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 家の解体時、そして解体後にはさまざまな届け出をする必要があります。それらの1つでも怠ると解体工事がスムーズに進められなかったり、罰則を受けたりすることがあります。
 また、その多くは解体業者が代行したり専門家に依頼したりすることができますが、施主様ご自身が行えるものもあります。施主様ご自身が行った方が、費用や時間などがかからないというメリットもあります。
 しかし、届け出方法がわかりにくい、届け出のための時間が取れない、事務的なことに苦手意識が先立ってしまう等々、さまざまな理由からご自身で行うことを躊躇する方もいらっしゃいます。でもそういったときは、どうぞマトイにご連絡ください。一緒に考え、お力になれるように頑張ります。マトイ無料お見積りフォーム
 まずは、どのような届け出があり、それぞれの届け出に際してどのような書類や注意が必要なのかなどについて説明します。

解体で知っておくべき、「建設リサイクル法」

 建物を建てたり、改修や解体したりする際に、知っておきたい大切な法律があります。それが「建設リサイクル法」です。この法律は、正式には「建設工事に係る資材の再資源化に関する法律」といい、平成12年5月31日に公布されました。

建設リサイクル法の目的

 この法律ができた背景には、廃棄物の発生量が増大するに伴って最終処分場に余裕がなくなってきていること、廃棄物の不正処理の問題が深刻化していること、建設工事によって廃棄される建設廃棄物は産業廃棄物全体の2割、そして不法投棄される産業廃棄物のおよそ6割を占めていることなどがあります。
 また、昭和40年代の建築物が建て替え時期を迎える今後は、さらに建設廃棄物の量が増大すると予測されています。
 こういった背景を受けて、資源の有効利用という観点から、「特定建設資材」を用いた建築物等に対する分別解体や再資源化等の促進を目的としています。

【特定建設資材となるもの】
・木材:木質ボード、木材チップ等
・コンクリート塊:路盤材、骨材、プレキャスト板等
・アスファルト・コンクリート塊:再生加熱アスファルト混合物、路盤材等
・コンクリートおよび鉄から成る建設資材:プレキャスト鉄筋コンクリート版・U字溝等の二次製品

建設リサイクル法のポイント

 建設リサイクル法のポイントは次のとおりです。
① 建築物等に使用されている建設資材の分別解体等と建設資材産業廃棄物の再資源化等の義務付け
表1にある建設リサイクル法の対象となる規模の工事で、特定建設資材となるいずれかを用いた建築物等の解体や新築工事では、現場での分別解体と廃棄物の再資源化が義務付けられます。
② 施主(発注者)または自主施行者による工事の事前届け出、元請け業者からの発注者への書面による報告の義務付け
対象となる工事の発注者は、工事開始の7日前までに自治体に届け出を行う義務があります。
③ 解体工事業者の登録制度や技術管理者の設置解体工事業を営もうとする者の登録および解体工事現場への技術管理者の選任等の義務付け
建築物等の解体工事を行う場合、解体工事業の登録が必要となります。ただし、建設業許可の土木工事業、建設工事業、解体工事業の許可をもっている場合は不要です。

表1 建設リサイクル法の対象となる工事の規模

工事の種類 規模の基準
建築物解体 床面積80㎡以上
建築物新築・増築 床面積500㎡以上
建築物修繕・模様替等(リフォーム等) 請負代金1憶円以上
その他工作物に関する工事(土木工事等) 請負代金500万円以上

 

「建設リサイクル法」に基づく届け出

この届け出は建物を解体する前に必要となる届け出のなかでも特に大切なものです。

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
施主様(発注者) 工事着工7日前

 

建設リサイクル法の適用対象となる建物の条件

 届け出の対象となる建物の条件は、次の通りです。
① 特定建設資材が用いられている建物
② 床面積の合計が80㎡以上の建物
③ 工事費用が500万円以上の解体

届け出に必要な書類

① 所定の届け出書
② 分別解体等の計画等
③ 工事の工程表
④ 設計図または写真
⑤ 案内図
⑥ 委任状(業者等の第三者に届け出をしてもらう際に必要)
*自治体によっては上記以外に必要な書類の提出を求められることがあります。また、申請書は自治体のホームページからダウンロードできることがあるので、必要書類とともに事前に確認してください。

建設リサイクル法の手続きの流れ

 建設リサイクル法の手続きは、下の図のような流れで進められていきます。発注者は施主様もしくは元請け業者で、手続きを行うのはこの立場にある人です。ここで注意すべきは、発注者の立場にある施主様もしくは元請け業者が工事着手の7日前までに届け出を行うという点です。

① 説明:受注者は発注者に対し、分別解体等の計画などについて書面を交付して説明します。
② 契約:発注者が受注者とかわす契約書面においては分別解体等を明記する必要があります。
③ 届出:発注者は工事着工の7日前までに、分別解体等の計画書について届け出ます。
④ 完了報告:受注者はリサイクル等が完了したときには、発注者に対し書面でその旨を報告するとともに、リサイクル等の実施状況に関する記録を作成し、保存します。
※国土交通省建設のリサイクル法に関するリーフレット『建設リサイクル法の手続きの流れ』より引用

届け出先

 各自治体によって届け出先となる窓口の名称は異なります。事前に「建築リサイクル法の届け出の窓口」を確認しておきましょう。

違反した場合の罰則

 この法律に違反した際は罰則が科せられますので、注意が必要です。なお罰則は違反内容によって下記のように異なります。
① 工事の届け出違反………………………20万円
② 対象となる工事の変更届け出違反……20万円
③ 分別解体等義務の実施命令違反………50万円
④ 再資源化等義務の実施命令違反………50万円
⑤ 廃棄等の届け出違反……………………10万円
⑥ 技術管理者の設置違反(解体業者)…20万円、等

アスベストを使った建物の解体工事で必要な届け出

 現在は私たちの健康に被害を及ぼすことを知られているアスベストは、かつて建物を建築する際にいろいろと使われていました。そのため解体には、事前調査によってアスベストの使用の有無を確認し、使用が認められた場合には適切な除去作業を行います。その際、「特定粉じん排出等作業実施届」を作業前に届け出ます。

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
施主様(発注者) 作業の14日前まで

 

アスベストの危険度で異なる3つのレベル

 アスベストは発塵性(その粒子が空中に飛び散る程度)によってレベル1からレベル3に分類され、それぞれに提出する届け出や提出先が異なります。

レベル1/発塵性が最も高い

建材などに石綿が吹き付けられていてアスベストが固まっているために、解体や除去作業で大量にアスベストを含んだ粉じんが舞い散ります。耐火建築物の張りや柱、エレベーターの周囲、立体駐車場やビルの機械室やボイラー室、体育館などの天井や壁などに多く見られます。

レベル2/発塵性がやや高い

建築物の梁、柱、壁などに使われる耐火被覆材、ボイラー本体や配管・空調ダクト等の保温材、屋根用の折板裏断熱材などに使われている「石綿含有保温材」「耐火被覆材」「断熱材」などがレベル2に該当します。

レベル3/発塵性が比較的低い

「石綿含有成形板」「ビニール床タイル」が該当します。屋根材、外壁材、および天井・床・壁などの内装材などに用いられています。事前調査はレベル1や2と同様に必要ですが、発塵量が比較的低いことから届け出の義務はありません。

届け出に必要な書類と届け出先

 レベルによって届け出については異なります。

レベル1/労働機運監督署に「工事計画届」と「建築物解体等作業届」

都道府県知事に「特定粉じん排出等作業の実施届け出」と「建設リサイクル法に基づく届け出」

レベル2/労働基準監督署に「建築物解体等作業届」

都道府県知事に「特定粉じん排出等作業の実施届け出」

レベル3/届け出の義務はありません。

違反した場合の罰則

 届け出を怠った場合、3か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。

「建築物除去届」

 建築物を建て替えないで除却しようとする場合、この届け出が必要です。ただし、その建築物や工事部分の床面積が10㎡以内の場合、または建て替えに伴う除却工事の場合は届の必要はありません。

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
施主様(発注者) 工事着工前日まで

届け出に必要な書類

① 建築物除却届:届け出用紙は各自治体のホームページからダウンロードできます。

届け出先

 『民間指定確認検査機関』または『特定行政庁』(*)に提出します。
 どちらに提出するかについては、建築確認な必要な場合は確認申請書と一緒に民間指定確認検査機関に、建築確認が不要な場合は管轄する特定行政庁の確認申請窓口に提出します。しかし、どちらに該当するかの判断は難しいので、施主様自身で手続きを行う場合は解体業者に相談することをお勧めします。
*特定行政庁とは建築行政を管掌する行政機関の長のこと。建築基準法上の言葉。建物の建築確認等を行う建築主事が置かれている市町村では市町村長、市町村に建築主事が置かれていなければ都道府県知事ということになる。

違反した場合の罰則

 届け出を怠ったり、虚偽の届け出をしたりした場合には、50万円以下の罰金が科せられます。

「道路使用許可申請」

 解体工事には重機や工事関係者の車両などが現場付近を行き来したり、駐停車したりします。それによって交通を妨げる可能性がある場合は、道路使用許可申請を行う必要があります。届け出用紙は管轄の警察署のホームページからダウンロードできます。

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
業者
(元請けまたは解体業者)
施主様でも可 工事着工2週間前程度

 

道路使用許可申請が必要なケース

 道路使用許可には次の1号許可から4号許可までがあります。
① 1号許可:道路に置いて工事もしくは作業をしようとする行為
② 2号許可:道路に石碑や広告板、アーチなどの工作物を設けようする行為
③ 3号許可:場所を移動しないで、道路に露店や屋台などを出そうとする行為
④ 4号許可:道路に置いて祭礼行事やロケーションなどをしようとする行為
 解体工事はこの1号許可に相当します。

届け出に必要な書類

② 申請書(各警察署によって様式が異なる)
③ 申請場所の位置図
④ 申請場所の見取り図
⑤ 申請行為を具体的に説明する資料
⑥ その他、警察署長が必要と認めた書類

届け出先

 使用する道路を管轄する警察署長

違反した場合の罰則

 道路使用許可申請は申請して許可が下りるまでの期間は、それぞれの警察署によってまちまちです。おおむね土曜日・日曜祝日を除いて7日から10日程度かかるといわれますが、最近は中2日で出していただけるところも。念のため、申請を出してから許可がおりるまで2週間ほど余裕を見ておいた方がいいでしょう。申請の支払を電子決済で支払えるところも増えてきました。
 なお、この申請を怠った場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

ライフラインの停止申請

 電気・電話・インターネット回線・水道などがあります。それぞれの契約先に施主様ご自身が連絡して停止の申請を行います。なかにはプロパンガスなどのように業者が現場に訪れてガスボンベの回収などを行うような場合、業者の都合によっては直前の停止作業が難しいこともあり得ます。
 施主様自身が行うべき他の事前準備と併せて1週間前までには停止申請を終わらせるように進めるとよいでしょう。マトイでもライフラインの停止申請を施主様に代わって行っていますが、ケーブルテレビのように機器回収などがある場合は施主様ご自身が行った方が時間の無駄が省けると思います。ただし、業者によっては停止作業を行わない会社もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
 なお、解体に向けての事前準備についてはこちらのコラムでも説明していますので、ご参考ください。

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解体工事の注意点、チェックリストを使って確認!!

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
施主様(発注者) 工事着工7日前まで

各届け出先

① 電気:電力会社に電気の停止と電気メーターや引き込み線の撤去を依頼します。
② ガス:都市ガスは閉栓撤去とガス管の地堺切断、プロパンガスは契約先に回収手続きを依頼。
③ テレビ回線やインターネット回線;契約先に移設、または解約と引き込み線撤去を依頼。
④ 水道:解体中や解体終了時の掃除等に使うこともあるので、水道については工事終了時に業者に確認後に停止依頼をします。

近隣の家への「挨拶回り」

 これは行政や関係施設への届け出とは少し違いますが、ご近所の方々へ工事を行うことをお知らせすることは、広い意味での届け出とも考えられます。なにより、挨拶回りにより工事の説明を行ってご理解を得ることで協力を得られることにつながり、工事を円滑に進められます。欠かせない手続きといえるでしょう。
 ご挨拶は施主様と業者が打ち合わせした後、工事着工の1週間ほど前をめどに行います。なお、詳細についてはこちらをご参照ください。

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解体工事とその後の生活をスムーズにする“挨拶回り”

解体終了後の「建物滅失登記」

 建物の解体が終ったら、建物滅失登記を行います。

届け出る人 業務委託 期 日 怠った際の罰則
施主様(発注者) 工事完了から1か月以内

建物滅失登記とは

 建物滅失登記は、建物を解体した際の仕上げのような届け出です。その土地に建物の存在が無くなったことを証明する登記で、法務局の登記簿上に建物を除却したことを登記するための手続きです。工事完了後から1か月以内に届け出を行います。手続きは施主様が行いますが、時間がないなどの事情によってできないときは土地家屋調査士に依頼することも可能です。その際は、手数料として4~5万円ほどの手数料などが必要になります。

届け出に必要な書類

① 登記申請書(法務局のホームページからダウンロードできます)
② 申請書の写し
③ 解体業者に発行してもらう取壊し証明書
④ 解体業者の印鑑証明および資格証明書または商業登記簿謄本
⑤ 現場周辺がわかる地図
⑥ 第三者に依頼する際:上記のほかに依頼人の印鑑証明書、委任状が必要になります。

届け出先

 各自治体の法務局

違反した場合の罰則

 10万円の過料が科せられます。さらに土地を売却できない、銀行などから借り入れができない、固定資産税が課税され続ける、といったことが起こります。これは届け出をしていないため、「その土地にまだ建物が存在している」ことになっているためです。こういったことが起こらないように、忘れずに届け出をしてください。

まとめ

 今回は、解体に伴ういろいろな手続きの主なものについて説明しました。しかし、その建物の規模や設備等によっては、ここに取り上げたこと以外にも必要が出てくる場合があります。また、法改正などによって届け出の対象となる条件の範囲や罰則規定などが変更になることもあります。
 建物の解体は、人生のなかで何度も経験することではありません。そのためどのような届け出が必要なのかはもちろん、法改正に伴う変更事項などまでを理解して進めていくのはとても大変なことです。そんなときは、どうぞお気軽にお問い合わせください。マトイ無料お見積りフォーム
 どのような手続きが必要か、お問い合わせいただいた方々の物件の状態や状況・ご希望などに合わせた情報を丁寧にご提供させていただきます。
 マトイでは、解体の計画はもちろんのこと、それ伴う施主様の諸手続きを含めた準備段階からのプランニングを施主様と対話しながら”オーダーメイド”で創り上げていきます。

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

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