解体工事の粉じんに対してできること
かいたいコラム 解体工事では、騒音、振動、粉じん、工事車両等による通行環境の変化等々によって、近隣の方々にさまざまな影響を与えます。
その程度や業者の対応によってはクレームに発展し、工事の進行に影響を及ぼしかねません。そこから、解体工事後に施主様がその場に戻ってきたとき、近隣の方々との関係も気まずいことになってしまう可能性もあります。
今回は解体工事における「粉じん」を取り上げて、問題を起こさないための対策について説明します。
解体工事の粉じんで起こること
「粉じん」とは、空気中に舞うちり状の粒子をいいます。
家屋の解体工事では、解体時に発生する木くずやコンクリート、砂や土などとともに、その建物が建ってきた年数分の溜まったほこりが粉じんとして発生します。
健康への影響
なかには「粉じん」と聞いて、アスベストを思い浮かべ、健康への影響を心配する人がいるかもしれません。
確かに、アスベストやアスベストを含有した建材を用いた家屋を解体する際には、粉じんにアスベストが含まれる可能性があります。しかし、現在では、安全性を保つために事前調査やアスベスト対策が厳密に行われているため、解体工事の際に近隣の人々がその害に晒される可能性は低くなっています。
しかし粉じんには、ほこり、紙や布の繊維、砂や土、木くずやコンクリートの細かくなった粒子など、さまざまなものが含まれています。これらが漂う環境にいる人は、呼吸によって多少なりともその粉じんを吸い込んでいます。
おもに鼻から吸い込んだ粉じんのほとんどは呼気によって体外に排出されます。それでも、ごくわずかですが、気管や気管支、肺などに到達するものもあります。それらも、体の代謝によって徐々に取り除かれていきますが、残ったごくごくわずかな粉じんによってのどの違和感やなんらかの症状を引き起こすことがあります。
なお、解体工事に際して、アスベスト対策をどのように行っているかは、こちらのコラムでも詳しく説明しています。参考に、こちらもお読みください。
暮らしへの影響
粉じんは健康以外にも影響を及ぼします。それはおもに、外に置いてある自動車や自転車、ベランダなどに干してある洗濯物等が汚れたり、室内にほこりが入ったり、といったものです。それぞれについて、もう少し詳しくみていきましょう。
【駐車している自動車】
フロントガラスや車体にほこりが積もってしまう場合があります。
毎日自動車を使用しているのであれば駐車スペースに置いたままの時間が短く、粉じんの影響も少ないかもしれません。
しかし、そうでない場合は、使用するときに気になる可能性があります。
【洗濯物】
工事現場近くの家では、せっかく洗った洗濯物にほこりがついてしまうということが起こりえます。洗濯物のほかベランダに置いてあるものへの影響もあります。
解体工事の期間は大体1~2週間程度です。その期間のみ、部屋干しなどでご対応いただけると助かります。
【室内】
完全に密閉された部屋というものはないように、窓を閉めていてもほこりはどこからか入り込んできます。
室内のほか、外壁、玄関先やベランダなどに置いてあるもの、庭の植栽など、いうなれば工事現場の近隣の方々の生活空間全体が、工事の影響を受けるのです。
施主様は工事中、別の場所に移られていたり、もともと別の場所で暮らしていたりしています。しかし近隣の方々は工事中もその場で生活を続け、工事の影響を我慢してくださっています。
それだけに、マトイでは、近隣の方々への配慮には最大限の努力を怠りません。ときには施主様とよくご相談し、近隣の方々への配慮を優先することがあります。それは、工事全体にとって、そして施主様と近隣の方々とのよりよい関係性の継続に必要だと考えるからです。
粉じんによるトラブル回避のための対策
解体工事で私たちがぜひとも避けたい1つがトラブルの発生です。トラブルには事故や工期の遅延など、さまざまなものが挙げられます。
粉じんを原因とするトラブルでは、なんといっても近隣の方々からのクレームや、それによる工事の一時中断などが考えられます。工事が中断することで全体の工期が延び、結果として近隣の方々も工事の影響を受ける期間が長くなってしまいます。
これは、施主様、業者、そして近隣の方々のだれにとっても不利益となり、避けたいことです。こういった事態を回避するために業者が行っている対策について説明します。
近隣への挨拶回り
挨拶回りは、解体工事によってご迷惑をかけることに関して協力のお願いをする大切なものです。それも、単に“よろしくお願いします”と伝えるだけでなく、この段階から近隣の方々に対する事前の配慮が必要となります。そのポイントは次の2点です。
ポイント1 工事に関する問い合わせ先と担当者を伝える。
工事の大まかなスケジュールや流れとともに、もっとも粉じんで迷惑をかけそうな時期、騒音や振動が強くなりそうな時期や時間帯などを伝えます。
こういったことを事前に工事関係者から聞いておくと、その人によっては「ではその期間は窓をしめて過ごそう」「リモートワークと出社を調整できるので、出社にしておこう」というように、判断できます。
さらに工事に関する問い合わせや連絡などをする先と担当者名も、次に説明する挨拶状に記載するとともに、口頭でも伝えておきます。何かの際の連絡窓口が明確になっていることで、近隣の方々の安心感は違ってくると思います。
なお、こちらのコラムで、施主様の立場から見た挨拶回りの疑問等について1問1答形式で説明しています。どうぞご覧ください。
ポイント2 挨拶状を持参する。
挨拶状も必須アイテムです。
1軒1軒のお宅を訪ねて挨拶をするのですが、なかには数回訪ねても不在のお宅もあります。その場合には、郵便受け等に挨拶状を投函しておきます。また、挨拶状があれば挨拶時に不在だった家族が帰宅したときに内容を正確に伝えられます。
挨拶状は一般的には業者が作成して持参します。しかし、なかには挨拶状を作成しない業者もいるようですので、業者選定の段階で確認するといいでしょう。それでも、依頼した業者がたまたま挨拶状を準備していない業者であったら、施主様ご自身で準備することになるかもしれません。
こちらのコラムで挨拶状の意義や挨拶状に記載すべき事柄などを説明していますので、参考になさってください。
養生シートの設置
養生シートは解体工事等においては必須のものです。これは工事現場で扱っている建材や機材の落下や粉じんや騒音を防ぎます。
現場の状況に応じながら、一般的なシートや防じん効果の高いシート、逆に通気性のあるメッシュシートなどでビル風などの影響を抑えながら安全に工事を進めるためのものなどを使い分けていきます。
とくに近隣の家々の粉じんや騒音の影響を最小限に抑えるためには、建物周辺を囲む養生シートは穴の開いていないもの使い、シートとシートのつなぎ目も隙間がない状態で覆うようにします。
さらに粉じんの影響を最小限に抑えるために、近隣の自動車をはじめ玄関先になんらかの置物などがある場合には、それもシートで覆って養生します。その際は、家の方の了承を取る必要があります。なかにはシートを嫌がる方もいらっしゃるからです。また、シートの取り外し等についても、作業内容の進行やその家の方のご希望などに応じて取り外すなどしています。
私たち業者にとって挨拶回りは挨拶だけでなく、養生の必要があるものの有無や工事によってどの程度の影響を与えそうか等を調べ、その家の方に養生シート設置の了承を得るといった目的もあるのです。
養生シートの効果や種類などについて、こちらのコラムで説明しています。どうぞお目通しください。
散 水
散水も粉じん対策として効果的かつ重要な対策です。
解体工事での際は、どうしても粉じんが舞い上がってしまいます。
こういった粉じんの発生源となる現場で、直接、その部分や周辺に散水することで粉塵の発生や飛散を抑えます。
国土交通省が官庁施設の解体を行うために定め、標準的な解体仕様とされている「建築物解体工事共通仕様書」には、散水について次のことが記載しています。
* ブレーカー、穿孔機、圧砕機等による粉じん発生部には、常時散水を行う。
* 転倒解体を行う場合は、転倒解体箇所及びその周辺部に十分な散水を行う。
なお、散水に当たっては、解体以前にあらかじめ散水を行って建物をじゅうぶんに湿らせること、そして解体中もその発生部分に常時散水することが必要です。これによって粉じんの発生と近隣への飛散を最小限にとどめられます。
なお転倒解体とは解体工事における工法の1つです。こちらのコラムで、転倒解体工法を含めた解体の工法等を説明しています。どうぞ、お読みください。
さらにこんな対策も
前述のように養生シートの活用と散水が粉じんに対する基本対策となりますが、それ以外に次のような対策も現場の状況に応じて用いられます。
【粉じん防止剤】
粉じん防止剤は、水よりも粉じんと馴染みやすく、必要個所に散布することで粉じんの飛散を抑えます。アスベストなどの処理時、解体途中の個所、工事車両の通行によってほこりが発生しやすい場所などに状況に応じて使用して粉じんの発生や飛散を抑えます。
【粉じん除去装置】
水粒子をミストとして大気中にまいて、空中に浮遊している粉じんを地面に落下させます。これによって工事現場や装置を設置している周辺の粉じんを抑え、作業員や工事現場周辺を通行する人への影響を低減します。
【自動粉じん抑制システム】
風向風速計や粉じん計によって現場の粉じん拡散状況を監視して、必要に応じて自動的に散水やミストを発生させるシステムです。こういった現場の状況に応じた粉じん対策の開発も進んでいます。
解体工事では粉じん対策の大原則を抑えた業者を選択!
前項でも触れたように、解体工事をする際の大きな課題の1つである防じんには新たな対策も打ち出されています。しかし、そういったことも基本の対策がしっかり行われていなければ、その効果は期待できません。
それでは、基本の対策について説明します。
基本的作業を徹底して丁寧に行う
防じん対策の基本は、「挨拶回り」「適切な養生」そして「散水」です。このどれかが欠けていては、防じん対策は成り立ちません。基本となる原則の1つ1つを徹底することで、それぞれの効果が発揮され、工事現場全体の防じん対策や粉じん防止剤や粉じん除去装置、自動粉じん抑制システムといった新しい方法も活きていきます。
まずは近隣の方々へ挨拶とともに工事に関する情報を伝え、それぞれのお宅の環境と希望に合わせた対策を検討・実施し、養生や散水といった現場での対策を丁寧に行うことが何より大切です。
近隣の方々への配慮を最優先
「こうしたらよくなる」「ああしたら影響がもっと少なくなる」という思いが次々にわいてきます。しかし、相手によってはそれを必要としない場合がありますし、逆に迷惑になってしまうことがあります。
そのため、マトイでは対策の提案とともに、それに対する近隣の方々の希望をうかがい、それに沿った対応を優先することを大切にしています。
例えば自動車や自転車等が粉じんで汚れないようにあらかじめシートをかけますが、これを嫌がる方もいらっしゃいます。使いたいときにすぐ使えない、シートを取り外す際に手や衣類が汚れるなど、その人なりの理由や事情があります。
こういったことから、近隣の方々への配慮を最優先するとともに、先方の希望をうかがい、それに合わせた対応を取るようにしています。
近隣の方々の声に迅速対応
解体工事では着工前の挨拶回りの際にお渡しする挨拶状に、なんらかの場合の連絡先や担当者名を記載しています。また、解体工事現場には工事内容とともに業者名と連絡先等を明記した看板を掲げています。また、施主様のもとへなど、通行者を含めた近隣の方々から工事に関する何らかの問い合わせやご意見・クレーム等が寄せられます。
これらの声に対しては施主様と連絡を取り合いながら、速やかに対応することが大切です。これができないと、ちょっとした問い合わせがクレームになってしまったり、クレーム対応が遅れたことによって相手との話し合いがこじれてしまったり、といったことを招きかねません。
内容がどのようなものであれ、近隣の方々の声には迅速かつ丁寧な対応が求められます。
まとめ
粉じん等の対策は、近隣の方々に与える工事の影響を可能な限り少なくするために欠かせないものです。そして、このことが工事を円滑に進めることにつながっていきます。
具体的な対策は業者が行いますが、挨拶回り等では施主様の協力も大切になってきます。本文中でも触れているように、1軒1軒の状況に合わせた対策を取る際、そのお宅の希望を優先することが重要です。これらに必要な情報は挨拶回りの際に確認を取るのですが、施主様からの情報提供もとても重要です。
マトイでは、常に施主様とのコミュニケーションを基に、施主様にとっても近隣の方々にとってもよい形で解体工事が進められるように努めています。どうぞお気軽にお声をかけ、ご希望条件やご相談事などお話しください。ともによりよい方法を検討し、対応させていただきます。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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