解体工事の仮囲い基準ガイド~安全対策と近隣トラブルを防ぐ方法
かいたいコラム
解体工事や建築工事の大きな現場では、その周辺がぐるりと囲われているのを目にすることがあるでしょう。これを「仮囲い」といいます。
仮囲いにはさまざまな目的があり、現場周辺に暮らす住民や現場の近くを通る人たちにも大切なものです。
今回は、この仮囲いについて説明します。
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解体工事で行われる仮囲いとは
「仮囲い」といった言葉は、普段の暮らしではあまり使わないかもしれません。それだけに、もしご自身が施主となって工事関係者との会話のなかで言われても「はて?」となってしまうのでは? まず「仮囲い」とはどのようなものなのか、その意味を説明します。
仮囲いの意味
仮囲いとは、建築工事や解体工事の際にその現場周囲に設置されるガードのことをいいます。
養生の1つであり、他の養生と同じように工事期間中に設置するもので、工事が終了したら撤去します。そこから「仮」の囲い=仮囲いと呼ばれています。
仮囲いの目的
「仮」という言葉が付いていても、とても重要な役割を果たします。その目的には、次のようなものがあります。
○現場周辺を通行する人や近隣住民の安全を確保する。
工事車両の出入りや重機の使用、工事資材や工事進行に伴う不安定な足場などは工事現場につきものです。それらによって現場は常に危険と隣り合わせです。そのため、現場周辺を通行する人や暮らす人たちが事故に巻き込まれないようにします。
○工事の資材や、工事によって発生するほこりやゴミなどの飛散を防止する。
工事で発生するほこりやゴミが現場の外に飛散しないよう、また作業時間外でも現場に置かれた廃材が飛散しないようにします。
○工事によって起こる騒音の影響を可能な限り抑える。
解体工事で騒音や振動、粉じんは避けられないものです。しかし、現場周辺の人たちにとっては迷惑をかけることになります。
そのため養生シートとともに仮囲いを設置することによって、工事で発生するさまざまな騒音を可能な限り抑えるための防音対策とします。
○関係者以外の人の現場侵入を阻止する。
工事現場には建築資材や建築機械、工具などが置かれています。また、処理前の廃材のなかには、鉄や銅線のように換金可能なものもあり、関係者以外の現場侵入を阻止することで盗難や悪意のあるいたずら等を阻止します。
以上の目的のほか、仮囲いの壁面を利用して、工事に対する理解やイメージアップを図るために活用しています。例えば、近隣の小学生の絵画や工事の進行予定を掲示したり、デジタル騒音計を取り付けて騒音の状況や騒音対策のアピールをしたりしています。
仮囲いの種類
仮囲いは、使用する素材によって種類が分かれます。その主なものは、次に挙げる「フラットパネル」、「安全鋼板」、「ポリガード」の3つです。
【フラットパネル】
名称が示すように、表面が平らなパネルです。
これは設置が比較的容易であり、表面が平らであることから企業のロゴや広告物や協力のお願いなどのメッセージを掲示しやすいといった特徴があります。そのため、一般的によく使用されています。
しかし現場となる場所の地形が平坦でないと設置が難しい点があります。また、平面構造であるために、強風に弱い点がデメリットとなります。
【安全鋼板】
「安全鋼板」とは「仮囲い鋼板」とも呼ばれる鋼鉄製の平板です。
これによって造られる仮囲いは、主に建設現場や工事現場で使用されています。
強度や耐久性が高い特徴がある一方、重量があって取り扱いがとても難しいといったデメリットがあります。しかし、防音防塵や盗難防止対策としてのメリットもあることから、多くの建設現場で使用されています。
【ポリガード】
これはポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック素材のパネルです。
特徴は軽量かつ強度があって取り扱いがしやすいという点にあります。
主に資材保管場所の囲いや仮設的な区分けなどの場面で使用されます。しかし、金属製の仮囲いと異なって強度が低く、防音・防塵効果も限られることから、大規模な建設工事には不向きとされています。
仮囲いは養生の1つです。こちらのコラムでは、仮囲いを含めた養生の種類や役割などを説明しています。参考になさってください。
仮囲いの設置基準と罰則
解体現場でも建設現場でも、仮囲いの目的は同じですが、それぞれに優先される目的が異なり、それによって設置基準が異なります。
建設工事では現場の安全確保や周囲への影響を防ぐことが、解体工事では粉塵や騒音の防止、落下物による事故防止が優先的な目的になります。
ここでは、事故防止が優先として解体工事現場の、仮囲い設置基準についてお伝えします。
建築基準法による設置基準
解体現場の仮囲いの設置は、建築基準法によって次の場合に設置するように決められています。
○高さが13mを超える木造の建物。
○軒の高さが9mを超える建物。
○木造以外の2階以上の建物。
○以上の3条件に該当する建物の解体工事では、高さ1.8m以上の仮囲いを設置。
木造2階建てであっても省エネ設計住宅では、断熱材や空調用のダクトによって厚みが増加し、高さが13mを超えるケースがあります。その場合、仮囲いが必要になることもあります。
仮囲いの高さは「1.8m以上」とありますが、解体業者の多くは余裕をもって「2~4m」の仮囲いを使用しています。
なお次の条件がある場合、仮囲いが不要になります。
・すでに現場周辺に十分な高さと強度を持った囲いがある。
・現場周囲の人通りが少なく、近隣への影響がほとんどない。
・解体する建物が設置基準未満の小さい建物。
・工事が慎重に行われ、粉塵や騒音の影響が少ない場合。
仮囲い設置に伴う法的な配慮点
仮囲い設置では、「道路占用許可」と「建築基準法」の2点に注意する必要があります。
【道路占有許可】
仮囲いが歩道や車道にはみ出す場合、道路占用許可の取得が必要になります。これは道路法に基づくもので、自治体の管理下にある道路を使用する際に許可申請の届け出を行います。
道路管理者である自治体に、占用理由・設置期間・占用面積の詳細を記載した申請書を提出することが必要です。
もし無許可で歩道や車道にはみ出すような仮囲いを設置した場合は、違法行為となって行政指導が入ったり罰則が科されたりすることがあります。
【建築基準法】
すでに説明しているように、仮囲いの設置は建築基準法に基づくものです。設置が必要なケースであるのに、その設置基準を満たさないものは違法となります。
仮囲いや養生と同じように、安全な工事をするために欠かせないものとして足場があります。また、その設置に必要な届け出は道路占用許可等のように共通するものがありますので、こちらのコラムも参考になさってください。
基準を守らない場合の罰則
仮囲いの設置基準を守らずに工事を進めた場合、建築基準法に基づき罰則が科される可能性があります。その内容は次の通りです。
○仮囲いの基準を守らずに工事を実施した場合……100万円以下の罰金。
○虚偽の報告や届け出をした場合……30万円以下の罰金。
なお仮囲いを適切に設置しなかったことによって何らかの事故が発生した場合、上記罰金のほかに責任追及や損害賠償が求められる可能性があります。
自治体による仮囲いに関連する設置基準
仮囲いの設置については、建築基準法のほかに各自治体によって道路占用許可などと併せて設置基準が細かく指定されている場合があります。
そのため業者は工事現場となる自治体の設置基準を確認し、それに沿った仮囲いの設置および細かい注意事項を踏まえながら仮囲いの設置と道路占用許可の手続きを行います。
その一例として東京都練馬区における『練馬区 道路占用許可申請のしおり(足場・朝顔編)』の一部を以下に紹介します。
解体工事に必要ないろいろな届け出、施主様の経済的負担を軽減するための補助金・助成金等の申請など、自治体ごとにその内容は異なり、わかりにくい点があります。
そのため解体に向けての取り組みに二の足を踏んでいらっしゃる方も少なくないと思います。
マトイでは、これらのご相談にも対応していますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
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仮囲いを設置するメリットとデメリット
仮囲いは安全な工事のためには必要なものですが、メリットもデメリットもあります。この点をしっかり理解し、法的な基準を守って正しく設置することが重要です。
メリット
仮囲いを行うことのメリットには、次のようなものが挙げられます。
○安全に作業ができる。
工事現場、とくに解体工事では解体中に生じる木片やコンクリート片などの飛散物があったり、作業員が工具類を落としてしまったりすることがあります。それらが、現場近くを通行している人などに当たってしまうと大変です。
仮囲いを行うことで、こうした事故やトラブルを防いで安全に工事を進められます。
○関係者以外の立ち入りを防ぐ。
仮囲いを設置していない現場では、通行人など工事関係者以外の人が誤って入ってくる可能性があります。 その場合、重機などの工事車両と接触事故が発生したり、飛散物によってケガをしたりするかもしれません。
また、建築や解体工事に興味をもっている人や、盗難やいたずらなどの悪意がある人が故意的に侵入することもありえます。
誤っての侵入や故意的な侵入のいずれの場合においても、事故やケガやその他のトラブルのリスクがあります。仮囲いによって、これらのリスクを減らせます。
○近隣トラブルを防ぐ。
解体工事では騒音や粉じんの発生は避けられません。解体する建物が鉄骨造や鉄筋コンクリート造であれば騒音や粉じんの発生はさらに多くなり、建物の周辺を養生シートで囲っていてもゼロにはなりません。それによって近隣住民からクレームが届く可能性があります。
しかし、養生シートに仮囲いが加わることによって、騒音や粉じんが外部に漏れる程度はかなり減らせます。それによって近所トラブル発生リスクもかなり抑えることができます。
デメリット
仮囲いのデメリットは、「費用負担」です。
仮囲いでは、施主様や近隣の人々が被る影響やトラブル発生のリスクの程度を低下させることができます。これは施主様、近隣の方々、そして私たち業者にとっても大きなメリットです。
しかし施主様にとっては費用負担が生じるため、法的な設置基準とともに現場周辺の環境や建物の構造などと併せて、業者と相談することをお勧めします。
なお仮囲い設置の費用相場は次の目安にしてください。
【仮囲い設置にかかる費用相場】
仮囲いの費用は、その種類・設置面積・設置期間・施工条件等によって異なります。
以下に、仮囲いの種類別設置費用の相場の目安を記します。なお、高さ2mとした場合の1m当たり設置費用の相場です。
○フラットパネルの場合……約6,000円~/m
○安全鋼板の場合……約4,000円~/m
○ポリガードの場合……約17,000円~/m
大まかな費用の感覚をつかむ意味で、次の条件で仮囲いの費用を計算してみましょう。
○40坪の敷地周辺に、1m当たり6,000円のフラットパネルで仮囲いを作る場合。
*40坪の敷地の周囲の長さ
40坪=約132㎡=一辺の長さ約11.5m(ほぼ正方形の土地の場合)
40坪の周囲の長さ=11.5m×4=46m
*40坪の敷地の周りに設置する仮囲いの費用
46(m)×6,000(円)=276,000円
一般的な相場で計算しましたが、実際の費用は工事を行う業者や地域、現場の状況などによっても異なります。また同じ40坪でも敷地の形状によっても異なります。
こちらの計算で出た金額を参考に、実際に仮囲いを設置する場合は、業者にしっかり確認するようにしましょう。
まとめ
仮囲いはすべての解体の工事現場で設置するわけではありません。高さ13mを超える木造住宅、軒の高さ9mを超える建物、2階以上ある鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物が設置基準になります。
しかし現場周辺の環境や施主様のご希望などによっては、この基準から外れる場合でも仮囲いを行うケースがあります。逆に希望してなく、仮囲いが必要のない状態なのに見積りに仮囲いが含まれていたら、その理由を業者に確認しましょう。施主様が納得いく設置理由と相当の効果が期待されることが重要です。
そのためにも仮囲いの知識をもって、仮囲いの適切な設置と周辺への工事の影響について業者と話し合いながら進めるようにしてください。
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施主様にとってよりよい工事、そして現場周辺の方々への細やかな配慮等を通して、皆様が納得する解体工事を心掛けています。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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