家の解体 安くする方法・ラクする方法
かいたいコラム 解体工事の費用はできるだけ安く抑えたい…。そのために「自分たちができることはなるべく自分たちでやろう」と思っても、仕事や時間の都合でなかなか行動できない人もいらっしゃることでしょう。なかには「費用がある程度かかっても、できるだけ自分たちの手間を省きたい」という方もいらっしゃいます。
さまざまな考えがあるなかでも多くの方が共通して思われる、「費用をできるだけ安くしたい」「なるべく自分たちの負担を減らしたい」という気持ちに役立つ方法をご説明します。
いくらかかる? 最初に知っておきたい家の解体費用のこと
気になる解体工事費用は坪単価によって計算されます。
この坪単価とは本体工事費に、解体によって発生する瓦礫などを処分する廃棄処分費を合わせた1坪当たりの工事単価です。これは建坪の広さはもちろん、建物に使われている建材や地域によっても大きな違いが出てきます。
一般的に表にあるように木造よりもコンクリート造の家の方が費用は増えます。これはコンクリート造の方が丈夫で解体に必要な機材が多く、手間もかかるからです。そして地方よりも都会の方が解体費用は高くなります。さらに敷地内にあるもの(門扉、フェンス、庭木、倉庫、カーポート、施主様が処分しきれないままの残置物)の有無も費用に大きく影響してきます。
そこで、気をつけるべき点は、相場として挙げられている価格は“建物を解体する工事本体価格”だということです。あくまでも建物を壊す費用と、それによって発生した廃棄物の処理費用を合わせた価格です。
工事が始まる前に設置する足場やシートで建物を覆ったり、重機を利用したり、メインの建物以外のものを撤去したり、といった費用は、坪単価をかけて出てきた解体工事の本体価格とは別に加算されます。またメインの建物以外で発生した廃棄物の処理費用も追加されます。
〈解体費用の坪単価〉
木 造 | 30,000円/坪~ |
鉄 骨 造 | 40,000円/坪~ |
RC造(鉄筋コンクリート) | 50,000円/坪~ |
解体費用を高くする原因は?
解体費用を高くする原因となるものはいろいろありますが、大きなものとしては次の3点があります。
【建物の大きさと構造】
前項でも触れましたが、木材よりも鉄骨や鉄筋コンクリートで造られた家は、解体するために重機が余分に必要になったり、その搬送に準備が必要になったりします。また解体に手間もかかるため、木造よりも鉄筋コンクリート造では、解体費用が2倍近くになります。
【周辺の道路や建物の状況】
幹線道路から解体工事現場へと入る道が狭い、住宅密集地で見通しが悪い、となると通行する人や車の安全を守るために、警備スタッフを余分に配置することになります。また住宅密集地では念入りな防塵や防音の対策が必要になります。
【家屋内や敷地内に放置されているものの量】
家や物置内にある家財道具や電化製品など、「どうせ要らないから…」と、そのままにしておくと最終的な廃棄物の量が増えて、結局、廃棄処分費用がかさみます。
解体する?しない? 決定は先延ばしにしないほうがお得
もし、この記事をご覧の皆さんのなかで、空き家を抱えている方がいらしたら解体について考えることをお勧めします。
【維持費の負担】
その家を使用している、していないに関わらず、固定資産税がかかります。その家がある地域や広さにも違いがありますが、これは馬鹿になりません。そのほかに水道代や電気代などの維持費も必要です。
空き家となった実家を放置していた知人がいました。1年過ぎたころ、ご近所から苦情があり、久しぶりに空き家になった実家に行きました。雑草だらけになった庭にはごみが捨てられ、家に入ると座敷にカップラーメンやたばこの吸い殻などがあってびっくりしたそうです。どうやら空き家になっていることを知って、他人が入っていたようです。
その後、庭や室内をきれいに整え、定期的に通っているそうです。が、その交通費や諸々の維持費に年間30万円近く、さらに固定資産税が加わり、知人は真剣に解体するか、生活拠点をその家に移そうかを考えています。
【名義人が親御さん・ご親族の場合、起こりうる「権利凍結」】
空き家の持ち主がご高齢の方で、認知症などで判断力がない場合には、相続や売買などの不動産契約は無効となり、権利は凍結してしまいます。そうなると、その方が亡くなるまで、どうすることもできなくなります。
【相続時の負担】
一般的には家屋の名義人が亡くなられると、その方の子どもが家を相続します。ところがお子さんが複数名いる場合、家のほかに多額の負債があってそれを相続しなくてはならない場合、または、家の資産価値が低く解体や修繕にかなりの費用がかかってしまう場合など、相続に負担が伴う際は親族内のもめごとの原因となります。
名義人の権利凍結の場合と同様に、できれば名義人の方の判断力がしっかりしているときに、家をどうするかしっかりと家族間、もしくは親族間で話し合っておきたいものです。
【避けたい、「特定空き家」の認定】
「特定空き家」ということを聞いたことはあるでしょうか。空き家を長い間放置したままで、倒壊の危険性があるほど傷んでいる、害虫や悪臭などが発生して不衛生な状態であるといった空き家は、自治体から特定空き家として指定されます。その後、持ち主に助言・指導が行われますが、それに従わないと勧告を受けます。勧告を受けると、固定資産税は6倍に、都市計画税は3倍に引き上げられてしまいます。それでも放置していると50万円以下の罰金、それ以降も放置していると行政代執行で解体されその費用は所有者に請求されます。これは決して免責されることはありません。空き家をもっている人にとっては、何としても避けたいことです。
※2021年7月現在の情報です。
先延ばしの3大理由は「お金がない」「面倒くさい」「時間がない」?
解体をついつい先延ばしにする理由に上記の3点が見られます。しかし、この3つの理由については対策や考え方を変えることで解体への行動がとりやすくなります。
【お金がない】
自治体の補助金を利用したり、金融機関のローンを活用したりする方法があります。役所や金融機関に問い合わせることで詳細が分かります。
【面倒くさい】
まず解体しないでいることのデメリットを思い描いてください。それからサポーターを作ります。これは、解体業者です。解体工事の依頼を決定する以前から、いろいろと相談し相見積りを提案してもらいましょう。そうした関わりを通じて、対応や提案内容、ご自身との感覚のフィット感などから業者を選ぶと、さまざまなことを相談できる心強いサポーターになります。私たちマトイでは、依頼を受ける以前からその気持ちで皆さんの相談にお応えしています。
【時間がない】
どうしても時間が作りにくいときには、そのうえでできること・できないことを、解体業者の人と相談しながら考えてください。きっと施主様の負担を少なくするためのさまざまな方法を提案してくれるはずです。
更地にするメリットとデメリット
建物を解体して更地にすることには、メリットとデメリットがあります。
まず、更地にした方が比較的よい価格で買い手が付きやすいという大きなメリットがあります。また、庭や建物のメンテナンスの手間も少なくなります。
しかし、更地にすると固定資産税が高くなる場合があります。これについては、「小規模住宅用地の特例」といって200㎡(約60坪未満)の土地の場合、固定資産税を1/6まで減額するという優遇措置があります。更地にした後に、その土地の売却先が決まっている場合は問題ないですが、そうでない場合はこの点に注意が必要です。
また、建物が建っている地域が「市街化調整区域」といって公的施設やインフラ施設の整備に使用する予定地だと、新たに建物を建てたり増築したりできません。
こういったことも解体工事をするかしないかを判断する材料になります。
お金の問題はこうしてクリア
お金の問題は何をするにしても、大きな課題の一つです。しかし、この問題の解決策が見つかれば、計画を行動に移せる目途が立つはずです。ここでは、その方法をご紹介します。
解体費用を安く抑えるための2大鉄則
100万円近く、もしくはそれ以上の費用がかかる解体工事、できれば少しでも安くしたいものです。そのため方法がいくつかあるなかで、「複数の業者から相見積もりを取る」ことと、「残置物をゼロに近いほど少なくする」ことは、鉄則ともいえる大きなポイントです。
【複数業者から相見積りを】
どの業者に依頼するかは、最低でも2~3社の業者から相見積りを取って決めるようにしましょう。業者によって価格が異なるので、その違いはどこから来るのかをきちんと調べて内容と価格、そして対応が納得できるところに決めるのがベストです。
【残置物を少なくする】
残置物とは、家の内部や庭や家の周囲にある家具や食器・家電製品等の不用品をいいます。これらの処分費用は見積りに含まれることもありますが、その量によって追加請求される場合もあります。ときにはその処分だけで数十万円もかかることも。
解体工事が始まるまでに自治体のごみ回収日や粗大ごみの回収サービスなどを使って、できるだけ自分たちで処分して少なくしておくと費用がかさむのを防げます。
補助金を賢く活用
空き家を解体したり、解体して新築したりする際の助成制度がある自治体があります。解体工事を考え始めたら、そういった制度も調べて利用しましょう。また、解体の助成はないものの、倒壊しそうなブロック塀の撤去などに補助金が支給される制度もあります。
自治体によって助成制度は変わります。また、期間の限定があることも多いです。詳しくは解体する建物のある自治体にお問い合せください。
ローンを上手に活用
解体費用の支払いは、工事前に手付金を支払って工事終了後に残金を支払う方法と、一括で支払う方法があります。でも額が高額になるために、「ローンを組めたらいいのだけど」と思う方もいらっしゃることでしょう。では、どのようなローンが可能か説明します。
【空き家解体ローン】
その名のとおり、空き家を解体することに対しての融資している金融機関があります。空き家対策の一環としてのローンですから、融資額はさほど高額ではありませんが解体工事費用としては間に合う金額です。このローンのなかには、自治体によって融資の支払い利子が助成されるものもあります。
【住宅ローン】
これは家を新築する前提で古い家の解体費用も含めて融資が受けられるものです。その場合、解体も新築も同じ業者に依頼することになります。ただ、建築会社に解体も依頼すると、別会社に解体を発注して中間マージンを多くとられる場合があります(分離発注といいます。詳しくはマトイの費用ページもご参照ください)。その点の注意が必要です。
【フリーローン】
目的を限定しないため、解体工事にも利用できます。住宅ローンと比較すると借入金額が低いのですが、解体工事だけならば賄えます。しかし、利子が高い傾向にあるので、最終的な返済額がどのくらいになるかをしっかり確認することが大切です。
ライフスタイルに合わせて解体工事をラクして楽しむ方法
解体工事は施主様にとっては大きな仕事で大変なことです。でも、少し考え方と方法を変えると、負担を軽く、楽しむきっかけもできます。そのためのご提案をさせていただきます。
施主様が関わる部分をコンパクトに
解体工事のすべての段階に関わろうとすると大変。自分ができること、業者に任せられること、打ち合わせはメール等を利用してできるだけ回数を減らすことを解体業者と話し合ってください。そして予算とのバランスを図りながら業者に委任できる部分は任せることもポイントです。
私たちマトイでは施主様の労力が最小限になるよう、施主様のご都合を尊重しながら工事を進めています。
休日やフリーマーケットなどを利用してレジャー化
不用品を自分たちで処分することも費用を増やさない大きなポイントです。でも、これが大変。時間もかかるし、体力も必要です。「まだ使えるかも」との迷いも出てきます。
この部分をレクリエーションのように楽しんではどうでしょう。自分たちは使わないけれど、まだ使えそうなものを「我が家のお宝大作戦」としてフリーマーケットやフリマアプリなどに出店します。どのような価格がつくかわくわくしませんか。そんな品を探しながら、不用品を分類・処分していきます。ただし時間に余裕が必要なので計画的に進めましょう。
家事代行サービス等を利用してラクしましょう
「レジャー気分でなんて無理」、と思う方は家事代行サービス等を利用してはどうでしょうか。不用品を地域のごみ回収に出せる状態に分類してまとめてもらったり、ゴミ回収日などにゴミ出ししてもらったりと、施主様の都合に合わせて利用します。株式会社マトイでも対応していますので、お気軽にご相談ください。施主様はずいぶん楽になるはずです。
寄付システムを利用して社会貢献しながら不用品処理を
最近は、NGOやNPOなどの団体が不要になった衣類・雑貨・玩具などを集め、国内の就労支援と海外協力を目的にした活動が盛んです。そうした団体に、不用品を送って社会貢献の一助にする方法もあります。
リサイクル家電は正しく処分
不用品を処分する際、エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)、冷蔵後・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は処理方法に注意が必要です。これらは家電リサイクル法によって使える部分はリサイクルし、廃棄物減少と資源の有効利用をします。
新しいものに買い替える場合は、新しい製品を購入するお店で引き取ってもらえます。そうでない場合は、購入したお店がわかっていればそのお店に引き取りを依頼します。わからない場合は、各自治体の方法に沿って処分します。なお、処分方法は自治体ごとに異なり、リサイクル料金はその家電の製造メーカーによって異なります。ですから処分の際は製造メーカ名を確認しておきましょう。
リサイクル買取り業者の利用とその際の注意点
リサイクル買取り業者は、不用品や粗大ごみを出張回収してくれます。利用することで、ゴミを収集場所にもっていく、粗大ごみを処理場まで持ち込む、ということをしなくてすみます。また業者によっては高価買取りしてくれるところもあるので、買取り料金によって回収費用を抑えられることもあります。
とても便利な反面、「無料といっていたのに料金を請求された」「追加料金が発生して高額な料金になった」「不法投棄されていた」などのトラブルもあります。トラブル回避のため、以下の点に注意してください。
*不用品の回収・処分に必要な「古物商許可」「産業廃棄物収集運搬」「遺品整理士」などの資格や許可を得ているか確かめる。
無料回収や極端に安い料金の業者に対しては、とくにしっかり確認。
*回収を依頼する際は見積りをもらう。その内容がわかりやすいか、費用の計算方法が明確かなどを不明点や請求金額とともに確認。
*複数の不用品回収業者から相見積りを取って比較・判断する。
*見積り時より回収物が増加したとき以外は、見積り額以上の請求がされないことを確認しておく。
*回収したものの行き先を聞き、それがきちんと説明できることを確認しておく。
まとめ
費用のことや「行わなくてはならない」ことばかりが念頭にたって、不安や負担が先に立ちがちな解体工事ですが、費用を安く抑える方法やラクする方法、楽しむ方法はあります。
私たちマトイでは、“解体工事はそれまであったものをフラットな状態にして次のスタートを切る土台造り”、と考えています。次の段階に進むためのスタートが、施主様にとって気が重いものであってはいけません。私たちスタッフ一同は知恵と力、そしてネットワークを活かして施主様をバックアップします。是非、一度無料お見積りフォームよりご相談ください。
記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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