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解体前の事前調査は必ず必要? 気になるアスベストのこと

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 解体工事に取り組むにあたって着工前に行うべきことの1つが、今回取り上げるアスベストの事前調査です。
 「アスベスト」もしくは「石綿」というワードを耳にした方はいらっしゃるでしょう。これは建設業界をはじめさまざまな分野で使用されてきた素材です。が、それによる健康被害が明らかになって、現在は使用されていません。
 しかし、アスベストを使用した建物や部品等はまだ多く存在し、その被害を未然に防いで安全に解体撤去を行うために、事前調査が必要になります。

知っておくべき、アスベストのこと

 2004(平成16)年にアスベストを含有する製品の製造は中止され、なかにはアスベストを知らない人も出てきています。
 まずはアスベストがどのようなものであるかについて説明します。

アスベストってなに?

 アスベストとは、鉱物の一種です。とても細かい繊維状の鉱物で、石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれています。加工しやすい性状であること、そして断熱性、保温性、耐火性などに優れていることから建築材料はもちろん、ブレーキパッドや防音材、断熱性などが高いために工業用品全般に広く活用されるほか、ビルの梁などに吹き付けるなどしていました。
 ところが、アスベストの細かい繊維を人々が呼吸とともに吸い込んでしまうと、さまざまな健康被害を引き起こすことがわかってきました。そのため、現在ではその使用は全面禁止となっています。

アスベストが私たちにもたらす影響

 アスベストの非常に細い繊維は空中に飛散しやすく、作業に当たっている人たちが呼吸によって空気とともに浮遊しているアスベストを吸い込む可能性が高くあります。
 呼吸によって肺などに入り込んだアスベストの繊維は、体内に入ってからも組織に吸収されることはありません。長い年月をかけて肺の組織に沈着して病気を引き起こします。吸い込んだアスベストが原因とされる疾患に次のようなものがあります。

① 石綿(アスベスト)肺
 肺が繊維化して硬くなる病気の1つで、肺線維症(じん肺)という病気の1つです。10年以上の期間、アスベストが浮遊している環境で働いてきた人に起こるといわれます。潜伏期間は15~20年とされています。

② 肺がん
 アスベストによって肺がんになる経緯は解明されていませんが、肺の細胞に取り込まれたアスベストの繊維が刺激となって肺がんが発生すると考えられています。喫煙とも関係があるとされています。潜伏期間は15~40年です。

③ 悪性中皮腫
肺の周りにある胸膜、肝臓や胃などを囲む腹膜、心臓および大血管の起始部に多く心膜等にできる悪性腫瘍です。潜伏期間は20~50年とされていて、若い時期にアスベストを吸い込んだ人のほうが悪性中皮腫になりやすいといわれています。

建物所有者のアスベストに関連する三大義務

 アスベストを使用した建材や吹き付けなどを行っている建物、アスベストを使用しているその他の製品等がまだ使われている現在、建物の所有者には次の義務が課せられています。

① アスベスト対策の義務
 所有する建物について、その1つの建物を2つ以上の事業者に貸している場合、共有部分のアスベスト対策を行うことは所有者の義務となります。
また、不動産取引時、日常の維持管理時、解体・改修時には、次のように法律に基づいての義務があります。

【不動産取引時】
 アスベスト調査が必要。
 不動産鑑定評価(不動産鑑定評価基準)、投資用不動産の取引や企業買収等での資産評価、住宅性能表示(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の際にアスベストの有無を明示する必要があります。
 また、アスベスト調査の結果を、建物売買等の際には重要事項として説明する必要があります。

【日常の維持管理時】
 吹き付けアスベスト等が損傷・劣化などした場合は、除去・封じ込め・囲い込み等の飛散防止対策を行います。
 なお、特殊建築物(多くの人たちが利用する施設)などに対しては、定期調査によって吹き付けアスベスト等の使用状況や劣化・破損などの状態を調査することが建築基準法によって義務付けられています。
 もし建築物の利用者がアスベストばく露によって健康障害を生じた場合、民法717条によって損害賠償請求が可能であり、その際はアスベストの存在を確認する必要があります。 
 こういった取り組みに対しては、建物が所在する自治体によって調査・除去に対する助成制度を設けているので相談してください。

【解体・改修時】
 解体・改修時には、大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づいてアスベストの使用の有無に関する事前調査や、建設リサイクル法ではコンクリートやアスファルト・コンクリート等に付着したアスベストを事前に調査することが義務付けられています。

「封じ込め」や「囲い込み」はアスベストを飛散させないための方法です。これらについて、こちらのコラムで詳しく説明していますので、ご覧ください。

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アスベストの封じ込め工法、囲い込み工法の違いとは?

② アスベスト工事の届け出の義務
 アスベストを使用している建物や工場などを解体・改造・補修する場合、工事の発注者もしくは自主施工者は、その建物が所在する自治体の窓口に届け出る必要があります。
 この届出は、作業開始の14日前までに行います。
 なお、個人宅で業者に解体やリフォーム等を依頼する場合は、この届出を業者に依頼することが可能です。
 なお、ご自分が所有する家屋等にアスベストが使用されているかどうか不安な場合は、次のところに相談してみましょう。
*自治体の担当部署
*建築設計事務所
*設備業者
*工務店
*解体業者
*調査会社、等

 もちろん、マトイでもそういった相談にいつでも対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。
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③ アスベスト事前調査とその結果報告の義務
 2022(令和4)年4月から、一定以上の建物などの解体・改修工事を行う際は、アスベストの事前調査を行い、その結果を事業者が自治体に報告するようになりました。この報告は「石綿事前調査結果報告システム」によって24時間、オンラインで労働基準監督署と自治体の両者に報告できます。
 なお、この結果報告に関する建物所有者の義務はありませんが、建物の所有者としてその建物を管理していくうえで必要なこととして認識しておくことが大切です。

アスベスト使用禁止の現在でも注意すべきこと

 現在は、新たにアスベストを原料とした製品が作成されたり、アスベストの吹き付けやアスベストを含有した建材を用いたりすることはありません。
 しかし、アスベストを使用した建材や部品などが使われている建物等は存在しています。そのため、前述で説明しているように、事前調査を行うことが必要です。また、使用されていることが明らかな場合、その部分が劣化などしてそこからアスベストを含んだ粉塵等が飛散するような状態になっていないか、定期的に調べる必要があります。
 いずれにしても事前調査はとても重要です。その結果を踏まえて、適切な管理と対策をとっていきます。

 こちらのコラムでアスベストがどのようなものであるか、アスベスト対策に関連した法律の変遷や解体などについて詳しく説明しています。どうぞ参考になさってください。

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家の解体を考えるとき、知っておきたいアスベストのこと

アスベストの事前調査とは?

 アスベストの事前調査が具体的にどのようなことを、どのような流れで進めていくかなどについて説明します。

事前調査の目的と概要

 アスベストの事前調査は、建物や工作物などの解体工事や改修工事に際して、アスベストやアスベストを含有した建材等の使用の有無を調べるものです。
 これは大気汚染防止法や石綿障害予防規則で定められている義務です。これは2020(令和2)年に法定化されましたが、その後も改正されてその内容が厳密になってきています。
*2020(令和2)年4月   事前調査法定化
*2022(令和4)年4月   一定の規模以上の工事では、事前調査結果の報告が義務化
*2023(令和5)年10月以降  事前調査は有資格者によることが必須

事前調査の進め方

 事前調査は書面による一次調査、そして調査員による現場を目視して行う二次調査を行います。そして、これらの調査でもアスベストの有無が特定できない場合は、分析調査を行うか、アスベストが含有されている「石綿ありみなし」とします。
 これらの事前調査の基本的な流れは、以下の通りです。

一次調査(書面調査)

 一次調査では、その建物に関する情報を各種の書類から理解・把握し、二次調査の効率を高め、アスベスト含有建材をしっかり把握し、調査の精度を高めます。
 一次調査は、次のように進めていきます。

① 建物の図面類や発注者や施設管理者などの関係者から建物に関する情報を取得。
*調査に提供するおもな書類
 設計図書・竣工図書等、過去のアスベスト含有建材の調査記録、過去にアスベスト含有建材の処理の有無、過去のアスベスト建材の調査記録や処理、吹き付け材などの劣化状況の調査情報
*関係者からのヒアリング
 建物等の用途、事前調査の範囲、調査に当たって壁や建材の取り外しや破壊、その後の復旧の程度など事前調査の実務上の確認、調査の日時・報告書提出期限など。

② 得られた情報からアスベスト含有の有無を判定。
*建築物の概要の把握
*個々の建材情報の把握
*過去のアスベスト含有分析の結果
*アスベスト含有の有無の仮判定

③ 以上の調査結果を、次の二次調査が効率的・効果的に行うための準備に繋げる。

二次調査(目視調査)

 必ずしも書類にアスベスト含有建材の使用状況が記録されているとは限らず、また建物の現状の通りに記されているわけではありません。そのため実際のアスベストの使用状況を把握するために、現地での目視調査を二次調査として行います。
 この調査は次の点をポイントとして進めていきます。
*外観観察➡屋上・外構の確認➡内部レイアウト確認➡各部屋の調査➡一次調査内容との確認、といった流れで調査を進める。
*増築や改修、改造やボードの張替えがないかを確認。
*調査日、判断理由(証拠)、判断者などを報告書に記載。
*アスベスト使用が不明で、かつアスベスト使用が「無い」ことを証明できない場合は、試料採取してサンプル検査をするか、アスベストの使用を「みなし」として進める。

【二次調査におけるサンプル検査】
 アスベストの使用の有無を確認するために、試料を採取して分析調査を行います。
 これには1サンプルについて4万円前後の費用がかかり、サンプル数が多くなればその分費用が必要になります。

事前調査結果の報告の義務化

 繰り返しになりますが、建物などの解体・改修工事を行う場合、その作業に当たる業者はアスベスト使用の有無に関する事前調査結果を、自治体と労働基準監督署に報告することが義務付けられています。
 これは2022(令和4)年4月から始まった制度で、「石綿事前調査結果報告システム」が整備され、パソコンやタブレット等から24時間オンラインで、1回の操作で自治体と労働基準監督署に報告できます。

業者を選ぶ際の留意点

 解体業者を選択する際は、今回取り上げているアスベストの事前調査等にもしっかり対応してくれる業者を選ぶ必要があります。
 とくに2023(令和5)年10月以降、事前調査は次の資格を有した者による実施が必須条件となっています。
 *特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
 *建築物石綿含有建材調査者(調査者)
 *一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
 *2023(令和5)年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者。
 なお、業者を選ぶ際は、次のアスベスト対応をしっかり行うことの確認と施主様としての配慮を行ってください。
① 見積りにアスベストの事前調査費用が計上されているかを確認。
② その業者に調査を行う有資格者がいるか否かを確認。
③ 現地調査・仮見積りの段階で、アスベスト事前調査および調査結果報告書の提出を確認・依頼。
④ 解体・改修工事後、アスベスト飛散防止措置が適切に取られたことを示す作業の実施状況の記録の提出を求める。
⑤ アスベストの事前調査や作業の実施状況の記録が適切に行われるよう、業者に対して写真撮影を許可するよう配慮。
⑥ 事前調査は同じ箇所については、最初の1回のみで、2回目以降は事前調査結果報告書で調査に変えることができる。

 こちらのコラムでは、「アスベスト調査」として事前調査について取り上げて説明しています。さらに家屋の所有者として施主様が行うべきこと、そして業者が行うべきことなどについても記していますので、どうぞ参考になさってください。

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木造一戸建てはアスベストを使用している? 使用箇所や調査を解説

事前調査の費用について

 事前調査の費用は所有者の負担になります。具体的な費用は、建物の大きさや業者によって異なりますが、一次調査および二次調査それぞれ4万円前後を目安にするといいでしょう。加えて、建物の状況によってサンプル検査を行う場合は、その分が加算されます。
 また、アスベスト含有建材を使用している家屋を解体する場合は、事前調査費用・通常の解体費用、そしてアスベストの使用レベルに応じた除去作業の費用などが加わって高くなります。
 こうした施主様の経済的な負担に対して、助成制度を整えている自治体があります。家屋が存在する自治体にそうした制度の有無を調べて積極的に利用してください。

 こちらのコラムでは、東京都練馬区および品川区を例に、アスベストの調査や分析、そして除去などの際の補助制度について説明しています。どうぞ、こちらもご覧ください。

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アスベスト除去に対して補助金はある?

アスベスト事前調査は原則、必要。でも不要な場合も?!

 建物の解体工事に当たっては、原則としてすべての建築物に対してアスベストの事前調査が必要です。しかし、以下に挙げるように例外のケースもあります。

建物を構成している素材に、アスベストが明らかに含まれていない場合

 建築物を作り上げるための素材のなかには、明らかにアスベストが含まれていないものがあります。それは木材、金属、石、ガラスなどです。こういった、素材にアスベストが含まれていないことが明らかなものだけで作られている建造物については、事前調査は不要とされています。
 また、畳や電球などの素材にもアスベストが含まれていません。しかし、これらの周囲にある素材にはアスベストが使われていることが考えられます。なんらかの目的でこれらの除去作業を行う場合は、周囲の素材を傷つけてアスベストを飛散させてしまう可能性があるので、事前調査が必要です。

きわめて軽微な損傷しか与えないケース

 ここでいう「きわめて軽微な損傷」とは釘抜や釘打ちのような作業を指します。これらの作業だけで完了する解体作業や釘打ちだけで完了する改修工事では、作業によるアスベスト飛散のリスクがないため、事前調査は行いません。
 ただし、電動工具で材料に穴を空ける場合は、このケースに該当しません。

塗装や材料の追加のみを行うケース

 建物の改修工事などの場合は、現在行われている塗装の上から重ねて塗装を行うことや、材料を追加するだけで済むケースがあります。この場合は、以前からある材料を損傷することがないためアスベストを飛散させることがありません。そのため、事前調査は不要とされています。
 しかし、既存の塗装部分や外壁などを剥がしたり、アンカーを打ったりするなどの作業を行う場合は、アスベストを飛散させてしまう可能性があるので、事前調査は必要となります。

すでに事前調査、もしくはそれに相当する検査が行われているケース

 なんらかの理由で、それ以前に事前調査に当たる検査を行っている場合、検査日が2008(平成20)年2月5日以降であることが書面で確認できたら、新たに事前調査は必要とはなりません。
 それはこの日にアスベストとされる物資の分析調査範囲が3種類から6種類に拡大されたためです。この日以前に検査が行われていたら、追加されたアスベストについて再度分析調査を行うことが必要となります。

2006(平成18)年9月1日以降に着工された一部の建物

 2006(平成18)年9月1日から、アスベストおよびアスベストをその重量の0.1%を超えて含有するすべてのものの製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されました。そのため、この日以降に着工された建物については、一次調査の書面調査を行って着工日を書面で確認できたら、二次調査(現地調査)は不要です。
 しかし、非鉄金属製造業や鉄鋼業、化学工業等の施設・設備については一部例外とされています。それは建物にアスベストを含有した部品が使われている可能性があるため、2006(平成18)年9月1日以降に建設されたものであっても解体・改修に際しては一次・二次合わせての事前調査が必要です。

まとめ

 家屋の解体に際しては、アスベストに対する知識、法的制度を熟知したしっかりした対応と確実な作業を行う業者を選ぶことが大切です。
 マトイではアスベスト対策についても、すべての営業職が建築物石綿含有建材調査者の資格を有するとともに、現場には専任の石綿作業主任者を配置して正しく安全な作業を進めます。
 解体工事を検討している皆様は、頻繁に行うことではない解体工事にさまざまな不安や疑問を感じることと思います。そこにアスベストの対応が加わったらなおさらでしょう。そんなときはどうぞマトイにご相談ください。
 解体工事の予定が具体的でない段階からマトイをご利用いただき、疑問や不安を解決し、解体工事や建て替え、土地活用等の計画の一歩を踏み出す準備を整えましょう。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
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