工場を解体するには? 手順、費用、注意点をお伝えします
かいたいコラム 工場といってもその規模や内容はさまざまですが、一般の家屋よりも大きなものがほとんどでしょう。そんな工場はどのように解体をするのか、工場の経営者やオーナーだけでなくても関心があるところではないでしょうか。
今回は工場の解体はどのように、そして一般の家屋と異なる点、解体の手順、費用などについて説明します。
工場の解体工事の特徴
一般の住宅であれば、建物の大きさは異なっても、居間や寝室、トイレや浴室といった間取りや設備に大きな違いはありません。
しかし、工場となると広さだけでなく形状、構造、内部設備、立地条件などがさまざまに異なり、そこで何を作っているか、なにを取り扱っているかに伴って内部の状態も違ってきます。
例えば、鋼材加工の工場では、クレーンや鋼材加工の大型機械は設置されているものの、それを除いてしまえば間仕切りがほとんどない大きな広い建物です。比較的内部が簡易な造りのため、見積りを取ってみると思っていたよりも安い解体費用の場合があります。逆に、プラント工場のように内部の構造が複雑な建物は、解体費用が高額になる傾向にあります。
さらに建物が古いとアスベストを含んだ建材を使用していたり、壁や天井にアスベストが吹き付けられていたりすることがあります。耐火性や耐熱性のあるアスベストは、とくに工場の建物に用いられていた可能性が高いのです。また、廃棄物の焼却施設や塩素でパルプを漂白する、農薬などの化学物質を製造しているといった工場では、これらの工程によって発生したダイオキシンなどの有害物質が建物に付着している可能性があります。そのため、これらを適切に取り除いて、周辺に暮らす人や工場関係者、解体作業員にとって安全に解体作業が行える状態にする必要があります。
工場の解体作業では、こういった可能性を考え、対策を取りながら作業を行うことが求められています。この視点は一般家屋を解体する際と同様ですが、製造のための大型機械や薬品等の危険物が置かれていた工場ではさらに重要なことです。
工場の解体工事の流れ
では、工場における解体工事はどのように進められていくか、その流れをここで説明しましょう。工場の解体工事は、次のように現地調査から始まり、段階を経ながら進められます。
ステップ1 現地調査と見積り
工場の解体は解体業者が行います。
どの業者に依頼するかを決めるため、そして工期や解体工事費用を具体的に出すために、複数の業者に現地調査と相見積りを依頼します。それぞれの見積り内容と当初の施主様の予定をすり合わせ、具体的な工事のスケジュールや予算を検討し、業者を決定します。
ステップ2 建設リサイクル法に基づく届け出
解体工事では多くの廃棄物が出ます。それらを適切に分類して可能な限り再利用するための法律が建設リサイクル法です。解体する建物の延べ床面積が80㎡以上の場合は、この法律に基づいて届け出を行います。原則、施主様が行いますが、業者に委任することもできます。解体工事を控えた施主様はいろいろやることが多く大変です。
私たちマトイでも、そうした施主様に代わっての届け出の提出や、これらに伴うご相談に乗っております。お気軽にお声をかけてください。
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ステップ3 近隣住民への挨拶
工場に限らず、解体工事では騒音や埃、振動が起き、そのために近隣の方々へは、少なからずご迷惑をおかけします。そのため、事前に工事を行う旨をお知らせし、ご迷惑をおかけすることと協力のお願いをします。業者は、工期や工事に関する連絡先などを記した挨拶状などを準備して1軒1軒、挨拶に回ります。
この挨拶回りは、近隣住民の方々に工事を理解していただき、後々のトラブルを避け、工事をスムーズに進めるためにも重要なことです。こちらのコラムでも、くわしく説明していますので、ご一読ください。
ステップ4 工事着工準備(騒音・振動・防塵・安全等の対策)
挨拶回りが済んだら、計画に沿って工事を始めます。解体工事では、騒音、振動、埃、予期せぬ事故等が起こる可能性があります。これらによって工事計画が変更になることもあるため、まずは対策を取りながら工事を進めていきます。
騒音対策:防音シート・防音パネル等を用いた養生、低騒音型重機の活用
振動対策:丁寧な操作、重機の低速走行
防塵対策:散水、防炎シート
安全対策:ガードマン(通行誘導員)配置、安全帯・ヘルメット等の使用、日々の安全確認活動
ステップ5 解体工事着工
解体工事を開始する際に、確認しておくことがあります。それは健康被害を与えるとされるアスベストやダイオキシン等が、その工場の建物に使われているかどうかです。アスベストは2006年に全面使用禁止になりましたが、それ以前に建てられた建物には屋根裏に吹き付けられていたり、アスベスト含有の建材が使われていたりています。また焼却処理などを行う工場では、それによって発生したダイオキシンが壁などに付着していることがあり、本格的に解体作業を始める前にその状況を調査し、使用や汚染が確認された場合はその程度に応じた方法で除去する工程が加わります。
事前調査の段階である程度はわかりますが、実際に工事が始まってからわかるものもあります。解体工事では、これらの状況をしっかり確認し、それに応じた方法で解体を進めていきます。
なお、アスベストの届け出等については、こちらのコラムでも説明していますので、ご一読ください。
ステップ6 廃棄物の搬出とマニフェスト伝票作成
解体工事では多くの産業廃棄物が出ます。解体作業を進めながら廃棄物の分類も行いますが、最終的にあらためてきちんと分類して、現場から処分場へと運びます。
廃棄物は中間処理場、そして最終処分場へと段階を経て処理されながら運ばれていきます。その間に不法投棄されることなく、中間処理場、そして最終処分場へのプロセスをきちんと踏んで処理されることを確認するために、マニフェスト伝票が発行され、各段階を経て処理されたことが確認できるようになっています。なお、マニフェスト伝票は解体業者が作成しますが、紙伝票と電子伝票があります。
廃材の処分についてはこちらのコラムでも説明していますので、ご参考になさってください。
ステップ7 建物滅失登記
建物は法務局に登記することになっていますが、解体した際は、その建物がなくなったことを登記する必要があります。これは解体後1カ月以内に施主様ご自身が行うか、土地家屋調査士に依頼して行います。
建物滅失登記をはじめとした建物解体に伴う、さまざまな届け出について、こちらのコラムで説明しています。どうぞ、ご一読ください。
工場の解体ではどのような業者を選ぶべきか
工場の解体を行う業者は、なにか特殊な免許や技術が必要となることはありません。ただ最初にも触れたように、単に工場といってもその規模や内部構造はさまざまです。そのため、解体しようとする工場の大きさや内容と業者の規模によっては、マンパワーやもっている重機などの都合で間に合わないこともあるかもしれません。マトイでは、それぞれの現場の規模に応じた体制を整えて工事を請け負っています。お気軽ご相談ください。
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まずは、あらためて工場の解体でどのような業者を選ぶべきか、そのポイントを挙げてみましょう。
① 建設業許可(建築工事業またはとび・土工工事業、解体工事業)を受けている業者
これは当然のことですが、業者の選定ではきちんと許可を得ている業者であることを確認してください。解体技術はもちろんのこと、想定外の対応が必要な事態が生じた際にも、責任のあるしっかりした対応が期待できます。
② プラント設備等についての知識・技術をもっている業者
さまざまな素材を製造するプラント工場では、その内部構造は複雑で特殊なものも少なくありません。それらすべての構造に対する知識をもった業者は限られてきます。
そこで大切なことは、専門的な知識・技術を要する仕事を請け負った際、それらを業者自身がもっているか、もしくは専門的知識・技術をもっている業者とのネットワークをもっていることで安心して解体工事を任せることができます。
③ アスベスト等の有害物質への対策が可能、もしくはそれらの専門家とのネットワークをもっている業者
アスベストやダイオキシンなどの有害物質を除去することは、解体工事において必要不可欠な作業です。それを正しく行わなければ、スタッフがそれら有害物質にさらされて健康を害したり、周辺の人の健康を脅かしたりすることになりかねません。こうした事態を招かないためにも、事前に専門業者との協力体制を整えながら解体作業を進めていくことが大切です。
マトイでは、営業社員全員に石綿含有建材調査者講習の受講と資格取得を義務づけております。アスベストの知識は豊富にございますので、気がかりなことがありましたら、是非お声がけください。
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工場の解体工事にみる特殊な解体技術
工場の解体工事では、普通の家屋の解体では用いないような特殊な技術を使って解体を進めていくことがあります。どのような技術があるか、ここで説明します。
【ジェットバーナー工法】
騒音や振動をほとんど発することなく鉄筋コンクリートなどを切断できる方法です。サーモドリル工法ともいいます。灯油と酸素の混合ガスの炎を超音速で噴射し切断しますが、このときの温度は3000℃以上になります。
【ワイヤーソー工法】
硬い鉱物として知られているダイヤモンドの非常に細かい粒を装着させたワイヤーを、高速で回転させて対象となるものをきれいに切断します。この工法はジェットバーナー工法と同じように、振動が発生することなく、音も高速回転の音しか出ないため、騒音の問題がほとんど発生しません。複雑な形をした鉄筋コンクリートや、高い所・狭い所といった場所を選ばずに利用できるという大きなメリットがあります。
【マイクロ波工法】
コンクリートなどを透過するマイクロ波を利用して、コンクリートを粉砕します。照射させる対象物との距離が近ければ近いほど、コンクリートの内部温度は急激に上昇し、外部と照射ポイントの温度差によってコンクリートは破砕します。この工法は振動や騒音が少ないというメリットがあります。その一方で、マイクロ波は人に当たると危険なために必ず保護装置を使用して作業を行います。
【レーザー工法】
チェーンソーやノコギリでものを切断する際、その反動で切断した対象物の一部が作業している人に当たることもあり、危険が伴います。しかし、レーザーを使用した切断方法では、対象物に接触することなくものを切断することができます。この性質をもったパワーの高い高温のレーザーを利用することで、鉄やステンレス、コンクリートなどを溶解切断することができます。チェーンソーで切断するときのような危険はなく、振動もありません。コンピューターを利用した遠隔操作も行えるため、幅広い場所で活用される注目の技術です。
工場の解体工事費用の相場と内訳
工場の解体費用は、その規模が大きくなればなるほどイメージしにくいのではないでしょうか。また、その方法も前述のように特殊な技術を用いることも多いことから、「たくさんの費用がかかるだろうが、具体的に想像できない」という方も多くいらっしゃいます。
ここでは、そういった工場解体の費用ついて説明します。
費用は坪単価と工期の2点がポイント
工場の解体費用の相場を考えるには、坪単価と工期の2つのポイントがあります。
【坪単価から見た場合】
まず、一般的な家屋の解体と同じように坪単価で費用を考えることができます。10坪未満の工場では規模が小さい分、解体工事費用は割高になる傾向にあります。逆に、70坪以上になると坪単価は低くなる傾向があります。
さらにその建物が鉄骨造であるか、鉄筋コンクリート造であるかによっても違いが出てきます。一般的には、鉄骨造よりも鉄筋コンクリート造の方が解体費用は高くなります。
しかし、工場の解体費用の相場を決定づけるのは難しいです。内部構造の複雑さ、アスベストやダイオキシンをはじめとした危険物の取扱の有無やその程度に伴った事前の処理などの費用によって、実際の金額は大きく変わる可能性が高いからです。また、それに関連して、解体する工期によっても費用は変動してきます。
【工期から見た場合】
一般の家屋の場合は、解体の計画~業者の選定~解体終了までが1~2カ月程度のことが多くみられます。解体工事自体は、1~2週間程度で終わることがほとんどです。
しかし工場の場合は、業者の選定や手続き、解体期間中の操業の検討と準備なども関係してさまざまな手続きや準備が必要になってきます。工期が長ければ長いほど、その分の人件費などがかかって費用も高くなっていきます。そのため、解体工事を検討してから工事が始まるまで、少なくても2~3カ月はかかります。
また、1日の解体工事の時間を長くとることができる場所があったり、構造が単純で同じ面積でも解体時間が短く済む部分があったり、複雑で逆に時間がかかる部分があったりします。そのため、工期の目安もかなり変動します。
このような工場の解体に伴う特徴があるため、それぞれの工場の条件を反映した費用相場を知るためには、やはり業者による見積りを取ることが必要になります。
解体工事費用の内訳
解体工事の費用にはさまざまな費目が含まれています。その内容は次のようなものです。見積り書にかかれている費目等は、それぞれの業者によって若干の違いがあります。それぞれを確認して、ここにある内容が提示された見積書のどの費目に相当するか、これらの費目で含まれていないものはないか、これらの費目以外のものが含まれていたらその具体的な内容はどのようなものであるか、等を確認する必要があります。ここに挙げた費目は、そのための指標になります。
① 鉄骨造倉庫解体工事(基礎・土間コンクリート撤去)
② 軽量鉄骨平屋建解体工事(基礎・土間コンクリート撤去)
③ 植栽・下草撤去処分
④ 防火用水槽撤去工事
⑤ 土間コンクリート撤去処分(建屋外)
⑥ フェンス撤去処分工事
⑦ 重機回送費
⑧ 養生シート
⑨ 焼却炉処分
⑩ 諸経費
解体工事の流れや費用については、工場ならではのものもありますが一般家屋と共通する点も多くあります。家屋の建て替えの方々に向けて解体から建て替えまでの説明したこちらのコラムもご参考になると思います。どうぞ、ご一読ください。
工場の解体工事費用、どうやって安く抑える?
できるだけ解体工事費用を安く抑えたい、と考えるのは一般的な家屋であっても、工場であっても同じです。また、そのためのポイントも共通するものがあります。その点も含めて、あらためて安くするポイントを説明します。
① 複数の業者にあたって、相見積りをとる
② 自分たちで処分できるものは、解体工事が着工される前までに処分する
③ 可能であれば解体工事業者の繁忙期などの時期をずらすなど、業者と時期をすり合わすことで料金を下げる
④ 工場の建て替えなどを検討している場合は、解体工事と建て替え工事の分離発注を行って中間マージンを省く
まとめ
工場の解体工事は、そう多くあるものではありません。しかしながら、その内容は専門的な知識や技術、そしてそれぞれの工場の状況や構造に合わせられる応用性が私たち業者に求められます。それを一手に引き受けることも大切ですが、豊富なネットワークと日々の取り組みによって築いた信頼がさらに重要になるとマトイでは考えています。そのため、小さな物件から、大きな物件まで、ときには必要に応じて私たちが築いてきた同業他社との豊富なネットワークを駆使しながら、1つひとつの工事に向き合っています。どうぞ、どのようなことでも、お気軽にお声をかけてください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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