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鉄骨の種類もいろいろ 解体手順と費用について

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 鉄骨造というと「木造より頑丈」といったイメージが定着していると思われます。しかし頑丈さだけではなく、鉄骨や鉄骨造の建物には、他にも特徴があります。今回は鉄骨・鉄骨造の建物とその解体をテーマにご紹介させていただきます。

意外と知らない鉄骨と鉄骨造の特徴

 それまで当然のものとして使っていた言葉も、あらためて考えると、しっかり説明できないものがあります。「鉄骨」もその一つ。辞書で調べると、「建造物の骨組みにする鉄材」とあります。その種類はさまざまで、それぞれの特徴を生かして使い分けられています。

鉄骨の分類・種類

 鉄骨の種類は厚さや製造の規格、製造工程、断面の形状などさまざまな点から分類され、それぞれに種類があります。その一部を取り上げてご紹介します。

鉄骨の厚さによる分類

 厚さによる鉄骨の分類では、次の2種類があります。

①重量鉄骨/厚さが6mmを超える鋼材です。厚い分、重量が重いため、基礎や地盤によりしっかりした工事が必要になり、建設費用も高くなる。しかし、強度が高いため柱の本数も少なくてすむため、倉庫・工場・大型店舗など、広い空間を作るのに適している。
②軽量鉄骨/厚さが6mm以下の鋼材。重量鉄骨に比べて厚さが薄い軽量鉄骨は、戸建住宅やアパートといった中小規模の建物に用いられる。ただ、厚さが薄い分、強度を補強するために壁部分の柱と柱の間に対角線に部材を入れて補強することが必要。このためリフォームが難しかったり、解体時の手数が増えたりする。

鉄骨の規格による種類

①SS(一般構造用圧延鋼材)/建築、および建築以外にも幅広く使用。溶接は向かない。
②SM(溶接構造用圧延鋼材)/溶接に適する。
③STK(一般構造用炭素鋼管)/円形鋼管。建築および建築以外にも用いられる。
④STKR(一般構造用角形鋼管)/SS材使用の角形鋼材。溶接亜鉛メッキで割れやすい。
⑤BCR(冷間ロール成形コラム)/建築構造用の角形鋼管。塑性変形(変形させた形が残る)能力が期待。
⑥BCP(冷間プレス成形コラム)/BCRと同じ。肉厚で40mmのものもある。

鉄骨の断面の形状による種類

①H形鋼/断面がアルファベットのHに似た形状。引っ張る、曲げる、圧縮する、いずれの力に強く、最も多く使用される。また、耐食性や耐海水性にも優れるため橋梁や船舶の構造材、岸壁や高速道路などの基礎材にも使用。
②I形鋼/断面がアルファベットのIに似た形状。H形に比べて厚く、重量や剛性が大きい。建築、橋梁、各種機械、車両などに使用。
③山形鋼/断面がアルファベットのLに似た形状。H形の次に需要が多い。建設、船舶、機械などに使われる。
④その他/溝形鋼、角形鋼管、円形鋼管などがある。

鉄骨造の特徴と鉄筋コンクリート造との違い

 鉄骨造(S造)は鉄や鋼でできた棒状の建材を柱や梁に使用する建物です。
 耐久力が高く、木造よりも強度が高く、次に説明する鉄筋コンクリート造に比べて軽いのが特徴です。あらかじめ工場で製造した主要部材を現場で組み立てるので、鉄筋コンクリート造よりも工期が短く、建築コストも抑えられます。そのため、大空間構造を作り出すことが可能です。戸建て住宅から倉庫や工場、高層マンションなど、さまざまな建物の建築に用いられています。
 一方で、摂氏540℃以上になると脆くなります。もし、火災が起きて長引いた場合には、一気に倒壊する可能性があります。そのため、鉄骨の温度が上がらないように周りを耐火素材で覆うこともあります。
 鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋の周囲にコンクリートを流して固めたもので構成された建物です。圧縮する力には強くて引っ張る力には弱いコンクリートと、逆に引っ張る力には強い鉄筋を組み合わせることで強度が高くなります。そのため鉄筋コンクリート造は、中層階から構想まで幅広い建物を造る際に用いられています。また、耐火性、耐震性、防音性、気密性に優れていることも特徴です。火災のリスクが低く、騒音に悩まされることも少ない建物になります。

表1 鉄骨造と鉄筋コンクリート造のメリットとデメリット

鉄骨造 鉄筋コンクリート造
メリット  建築コストが安い
(木造よりも少し高い程度)
耐震性が高い
耐火性が高い
気密性・防音性が高い
デメリット 耐火性と防音性が低い 鉄骨造や木造より建築コストが高い
気密性の高さから結露やカビが発生しやすい

 

鉄骨造建物の解体の流れ

 解体の流れは、鉄骨造であっても木造や鉄筋コンクリート造であってもほとんど同じです。ただ、メインの建材である鉄骨を解体する方法などに異なる点が見られます。そういった点なども含めて、ここでは解体の流れを説明します。

事前準備 ●業者の選定:
インターネットなどで複数の解体業者を選択。その際、「解体工事事業登録」(解体工事代金が500万円未満の工事を受注できる)または「建設業許可」(解体工事代金が500万円以上の工事を受注できる)を保有している業者を選ぶ。選定した複数の業者に現地調査を経たうえで相見積りを取る。
●施主様と業者の打ち合わせ:
解体費用や担当者の対応の良し悪しなどから業者を決定したら、解体にかかる日数の目安から工期などを計画し、その確認を行う。
●残置物の撤去:
施主様は着工までに建物内にある物品を撤去し、建物内をほぼ空の状態にしておく。これは費用を抑えるための大切なポイント。
●その間に業者は、日々の点検に加えて、さらに工事に必要な器具類の点検・整備を行う。
●建設リサイクル法の届け出:
80㎡以上の解体工事の場合に行う。
●近隣住民への挨拶:
着工のおよそ1週間前に行う。事前に行っている現地調査時の状況判断から、必要な場合は近隣のお宅の家屋調査を行わせていただく。
足場・養生の設置 ●2階建て以上の建物になると、作業員の安全のために足場を設置。
●養生を行って、埃や粉塵による近隣への影響を少なくする準備をする。
【アスベストに対する作業】
 昭和50年初頭までに建てられた鉄骨造の建物の多くは、現在は使用が全面禁止となっているアスベストが使われている可能性があります。

 鉄骨建物の鉄骨部分の耐火被覆、屋根裏の断熱被覆、防音被覆としてアスベストが吹き付けられていたり、屋根・外壁材にアスベストが使用されていたりすることも。また、ボイラー室や空調機械室の吸音、地下駐車場の柱や梁などで見かけることもあります。もし、アスベストを使用している箇所があるならば、解体工事の始めに専門業者に除去してもらうことが必要です。
内装の解体 ●内装部分は石膏ボードや窓ガラス、サッシなども含めて多くは手作業で行う。
●残置物も手作業で撤去するため、残置物が多いとその分、解体費用に上乗せされ、費用がかさむことに。
●建物内部で整理したり撤去したりできるものはすべて撤去した状態で次の作業に移ることが、作業効率を高めて計画どおりに進めるポイントに。
屋根や外壁材の撤去 ●クレーン車や高所作業車などの重機を利用。
地上解体 ●建物本体を解体する、メインの作業。
●建物を形作っている鉄骨を細かく切断。切り落としが終了して建物の輪郭がなくなったら、鉄骨をクレーン車で撤収する。
【鉄骨造の解体工法】
 鉄骨造の解体工法には、次の2種類があります。
 鉄骨切断カッター工法:ショベルカーの先端に、はさみのような形をしたアタッチメントを取り付け、カッターのように鉄骨を切断していきます。作業効率や安全性が高く、短期間で工事を終えることが可能です。
ガス切断工法:切断したい部分を加熱しながら酸素を吹き付けて、鉄骨を酸化させてからガスで吹き飛ばして解体します。重機を搬入するスペースがない場合に行いますが、振動や騒音が少ないことも大きなメリットです。

【火気取扱を厳重注意!】
 鉄骨造の解体において、重機作業では届かない狭い部分は火気の使用するガス切断工法で解体します。そのため使用時間の周知と厳守を含めた火気の厳重な管理、散水養生、消火器の準備などを整えて、十分に注意をはらって作業に当たっています。

基礎の解体 ●圧搾機や掘削機などを使ってコンクリートを壊しながら基礎を解体。
●地中に井戸や浄化槽などが見つかることがある。そのときは撤去するが、追加工事の扱いとなりその分の費用が最初の金額に加算されるので、施主様はその可能性を含めた予算確保が必要。
後片付けと整地 ●工事終了後は周辺に散乱したゴミや廃棄物を片付ける。
●ローラーなどを使用して、地面を平らな状態にする。
完  工 ●施主様は建物滅失登記書類の受け取り、マニフェストの確認、支払い。

 

鉄骨造建物の解体にかかる日数の目安

 延床面積50坪を基準にして想定すると、およそ10日前後で建物本体の解体を終えることが多いです。鉄筋コンクリート造の場合はそれより多く15日前後となります。
 この日数は、あくまでも着工から完了までの工事日数の目安です。残置物が多くその処理に時間がかかる、地中埋設物が発見されてそれを除去する、ガレージやフェンスなど敷地内の付帯工事がある、といった場合はその量に応じて工事日数がさらに加わります。
 また悪天候が続いたり、近隣とのトラブルが発生したりということも工期が延長する原因になりえます。

鉄骨造建物や鉄筋コンクリート等の解体費用

 施主様にとって解体費用がどのくらいかかるかは、最も気になる点でしょう。まして鉄骨造の建物となれば、一般的な木造よりも高くなるというイメージは容易につきます。計画を具体的に立てるためにも、解体費用がどのくらいかかるか、その相場を知っておくことは大切です。

解体費用の目安

 建物の解体費用は、坪単価と呼ばれるもので、その建物の面積に応じた大まかな費用を計算できます。それが解体費用の目安となります。表2に、構造ごとの坪単価をまとめました。

表2 建物の構造別の坪単価の目安

建物の構造 坪単価
木   造 30,000円/坪~
軽量鉄骨造 40,000円/坪~
重量鉄骨造 50,000円/坪~
鉄筋コンクリート造 60,000円/坪~

 この表にある金額はあくまでも建物本体の解体にかかる費用の目安です。建物の所在地や立地条件、その他のケースによって変わります。

解体費用が高くなるケース

 前述の費用は説明したように、あくまでも建物本体の解体費用の目安です。このほかに付帯工事が発生した場合や諸経費がかかります。ここでは、その内容としてどのようなものがあるかを説明します。

さらなる騒音対策が必要なケース

 隣家との距離が近い、閑静な住宅街での工事など解体現場の環境に応じて、とくに念入りに対策を講じることが求められる場合があります。その場合は次のような対策を進めます。
①養生シートの枚数を増やして設置
②防音シートの枚数を増やして設置
③低騒音型の重機を使用
④より騒音や振動を抑えるための努力をして作業を進める
⑤早朝や夕方、土日祭日の作業を避ける

隣接する建物が近いケース

 隣家との距離が近い場合は、単に騒音だけでなく隣地に粉塵が飛び散ったり工事の振動で建物にひびが入ったりすることが起こりえます。そのため、上記の対策に加えて、次の対策が必要になります。
①工事着工前に近隣の建物の調査と撮影を行う
②重機での作業はできるだけ控えて、手作業で行う部分を多くする

現場の前面道路の道幅が狭いケース

現場に入る道幅が狭い場合、大型重機が入れないことがあります。
①小型の重機を使うか、手作業で作業する。これによって工期が大幅に延長し、人件費も増大。
②前面道路に歩道がある場合は、工事車両を搬入のために歩道切り下げ工事が必要になる場合もあり。工事が終了したら歩道は元に戻すため、切り下げ工事と復旧工事の費用が発生。

現場の敷地が狭いケース

①より小型の重機や手作業で作業を進める。
②工事関係車両の駐車スペースがない場合、別の場所に駐車場を借りる必要があり、別途駐車料金の支払いが生じる。

外構も解体するケース

 建物以外に解体・撤去が必要なケースがあります。例えば、カーポート、ブロック塀、敷地内に樹木があればその伐採費用と抜根費用が必要になります。

残置物があるケース

 建物内に家具などを残して解体業者に処分を依頼することも可能です。しかし、それらは産業廃棄物とは別の方法で廃棄するため、費用がかかります。

地中埋設物が発見されたケース

 地中埋設物とは昔使っていた浄化槽や井戸、現在解体中の建物の前にあった建物の基礎、昔に解体された建物の瓦礫などです。これらが見つかった場合は、もちろん撤去しますが、追加工事として費用が発生します。しかし、地中埋設物は解体工事を進めるなかで発見されるため、最初の見積もりには含まれていません。小規模なものであれば数万円程度、大規模なものになると数十万円の費用がかかるため、施主様としてはこの点も踏まえて費用を予定しておくことが必要です。

アスベスト除去工事が必要なケース

 規制された1975年以前の建物ではアスベストが使われている可能性が高くあります。そのため、現地調査の段階でしっかり調べて、アスベスト除去の対策を講じることが必要です。しかし、それには大変な手間がかかるため、解体工事費用も高くなってしまいます。

解体費用を安く抑える方法

 前項で解体費用を高くするケースについて説明しましたが、いずれもそれぞれのケースが発生したら、何らかの対策を取らなければ先に進めないケースといえるでしょう。そうであるならば、できるだけ費用を安く抑える対策を取りたいものです。そこで鉄骨造の解体費用を安くする4つのポイントについて説明します。

業者選定の際に相見積りを取る

 解体費用の相場はあるものの、どの業者も同じ金額になるわけではありません。業者によって拠点から現場までの距離や、廃棄する場所までの距離などの違い、利益率の考え方などによって提示する解体費用は異なってきます。そのため、複数の解体業者に相見積りを取ってみることをお勧めします。

補助金を利用する

 各自治体では、建物の解体やアスベストの除去に対して補助金制度を設けているところがあります。老朽化が進んだ建物やアスベストなどは人々の健康と安全な生活にマイナスの影響を与えるという考えからです。しかし、その内容や申請条件などは各自治体によって異なりますので、直接、対象となる建物が所在する自治体に問い合わせてみてください。

残置物は自分で処分しておく

 残置物を工事着工までに自分で処分しておくことは、解体費用を増加させないための大切なポイントです。とはいえ、どうしても自分たちで処分しきれないものもあるかもしれません。その際は、まず解体業者に相談してみるのもいいでしょう。

登記は自分で行う

 建物解体後は、「建物滅失登記」の手続きが必要です。これは通常、土地家屋調査士に依頼することが多いようですが、ご自身でもできます。法務局に出向いて、法務局職員に相談しながら進めることで、土地家屋調査士に支払う手数料(4万円前後~)を節約できます。

 解体費用については、以前のコラムにも詳しく書いております。是非ご参考になさってください。

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まとめ

 鉄骨造だからといって解体作業が他の建物と大きく変わる点はさほどありません。しかし、「鉄骨」という、より硬く頑丈なイメージから、費用が極端にかさむかもしれないことや、騒音や振動による周囲のお宅へかけるかもしれない迷惑などを心配する施主様も多くいらっしゃいます。しかし、そういったことに関しては、ここで説明させていただいたように私たち業者も細心の配慮を行いながら工事を進めますので、ご安心いただければ幸いです。それでも、施主様のお立場になるといろいろな心配や疑問が生じることと思います。私たちはその一つひとつを真摯に伺いながら、施主様やご近所の皆様への対応を進めていきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
 詳しくはマトイ無料お見積りフォームもしくはお電話でお気軽にご連絡ください。

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。