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解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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 解体工事では騒音、振動、粉じんなどで、現場周辺の方々にご迷惑をおかけします。
 そのなかで、今回は振動を取り上げて、どのような作業で振動が起こるのか、振動に関係する法的な基準、そして少しでも振動等の影響を少なくするために業者としてどのような工夫をしているか、などについて説明します。

解体工事現場に見る振動を生み出す「特定建設作業」

 解体工事において振動は騒音とともに必ず発生する、避けて通れないものです。これらが発生する原因について説明します。

振動を生み出す原因

 解体工事では多くの場合、重機を使用します。が、重機が大きいほど、また解体するものが大きい、堅固である、地中深い場所にある、などの条件とその程度が強いほど、振動は大きくなります。
 基礎を解体する際や、地中深く打ち込まれて建物を支えていた鉄骨の支柱を抜き取るなどの、地盤に直接手を加えるような作業では、とくに振動は強くなって周囲への影響が大きくなります。振動は地面を伝って周囲へと広がっていくからです。

 さらに、解体工事で振動や騒音を発生させてしまうものとして、次のことが挙げられます。
① 重機による振動・騒音
 :重機や大型の建設機械等の移動やその操作によって振動や騒音が生じます。
② 解体による振動・騒音
 :重機や各種建設機械による振動や騒音のほか、解体された建物の部分が瓦礫となって床や地面に落ちることによっても振動や騒音が発生します。
③ 大型の工事車両による振動・騒音
 :解体現場には重機類とともに、工事の関係車両が出入りします。そのなかには大型のトラックなどがあり、その車両が廃材を積んで重量を増すと、それによる振動はさらに大きくなります。

 このほかに、例えば重機類の操作スキルの程度や操作ミスなどが原因で振動や騒音が発生したり、大きくなったりすることがあります。また、騒音が溢れている作業中や危険をいち早く知らせる、といったことから作業員同士の会話の声が大きくなってしまい、それが騒音となってしまうこともあります。

さらに大きな振動を起こしうる「特定建設作業」

 とくに著しく振動や騒音を発生する作業は、「特定建設作業」と定められています。
 特定建設作業には、振動規制法と騒音規制法によるものとがあります。その具体的な内容には、次のようなものがあります。

【振動規制法による特定建設作業】
① くい打ち機(モンケンおよび圧入式くい打ち機を除く)、くい抜き機(油圧式くい抜き機を除く)、またはくい打ちくい抜き機(圧入式くい打ちくい抜き機を除く)を使用する作業。
② 鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業。
③ 舗装版破砕機を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業では、1日における当該作業にかかる2地点間の最大距離が50mを越えない作業に限る)。
④ ブレーカー(手持ち式のものを除く)を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業では、1日における当該作業にかかる2地点間の最大距離が50mを越えない作業に限る)。
 以上の作業は振動規制法において特定建設作業に区分され、該当する場合は特定建設作業の届け出を行う義務があります。
 なお、騒音規制法においても同様に特定建設作業があります。

【騒音規制法による特定建設作業】
① くい打ち機(モンケンを除く)、くい抜き機、またはくい打ちくい抜き機(圧入式くい打ち機を除く)を使用する作業(くい打ち機をアースオーガーと併用する作業を除く)。
② びょう打ち機を使用する作業。
③ 削岩機を使用する作業(作業地点が連続的に移動する作業では、1日における当該作業にかかる2地点間の最大距離が50mを越えない作業に限る)。
④ 空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるものであって、その原動機の定格出力が15kw以上のものに限る)を使用する作業(削岩機の動力として使用する作業を除く)。
⑤ コンクリートプラント(混錬機の混錬容量が0.45m以上のものに限る)または、アスファルトプラント(混錬機の混錬容量が200㎏以上のものに限る)を設けて行う作業(モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く)。
⑥ バックホウ(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が80kw以上のものに限る)を使用する作業。
⑦ トラクターショベル(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が70kw以上のものに限る)を使用する作業。
⑧ ブルドーザー(一定の限度を超える大きさの騒音を発生しないものとして環境大臣が指定するものを除き、原動機の定格出力が40kw以上のものに限る)を使用する作業。

解体工事の振動や騒音。知っておきたいその法的基準

 解体工事現場はもちろんのこと、それ以外の建築工事現場において振動や騒音は避けて通れないものです。しかし、だからといって対策も規制も取らないわけではありません。
 前述の特定建設作業では著しい振動や騒音を起こす可能性が高く、近隣の方々の生活環境を守るために一定の基準が設けられています。その根拠となるものが振動規制法、および騒音規制法です。

振動規制法

 激しい振動から、人々の生活する環境と健康を守るために制定されている法律です。
 特定の工場や事業場、建設工事や解体工事、道路交通などを規制の対象として、振動の大きさや作業を行う時間帯、日数等を設定・規制しています。

騒音規制法

 騒音規制法も人々の生活する環境と健康を守るために制定されている法律です。
 特定の工場や事業場、解体工事を含めた建設工事、自動車の騒音、深夜の騒音の4つを対象とし、騒音の大きさ、作業を行う時間帯、日数や曜日などの基準を設けて規制しています。

振動に関する具体的な規制

【振動が規制される区域】
 振動に関する規制は、指定区域によって変わります。

 指定区域には「第1号区域」と「第2号区域」があり、「第1号区域」は以下のような区域です。
*良好な住居環境を守るために、とくに静穏を保つ必要がある区域。
*住宅地であり、静穏を保つ必要がある区域。
*住居のほかに商業・工業用地としても使われている区域で、相当数の住居が集合しているため、振動の発生を防止する必要がある区域。
*学校、保育施設、病院・入院設備を備えた診療所、図書館および特別養護老人ホームの敷地の周囲おおむね80mの区域内。

 「第2号区域」は、第1号区域以外の指定地域となります。

【第1号区域における振動の大きさや作業時間等の基準】
① 振動の大きさ:敷地境界線において75㏈を越えないこと。
② 作業時間帯:午後7時から翌日の午前7時に行わないこと。
③ 作業期間:1日当たり10時間以内。連続6日以内。
④ 休業日:日曜日、その他の休日でないこと。

【第2号区域における振動の大きさや作業時間等の基準】
⑤ 振動の大きさ:敷地境界線において75㏈を越えないこと。
⑥ 作業時間帯:午後10時から翌日の午前6時に行わないこと。
⑦ 作業期間:1日当たり14時間以内。連続6日以内。
⑧ 休業日:日曜日、その他の休日でないこと。

騒音に関する具体的な規制

【騒音が規制される区域】
 騒音に関する規制は、指定区域によって変わります。
 指定区域には振動と同様に「第1号区域」と「第2号区域」に分かれます。「第1号区域」は、良好な住居の環境を守るために、とくに静穏の保持を必要とする区域であり、「第2号区域」は指定地域のうちの第1号区域以外の区域になります。

【第1号区域における騒音の大きさや作業時間等の基準】
① 騒音の大きさ:敷地境界線において85㏈を越えないこと。
② 作業時間帯:午後7時から翌日の午前7時に行わないこと。
③ 作業期間:1日当たり10時間以内。連続6日以内。
④ 休業日:日曜日、その他の休日でないこと。

【第2号区域における振動の大きさや作業時間等の基準】
① 振動の大きさ:敷地境界線において85㏈を越えないこと。
② 作業時間帯:午後10時から翌日の午前6時に行わないこと。
③ 作業期間:1日当たり14時間以内。連続6日以内。
④ 休業日:日曜日、その他の休日でないこと。
 なお、騒音についてはすでに当コラムでもいろいろと取り上げていますが、まずはこちらをご一読なさってください。

解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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解体工事の騒音がクレームにならないために

振動や騒音を減らす11の対策と工夫

 一定の基準が設けられている振動や騒音ですが、それらの大きさの大小にかかわらず、私たち解体業者は、工事に際して振動や騒音を減らすためにさまざまな対策とその工夫を行っています。

No.1/挨拶回り

 振動や騒音といったものを伴う解体工事では、挨拶回りは何よりも先に行うべき対策の1つといえるでしょう。その目的としては、工事を始めることのお知らせ、そして工事のスケジュールや内容等を説明したうえで、ご協力のお願いをします。
 誰しもそうですが、突然、振動や騒音に見舞われたら、その程度に関係なくびっくりします。そして、何の説明もなく始まったことに気分を害するはずです。また、そういった状況が思っていたよりも長く続いたり、事前に聞いていた以上の程度だったりしても「こんなはずじゃなかった」「こうとは聞いていなかった」ということになって、そこから近隣の方々からのクレームやトラブルへと発展しかねません。
 事前の挨拶回りは単なる挨拶だけでなく、そういった事態を招かないように十分に説明をして協力を仰ぎ、工事を順調に進めるための重要な対策です。
 挨拶回りを具体的にどのように行っていけばいいのか、施主様にとってはわからないこともいろいろとあることと思います。こちらのコラムで挨拶回りの詳細について説明していますので、参考になさってください。

解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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解体工事とその後の生活をスムーズにする“挨拶回り”

No.2/養生の工夫

 養生には解体する建物の周囲に巡らせた足場を使って、養生シートで現場を覆うもの、重機をはじめとした工事車両の往来による振動等を低減させるために地面に板や鉄板等を敷くものなど、さまざまな種類があります。これらを工事現場の状況に応じて、工夫しながら設置します。その具体的なものとして、次のようなものがあります。

【足場周辺の養生】
 解体する建物の周辺に足場を組み立て、解体工事に取り掛かります。この足場はあくまでも、解体作業を安全に行うためのものです。
 さらにそこに養生シートをかけることで、解体作業によって発生するほこりや細かいゴミ等の飛散を防止し、防音効果も期待できます。

【防音・防振シートの活用】
 養生シートには、一般的なもののほかに防音効果が高いものや、防振効果をもつものもあります。必要に応じて、それらのシートを活用することで防音・防振効果を高められます。
 しかし、これは通常の養生シートよりも費用が高くなるため、見積りの段階で解体業者としっかりと話し合って検討する必要があります。

【養生シート2枚使い】
 防音シートや防振シートは効果的ではありますが、それ以前に養生シートを正しく使用することが何よりも大切です。業者のなかには、防音シートといってもかなり傷んでいたり、シートとシートのつなぎ目が開いていたりして、その役割が十分に果たせていないものを見ることがあります。
 シートとシートの間を隙間なくつなげる、状況に応じては養生シートを2枚重ねする、といった工夫で、ある一定の効果が出ます。

【重機類設置場所となる地面の平坦化】
 解体工事現場では、重機をはじめとした工事車両の出入りが活発になされます。その際、地面が凸凹していると車両が揺れて周辺に振動を与えます。その振動を少しでも提言するために、重機や工事車両が通る場所に鉄板や板などを敷いて、地面をできるだけ平坦にします。それによって振動を抑えることができます。
 養生には、さまざまな種類・方法があります。それらについては、こちらのコラムでも詳しく説明していますので、どうぞご覧ください。

解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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解体時にはきちんと養生を! 養生シートの効果や種類をご説明。

No.3/使用重機類のアタッチメントや工法の変更

 重機の種類やアタッチメントによって、発生する騒音や振動の程度が異なります。例えば、解体によって出た廃材を集める際、金属製のアタッチメントだと大きな音が出ます。その場合、アタッチメントを金属製からゴム製のものに変えると騒音が抑えられます。また、重機によっては防音・防振機能が備わっているものもあります。
 さらに、とくに振動や騒音に対する配慮を要する場合は、重機類の工夫だけでなく、人力で解体を行う“手こわし”という方法を取り入れるなどします。主に人力での作業になるため、かなり騒音や振動を抑えることができます。
 ただし、どうしても施主様の費用負担が増えてしまうので、解体工事現場の周辺の環境などと併せて、事前に業者と十分に話し合うことが必要です。
 なお、解体工法については、こちらのコラムでも解説していますので、ご覧ください。

解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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解体工事とはそもそもどんな仕事? 工法、資格、順序など

No.4/慎重かつ丁寧な重機操作

 基本的なことですが、重機類の操作方法によっても振動や騒音は変わってきます。解体する部分に重機のアタッチメントを運んで作業する際、慎重に丁寧にその部分にアタッチメントを当てて作業することで、発生する振動や騒音の大きさは違ってきます。
 これに関しては、業者の仕事に対する意識や重機のオペレーターの熟練度などが関係するといえるでしょう。

No.5/重機類の動きを最小限に

 実は、解体工事現場で使用する重機をはじめとした建設機械は、それなりの重量があり、動くだけでも騒音や振動が起こります。
 そのため、できるだけ重機類の動きを最低限に抑えたり、現場内での移動を最短距離にとどめたりすることで、騒音や振動を抑えられます。

No.6/現場内の工事車両の運転時は最徐行

 解体工事現場で稼働するのは重機類だけではありません。大型トラックなどの工事車両の出入りも活発です。これらが発する騒音や振動の抑制と安全確保のため、時速10㎞以下の最徐行を心掛けています。

No.7/作業員同士のコミュニケーション方法の統一

 解体工事現場の騒音のなかには、作業員同士の「会話の声」が問題になることがあります。作業員が作業している場所こそ、まさに騒音や振動の発生している場所で、もっともそれらが大きい場所です。そのため、どうしても会話する声は大きくなってしまいます。ときには、安全確保と注意喚起のために大きな声を上げることもあります。
 こういったことを少しでも減らすよう、朝礼時などを使って連絡の徹底や注意喚起を行っています。また、緊急事態以外では、アイコンタクトや手ぶりなどを行って、できるだけ大きな声での会話を少なくするようにします。

No.8/デジタルサイネージの導入

 最近、工事現場で積極的に導入されているデジタルサイネージ。以前はポスターなどを使って作業員同士や現場周辺を通行する人たちへの注意喚起を行っていたました。最近ではより目立ち、より分かりやすいデジタル掲示板=デジタルサイネージを活用しています。
 これによって、現場作業員間の作業指示や注意喚起なども大きな声を出して行う機会を減らすことができています。

No.9/作業時間の調整

 作業時間は、すでに説明しているように騒音規制法や振動規制法によって決められています。しかし、その時間内であっても早い時間帯、遅い時間帯の振動や騒音はクレームにつながることがあります。
 そのため、現場の周辺環境やそこに暮らす人たちの日常生活のパターンなどを見て配慮し、作業時間を工夫します。

No.10/家屋調査の検討

 近隣の家々に対して工事着工前に家屋調査を行って、家屋の状態を調べることがあります。これは、事前に家屋の状態を把握しておくことによって、もしも工事期間中に家屋の不具合の申し出があった際に、それが工事によるものか否かを見極めるためのものです。これによって、不具合の申し出が大きなトラブルに拡大することを回避できます。
 なお、家屋調査についてはこちらのコラムで詳しく説明していますので、参考になさってください。

解体工事で気になる振動。いつ、どんなときに起こるの?

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地盤状態は大丈夫? 解体前の家屋調査はとても重要。

No.11/各対策と施主様の経済的負担の話し合い

 ここで取り上げた対策の多くは、費用を伴います。できれば必要に応じた対策を取りたいものですが、施主様の経済的な負担を考えるとそうはいきません。
 そこで、周辺の環境とともに、その現場において本当に必要な対策とその費用等について、施主様と業者とで十分に話し合うことが重要です。

まとめ

 今回は解体工事における「振動」を中心に、その対策等を取り上げました。
 解体工事および建設工事では、騒音や振動は避けて通れないものです。だからといって何の対策も取らないでいいわけではありません。また、むやみにいくつもの対策を取り入れればいいものでもありません。

 マトイでは、振動や騒音に対する対策として大切にしていることがあります。それは「現場周辺の環境をしっかり把握する」こと、そして「基本的なことを丁寧に行う」ということです。
 わかりやすい例を挙げると、防音・防振・防じんの対策です。こういった機能を備えた養生シートを設置することは、大きな効果があります。しかし、その一方でコストがかかり、その負担は施主様に跳ね返ります。さらにせっかく高機能の養生シートを用いても、その使い方が雑であれば機能をじゅうぶんに活かしきません。
 なにより大切なことは、養生シートで解体する建物をしっかり覆うことです。こういった基本的な作業を丁寧に、しっかり行うことが大切であり、私たちマトイはまずその部分をしっかり行っています。また、そうすることで、施主様の負担の増加を抑えられます。
 マトイでは施主様、および解体工事を検討中の方々の立場になってさまざまなご提案をさせていただいています。どうぞ、お気軽にお声をかけてください。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
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