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解体にお祓いは必要? その方法や段取りなどをご説明。

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 「お祓い」とか「お清め」といった言葉を耳にすることがあると思います。
 新年の初詣、お盆やお彼岸のお墓参り、七五三詣などのように、私たち日本人は何かの節目には神社やお寺にお参りすることが、昔からの習慣として受け継がれてきました。
 また、「物」に対しても、そこには魂が宿っているという考え方もします。
 そういったことと関連して、「お祓い」とか「お清め」ということはかつて生活のなかで行われてきました。しかし、核家族化が進み、人びとの考え方も多様になってくるなかで、そういった考え方を受け継ぐ機会は減ってきました。そんな背景があってでしょうか、私たちが行う解体においても、「必要ないんじゃないか」「やった方がいいのかどうかわからない」「いったいどんな風にやるのか?」といった施主様のお声を聞くことがあります。
 そこで今回は、これまで解体工事に関連して慣習的に行われてきたお祓い等の行事について取り上げてみました。

解体工事で慣習的に行われる宗教的行事

 普段の暮らしのなかでも、神事や仏事に関してわからないことはいろいろあると思います。例えば「お彼岸のお墓参りはいつ行くべき?」とか、「お寺に渡すお礼の表書きはなんて書いたらいい?」といった具合です。それだけ、昔は慣習的に行われていた仏事や神事が日常で少なくなってきているように思われます。
 一生のうちに何度も経験するわけではない解体工事や建築工事となったら、もっとわからないことが出てくるでしょう。まずは解体工事や建築工事にまつわる宗教的行事をご紹介します。

解体清祓

 「かいたいきよはらい」もしくは「かいたいきよばらい」と読みます。これは解体前に行うお祓いです。解体する建物に対して「長年にわたって何事もなく無事に過ごさせていただいた感謝の気持ち」をもって、解体する前にその家に宿った「気」を抜き、神様にこれまで守っていただいたお礼をお伝えし、併せて解体工事の安全を祈願します。

【解体清祓に必要な物】
①白米3~5合程度(無洗米でも可)
②日本酒4合~1升
③粗塩20~50g程度
④水を適量(水道水でもミネラルウォーターでも可)
⑤野菜や果物(あるもので可)
⑥以上①~⑤の品々を載せるテーブル

【解体清祓を行う時期】
 解体作業の直前に行います。もし、その家屋内に神棚があれば、神棚を撤去する直前に行います。

【解体清祓を行う場所】
 神棚があれば神棚の前に祭壇を作り、約2m四方以上の空間を確保します。神棚がない、もしくは神棚の前に空間を確保することができない場合は、できるだけ家の中心に近い場所に同様の空間を確保します。

【解体清祓の進め方】
 ここでは建物の近くの神社や氏神様の神主さんに解体清祓をお願いする流れを説明します。

①建物近くの神社もしくは氏神様となる神社に連絡を入れ、希望日時を伝えて解体清祓の依頼をします。
 その際、戸主の氏名も伝えておきます。
 また、神社によって事前に準備する物や、神主さんの送迎、初穂料(謝礼)などの対応が異なる場合があるので、それらの点も確認しておきましょう。
②解体業者にもその旨を伝え、できれば一緒に参加してもらうようにします。
③当日、祭壇に供える品々を準備して、神主さんを迎えます。
④解体清祓の儀式は、一般的には次のような流れで行われます。
 開会の辞
 修祓の儀(しゅばつのぎ):祓い清める。
 降神の儀(こうしんのぎ):神様を招く。
 献饌の儀(けんせんのぎ):神様にお食事をお供えする。
 祝詞奏上(のりとそうじょう):神主さんがお祈りする。
 清祓いの儀(きよはらいのぎ):祭場を出て建物の四隅と入り口をお祓いする。
 取毀の儀(とりこぼちのぎ):柱を木槌で叩くことで神様に解体を知らせる。
 玉串奉奠(たまぐしほうてん):参列者一同が玉串をお供えして拝礼する。
 撤饌の儀(てっせんのぎ):神様へのお供え物を下げる。
 昇神の儀(しょうしんのぎ):神様を元の御座にお送りする。
 直会の儀(なおらいのぎ):お神酒や神様のお食事である神饌をいただく。
 閉式の儀
⑤神主さんにお礼を述べるとともに初穂料などを渡して終了となります。

【解体清祓にかかる費用】
 お祓いについては、それぞれの神社によって異なるため最初に聞いておきましょう。それを玉串料または初穂料(お祓いの料金)として、さらに神主さんのお車代として1万円程度を渡します。そのほか、御供物などを準備する費用などが必要になります。

魂抜き

 「たましいぬき」「こんぬき」「たまぬき」などと読みます。神棚や仏壇、井戸、古くから敷地内にある樹木などを撤去したり、移動したりする際に行うものです。
 これも家屋と同様に、魂が宿っているという考えから、移動や撤去の際にはその魂を抜いて「物」に戻してから行うための儀式です。長くその敷地内に暮らして関わってきた物に対する感謝を込めて行います。何に対して魂抜きを行うかに
よって、神社にお願いするかお寺にお願いするかが分かれますので、以下にその説明を行います。

【神棚の場合】
 神棚に祭られている神様に対して感謝の気持ちをもってきれいに掃除をした後、神社にもっていき、神社で「神棚納め」というご祈祷とお焚き上げをしていただきます。神社に運ぶことが難しい場合には、出張祭典をお願いし、お清めとお祓いをしていただき魂抜きをします。
 魂抜きをした後、お札を神主さまに渡します。神棚や神器などは地域のごみの回収区分に沿って処分しますが、地域によっては神棚の回収は行っていないところもあるようです。その場合は神社に相談してみてください。

【仏壇の場合】
 仏壇はお寺に依頼します。菩提寺があれば、まずは菩提寺に相談しますが、建物がある場所から遠方にあるようであれば、近くの寺院に相談しましょう。
 仏壇の場合は、魂抜きをしていただくのは位牌に対してです。位牌は仏壇を設置した際に、一般的に「開眼供養」といって僧侶に魂を入れてもらっています。
 ですので、処分する際は「閉眼供養」として魂抜きをしていただきます。
 僧侶に家に来ていただくか、位牌をお寺にもっていって閉眼供養をしていただくこともできます。お支払いする料金は「お布施」として渡します。相場はお寺によって異なるので、事前に確認するとよいでしょう。
 なお、ご供養後の位牌は、お寺でお焚き上げをしていただくか、専門業者に引き取ってもらいます。

【井戸や樹木の場合】
 敷地内に古井戸や大木などがある場合にも、お祓いをするケースがあります。
 これまで無事に暮らしてこられたことの感謝を伝え、家の撤去に伴い井戸を埋めることや樹を切ることの許しを得て、工事の安全祈願をするとともに今後も災いがないようにお願います。井戸や樹木のおはらいについては、神社でもお寺でも対応してもらえます。
 準備するものや進め方については、神社にお願いするかお寺にお願いするかによっても異なり、また神社であってもお寺であっても個々による違いもありますので、問い合わせの際に確認するとよいでしょう。

地鎮祭

 解体工事が終って更地になった状態で、建築工事を始めるにあたって、その土地の神様に工事の安全と順調な完成、そしてその後も守っていただくように祈願します。式の進め方は神社や地域によって違いがありますが、おおむね、神社の
神主をお招きして、お供え物を用意して祝詞を挙げてもらいます。
 さらにお祓いをして清め、施主様が始めの鍬や鋤を入れ、工事の無事を祈ります。
 この儀式は、主に施工管理業者が神主さんと連絡調整をして準備・開催しますので、施主様は玉串料を準備するくらいです。なお、式は以下のような流れで40分程度の時間を見ておきます。
①修祓の儀(しゅばつのぎ):神主さんがお供え物と参列者祓い清める。
②降神の儀(こうしんのぎ):神様を招く。
③献饌の儀(けんせんのぎ):神様にお食事をお供えする
④祝詞奏上(のりとそうじょう):氏神様に新築の安全祈願を行う。
⑤四方祓い(しほうはらい):お米と塩、白紙によって土地を清める。
⑥鍬入の儀(くわいれのぎ):地鎮祭のメインで、施主様は「エイエイエイ」と大きな声で声をかけて砂を崩す動作を行う。
⑦玉串奉奠(たまぐしほうてん):参列者一同が玉串をお供えして拝礼する。
⑧撤饌の儀(てっせんのぎ):神様へのお供え物を下げる。
⑨昇神の儀(しょうしんのぎ):神様を元の御座にお送りする。
⑩神酒拝戴(しんしゅはいたい):神主さんの音頭で安全を祈願して皆で献杯する
⑪神官退下:神主さんが現場を後にする。
⑫直会の儀:(なおらいのぎ):お神酒や神様のお食事である神饌をいただく。
⑬閉式の儀

お性根入れ

 「おしょうこんいれ」と読みます。また、「開眼供養」ともいい、位牌や神棚、お墓などに魂を入れることを意味します。位牌や神棚などを新しくしたり、解体工事などに際して魂抜き(閉眼供養)を行って撤去し、新たに別の場所に移動したりした際に行います。
 位牌や神棚などの持ち運べるものは、事前に神社やお寺に連絡を入れたうえで持ち込み、ご供養をお願いします。それができない場合は、出張でご供養をお願いします。

ここで取り上げた儀式にまつわるQ&A

 ここでお伝えしているような儀式を行うには、いろいろとわからないことや迷うことがあると思います。各儀式に共通する点について、説明させていただきます。

お祓い儀式をする?、しない? は最初に誰に相談する?

 解体工事を依頼している業者に相談してみて、一緒に考えてみましょう。マトイでも施主様はもちろん、一般の方からもこうした相談を受けることがあります。こういったことは、それぞれの方の考えによって行う・行わないといった判断はもちろん、行うにしてもいろいろな方法があります。まずは、解体業者に相談なさってください。

お祓い儀式を行う場合、最初にどこに連絡するべき?

 仏壇や位牌に関してはお寺に、神棚やその他については神社に連絡するのが適当でしょう。その際に、①何をお願いしたいか、②いつ頃お願いしたいか、③自分たちで準備するものはあるか、④玉串料・初穂料(神社の場合)、お布施(お寺の場合)はどの程度準備したらよいかを聞きましょう。

お祓い儀式の料金はいくらぐらい考えておくべき?

 儀式の種類や規模や神社・お寺にもよりますのではっきりとした金額は示せないところです。
 「お気持ちで……」とおっしゃることも多くあります。その場合はお世話になった金額を考えて試算し、いらっしゃる場所からのガソリン代や交通費を加味してお渡ししてはいかがでしょうか。
 さらに、神主や僧侶の方が車や公共交通機関を使っていらっしゃる場合は交通費としてのお車代、もしくは送迎を行います。ほかにも、地鎮祭などでは施工業者が祭壇の準備をしてくれますが、その場合は玉串料のほか準備費用として1万円程度、お供え物としての米・塩・お酒・野菜・果物や紙コップなどの費用などがかかります。

儀式当日の服装は?

 神様へのお礼と報告・これからの工事の無事をお願いする儀式です。とくに正装で臨む必要はありませんが、あまりにラフすぎるものやサンダル履きなどは避けた方がよいでしょう。しかし、もしも神主や僧侶の方に正装を求められた場合は、それに従うようにしましょう。

お祓いやご供養、みんなはやっている? やっていない?

 解体時のお祓いやご供養は、「絶対にやる」「負担はかかるけどやった方がいいかな」「やる必要もやるつもりもない」と、人それぞれの考えがあります。それらは、どれをとっても間違いではありません。とくに義務付けられているようなことではないので、それぞれの考えに応じて決めればいいことです。
 そこで問題になるのが、”やったほうがいいかなぁ?” と迷っている場合です。この思いの根底には、費用もかかることだろうし、面倒くさいし、でも行わないでもし事故でもあったら嫌だな…といった割り切れない気持ちがあると思います。また、ご親族のなかにも同じような思いや「絶対にやった方がいい」という方がいらっしゃることがあります。
 それに対しては、「お祓いやご供養は必要ではないけれど、気になる方がいらっしゃれば行っておいた方がよいでしょう」といえます。なぜならば、解体に限らず、工事にはなんらかの事故が起こる可能性がわずかながらでもあります。お祓い等をやるかやらないか迷っていた場合、何らかのトラブルが起こった際に後悔の念が強くなるからです。さらに「やっておいた方がいい」と考えている方がご親族にいらした場合、そのことがきっかけとなってこれからの関係性になにがしかの支障を与える場合もあります。
 そういった後々のことを含めて考え、「迷っている方」は行うことをお勧めします。

まとめ

 「病は気から」という言葉があります。病気は気の持ちようによってよくも悪くもなるという意味ですが、お祓いをするかしないかについても同じことがいえるのではないでしょうか?
 すでに前段で述べたように、絶対に行わなくてはいけないものではないものの、行おうかどうか迷っている方がいらしたら行うことをお勧めします。それは、お祓い等の儀式を行うことにより、気がかりがなく先に進める環境ができるからです。
 今回は神主や僧侶の方に依頼して行う方法を主に説明を進めてきました。しかし、それ以外の簡略化したやり方も可能です。業者と施主様で敷地の四隅と中央にお塩とお酒を撒いて建物への感謝と引き続きの健康と安全をお祈りするといった形で行うこともあります。先日は私どもマトイのスタッフと施主様で井戸祓いを行って古井戸の埋め戻しを行いました。
 義務がないということは、こうしなくてはいけないという形もないといえます。なによりも大切なことは、施主様やそのご家族・ご親族をこれまで守ってきた建物や敷地内にある井戸等への感謝の気持ちと、工事の安全と引き続いて皆さんの健康が守られることだと考えています。
 迷われていること、不明なことなどについてはまずはマトイにご相談ください。一緒に考えさせていただき、納得のいく方法を共に作り出していくように日々努力しています。
 詳しくはマトイ無料お見積りフォームへ。
 解体にまつわる小さな疑問もお気軽にご相談ください。

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

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