コンクリート基礎の解体工事で“損しない人”が知っている3つのこと
かいたいコラム
※弊社コラムに記載の価格は執筆当時のものであり、現在の価格とは異なる場合があります。
建築物の解体費用は、高額になることが多く、特に注意が必要です。なかでも特に費用がかかる部分が基礎解体です。
今回は、解体費用全体に大きく影響を与える基礎について、その種類や解体作業の流れ、解体費用の相場などについて説明します。
基礎解体工事で損をしない人が知っている3つのこと
“損をしない”とは、単に解体費用を安く抑えることではなく、適切な価格で良質な工事ができることを意味すると、私たちは考えます。
施主様の立場からいえば、業者から提示された見積り書の内容を的確に把握し、その額が適切か、それとも相場より高すぎるのかを判断し、必要に応じて業者と交渉ができることではないでしょうか。
そのために施主様が知っておきたいこと、まさに損をしないために必要な知識として次の3つが挙げられます。
1.基礎解体がなぜ高いのかを知っている
建物の解体は、建物本体部分の解体と基礎部分の解体に分かれます。
解体費用は本体部分と基礎部分の解体を併せた金額になります。ただ、基礎部分の解体費用は建物部分の解体費用よりも高額になることがあります。
基礎部分の広さ、基礎の種類などによって解体費用全体が変わってきます。
2. 基礎解体の費用の相場を知っている
解体しようとする建物がどのような基礎なのか、そして基礎の種類ごとに異なる解体費用の相場を把握しておくことで、建物本体にかかる解体費用と基礎部分の解体費用の割合が、大まかにでもつかむことができます。
3. 価格交渉や解体費用を安くするために必要なことを知っている
価格交渉や解体費用を安くするためのコツは、見積りをとるための現地調査の段階からあります。
この点を踏まえ、最初の段階から実行すれば、適正価格で解体工事を進められるでしょう。
解体工事と一言で表現しても建物はもちろん、今回のテーマである基礎、内装、外構などいろいろなものがあります。
マトイでは東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県を範囲として、さまざまな解体工事に対応しております。どうぞお気軽にお声掛けください。
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建物を支える基礎について
はじめに、基礎について知っておくことが大切です。
基礎は、建物が解体される以前の状態のときに目視することはできません。建物本体と地盤の間で建物を支え、建物自体の重みで沈下することを防いでいます。
基礎の構造
基礎は、鉄筋コンクリートを主材料として、おもに「底盤」「立ち上がり」「地中梁」と呼ばれる部分全体で、建物を支えています。
底盤:基礎部分の最下部。建物の重さを地盤に直接伝える役割を果たします。
立ち上がり:地面から飛び出している基礎部分。
地中梁:地面のなかに作られる横向きの梁。建物が傾いたり、沈んだりするのを防ぎます。
基礎の種類
基礎には、地盤の状態や建物の構造に応じてさまざまな種類があります。
大きくは「直接基礎」と「杭基礎」があり、これは地盤の状態によって使い分けられます。さらにそれぞれいくつかの種類がありますが、それぞれについて説明していきます。
直接基礎(じかせつきそ)とは
建築物の荷重を、直接地盤に伝える基礎で、地盤が比較的強固でじゅうぶんな支持力をもっている場合に使われます。基礎としては一般的なもので、小規模な建築や住宅に多く採用されます。
直接基礎には、「独立基礎」「べた基礎」「布基礎」の3種類があります。
また、この基礎のメリットとデメリットには次の点があります。
【直接基礎のメリットとデメリット】
○直接基礎のメリット
・施工が比較的簡単で、コストが抑えられる。
・耐震性があって、建物の荷重を均等に分散できる。
○直接基礎のデメリット
・地盤が弱い場所には不向き。
・沈下を防ぐための地盤調査や補強が必要になる場合がある。
【独立基礎】
建物の柱ごとに基礎を設置します。倉庫や小規模な建物によく用いられます。
【べた基礎】
建物全体の底面にコンクリートを敷き詰めます。建物の荷重を広い面で支えるため、建物が傾く現象を防ぎます。
【布基礎】
建物の主要な柱や壁の下に連続してコンクリートの基礎を設置することで、線で建物の荷重を支えます。一般的な家屋の基礎としてよく使われます。
杭基礎(くいきそ)とは
杭を使用して、建物の荷重を地盤の深い部分に伝えます。
直接基礎は地盤の影響を受けやすいのですが、杭基礎は杭を地盤の深い部分まで打ち込むことで支持力を高めて安定した構造になります。高層建築や橋梁などに適しています。
杭基礎には「摩擦杭」と「支持杭」の2種類があります。
【杭基礎のメリットとデメリット】
○杭基礎のメリット
・脆弱な地盤でも支持層(地盤の固い部分)まで杭に到達させるため、安定して建物を支えられる。
・建物全体を均等に支えるため沈下のリスクが低く、長期的な耐久性に優れている。
・大きな建築に適している。
・揺れを分散できるため、耐震性にも優れている。
○杭基礎のデメリット
・杭の材料費や設置工事費がかかるため施工コストが高い。
・地盤調査や設計に時間を要し、杭の打ち込み作業や埋め込みの工程が必要になり、施工期間が長くなる。
・工法によって振動や騒音などで周辺環境に影響を与え、対策が必要になることもある。
・建物解体時は杭の撤去が困難で、追加作業が必要になることがある。
【摩擦杭】
杭と杭の周囲の地盤との摩擦によって建物の荷重を支える。高層ビルや橋梁など、幅広い建築物に取り入れられる。
【支持杭】
硬い支持層まで杭を打ち込み、建物を支える。非常に安定した支持力があるため、建物が傾くことなどを防ぐことができる。高層建築や重量のある施設などに取り入れられる。
基礎の詳細については、以下のコラムでも紹介しています。関心のある方はぜひご覧ください。
基礎の解体と工期の目安
基礎解体を行うのは、建物を建て替えるときや建物を解体撤去して更地にするときです。基礎上にある構造物を解体撤去してから、基礎を解体します。
解体方法や工期は種類によって異なりますので、家屋の建築で一般的に用いられる基礎の種類である布基礎、べた基礎、杭基礎のそれぞれについて説明します。
こちらのコラムでは、解体工事の工期や工期に影響を与えることなどについて説明しています。併せてお読みください。
布基礎の場合
【布基礎の解体】
布基礎は、建物の柱や壁の下に設置される構造で、基礎の部分が帯状になっています。その部分を油圧ブレーカーで砕きながら、必要に応じてコンクリートカッターを使用して解体を進めていきます。
そして中に埋め込まれている鉄筋を切断機で細かく切断し、コンクリートと鉄筋を分別してリサイクルに回したり、他の廃棄物とともに廃棄処分したりします。
【布基礎の工期】
布基礎の解体は、多くは1日で終わります。しかし、解体スペースが広かったり、解体中に地中埋設物等が出てくるなど想定外のことが起こったりした場合は、時間がかかることがあります。
べた基礎の場合
【べた基礎の解体】
建物の底面全体にコンクリートが指揮
建物全体の底面に鉄筋が張り巡らされ、そこにコンクリートを敷き詰められているべた基礎の解体は、おもに次のように解体を進めます。
・油圧ブレーカーでコンクリートを砕き、
・カッターで適切なサイズにコンクリートを切断します。
・その後、切断機を用いて鉄筋を分離して廃材を搬出。
コンクリートと鉄筋を用いた基礎部分が広いことから、振動や騒音が大きく、その対策として防音シート等の対策が作業時のポイントになります。
【べた基礎の工期】
べた基礎の解体工期は早くても2~3日ほどかかります。
しかし、現場ごとにコンクリートの厚みが異なること、振動や騒音による周囲への配慮が必要になり、現場によっては作業時間の制限が加わることもあります。そのため、現場によってはさらに余裕をみて、工期を4~5日確保しておく場合があります。
杭基礎の場合
【杭基礎の解体】
杭基礎では、地中深くに設置されている杭を撤去しなくてはなりません。そのため、より慎重な作業が求められ、難易度が高いことが最大のポイントです。
さらに、杭基礎の解体方法にはいくつかの種類がありますが、どのような種類の杭を使用しているか、そして施工状況などによって解体工法を選択します。杭基礎の解体方法は次の通りです。
・引き抜き工法:油圧ジャッキやクレーンを使用して杭を抜き取る。
・破砕工法:コンクリートカッターやハンマーで杭を破砕しながら撤去する。
・埋戻し工法:杭を撤去しないで、その周囲を埋め戻して処理する。
・掘削工法:杭の周囲を盛りながら撤去する。
【杭基礎の工期】
杭基礎を施している現場は、地盤が弱かったり、その上に建てられていた構造物の面積が広かったりしま。杭基礎を選択した理由や状況によって杭の本数も異なり、また、工事に関わる作業員数や使用する重機によっても作業ペースは異なり、工期は変動します。
これらのことから、一般的な工期を具体的にここで記すことは難しいです。そのため、見積りの際の現地調査や見積りを受けた段階で、業者に確認することをお勧めします。
「解体工事を考えているが、基礎の種類がわからない!」、そんなこともご安心ください。マトイでは現地調査を行い、ご依頼主の方のお話をしっかりお伺いしてお見積りをいたします。まずはご相談・お問い合わせをお気軽に!
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基礎の解体費用の相場
基礎の解体費用の相場は1㎡2,000円~とされています。しかし、基礎の種類によって、その相場は異なります。
○布基礎の場合:2,000円~/㎡
○べた基礎の場合:6,000円~/㎡
○杭基礎の場合:杭1本当たりの工事費用×杭の本数
杭1本当たりの工事費用=30,000円~
※ 基礎の解体では、解体作業のほかに解体によって発生した廃棄物の処分や解体に必要な重機の回送費などが必要になります。これらの費用は全体の工事費用に含める業者と、なかには別料金として請求する業者がいます。それによって全体の工事費用は大きく変わるので、事前に確認しておきましょう。
解体費用の相場の計算や、解体費用が増減する要因などについて、こちらのコラムで説明しています。どうぞご覧ください。
基礎の解体費用が高額になる訳と安くするコツ
上記のようにあらためて基礎解体としての費用を見ると、種類によるもののその費用が高額になることがわかります。その理由について説明します。
基礎の解体費用が高額になる訳
基礎工事が高額になるのは、次の3つが主な理由に挙げられます。
○主材料であるコンクリートや鉄筋の強度等による作業の困難さ
基礎に使用するコンクリートはとても頑丈で、解体にかかる手間や負担は大きなものです。さらに地中に埋め込まれた部分がある基礎では、すべてのコンクリートを掘り起こして、リサイクルや廃棄処分するまでにかなりの手間が必要になります。
作業の多くは重機を用いて行いますが、コンクリートに生まれた鉄筋の取り出しや処理などは、作業員の手作業によるはつり作業など、作業員の労力と専門技術が必要になります。
○廃材の処理費用
コンクリートや鉄筋を地中から掘り起こし、それぞれの処理施設やリサイクル施設へと運び込める状態にするには、とても手間がかかります。
さらに、いずれも産業廃棄物となるこれらの処分費用は、一般の廃棄物よりも高額になるため、処理費用も高額になりがちです。
○重機の使用や作業負担
硬く頑丈であることはコンクリートの特徴で、基礎を含めた建造物の安全性を高めています。しかし、その反面で解体となるととても労力がかかり、重機の使用が必須となります。
油圧プレーカーやバックホウ、ジャッキなどの重機を使用しますが、これらを現場に運び込むための重機回送費やオペレーター等の人件費、場合によっては必要な重機のリース料などが加わります。
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上記のほかに、コンクリートの破砕や地盤の掘り起こしなどが必要になる基礎解体では、より騒音や振動への対策が重要になります。防音シートの設置や低振動・低騒音の機材を使用する場合には、さらにコストが加わります。
また、杭基礎などで、地中を掘り起こして穴が開くなどした場合は、地番整備をはじめ、地盤改良の費用が生じることがあります。
これらについては、工事内容とともに周辺環境が関係してくるので、それぞれの現場の状況に応じた判断が必要になります。
基礎の解体費用を安くする交渉等のコツ
解体工事を行う場合、ここまで説明してきたように基礎解体にも高いコストがかかることを理解したうえで、見積り等の準備段階から心がけておく点について説明します。
○見積りは複数の業者から。
解体費用のもとになる坪単価や基礎解体時の廃棄物処理費用等の扱い等は、業者によって異なります。納得のいく工事内容と見積り額のためには、複数の業者から見積りをとって選ぶことをお勧めします。
○現地調査を必ず行う。
専門業者が現地調査を行うと、基礎の種類や除隊などがある程度判明し、より詳細な見積りが出ます。
○見積り時の提示費用だけで選ぶことは避ける。
見積り書を手にした際、どうしても合計金額の安さに注目しがちです。しかし、極端に安い業者は注意が必要です。手抜き工事や廃棄物の不法処理などの可能性があります。
金額のほか、見積り書の内容が具体的でわかりやすい、説明が丁寧で納得できる、連絡や伝言のやり取りがスムーズで担当者以外のスタッフの印象もいい等、誠実に仕事に向き合っていることの見極め点にも注意してください。
○見積りのための事前調査に備えて解体予定の建物の見取り図を用意する。
もし手元になければ、解体する建物の施工会社に連絡すると準備できるかもしれません。見取り図があれば建物にどのような基礎が施されているか狩る可能性があります。それによって、見積りも出しやすくなります。
○基礎解体時の工法の違いによる費用を確認する。
基礎解体は工法の違いによって費用が異なります。見積り時、工法の確認を行うとともに、その工法を選択した理由、別の工法であった場合の費用の違いやメリット・デメリット等を確認し、納得のいく選択ができるようにしましょう。
○自治体の補助金等の情報を得て、積極的に利用する。
基礎解体は、基礎解体だけを行うケースというのは少ないです。多くは、建物の解体撤去や建て替えに伴うものです。そういった建物の解体工事などでは、多くの自治体で補助金等の制度があります。これを利用することで、費用負担をかなり軽減できますので、事前に制度の有無や要件等の情報を収取し、積極的に利用しましょう。
○建物の解体に伴う不用品等の処理は、できるだけ自分たちで行う。
解体工事に備えて建物内にある不用品等を処分する必要があります。これらを残して解体工事に入ると、解体時の廃棄物とともに産業廃棄物として処理され、廃棄物処理費用が高くなってしまいます。可能な限り、不用品は自分たちで処分するようにすることで、費用を抑えられます。
まとめ
ここまで説明してきたように、基礎部分の解体には多くの作業労力を必要とします。
そのため費用が高額になるのはもちろんのこと、施工の質がその後の土地の利用に大きな影響を与えます。解体工事後の土地を問題なく活用できるよう、掘り起こした地盤を適切に埋め戻し、地盤の状態に応じて土壌改良を行います。これらは解体業者の手腕が大きく問われる点です。
マトイではお見積り依頼については必ず現地調査を行い、その結果とご依頼主の方のご要望等を組み入れた解体計画とお見積りをご提案しております。どうぞ、お気軽にお声掛けください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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