家の建て替えまでのロードマップ、その準備・期間・注意点について
かいたいコラム 今回のコラムでは、家を建て替える際の期間について取り上げてみます。
建て替えの場合は、その前に行う旧家屋の解体工事、続いて新家屋の建築工事を行います。これには複数の業者が関わり、1日の遅れが経費のロスを生むことにつながりかねません。それだけにタイムプランが大切です。
「建て替えよう!」と思ってから建て替えまでの流れ
建て替えの計画では、具体的に何をするべきか、それぞれにどのくらいの期間が必要かといった具体的なことを含めて進めていきます。
【Step1】建て替えのイメージを具体化
【Step2】建築業者・解体業者の選定
【Step3】家屋の解体・建築の準備
【Step4】旧家屋の解体工事
【Step5】新家屋の建築工事
【Step6】入居
見落としがちだけど把握しておきたい建て替えの各種手続き
計画段階で見落としがちなものとして、手続きとその時間があります。家屋の解体や建築には必要な申請や手続きがあり、それぞれの手続きにはそんなに時間がかかるものは多くはありません。また、業者が代行してくれるものもたくさんあります。
しかし、必要書類をそろえたり、記載したり、業者に委託するための打ち合わせ、申請結果が出るまでの期間など、ある程度の時間が必要です。1つひとつの時間は多くの時間を要するものでなかったとしても、この諸手続きの時間を計画段階で見落としてしまうと慌てたり、進行に余裕がなくなったりすることがあります。
そうならないためには、計画段階から次に説明するような手続きの時間を、計画に組み込んでおくことが必要です。
新家屋建築に関する手続きとその期日・期間
① 地盤調査 半日~数週間
地盤調査は、更地に建物を新築したり、建て直したりする場合に必ず行います。その場所の地盤が、建てようとする建物の重さに耐えられるかどうか、地震の際に液状化の危険性があるかなどを調査します。建てる家屋の構造や大きさが決まったら地盤調査を行います。
これにかかる時間は調査方法の種類によって異なります。
一般的な戸建てであれば半日程度、マンションのような規模が大きいものの検知器に際してはボーリング調査を行うので、数日から数週間かかります。
また、その結果の報告書ができるまでの時間も必要になるので、調査をする業者に確認が必要です。
② 建築確認申請および検査済証の発行 約14日~35日
建て替えや改築等を行う前に、建物や地盤が建築基準法に適合しているかの確認の申し込みである「建築確認申請」を提出し、建築後に担当者による現地調査で申請通りに建てられていることの確認を行い、問題なければ「検査済証」が発行されます。
この完了検査は工事完了から4日以内に自治体の建築主事に申請し、その後7日以内に検査することになっています。検査済証が発行されるまでの期間は長いときには35日ほどかかることがあり、追加検査の必要性などが出た場合には、さらに延びる可能性もあります。
③ 水道・電気等のライフラインの停止と開設 約7日
建て替えで新居が完成したら、仮住まいから新居に移ります。
引っ越しの日程が決まったら、仮住まいのライフラインの停止、そして新居での生活を開始するためにライフラインの開設の手続きを行います。
いずれも電話やWEBでの手続きができるので、だいたい2~3日前までに連絡をします。ただしガスについては30分程度ですが、立ち合いが必要です。
それぞれにかかる時間は多くないものの、古い住まいの停止依頼と仮住まいの開設の連絡の両方を行うと思いのほか時間がかかることや、ガス開設の立ち合いの日程調整などを考えると、1週間ほどの時間を見ておくと安心です。
④ 建物表題登記・所有権保存登記・抵当権設定登記 約3~4週間
新居が完成し、工事代金の支払いをしたら建物表題登記と所有権保存登記を行います。最初に建物表題登記を行いますが、これは建物が完成して1か月以内に申請します。また、住宅ローンを組む場合に抵当権設定登記が必要になります。
⑤ 住民票の異動手続き 約2~3日
住民票の異動は仮住まいが1年以上となる場合に必要になります。
解体する家屋に関する手続きとその期日・期間
① ライフラインの停止 約7日
仮住まい退居時および新家屋に転居する場合と同様です。ただし、解体工事中は水道を使用するため、水道の停止はそのタイミングを業者に確認してから行います。
② 建設リサイクル法による解体工事の申請 着工の7日前
解体工事をはじめとした建て替え工事では、建材資材のリサイクルや適切に分別廃棄するための届け出が必要になります。これは工事着工の7日前までに行います。
③ 道路使用許可・道路占用許可申請 着工の1~2週間前
建て替えに伴う工事では、重機をはじめとした工事車両が頻繁に出入りしたり、現場周辺に駐停車したりします。そのためにその地域を管轄する警察に道路使用許可の申請が必要です。なお申請の時期は道路を管轄する警察署によって異なるので、事前の確認が必要です。念のため、1~2週間程度と考えておきましょう。
④ 建物滅失登記 工事完了後1か月以内
建物滅失登記は、すでに登記されている建物が完全になくなったことを示す登記で、建て替えに際しても必要です。古い家屋の解体工事が終わったら1か月以内に、その建物が無くなったことの登録である「建物滅失登記」を法務局で行います。手続き完了まで1~2週間かかります。
仮住まいに関する手続きとその期日・期間
① 郵便物の転送手続き 届け出日から1年間
転送手続きは郵便局の窓口、WEB、郵便で行えます。
② 住民票の異動手続き 転入・転居した日から14日以内
仮住まいの期間が1年以上になる場合、住民票の移動手続きが必要になります。
【Step1】建て替えの理想イメージを描く
建て替えの理想のイメージは、「そろそろ建て替えたほうがいいかも」と思ってから具体的に作り上げていきますが、これにどのくらいの期間を当てるかは決まったものはなく、その人ごとに違ってきます。
ただ、さまざまな事情で「〇〇までに建て替えを済ませたい」といったことがあれば、そこに照準を合わせて計画を立て、イメージの具体化もそれに沿って進めていく必要があります。
理想とするイメージの具体化では次のことを行いながら描き出せます。
* 建て替えをしようと思った理由を明確にする。
* 現在の家での暮らしで不自由している点を書き出す。
* インターネットや雑誌などから、理想に近い家屋、インテリア、外装などの写真をピックアップする。
* 共に暮らす家族やパートナーと話し合い、相手の希望や意見なども取り入れる。
【Step2】安心して任せられる業者を選んで、計画始動 2~6か月
建て替えでは、主に解体業者と建築会社の2つの業者が関わります。
これについては、大手ハウスメーカーや建築会社等に一括して依頼するケースと、施主様がそれぞれの業者を別々に選んで依頼する分離発注というケースがあります。
建築会社に解体工事も含めて依頼する場合と、分離発注する場合とでは、後者の方は施主様が解体業者と建築業者を選んで依頼を進めていくため期間が長くなる傾向にあります。しかし、中間マージンが発生しないといったメリットがあります。
業者への依頼方法である一括発注と分離発注について、こちらのコラムで詳しく説明しています。参考になさってください。
業者の選択と決定
建て替えというプロジェクトの完成の良し悪しを決める最大のポイントは、どのような業者に依頼するか、という点にあるでしょう。
業者の選択では、見積り金額に目が行きがちです。しかし、安さに拘って業者を選んでしまうと、当初の見積り書に記載されていなかったものが追加工事としてあとから費用を追加されたり、近隣住民からのクレーム対応が行き届かなかったり、作業員の態度に問題があったりして、工事に支障を与えかねません。費用も大切ですが、誠実に仕事を行い、周辺への配慮も細やかに対応する業者、そして施主様の思いをしっかりと形にしてくれる業者を選ぶことが重要です。
また業者の選択では、相見積りを行うようにしましょう。相見積りによって工事費用の相場を知ることができる、見積り書の記載内容が分かりやすいか否かで業者の配慮や仕事の丁寧さを推し量れます。
業者選びについては、こちらのコラムで解説しています。参考になさってください。
工事契約および各種申請手続き
相見積り等を通して依頼する業者が決まったら、依頼する業者とあらためて本見積り書の提出を受けて、工事スケジュールや建物の設計や仕様などについて細かい打ち合わせを進めていきます。
そして業者と契約を交わして工事に必要な諸手続きに移ります。この手続きは前段で説明した建築確認申請、ローン申し込み、建設リサイクル法に基づいた解体工事の申請、道路使用許可申請、ライフラインの停止依頼等です。
業者にあらためて希望を伝える
この段階で、あらためて業者に施主様の希望内容を伝え、確定することになります。
後悔することがないように、理想の家を具体化するために書き出した古い家の不満・不自由な点、家族構成、イメージする家やインテリアなどの雰囲気の写真などをあらためて業者に見せて、最終的な設計に反映できるようにします。
【Step3】解体・建て替えに向けた準備 1~2か月
この段階になると、新居に入居するまでのスケジュールが決定します。
また、解体工事に備えたこの段階は、仮住まいへの引っ越しの準備や、残置物の処分などをしっかりと行うことが大切です。これは解体工事を円滑に進めるためと、処分費用が高くなることを防ぐためのポイントです。
仮住まいの決定
まず仮住まいの場所を決めます。もちろん、仮住まいの候補は建て替えの計画が具体的になった段階から、他のことと並行しながら選んで、最終的な決定をこの段階までに行います。
室内のものを分類・処分して引っ越し準備
仮住まいにもっていくものと不用品を分類し、まとめます。最初の引っ越しの段階で、不要なものの処分をしておくと、仮住まいから新居に移るための引っ越しが楽になります。ただし、仮住まいの環境によっては、必要なものを全部収めることが難しいことがあります。その場合はトランクルームなどの利用も検討します。
不用品の処分は、慣れ親しんでいる地域での通常のごみ回収や粗大ごみ回収などを利用したほうが、処分しやすく経済的です。
仮住まいへの引っ越し
解体工事の着工までに引っ越しを行います。残置物がない状態で引っ越すことがベストで、粗大ごみや家電製品などを残したまま解体工事に入ると、その廃棄処分の費用が発生するため追加料金が発生する可能性があります。
マトイでは提携している引っ越し業者のご紹介や、解体工事の契約をした施主様の不用品の回収・買い取り等を行っていて、施主様からも喜ばれています。同様のサービスを提供している業者もいますので、これらの点を含めて解体業者選びをすることをお勧めします。
なお残置物の処分について、こちらのコラムでも詳しく説明していますので、お目通しください。
【Step4】旧建物の解体工事 1か月
解体工事の期間は、建物の大きさや構造、クレーム発生とその対応、地中埋設物などの発見とその対処などによって期間が延長することがあります。そういった状況を除いて一般的には、取り掛かってから終了までの期間として約1か月みておくといいでしょう。
近隣への挨拶回り
近隣の方々へ挨拶回りをして、解体工事・建て替え工事のお知らせと協力のお願いをします。これは、クレーム等のリスク回避につながります。工事に伴って近所の方々に騒音や振動などの影響を与えるため、ご近所の方とのお付き合いの有無に関係なく欠かせないことです。
挨拶回りについては、こちらのコラムで詳しく説明していますので、どうぞお読みください。
解体業者と相談すべきこと
建て替え工事での解体工事では、スムーズな工事進行のために次のことを解体業者と打ち合わせすると良いでしょう。
* 追加工事の必要性が発生した場合の施主様への報告と相談
* 工事に関するクレーム等が届いた場合の施主様への報告と相談
* 後に続く建築工事に合わせた整地方法
* 解体工事終了後の建物滅失証明書の発行と受け渡し方法
解体工事終了後の建物滅失登記
解体工事が終了したら業者から建物滅失証明書をもらい、法務局で建物滅失登記の手続きを行います。この手続きは施主様が行うことになっていますが、土地家屋調査士に委託することも可能です。
なお、建物滅失登記について詳しい説明をこちらのコラムで取り上げていますので、どうぞお読みください。
【Step5】新築工事 3~6か月
解体工事が終了したら、地盤調査や設計・仕様の最終確認を経て新築工事へと移ります。
新築に向けて必要な地盤調査・改良工事
解体工事終了後、更地の状態である敷地で地盤調査を行います。
これは新しい家を建てるにあたって地盤がそれに耐えうる強固なものであるか否かを調べるためのものです。調査で家屋の新築に耐えられる強度が地盤にないという結果が出る場合があります。その場合には、地盤の改良工事が必要になります。
設計・仕様の確認
工事中は最終的な施主様として定期的に現場に出向いて進捗状況や徐々に形になっていく様子を確認することができます。このとき、仕様などについて気づいたことがあれば、現場の担当者などに話して反映してもらうことも可能です。
【Step6】新居に引っ越し 1か月
新居が完成したらまず内覧会を経て「引き渡し」が行われ、その後、引っ越しとなります。それとともに登記をはじめとした諸手続きを行います。
内覧会
内覧会では、次のようなことをチェックして新居の状態を確認します。もしこの段階で図面通りでない、不具合がある、などがあったら引き渡し日までに業者に直してもらいます。そのため内覧会は建物が完成して、引き渡しの1~3週間ほど前に行います。
* 図面通りの作りになっているか
* 壁紙や床・柱等に汚れや傷はついていないか
* ドアや収納部分の扉や立て付けに不具合はないか
* 床のきしみ音はないか、等
引き渡し
引き渡しでは次のことを行います。
* 代金の支払い
* 名義変更
* 内覧会で見つかった不具合の補修の確認
* 玄関の鍵の受け渡し
* 設備の使用方法やメンテナンスの説明
引っ越し
前述の引き渡しの際に引っ越すことも可能ですが、慌ただしさがあります。また、引き渡しの段階ではカーテンや照明などが完全に整っていない状況です。そのため、引き渡しから1~2週間後に引っ越しを計画し、その間にカーテンを設置するなど、通常の生活ができる状態に整え、引っ越しをします。
登記申請をはじめとした諸手続き
新居の引き渡しを済ませたら、諸手続きを行います。
* 建築確認申請をしていたことに対して、自治体の建築主事、または指定確認検査機関の調査が行われ、検査済証の発行を受ける。
* 建物表題登記・所有権保存登記を行い、住宅ローンを組む場合には住宅ローンの手続きおよび抵当権設定登記を行う。
* ライフラインの開設。
建て替えに際して準備が必要な費用
建て替えを行うにあたっては、解体工事費用・建築工事費用・その他の諸費用が必要です。さらに、この3点にはどのような費用が含まれているのかを把握することは、計画を立てるためにとても大切です。
解体工事費用
文字通り古い家を取り壊すための費用で、解体する家屋がどのような構造であるかによって費用が異なります。
この内容は主に人件費、重機使用料、産業廃棄物処分費用などが含まれるほか、周辺環境や敷地の状態によっても違いが出てきます。
また、本体となる建物のほか、ブロック塀、カーポート、庭木、門柱・門扉などの撤去についても料金が発生します。
なお、こちらのコラムで60坪の家屋を具体的な例として、解体費用について説明しています。どうぞ参考になさってください。
新築する家屋の建築費
これは新たに家を建築するために必要な費用ですが、その内訳は工事費用と材料費からなります。建築費は地域や構造によって異なりますが、およそ3,000万円~となります。
なお設計費用は建築費に含まれている場合と別途発生する場合とがあります。これについては最初の段階で、見積り書に含まれているかどうかの確認が必要です。
引っ越し費用
それまで住んでいた家から仮住まいに、仮住まいから新築された家へと建て替えの場合は2回の引っ越しが必要になります。
仮住まいの費用
仮住まいの費用も欠かせません。これには家賃のほかに、敷金・礼金・仲介手数料などがかかります。さらに退居時には、清掃費用や鍵の交換などの費用も必要になります。また荷物が仮住まいに納まりきらないでトランクルームなどを借りる場合には、その費用も必要です。
マンスリーマンションのようなものは敷金・礼金などがなく、生活に必要な家電など最低限の設備が整っています。しかし、その分、費用が高めであること、荷物を入れるスペースが少ないためトランクルームを借りる必要が出てくるなど、逆に高くなる可能性があります。
仮住まい期間がどのくらいになるのか細かく計算したうえで決めることをお勧めします。
税金
建て替え工事の工事請負契約書、住宅の譲渡契約書、住宅ローン契約書の3点について印紙税を納めます。これは契約の金額によって変動し、500万円~1,000万円以下では10,000円です。
また所有権の保存登記(新家屋引き渡し時)、抵当権の設定登記(住宅ローンの融資を受ける時、抵当権の抹消登記(住宅ローン完済時)の各手続き時、登録免許税を納めます。さらに新居となる建物に対して、不動産取得税を納めます。
登記費用
登記については、登記手数料や登記手続きの交通費などからなる「実費費用」と司法書士等に依頼する場合の「報酬」の支払いが必要です。
まとめ
今回は建て替えに際してどのようなことを行うか、その準備期間とそれに関する費用の目安となる情報を含めてご紹介しました。ご覧いただいて、「意識していなかったことに、時間や費用がかかる」ことに気付かれたのではないでしょうか。
それだけにしっかりした計画と準備が必要です。今回のコラムが、そのお役に立てれば幸いです。
マトイでは、施主様から直接解体工事のご相談やご依頼を請けることも、工務店・ハウスメーカーや不動産会社の方からのご依頼も請けることもしております。よって、ご依頼方法の違いによる施主様の状況も十分理解しています。
どうぞ、直接当社に依頼する予定でなくても、解体工事とそれにまつわる疑問点などがありましたら、お気軽にご相談なさってください。「皆様のご要望にしっかり応え、よく働くマトイ」の姿を感じていただけると嬉しいです。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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