解体工事の届出が不要? そういったケースもあるの?
かいたいコラム 解体工事には、さまざまな手続きや届け出が必要になります。
それらは基本的に施主様が行うものがほとんどですが、施主様からの委託によって解体業者が行う場合があります。もちろん私たち解体業者は責任をもって対応いたします。ただ、業者のなかには手数料だけ取って、届け出や届け出内容に即した作業を行わない業者もいます。
施主様は解体工事の最終責任者として、不誠実な業者を見抜くためにも解体工事に必要な届け出についても知っておいていただきたいと思います。
知っておきたい解体工事で必要な届け出
解体工事では、着工前から完工後に渡っていくつかの届け出等が必要になります。まず、どのような届け出があるのかを挙げると、次の通りになります。
この1つ1つに関して、概要やポイント等を説明していきます。
*建設リサイクル法による届出
*アスベストに関する届出
・事前調査および調査結果報告
・工事計画届
・建築物解体等作業届出
・特定粉塵排出等作業実施届出
*建築物除去届
*建物滅失登記申請
*道路の使用許可届
*各種ライフラインの停止申請
*解体工事終了後に水道停止手続き
まず上記の届け出の全体像を把握しておくと便利です。それによって、解体工事全体の流れも把握できるからです。届け出の名前もなんとなく<こんな届け出>といった程度に分かっておくだけでも、業者に質問しやすくなります。
まずは業者にどんどん質問をすることで、施主様として必要なことが見えてきます。どうぞお気軽に相談してください。
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建設リサイクル法による解体工事届出
解体工事を始めるにあたって、何よりも先に行うべき届出です。
建設リサイクル法は、2000(平成12)年に制定され、2002(平成14)年に実施された法律です。解体工事を含めた建設工事ではさまざまな廃棄物が排出されます。それら廃棄物の再資源化を促し、正しく処分することを目的としています。
この届け出が必要になるのは、次の2つの条件を満たす工事の場合です。
(1)特定建設資材である次の資材が使われている構造物。
① コンクリート
② コンクリートと鉄からなる建設資材
③ 木材
④ アスファルト・コンクリート
(2)次の規模以上の工事。
① 建築物の解体工事:床面積の合計が80㎡以上
② 建築物の新築・増築工事:床面積の合計が500㎡以上
③ 建築物の修繕・模様替え等の工事(リフォーム):請負代金の額が1億円以上
④ 建築物以外の工作物の工事(土木工事等):請負代金の額が500万円以上
この2つの条件を満たす場合に届け出が必要です。
なお、届け出に際しては次の書類が必要になります。
① 届出書
② 分別解体等の計画等
③ 現場の案内図(近辺の見取り図)
④ 写真または設計図
⑤ 工程表
届け出る人
施主様
届け出の期日
工事着工の7日前までに都道府県知事へ届け出
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
解体工事の場合、床面積の合計が80㎡未満の解体工事では届け出の必要はありません。しかし、床面積80㎡以上の建物の解体工事では届け出が必要です。床面積80㎡以上の建物の解体工事で届け出を行わなかった場合、罰則が課せられることがあります。それぞれの自治体によってその内容は異なりますが、東京都では20万円の罰金が徴収されます。
※自治体によって80㎡未満でも届け出が必要な場合がございます。詳しくは解体を行う自治体にご確認ください。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
解体業者に委託可能。その場合、前述の必要書類のほかに委任状が必要になります。業者によっては手数料が発生する場合があるので、事前にその費用について確認しておく必要があります。
建設リサイクル法に基づく届け出は、解体工事を行うときの筆頭に挙がるものです。これは解体工事における環境への配慮の重要性を示しています。
こちらのコラムでは建設リサイクル法のほか、器物処理法や家電リサイクル法とそれらに関する環境に関する情報をまとめています。どうぞこちらもご一読なさってください。
アスベストに関する各種の届け出
建設リサイクル法に関する届け出と同時に、解体工事においてとくに重要な届け出として「アスベスト」に関連する届け出があります。アスベストに関しては、大気汚染防止法によって、アスベストが使用されている建物やその他の工作物を解体するにあたって、工事前と工事後に行うべき届け出があります。
解体工事に際してのアスベストに関する届け出の全体像
解体工事にあたって、アスベストに関連する届け出の全体像は次の通りです。
★事前調査の実施★
⇩
事前調査の結果を報告
⇩
工事計画届
特定粉塵排出作業実施届出
⇩
★アスベスト除去作業着手★
⇩
★アスベスト除去作業終了★
事前調査結果報告
2022(令和4)年から解体工事に着手する前段階でアスベストを含有している建材等を使用しているか否かの調査事前調査を行い、その結果を報告することが義務付けられました。調査によってアスベストを使用していないという結果が出ても、報告は必要です。
アスベストの事前調査の結果報告は、「石綿事前調査結果報告システム」を使って24時間オンラインで、1回の操作で労働基準監督署と地方公共団体の両方に報告できます。
事前調査及び結果報告が必要となるのは、次の場合です。
*解体する建物の床面積の合計が80㎡以上
*建築物の改修工事、工作物、工作物の解体・改造・補修は、請負金額合計が100万円以上
なお、調査結果は、工事現場の見やすい箇所に掲示し、3年間保存することも義務付けられています。
届け出る人
アスベスト事前調査の実施業者
届け出の期日
工事開始の14日前まで
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
基本的に事前調査とその結果報告は義務として行います。しかし、次のようなものは事前調査を行う必要はないとされています。
*木材、金属、石、ガラスだけで造られ、明らかにアスベストが含まれていないもの。
*その建物に対して行おうとしていることが、きわめて軽い損傷しか与えないもの。
*塗装や塗料の追加だけを行うケース。
*すでに事前調査、もしくはそれに相当する検査が行われている。
*解体する建物が2008(平成20)年2月5日以降に建てられたものであることが、書面で確認できる。
しかし、上記の要件を満たしている場合でも書面だけで判断するのではなく、現場を確認することが大切です。
もし調査結果の報告ができなかった場合は、30万円以下の罰金が科せられることがあります。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
アスベストの結果報告については事前調査を行う業者が行い、結果報告だけを第三者に委託することはできません。
なお事前調査は2023(令和5)年10月から有資格者が行うことになりました。
マトイでは資格を取得した社員が事前調査および結果報告を責任もって行っていますが、もし解体工事を依頼した業者に有資格者がいない場合は、外注して事前調査と結果報告を委託することになります。
アスベストの事前調査および結果報告は解体工事を行ううえで重要なものです。事前調査については、こちらのコラムで詳しく説明していますので、どうぞお読みください。
工事計画届
工事計画届は建築物・工作物などに含まれるアスベストの除去や飛散防止のための作業を行う際、事前にその計画内容を所轄の労働基準監督署に届け出ます。アスベストのレベル1およびレベル2で必要です。
届け出る人
解体業者
届け出の期日
工事開始の14日前まで
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
この届け出はアスベスト使用レベル1およびレベル2で必要になります。最も使用レベルの低いレベル3では必要はありません。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
これは解体を実施する業者が届け出るため、委託はありません。
特定粉塵排出等作業実施届出
アスベスト事前調査の結果、アスベストを使用している場合に解体や改造・補修等を行う際に必要になる届け出です。なお、次の要件のどれかに該当する場合は、「石綿飛散防止方法等計画届出書」の提出も必要です。
*使用されている石綿含有吹き付け材の面積が15㎡以上
*建築物の延べ床面積(建築物以外の工作物の場合には築造面積)が500㎡以上
届け出る人
施主様
届け出の期日
工事開始の14日前まで
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
届け出はアスベストレベル1とレベル2の解体工事で必要になります。アスベストの使用レベルがもっとも低いレベル3の場合、この届け出は不要です。
なお、この届け出を何らかの理由で出さなかった、もしくは虚偽の届け出をした場合、内容によって3か月以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは10万円以下の過料に処せられます。
アスベストおよびアスベスト含有建材を使用した建物の解体工事では、上記の届け出のほかに自治体ごとに必要になってくる届け出等があり、かなり複雑です。そのため、施主様が行うべき届け出については、私たち業者にご相談ください。そのうえで、必要に応じて委託していただくことも可能です。
また、届け出に際してはさまざまな書類の添付も必要になります。そのなかには施主様からご提供いただくものも数多くあります。解体工事におけるアスベスト対応は施主様と業者の協力が欠かせません。
なお、解体工事に際してのアスベスト対策は、使用しているアスベストのレベルによって異なってきます。こちらのコラムでは、その基本となるレベル等について詳しく説明していますので、どうぞご覧ください。
建物除却届
10㎡を超える建築物を解体撤去する場合に都道府県知事あてに提出する届け出です。これは1年間にどのくらいの建築物が建てられたか、除却されたか、災害などによって消失したか、といった統計を取るためのもので、国土交通省が管理しています。
届け出る人
解体業者
届け出の期日
解体工事を行う前日まで
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
届け出を行わずに解体工事を開始することはできません。届け出を行わずに工事を始めた場合は50万円以下の罰金、虚偽の届け出を行った場合の罰則規定も設けられています。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
解体業者が行うもので、委託はありません。
解体工事では今回、説明をしているように事前からさまざまな届け出が必要です。建物除却届などを含めて、解体工事の事前準備についてこちらのコラムで説明しています。どうぞ、ご一読なさってください。
建物滅失登記申請
建物が解体撤去や災害などで無くなったことを登記簿に登記するための申請です。
届け出る人
施主様
届け出の期日
解体工事完了後から1か月以内
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
建物滅失登記を行わないでいると、その土地を売却しよう、もしくはそこに何らかの建物を建築しようとする場合に許可がおりないなどの不都合が生じます。
また、登記をしないでいると、10万円以下の罰則が科せられることがあります。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
委任可能で、その場合は土地家屋調査士に委任します。
建物滅失登記は、私たちの戸籍と同じように建物の戸籍というべきものです。除却した時にも、しっかりそのことを記すことが大切です。こちらのコラムで建物滅失登記について細かく説明していますので、どうぞご覧ください。
道路の使用許可届
解体工事では、工事車両が現場に面した道路に停車して作業を行うことがあります。その場合、所轄の警察署に申請が必要になるのが「道路の使用許可」です。
また、足場の設置など作業の関係で、工事車両が継続して道路を占有するような場合には、「道路占有許可」が必要になります。
なお、申請には手数料が必要になります。これは申請時に現金で支払う場合と、印紙を購入して申請書に貼付する場合があります。これは申請する警察署によって異なります。
届け出る人
解体業者
届け出の期日
工事着工前までに
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
ほとんどの解体工事において、現場の周辺道路に工事車両を停車しないということはないと思われます。もし道路使用許可の申請をしないまま道路上で作業を行った場合、3か月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金に処せられます。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
この届け出は、施主様が行うことも可能です。しかし、解体業者はこの手続きにも慣れているので、任せた方が施主様の負担が少なくていいかもしれません。
こちらのコラムでは、解体工事に際して必要な届け出等を着工に向けた経過を追って説明しています。道路使用許可についても説明していますので、併せて参考になさってください。
各種ライフラインの停止申請
停止申請が必要なライフラインとは、具体的には次のものになります。
電気・固定電話・インターネット・ケーブルテレビ・ガス・浄化槽・水道です。
この中で注意が必要なのは、水道です。それ以外のものは工事着工前までに停止申請をしますが、水道は解体工事中も使用するので解体工事が終了した時点で停止します。ただし、建て替えなどで、その後すぐに別の工事に入るような場合には、引き続いて水道を使用する可能性もあります。ですので、業者との打ち合わせが大切です。
※ライフラインの撤去は有料工事になる場合もございます。詳しくはお問い合せください。
届け出る人
施主様
届け出の期日
停止の届け出は、少なくとも7日間前までには済ませておくようにします。
なぜならば、停止申請の連絡を入れてすぐに停止できるとは限らないからです。例えば、ガスメーターを取り外したり、プロパンガスではガスボンベを回収したり、浄化槽の汲み取りを行ったり、とそれぞれの停止にあたって、それを取り扱う業者が行うべきことがあります。その人たちの都合で、停止依頼を受けてもすぐに対応できないことがあって、ある程度日程の余裕をもって停止依頼をする必要があります。
届け出は必要or不要、届けないとどうなる?
ライフラインの撤去申請について、それを忘れてしまったからといって、何らかの罰則等が発生することはありません。
ただし、それによって工事に危険が生じることから着工が遅れることがあり、全体の進行に支障をきたしかねません。
解体業者や専門家など第三者に委託できる?
ライフラインの停止依頼については、施主様が行うことが基本です。しかし、施主様の都合などによってそれが難しいような場合は、業者に相談してください。業者が代行して行うことも可能です。
スムーズに手続きを進めるためのポイント
とくに各種届け出や申請等は、その根拠となる条例や申請要件が折々に変更されます。また、同じ届け出であっても自治体によって申請方法の細かい点が違うことがあります。そのため、次の点を心がけましょう。
*具体的に解体工事を行うことを決めた段階で、施主様として行うべきことや必要な届け出を確認し、把握しておきましょう。
*わかりにくいときは、解体業者や行政の担当窓口に相談しましょう。丁寧に、細かく教えてくれます。
マトイではご依頼いただいた施主様のご負担ができるだけ少なくなるようにお手伝いを心がけています。例えば、建設リサイクル法による解体工事届け出はもちろん、ライフライン停止の連絡などもご希望があれば、施主様に代わって行わせていただきます。
まとめ
今回取り上げた解体工事における届け出や申請は、同じ届け出であっても自治体ごとに申請方法や必要書類が異なることがあり、情報を得るのも複雑でわかりにくいことがあります。人生において何度も経験することではない解体工事を行うのですから、施主様にとって「わかりにくい」のは当然です。
そんなときは、どうぞお気軽にマトイに声をかけてください。私たちは施主様のご負担をできるだけ軽くできるよう、そして解体工事が円滑に進められるように努めています。
“よく働くマトイ”として、私たちは常に丁寧に施主様のご相談にのり、可能なことは代行させていただいています。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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