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墓石解体に至る墓じまいのプロセスを解説

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 私たちは解体工事業者としてさまざまな建築物の解体を行っています。意外かもしれませんが、そのなかには「『お墓』を解体してほしい」というご依頼もあります。
 聞かれた方は驚くかもしれません。が、さまざまな分野で”多様化”が注目されている現在、供養の方法やお墓の在り方、そしてお墓の解体にも多様化の波が訪れているのを感じます。
 今回は最近増えつつある「墓じまい」と、それに伴う「墓石解体」について解説します。
※一般的な仏教のお墓についての説明です。お墓については宗教、宗派により様々です。

「墓じまい」はお墓の引っ越し、またはご供養の形の変更手続き

 「墓じまい」という言葉を聞いたことはありますか? 
 二世帯、三世帯で暮らすことが当たり前だった時代は大家族で、周辺には親せきもおり、ことあるごとに集まったり、助け合ったりして暮らしていました。しかし、そういう環境は徐々に変化して核家族が当たり前となり、少子化が進んでいます。現代では、以前のように実家や代々のお墓を継承することが難しくなっています。

知っておきたい「墓じまい」とは

 そのような環境において墓じまいを考える人は増えてきています。
 墓じまいとは、それまでにあったお墓を撤去して処分することです。
 お墓が建っている場所は、お寺や霊園等の土地の使用権を借りている形で、そこの土地を購入しているわけではありません。そのため、墓じまいの際は、そこにある墓石や遺骨などを撤去して、更地の状態に整えてお寺や霊園の管理者に戻します。
 ただし、墓石を撤去して更地に戻すだけでなく、お墓から取り出した遺骨を次の供養先に納めること、撤去した墓石をきちんと処分することで墓じまいが完了したことになります。

増加傾向にある最近の墓じまい事情

 お墓参りに出向くと、それぞれの墓地・霊園内に墓を管理する親族がいなくなったのか、荒れ果てたお墓を見かけます。
 厚生労働省の統計調査によると、「無縁墳墓等の改葬」は年々増えていて、2007年度から2016年度の10年間で計35,383件、年平均約3,500件あります。これはお墓の管理を引き継ぐ人が不在、もしくは連絡がつかないために無縁墓(無縁仏)ということで墓地・霊園管理者が墓を撤去し、ご遺骨を共同供養塔などに納めたものです。
 また、お墓を承継する人がいないために、お墓の持ち主自身が事前に責任をもって処理したり、承継者が管理しやすいところに改葬するのも2007年が73,942件であるのに対し、2016年には97,317件と増加し、132%となっています。
 こうした背景には、お墓を継ぐ人がいない、継いだ人が暮らす場所とお墓が離れていて供養や管理することが難しい、ライフスタイルや経済的な理由、等があります。

墓じまいの締めくくりである墓石解体までの流れとポイント

 では、実際に墓じまい・墓石解体までは具体的にどのような流れで進めていくのでしょうか、そして中心となって墓じまいを進める方はどのような点について注意・配慮が必要になってくるでしょうか。それらについて説明します。

墓じまいの流れ

Step1:お墓の名義人・親族に相談。
Step2:現在の墓地管理者・寺院に墓じまいについて相談。墓石解体を依頼する石屋または解体業者も決める。
Step3:移転先となる墓地・霊園を決める。
Step4:現在、お墓がある市町村役場から「改葬*許可申請書」を発行してもらう。
Step5:現在の墓地管理者から「改葬許可申請書」に署名・捺印をしてもらう。
Step6:改葬許可申請書、受け入れ証明書が揃ったら申請者の身分証明書のコピーとともに役所に提出し、「改葬許可証」を発行してもらう。
Step7:移転先となる墓地・霊園に「改葬許可証」を提出し、「受け入れ証明書」を発行してもらう。この改葬許可証が発行された時点で、墓地から遺骨を移動できるようになる。
Step8:お墓の閉眼法要を行う。閉眼供養とはお墓に宿ったとされる仏様の魂を抜いて墓石をただの石に戻すためのご供養です。
Step9:遺骨を取り出し、墓石の解体工事を行って更地にして墓所を返還する。
Step10:改葬許可証をもって遺骨を改葬先に納骨。
*「改葬」とは、遺骨を別の墓地に移したり、永代供養墓地などに移したりすること。

 以上のステップは改葬することを主に説明を進めています。
 しかし墓じまいを考えている方のなかには、散骨や手元供養を考えている方もいらっしゃるでしょう。その場合は、改葬許可は不要とされています。しかし、その自治体によっては改葬許可申請して改葬許可を受けることを必要とするところがあります。また、散骨する場合などは、手元供養用にご遺骨の一部を残していたのを後に埋葬することがあります。その場合は、改葬許可証または埋葬証明書などの書類が必要となります。
 どのようなご供養方法を選ぶかによらず墓じまいを考える際は、一度、自治体の窓口に相談するといいでしょう。

墓じまいをスムーズに進めるポイントはご家族・ご親族との話し合い

 「何事も出だしが肝心」とはよくいわれることです。墓じまいにおいても同様のことがいえます。そのために最初に行っておきたいことは、ご家族・ご親族、現在のお墓があるお寺のご住職・霊園の管理者との話し合いです。話し合いの内容は、「墓じまいをしようと思っている」こと、そして「次のご遺骨の供養方法」についてです。
 お墓はご家族やご親族にとっては、精神的な拠り所や亡くなられた方々を思う場所でもあります。お墓を継いでいる人は知らないけれど、もしかしたらお参りに来てくれているご親族がいらっしゃるかもしれません。事情を理解せずに、代々のお墓を撤去してしまうことに反発する方もいらっしゃるかもしれません。
 行動を起こす前のこの話し合いを省いて墓じまいをすると、こうした方々の不満が引き金になって後々にトラブルを引き起こし、お付き合いにわだかまりができかねません。それとともに菩提寺として長くお付き合いしてきたお寺とは、ご住職も親身に思ってお付き合いしてきたはずです。誠意をもって墓じまいを決断するに至った事情と感謝の気持ちを伝えて、お墓を撤去する相談をしてください。

墓じまいに必要な書類について

 墓じまいを進めるには、次の書類が必要です。

【改葬許可申請書】
 お墓を移動させるための許可を得るための申請に必要な書類です。現在、お墓がある市町村役場の窓口、もしくは役所のホームページからダウンロードして入手できます。
【受入証明書】
 ご遺骨の引っ越し先となるお寺や霊園で、受け入れを証明する書類です。これによって新しく納骨場所があることを証明されます。用紙は受け入れ先となるお寺や霊園でもらえるほか、役所の窓口やホームページからもダウンロードして入手できます。また、「墓地使用許可証」でも可能とする自治体もあります。
【埋葬証明書】
 遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。現在、ご遺骨が納められているお墓がある寺院・霊園の管理者によって発行されます。ご遺骨1体につき1通必要となりますが、その寺院・霊園によっては1枚の用紙に複数のご遺骨について記載できる場合もあります。
【 注 意 】
 改葬申請者とお墓の名義人が異なる場合、改葬許可申請書とともに改葬承諾書が必要です。これはお墓の名義人となっている人が、改葬や墓じまいを承諾していることを証明する書類です。例えば、お墓の名義人となっている親御さんがご高齢でお墓の管理や手続きができない、病気などの理由で離れて暮らすお子さんの家に同居する、などの事情があって改葬する場合です。

墓石解体までにかかる費用について

 墓じまいでは、さまざまな段階を経てご遺骨を新たな供養先に納め、元の墓石を解体して墓所を更地に整地してお寺・霊園にお返しして終了となります。
 あらためて、どのような費用がかかるかを見てみましょう。

【行政手続き費用】
 改葬を行う際に必要な改葬許可証や埋葬証明書の発行に伴う費用。
【墓石の撤去費用】
 墓石を撤去するための費用で墓所の広さ・造られ方、墓石の種類・量・大きさなどによって異なる。
【出骨作業】
 お骨をお墓から取り出す作業にかかる費用。ご遺骨1体ごとに料金が必要。
【閉眼供養のお布施】
 お墓には仏様の魂が宿っていると考えられています。そのため、墓石をただの石にするために僧侶が読経を行います。その謝礼としてお布施が必要となります。
【離檀料】
 お寺の墓地にあるお墓の場合、そのお寺の檀家がお寺から離れて別の場所に改葬することになります。離檀料とは、この檀家を離れるための料金です。
【遺骨移送料】
 ご遺骨を新しい供養場所に移す際の移送費用で、ご遺体1体ごとに費用が必要です。なお、移送距離が長くなった場合は追加費用が発生する場合があるので、事前に業者に確認しておきましょう。
【納骨料】
 ご遺骨を取り出した後、新しくご遺骨を納める墓地、永代供養墓、納骨堂などへ納骨します。この際は「閉眼供養」に対して「開眼供養」というご供養を行い、お布施が必要となります。

 墓じまいに伴っては以上のような費用が必要になってきます。しかし、もともと納めていたお墓がお寺の墓地か公営の霊園であるか、宗派、墓じまい後のご供養をどのように行うか、もともと納められていたご遺骨の数など、諸々の条件によってかかる費用の相場も実際の費用も異なります。
 また、上記のほかにご親族やお寺との相談や業者との打ち合わせにかかる費用や、出骨後のご遺骨の手入れなどにも費用が必要になります。取り出されたご遺骨は骨壺に納められていても、長年の風雨などによってカビが生えていたり、泥や枯葉などで汚れていたりします。そのため、新たに納骨する場合、その供養方法に関係なくきれいにすることが必要です。
 こういったことから、実は墓じまいこそかかる費用の幅は大きく、一概に「相場は~くらいです」とはいえません。それぞれのお墓の状況に合わせて、お寺のご住職や霊園の管理者に相談し、業者に見積もりをしてもらうことが大切です。私たちマトイでもそうしたご相談に無料で対応させていただいています。

墓じまいはしっかりスケジュールを組んで進めよう

 このように墓じまいはさまざまな段階を踏んで進めます。また、相談したり、連絡調整したりする先がいくつもあります。
 まず、最初にご親族の方々への相談、お墓があるお寺や霊園への連絡・相談、新しいご供養方法を検討してそれに合わせた墓地・霊園の連絡・手配、書類手続きを行う市町村役場への問い合わせや手続き、そして墓石解体を行う業者の選定や依頼……。実際の行動を思い描くだけでも汗をかきそうです。
 毎日の暮らしをしながらこれらを進めていくことは本当に大変です。それだけに、普段の生活への影響をできるだけ少なくするためにも、しっかりとスケジュールを組んで計画的に進めることをお勧めします。その際、無理せず余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。たくさんの方々への連絡調整をしながら進める墓じまいは、時間が必要です。焦らずに進めてください。
 マトイでも墓じまいのお手伝いもさせていただいていますが、なかには途中で親戚の方からストップが入ったり、お仕事の都合で計画通りに進められないという事態になったりすることがあります。そのようなときは、墓じまいを計画なさっている方とマトイとで一緒に考えながらアドバイスをさせていただいたり、スケジュールを調整したりしています。

“ どうする? どうなる? ”墓じまいに伴う素朴な疑問

 墓じまいには「お墓を処分する」ということに対する罪悪感のような感覚や、「一度納骨したお骨を出す」ことへの抵抗感、墓じまい後のご供養の不安などが伴って、なかなか行動に移せない、という方もいらっしゃいます。まずは、これらの不安が少しでも軽くなるよう、墓じまい後の墓石やご供養について説明します。

解体後の墓石はどうする?

 これまでお墓参りのたびに手を合わせていた墓石がどのようになるか、いくら閉眼供養をしたとしても気になる点です。
 結論からいうと、墓じまい後の墓石は産業廃棄物として処分されます。墓じまいでは、表に出ている墓石はもちろん、その下にはコンクリートや石材で造られた納骨室もあります。それらも含めて解体されて、処分されます。
 ですから、正しく廃棄処分する業者を選ぶことが大切です。そのためには、依頼の際に産業廃棄物の許可について質問し、解体終了後にマニフェストが発行されることも確認しましょう。これらのことに対して、はっきり答えられないような業者は廃棄処分をしっかり行っていない可能性があるので避けた方がいいでしょう。
 解体後の墓石は、重機によってある程度の大きさに粉砕されます。粉砕された墓石は多くの場合、「下層基盤材」として小石ほどの大きさにさらに粉砕され、道路工事でアスファルトの下に敷く材料として使われます。また、細かく粉砕しないで、再加工し、お墓を装飾する灯篭などに加工する場合もあります。
 なお、墓石の買い取り制度はありません。

墓じまい後のご遺骨のご供養はどうする?

 墓じまい後のご遺骨のご供養について、どのようにしようかと迷われる方も多いと思います。ご遺骨は、必ずしもお墓に入れなくてはならないという決まりはありません。そして、墓じまい後のご供養の形にはいろいろは方法があります。以下に、一般的に行われているいくつかの方法について説明します。

【一般墓への改葬】
 自宅の近くのお寺の墓地や霊園に、新たにお墓を建立してそこにご遺骨を移します。管理や墓参が楽になる、ご夫婦の両家のご遺骨を一緒にしてご供養できるなどのメリットがあります。しかし、新たにお墓を建立するために、費用がかかります。
【永代供養墓】
 永代供養墓は、他の方のご遺骨と一緒に納骨する合祀型と、個別の区画に納骨できる個別型があり、そこのお寺や霊園にずっとご遺骨の管理を任せられます。そのため、後にお墓を継ぐ人を考える必要がありません。
【納骨堂】
 ご遺骨を納めるための収蔵スペースを備えた建物をいいます。ロッカー型、仏壇型、自動搬送型、位牌型などさまざまな形態があり、利便性の良い土地柄や屋内にあるために天候に左右されずにお参りできます。
【樹木葬】
 「自然に還る」という発想で、墓石ではなく樹木や草花を墓標としてその下に埋葬する形式です。永代供養で継承者や管理費はかからないことが多いのですが、時に管理費等が必要なところもありますので、事前の確認が必要です。
【手元供養】
 これはご遺骨のすべて、もしくは一部をご自宅で保管してご供養することです。最近ではご遺骨の一部を指輪やペンダントトップなどにして常に身に付けることもできるようになっています。なお、手元供養の場合、ご供養していた方が亡くなられた際、残されたご家族やご親族にご自宅でご供養されていたご遺骨の対処が必要になることがあります。その場合はどうしたらいいかを考えて、ご家族やご親族に伝えておくとよいでしょう。
【散骨】
 ご遺骨をパウダー状(2mm以下)に細かく砕いたものを、海・山・川などに撒く方法です。これは自治体によっては禁止していたり、場所の制約が設けられていたりしますので、必ず事前に確認が必要です。

まとめ

 墓じまいやそれぞれのご供養の形には、行政手続きなどで決まりごとはありますが、それ以外の部分では「こうしなくてはいけない」というものはほとんどありません。何よりも大切なことは、亡き人の魂を弔う気持ち、ではないでしょうか。
 「墓じまいの流れ」の項の初めに「ご家族・ご親族、お寺のご住職への相談・話し合いを」ということを書きました。それは亡き方への想いは、皆さんが同じように抱いている気持ちであり、お互いに相手の方々の気持ちも大切にするためでもあります。
 是非、墓じまいを機に、残されたご親族の方々が納得できる形で新しいご供養の在り方をスタートできれば何よりです。私たちマトイも、そのお手伝いを受け付けております。具体的にすぐに墓じまいをするのではなく、「参考程度に話を聞いておきたい」ということでも、どうぞお気兼ねなくお声をかけてください。
 是非、一度無料お見積りフォームよりご相談ください。

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
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