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特定解体工事とは何? 地球環境のために慎重に行うこと

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 私たちの生活を含めて地球環境のさまざまな課題が取り上げられ、最近ではSDGs(持続可能な開発目標)でも環境に関する目標が挙げられています。そして、さまざまな取り組みが積極的に行われています。
 これは解体工事においても同様です。今回はその1つである、「特定解体工事」を取り上げます。

特定解体工事および特定解体工事元請け業者とは

 「特定解体工事」というのをお聞きになったことはあるでしょうか? これはフロンやアスベストの取り扱いや処理を必要とする解体工事のことです。
 アスベストを適切に取り扱って解体工事をすることは、アスベストによる環境汚染を防いで、周辺に暮らす人たちの健康を守るうえでとても大切なことです。
 同じように、大気のオゾン層を破壊する物質として知られているフロン類に対しても、環境を守るための積極的な取り組みが求められています。とくに解体工事では、解体時にその建物に設置されていた空調をはじめとしたフロン類を使用したものの誤った取り扱いによって、フロンが大気に放出されることがないように厳重に取り扱うことが求められています。
 そのため解体する建物にフロン類が設置されている可能性がある建物の解体やリフォーム等を行う場合(業務用冷凍空調機器が設置されていないことが明らかな場合を除く)は、業者は「特定解体工事元請け業者」として、関係法規に則った方法で解体工事を進めることが求められています。
 こうして適切にフロン類を取り扱って処理することが、環境負荷の低減につながるのです。

特定解体工事の根拠―フロン排出抑制法について

 特定解体工事を適切に行い、環境負荷の低減を図っていくためのさまざまな取り組みの基盤となっているのが、フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律)です。

フロン類が環境に与える影響

 そもそも、このフロンとはどのような物質でしょうか? そしてなぜ、現在のような厳しい取り扱われ方がされているのでしょうか?
 実はフロンという名前の単体の物質は存在しません。炭素と水素、そしてフッ素や塩素、臭素などが加わった化合物の総称を「フロン類」と呼んでいます。一般的に「フロン」といわれているのは、フロン類のうちのどれかを指しているか、もしくはフロン類全般を指しています。そしてフロン排出抑制法では、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)をフロン類としています。
 フロン類は、「燃えにくい」、「分解しにくい」、「人体に害がない」といった特徴があります。このことから、ヘアスプレーや殺虫剤などのスプレー製品や、冷蔵庫やエアコンで空気を冷却したり、精密機械を洗浄したりするなど、幅広い分野で、さまざまに多用されてきました。
 ところが、フロン類が大気中のオゾン層を壊していることがわかりました。オゾン層はご存じのように、太陽からの紫外線を遮って、地球上の生物を守る大切なバリアとなっています。しかし、フロン類の多くは大気中に放出されるとオゾン層まで到達し、オゾン層を破壊してしまうのです。さらに温室効果も大きく、地球温暖化への影響も問題とされています。

特定解体工事等の根拠となるフロン排出抑制法とは

 前記のようにフロン類の地球環境に与える影響がわかってきました。これによって地球環境を守るため、2001(平成13)年に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(フロン回収・破壊法)が制定されました。さらに改正が加えられ、2015(平成27)年4月にフロン排出抑制法が施行となりました。
 これによってフロン類を使用している機器の点検や漏えい量の報告などが義務付けられるようになったとともに、フロン類の製造から回収・破壊、そして無害化を行って廃棄する、といった包括的な対策が進められるようになったのです。
 解体工事現場に設置されているクーラーや冷蔵庫等に備えられているフロン類は、施主様もしくは解体業者等の依頼を受けたフロン類回収業者によって回収され、フロン類再生業者もしくはフロン類破壊業者によって再生・無害化されます。

図 フロン類に対する包括的対策

※『守ろうオゾン層 防ごう地球温暖化 フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)』(環境省・経済産業省・国土交通省発行)p.3より引用

特定解体工事の対象となる第一種特定製品

 フロン排出抑制法および、この法律に基づいて行われる特定解体工事の対象は、「第一種特定製品」と呼ばれるものです。
 これは冷媒としてフロン類が充填されているもので、すべての業務用エアコン、業務用の冷凍冷蔵装置(冷蔵または冷蔵機能をもつ自動販売機も含む)などです。
 第一種特定製品となる業務用のエアコンや冷凍冷蔵庫等が設置されている場所は、思いのほかたくさんあります。スーパーやコンビエンスストア等の店舗、公共施設、レストランや飲食店、工場や倉庫、学校等の教育施設、鉄道・船舶等の運輸施設および機械等です。
 なお、カーエアコンは第二種特定製品の対象となり、家庭用のエアコンや冷蔵庫は、家電リサイクル法の対象としてフロン類の管理が行われています。
 なお、フロン類とともにアスベストも環境への配慮が重要なものです。アスベストに関する基本的な情報をこちらのコラムで説明しています。どうぞお読みください。

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特定解体工事を行う業者(特定解体工事元請け業者)の取り組み

 私たち解体業者が、特定解体工事を請け負う場合、「特定解体工事請負業者」としてフロン排出抑制法に則って行うべき義務があります。それらについて説明します。

① 業務用冷凍空調機器の有無を事前に確認する。
 一般的な住居以外の建物の解体工事として特定解体工事を請け負った場合、着工前に第一種特定製品に該当する業務用冷凍空調機器類の有無を確認する必要があります。
 これは、特定解体工事発注者である施主様からの聞き取りや現地調査等によって行います。

② 解体工事着工前に事前確認の内容を記した事前確認書をもって、事前確認の結果を施主様に説明する。
 事前確認を行ったら、その結果として次の事項を明記した事前確認書を作成します。
*書面の交付年月日
*特定解体工事元請け業者の氏名・名称および住所
*特定解体工事の対象である建物の名称と住所
*建物、その他の工作物における第一種特定製品の設置の有無の確認結果
 ・第一種特定製品設置の有無
 ・設置されている第一種特定製品の内容と台数
 ・設置されている第一種特定製品のそれぞれについて
「フロン類回収済み」「フロン類未回収」といったことを明記

③ 事前確認説明書は写しを取り、原本を施主様に、写しは業者が3年間保存する。
 事前確認説明書によって事前確認の結果を施主様に説明しますが、これは第一特定製品の有無に関係なく行います。もし第一特定製品がなかったとしても、「第一特定製品がない」といったことを説明書に記載します。また事前確認の説明書は、施主様と業者とのそれぞれで3年間保存します。
 特定解体工事では、さまざまな業者が関わるとともにそれぞれに関係する書類が交わされます。しかし、そのなかでどのような建物の解体工事でも発行され、その建物の登記に関係する重要書類として「解体証明書」があります。こちらのコラムにその説明をしていますので、ご一読なさってください。

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特定解体工事の施主様(特定解体工事発注者)の取り組み

 施主様となる第一特定製品を設置している建物の所有者は、その建物の解体に際して、フロン類の取り扱いにおいても、次のような義務が生じます。

① 第一種特定製品の廃棄に当たって、第一種フロン類充填回収業者へフロン類を引き渡す。
 第一種特定製品の所有者は、所有した時点から管理者として点検等の義務が生じます。同じように機器の廃棄に際しては、「第一特定製品廃棄等実施者」としてそれまで使っていた第一特定製品のフロン類を第一種フロン類充填回収業者へ引き渡します。
 この際、2つの方法があります。
 1つは、第一種フロン類充填回収業者に施主様から直接フロン類を引き渡す場合です。この場合は、所持者である施主様が「回収依頼書」を交付して第一種フロン類充填回収業者に依頼します。
 もう1つは、解体業者等にその作業を委託します。この場合は施主様が「委託確認書」を交付して解体業者等にフロン類の回収を依頼します。

② 特定解体工事元請け業者である解体業者が行う事前確認に協力する。
 施主様は業者の事前確認に際して、その段階で第一特定製品がどこに、どのようなものがあるか、またそれらのフロン類の取り扱いがどのようになっているか、①でも触れているようにすでに第一種フロン類充填回収業者へ引き渡しが住んでいるか否か、等の情報提供などを行います。また、必要に応じて現地調査に立ち会うなどの協力を行います。

③ 各種書類の保存。
 フロン類の回収・処分に当たって、施主様は「回収依頼書」や「委託確認書」を交付したり、「事前確認書」や「取引証明書」などが交付されたりします。これらの書類については3年間保存をします。
 なお、施主様のなかには、第一特定製品を廃棄物・リサイクル業者に引き渡すケースもあることでしょう。この場合は、その業者が「フロン類充填回収業」の登録を受けている業者であるか否かを確認してください。
 「フロン類充填回収業」の登録を受けている業者の場合は、フロン類の回収とともにその製品の引き取りをしてくれることがあります。
 しかし、その登録を受けていない業者の場合は、そのままでは第一特定製品を受け取ってもらうことができません。施主様が事前にフロン類回収業者に依頼して、「引き取り証明書」の写しをもらったら、それを製品と一緒に引き渡す必要があります。
 これがないと引き取ってもらえませんので、リサイクル等を行う場合もフロン類を回収処分しておく必要があります。
 商店やマンション、複合ビル、公共施設などが主な対象となる特定解体工事ですが、なかには日常の暮らしの場で個人経営規模の建物での特定解体工事となる場合があると思います。そういった場合、特定解体以前に解体工事ということでさまざまな戸惑いを感じる施主様もいらっしゃることでしょう。そんなとき、こちらのコラムをお読みください。解体工事で施主様が行うべきことなどがまとめてあります。

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まとめ

 今回はフロン排出抑制法を通してフロン類の取り扱いを行う「特定解体工事」について説明を展開してきました。
 最近は天候の変化が著しく、地球温暖化を実感する環境を感じますね。
 私たち解体業界でも、分別解体は当然のことになっていますが、こういった身近な作業の1つ1つが環境を守るために重要であることをひしひしと感じています。
 フロン類の取り扱いも同様です。特定解体工事は一般の住居は対象ではありませんが、そういった枠を超えて、それぞれの場での分別・再生・再利用、そして廃棄物を最小限にすることが私たちの環境を守るために大切であることを再認識します。
 解体工事はただ、取り壊すだけのものではありません。例えば慣れ親しんだ家の柱を次の世代に残すこともできます。
 解体や改修等で、建材のリサイクルや環境負荷への不安を抱えている方も、どうぞマトイにお声掛けください。一緒に考え、最適なプランをご提案させていただきます。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
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