解体工事の廃材を再利用。思い出も残し、地球にもやさしい。
かいたいコラム 自宅や実家を解体するとき、すべてを撤去してなくしてしまうことに寂しさやもったいなさを感じる方は多くいらっしゃいます。実家のように多くの時間を過ごしてきた場所であればなおさらのことでしょう。たとえ、建て替えて新築する場合でも同様です。
そこで今回は、取り壊す家の廃材を再利用して、思い出や古い家屋のお気に入りだった部分を残して、心にも暮らしにも、そして環境にも優しく、暮らしを楽しむ情報をご紹介します。
解体現場から排出されるさまざまな廃材
解体工事と聞くと皆さんは、建物などのすべてを取り壊して撤去すること、そして取り壊されたものは、すべて廃棄されると思うかもしれません。しかし、必ずしもすべて撤去して廃棄するとは限りません。
廃材とは
解体工事の現場からは、たくさんの産業廃棄物が排出されます。これらは「廃材」ともいわれます。
解体現場から排出される廃棄物は、「建設リサイクル法」によって分別や処理方法が厳しく決められています。まず、しっかりと分別すること、そして決められたプロセスを経て再利用できるものは資源化するなどして再利用し、それができないものは適切な処理を行って廃棄します。
しかしなかには、この正しいプロセスを踏まずに不法投棄する悪質な産業廃棄物の運搬処理業者がいます。そういうことができないように、マニフェストと呼ばれる産業廃棄物管理票によって各段階を経て正しく処理されることを追跡し、見届けるマニフェスト制度が作られています。
解体現場から排出される廃材のいろいろとその再利用
解体現場から排出される廃材には、主に次のようなものがあります。コンクリートの塊、レンガ片、アスファルト片、木材、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずです。
コンクリート塊やコンクリート片、レンガ片などは処理場で粉砕処理された後、再生砕石に加工され、駐車場や道路の下に敷かれる路盤材として活用されます。
またそしてプラスチック類は、状態のいいものは衣類やプラスチック製品の原料として使われます。そうでないものは紙くずや木くずを混ぜて燃料に使われることもあります。これを燃料処理した際の排熱はエネルギーとして再利用されています。
石膏ボード類は建物の壁などに使われ、廃材の中でも比較的多いものです。これらはアスベストなど有害成分を含んでいるものは別にして、適切な処分が行われます。それ以外の物は、中間処分施設に搬送されたら細かく粉砕され、再生石膏ボードや地盤改良材などに活用されます。
そのほか、金属類や紙くず類、木材等のほとんどはリサイクルされます。
「廃材」といっても、実際に解体工事の現場を見る機会がない方々にはイメージしにくいかもしれません。こちらのコラムでは、廃材の意味やその処理に関連する法律等について説明していますので、ご覧ください。
廃材に新たな息吹を注ぐリデザイン、アップサイクルという考え
解体現場から排出される廃材の多くは、前述のようにリサイクルされています。
確かに現場で廃材の分類をしながら解体工事を進めるのは大変ですが、環境へのメリットを理解すると作業にも熱が入ります。
廃材が本来の役割を果たしていたときを知っている施主様は「何かに生かせないか?」と思うのではないでしょうか。そんな思いを形にする取り組みにつながる考え方があります。それは「リデザイン」や「アップサイクル」といったものです。
リデザインとは
これは「再設計」ということを意味しています。いろいろな分野や場面で「リデザイン」は使われていますが、建築の分野では、伝統的な工法やデザインの要素を大切にしながら、既存の建物等を現在の地域社会の環境やニーズに合わせてデザインすることをいいます。
リデザインは昔から存在している建物を、今の時代における新たな使命や社会的課題に対応する形にデザインすることです。これは持続可能性を実現する手法の1つといえるでしょう。
アップサイクルとは
リデザインは既存のものに手を加えて現代のニーズに合わせるのに対し、アップサイクルは廃棄されるようなものを再利用し、新たなものを作り出します。この一連のプロセスをアップサイクルといいます。例えば、着用しなくなったGパンをショルダーバッグに作り替えたり、古い家の大黒柱をダイニングテーブルにしたり、というようなことです。
リデザインとアップサイクルは異なるものですが、いずれも持続可能性を付加しながら新しいものを生み出し、環境への配慮を行うための取り組みです。
解体工事を検討中の方のなかには、「家のあの部分、気に入っているから新しい家に取り入れたいけどできるかな?」といったことを考えている方もいらっしゃるのでは?
そんな希望についても、マトイでは対応させていただいています。その場合の保存先や活用例など、参考になる情報もご提供できますので、お気軽にお声をかけてください。
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リデザインやアップサイクルの概念を活かした活用例
リデザインやアップサイクルの考え方は、さまざまな面で取り入れられています。その一部をご紹介します。
歴史のある古い建物をリデザイン
京都の伝統的な町屋をホテルにしたリデザインは有名です。居宅として使われていた当時の趣をそのまま生かすため、畳の空間や中庭もそのままにすることで京町屋の空間を楽しめるように造られています。
古材をレスキューして新たな行き場へ
解体する建物には、まだ使える柱や建材、建具などがたくさんあります。それらを買い取り、きれいに磨くなどして手を加えてオーダー家具に造り替えたり、そのままの状態で必要とする人に販売したりします。
手の込んだ建具類や古い梁などを、そういった業者に買い取ってもらうという選択もあります。もちろん、自分たちの暮らし用に取り壊す家の一部や古い家具を造り替え、使い続ける方法もあります。
古い家具や調度品をアートの力で蘇らせる
空き家からまだ使えそうなタンスや置物などをピックアップして、アーティストと一緒にアップサイクルする例もみられています。例えば、木彫りの熊の置物は、多くの家にあるのではないでしょうか。一見、似たように見えるクマの置物も、アーティストの手を通してアップサイクルされることで、他の熊の置物とは違った個性を放つものに生まれ変わります。
このように、どこの家にもありそうなものが、アートの力を加えられることによって、現代の生活空間に蘇るものになります。
家屋の一部の端材をアクセサリーなどにして身近な存在に
家屋の一部をアクセサリーや生活雑貨に変えて、その思い出の記憶を身近に置くというアップサイクルの方法もあります。
本来ならば引き継いで自分の家で使いたい、新築する新しい家に取り入れたい、と思うものがあるでしょう。しかし、スペースや費用などの関係から、必ずしもその思いをかなえられるとは限りません。
そんなとき、残したいもの・引き継いで使いたいものの一部をアクセサリーや雑貨に作り変えることで、その思いをかなえられます。例えば、家族の背丈が刻まれた柱の一部分を切り抜いて卓上や棚に置くルームアクセサリーなどにすることも考えられます。
新たな視点で解体工事の廃材を再利用
そもそも解体工事では建設リサイクル法に基づいて、廃材のリサイクル・再資源化を進めることで廃材の有効活用を行い、環境問題の改善を図ることが大きな目標になっています。ですから、リデザインやアップサイクルなどの考え方を生かしながら廃材を再利用することは、その目的に合致しています。
では、具体的に解体工事で廃材となりうるもので、私たちの暮らしのなかで再利用できるものとしてどのようなものがあるか、そしてそれらにどのような再利用の活用例があるか考えてみましょう。
再利用可能な廃材とその活用例
再利用が可能な廃材としては、床柱・柱木・梁などの木材、窓ガラス、欄間や建具類が多くみられます。
床柱・柱木・梁
太さや長さなどの条件もありますが、これらのサイズが合えば新しく建てる家の床柱や柱木としてそのまま利用することは可能です。
そのほかには、大黒柱などは板材にして棚板やテーブルなどに造り替えることができます。
窓ガラス
そもそもガラスは、昔から再利用されてきました。製品化されてその役割を終えたガラスは、細かく砕かれて原料となって、新たなガラス製品や道路や建材の材料として使われてきました。それは現在も変わりなく続いています。
しかし、とくに古い家屋に使われているガラスには、手作りの風合いのあるものや模様が入ったデザインガラスなどが使われていることが多くあります。
その場合、古い家に使われていた窓ガラスを新しい家の明かり窓や棚の飾り窓などに利用できます。
欄間や建具
繊細な彫刻や組細工が施された欄間や建具には、今ではなかなか手に入れにくいものがたくさんあります。
そんな欄間や建具を再利用したいと考える人は多くいます。
飾り棚の扉に加工したり、室内のはめ込み窓に取り付けたりすることで、それ以前とは違った和モダンの雰囲気を作り出すことができます。
解体後の木材の再利用やその際の注意等について、こちらのコラムでも取り上げています。どうぞご覧ください。
廃材を再利用する際の注意点
廃材を再利用することは思い出を大切に引き継ぐとともに、環境負荷の軽減や持続可能な社会環境を作ることに一翼を担います。しかし、施主様にとってリスクがまったくないとはいえません。その点も含めて、廃材を再利用する際に注意しておきたい点について説明します。
最初の段階から廃材を再利用することを業者に伝えておく
廃材を再利用する場合には、解体工事着工前の打ち合わせの段階から業者に伝えておきましょう。工事が始まってからだと再利用したいと思っていた柱や建具などがすでに撤去されていたり、傷がついていたりする可能性があります。
また、再利用するものがある場所や種類によって、その部分を撤去したり、解体工事の進め方を変更したりする必要があり、解体計画の調整も必要になります。
廃材の保管場所や加工処理費用を予算に組み入れておく
再利用する廃材は、解体工事の際に撤去してすぐに再利用に向けた工事等にかかれればいいのですが、なかなかそうはいきません。多くの場合は、撤去してから実際に再利用のための工事に取り掛かるまで倉庫などに保管し、取り付け工事の段階になったらその場所に運び込み、工事を行います。そのため、保管費用や移送費、そして加工費用などが必要になります。これらの費用がどのくらいかかるか見積って予算に組み込んでおく必要があります。
新たな利用目的を明確に
再利用には前述のような費用が必要になります。それは、単に思い出を大切にしたいといった思いに見合う負担かどうかといったことがあります。思い出を大切にするほかにどのような目的があって、どのように利用したいのかを明確にしておくことが必用です。それによって費用対効果のバランスが取れた取り組みになります。
日々の暮らしの快適さを検討しながら再利用
また、廃材を再利用することで、日々を快適に暮らせるようになることが大切です。
せっかく思い出の床柱を再利用したものの、「違和感があって落ち着かない」なんてことがあってはいけません。
周囲の環境との調和を図る
さらに取り付ける場所の壁や内装などと調和していることも大切です。そのためには、取り付ける場所、室内全体の雰囲気との調和が取れたデザインであることも重要です。
廃材等の再利用以前に、解体工事本体の費用やその後の土地活用などさまざまな費用が必要になります。それらを含めて事前の予算計画は大切です。こちらのコラムでは、平屋を例に解体費用の目安や費用負担を軽減する方法について紹介しています。どうぞ、お読みください。
まとめ
家の解体に際して、「思い出が消えてしまう」と感じて寂しさや辛さを感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、今回のコラムをお読みいただくなかで、大切な思い出や記憶をとどめておく方法がいろいろあることをご理解いただけたのではないでしょうか。
マトイでは解体を単に“建物を取り壊す” 作業ではなく、そこに積み重ねられた“家族や働く人たちの記憶を次世代に繋げる”作業だと考えています。
解体をご検討中の方で、思い出等を残したい、これまでの家族の歴史を解体後の土地活用などに生かしたいとお考えの方も、どうぞマトイにご相談ください。マトイでは解体工事だけでなく、解体前後の計画などのお手伝いもさせていただいています。お気軽にお声をかけてください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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