物の処理に関する廃棄物処理法と並んで守るべき重要な法律です。
建設リサイクル法成立の背景
建設リサイクル法は2000(平成12)年5月に成立し、2002(平成14)年に完全施行されました。この成立・施行の背景には、建設等に伴う廃棄物の急増と不法投棄の深刻化がありました。
建設廃棄物の大量発生と最終処分場の限界
昭和40年代に建てられた建築物の老朽化が進んでくると、それに伴い解体工事が増加してきました。それとともに産業廃棄物の量も徐々に増加し、1990年代後半になると、建設工事によって排出されるコンクリートやアスファルトなどをはじめとした産業廃棄物の量が全体のおよそ2割を占めるようになりました。
それまで産業廃棄物の処理は埋め立てに頼っていました。ところが廃棄物の増加が進むなかで最終処分場としてのスペースが限界に近づいていました。
不法投棄の多発
さらに廃棄物の不法投棄も大きな社会問題となっていました。廃棄物の処理費用を回避するため、悪質な業者たちが山林や空き地に廃棄物を不法投棄するということが全国で多発していました。
解体工事には廃棄物がつきものです。詳しい廃棄物処理については、こちらのコラムをご覧ください。
ミンチ解体による環境への影響
廃棄物の増加や環境への影響の一因として、解体方法も挙げられました。当時は「ミンチ解体」という方法で建物の解体を行っていたのです。
このミンチ解体は、建物を重機で一気に破砕していく工法で、現在のような廃棄物の分別は行いませんでした。環境への影響として次のようなものがあります。
〇廃棄物の分別ができないため、資源のリサイクルが困難
一気に解体してしまうため、廃棄物は建物を構成していた木材・コンクリート・金属などが混在した状態で、そこから分別や再資源化を進めることは困難です。そのためリサイクル率が低下し、埋め立て処分量が増加していきました。
〇アスベストなど、人体に有害な物質が飛散するリスクが高い
建物のなかには、アスベストやPCBなどの有害物質が含まれているものがあります。現在は事前調査を行い、安全な方法でそれらを除去してから解体を行います。しかし、ミンチ解体が行われていた際には、それらも含めて一気に解体していたため、有害物質飛散による被害リスクが高い状態でした。
〇騒音・振動・粉じんの増加
重機によって一括に破砕するため、騒音・振動・粉じんの発生が大量で、近隣住民とのトラブルを引き起こす可能性が高くあります。養生や防音対策が不十分な現場では、住民トラブルをさらに引き起こす原因となります。
ミンチ解体については、こちらのコラムでも説明していますので、ご覧ください。
建設リサイクル法制定で環境配慮
環境基本法や循環型社会形成推進基本法を土台とした建設リサイクル法が施行されると、環境に悪影響を与えるミンチ解体は違法行為とされ、罰則の対象となりました。そして、コンクリート、アスファルト、木材を特定建設資材として分別解体することが義務となりました。
それまでゴミとして廃棄するしかないと思われていた廃棄物を、社会全体で資源として捉えなおすようになりました。そして建設資材のリサイクルを社会の制度として義務付けることで、資源循環と環境保全の両立を図っています。
建設リサイクル法の概要
ここで建設リサイクル法について、あらためてまとめます。
| 正式名称 | 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 |
| 目 的 | 建設廃棄物のリサイクルを促進し、資源の有効利用と循環保全を図る |
| 対象工事 | 一定規模以上の解体・新築・増改築工事 解体工事の場合:床面積80㎡以上 新築・増築工事:床面積500㎡以上 リフォーム工事:請負代金1億円以上 土木工事等:請負代金500万円以上 |
| 対象資材 | コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材など |
| 主な義務 | 分別解体の実施、再資源化の実施、届け出の提出(発注者による自治体への届け出) |
| 施 行 | 2002年(平成14年)5月 |
環境に配慮した分別解体へ
建設リサイクル法の施行以降、解体工法はミンチ解体から分別解体へと切り替わりました。解体工事で発生する廃棄物の再資源化を行い、環境への負荷を軽減します。
マトイでは、建設業許可および産業廃棄物収集運搬許可の取得はもちろん、営業担当者が建築物石綿含有建材調査者の資格を取得するなど、環境保全に積極的に取り組んでいます。どうぞ安心して、マトイに解体工事をお任せください。
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分別解体の概要
分別解体とは、建材を品目ごとに分別しながら計画的に解体していく解体方法です。
分別解体でも重機を使用しますが、まずは手作業によって壁紙や建材を撤去します。
廃材の分別は手作業で進めるため、工期は長く人件費もかかります。しかし、その分より多くの建材をリサイクルできるのが特徴です。
分別解体とミンチ解体の比較
分別解体とミンチ解体の違いをまとめると、次の表のようになります。
| 分別作業 | 工 期 | 費 用 | 環境負荷 | リサイクル率 | |
| 分別解体 | する | 長 い | 高 い | 低 い | 高 い |
| ミンチ解体 | しない | 短 い | 安 い | 高 い | 低 い |
分別解体とミンチ解体のほか、解体する場所・状況・状態に応じた工法を用いながら作業を進めます。
分別解体の流れ
では分別解体はどのように進められていくのかについて説明します。
解体工事の基本的な進め方は、こちらのコラムでは木造家屋の解体をご覧ください。
事前調査
解体工事に着手する前に、業者は次の点について確認を行います。
・解体する建物の状態と周辺環境。
・建材の分別作業をするスペースや、分別した建築資材等を一時保管しておく場所など。
・特定建設資材廃棄物の搬出経路。
・残存物品の有無。
・石綿の吹付やアスベスト含有建材仕様の有無。
事前調査としての家屋調査やアスベスト調査はこちらのコラムをご覧ください。
解体計画書の作成と届け出と事前措置
事前調査の結果に基づいて、解体計画書を作成して届け出を行います。計画書に記載する主な事項は次のようなものです。
・事前調査の結果とそれに伴う事前措置の内容
・工事の工程順序、各工程の作業内容、分別解体の方法
・特定建設資材廃棄物の種類ごとの見込み量および発生場所
・その他分別解体の適正な実施を確保する為の措置など
なお「事前措置」には次のようなことが挙がります。
・作業場所及び搬出経路の確保
・残存物品等の搬出の確認
・付着物の除去など
解体工事等の施行
事前措置が終了したら、次の流れで解体工事を進めていきます。
ステップ1:屋内の建築設備や内装材等をおもに手作業で撤去
ステップ2:屋根ふき材をおもに手作業によって撤去
ステップ3:外装材、構造部分を撤去
ステップ4:外構等を撤去
ステップ5:基礎および基礎杭を撤去
特定建設資材の分別
前述の流れで解体撤去を進めていきながら、特定建設資材の分別を行っていきます。
再資源化施設への搬入と処理方法
特定建設資材は種類ごとに再資源化施設が異なります。そのため、分別後は資材ごとに決められた施設へ搬入します。
〇コンクリート塊
コンクリート破砕施設で破砕され、再生砕石に加工。
〇アスファルト・コンクリート塊
アスファルト再生プラントで加熱処理され、再生アスファルト合材に加工。
〇木材:木材破砕施設でチップ化され、ボード材や燃料用として加工。そしてバイオマス発電所などへ搬出される。
分別解体をすることの意義
分別解体は手間も時間もかかりますが、その分、建設廃棄物の再資源化を促進し、環境負荷を低減するとともに資源を有効に活用できます。具体的な意義は以下のとおりです。
資源の循環を促進
特定建設資材を現場でしっかり分別することで、産業廃棄物から資源となります。そして再資源化によって再生砕石、再生アスファルト、木材チップなどとなり、再利用されます。このように、資源の循環が促進されます。
近隣住民への影響を低減
分別解体では、ミンチ解体よりも重機類の使用が少なくなり、手壊しによる部分も増えることから、騒音・振動・粉じんの発生が少なくなる傾向にあります。また、これらの発生を抑えるために養生シートや低振動の重機を使用するなどの工夫を行い、近隣の方々への工事の影響を低減します。
廃棄物を減量し、最終処分場のひっ迫を緩和する
分別解体をすることによって、産業廃棄物として埋め立て処分をする廃棄物を減量できます。それによって現在の最終処分場を少しでも長く利用できるようにします。
不法投棄の防止
建設リサイクル法によって分別解体と再資源化の義務化が定められました。これにより、不適正な処理や不法投棄の減少につながります。また、特定建設資材の処理ルートが明確になることで、業者の責任も明らかになって不適切な処理の抑制につながっています。
環境負荷の低減
再資源化することによって廃棄物の焼却や埋め立てが減ることで、環境保全につながります。その分の新規資材の製造が減ることで、エネルギー消費やCO2排出の削減にもつながります。
経済的・社会的メリット
再資源化された資材を活用することで、資材コストの低減や再資源化したものを地域資源としての活用が可能になります。それによって地元の再資源化施設やリサイクル業者の活性化につながります。
まとめ
分別解体は、単にその場のことだけではありません。前述の「分別解体の意義」で述べたようなことが、現場での分別作業の先にあります。そして、それらが施主様、近隣の方々をはじめとした多くの人たちの暮らしと環境を守ることにつながっています。
確かに、分別作業は私たち業者にとっては大変なことです。しかし、その1つ1つが私たちの生活を取り囲む環境をよりよくしていくことになる、といった使命感に似た思いを抱いて私たち業者は作業に当たっています。
なお、マトイでは分別解体による解体作業はもちろんのこと、産業廃棄物運搬業者の許可を取得し、円滑に産業廃棄物を処理しています。また、施主様が処分できない屋内残置物などについては、お見積り段階からのお打ち合わせで、処分を承ることも可能です。これは、施主様それぞれのご都合に対応したものですが、適切に不用品を処分することで、環境の負担軽減にもつながるものです。
マトイでは、環境配慮をさまざまな面からとらえて、皆様のお役に立てるよう工夫をしています。
東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県で解体工事をご検討中の皆様、まずはマトイの無料ご相談・無料お見積りをどうぞご利用ください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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