解体工事の瓦礫はどのように処分される?
かいたいコラム 環境に対する意識は年々高まってきています。私たちの日常でも、ゴミの分別やマイバッグを持参しての買い物など、環境保全につながる具体的な行動が習慣となっています。
では解体工事ではどうなっているのか、解体工事の際に出る瓦礫を通して紹介します。
あらためて知っておきたい「瓦礫」について
“瓦礫”と聞いて皆さんはどんなものをイメージしますか? 多くの方は、瓦礫について、漠然としたイメージでしかとらえていないかと思います。
家の解体を検討している方のなかには、検討段階から近隣の家々への影響をはじめ環境に対する取り組みを心配される方もいらっしゃいます。もし、解体工事の検討に際して、そういう心配を感じるようでしたら、どうぞマトイにご相談ください。見積り以前に、心配事を解決して、次へのステップへと進むお手伝いをいたします。
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一般的にイメージする瓦礫
瓦礫に使われている2文字のそれぞれの訓読みは、「瓦(かわら)」と「礫(こいし・いしこころ・つぶて)」です。
解体工事や建築工事等について知識を持たない友人に「瓦礫と聞くとどんなものをイメージする?」と聞くと、「ゴミや石や砂利なんかが混ざったものかな?」という答え。そして、箒で掃き集められる程度のもののイメージでした。
このイメージは、冒頭に挙げた瓦礫という2つの文字も影響しているのかもしれません。同じようなイメージを持つ方は、きっとほかにもいらっしゃることでしょう。
産業の場面から見る瓦礫とは
しかし、解体工事や建築工事をはじめとした産業の場では、瓦礫は産業廃棄物処理法という法律に基づいて、「がれき類」として次のように明確に定義づけられています。
―がれき類とは、工作物の新築、改築、または除去に伴って生じたコンクリートの破片、その他これに類する不要物―
要するに、産業の場での瓦礫とは建設工事や解体工事で排出される廃棄物であり、コンクリート片、レンガ片、アスファルト・コンクリート片を併せて「がれき類」としています。
混同しがちなガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず
産業廃棄物には「ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず」があります。一見すると、同じように思われます。しかし、産業廃棄物の分類から見ると、これらは異なったものになります。
「がれき類」はすでに説明しているように、建設工事や解体工事現場から排出されるものです。
一方、「ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず」は、それぞれの製造過程などで排出されるもので、どのような段階で排出されるかが異なります。そのため、もしもがれき類とガラスくずなどを一緒に廃棄するようなことをした場合は、法律違反となります。
解体工事現場から排出される廃棄物は産業廃棄物ということになります。そのなかでがれき類は大半を占めますが、それ以外のものもしっかりと分別しながら適正に取り扱います。こちらのコラムでは、解体現場で排出される廃棄物について詳しく解説していますので、こちらもお読みください。
産業廃棄物としての瓦礫
がれき類とガラスくずなどのように、同じように事業活動によって排出される廃棄物でも扱いが異なってくるのは、難しい点です。ここで、産業廃棄物について、少し確認をしてみたいと思います。
産業廃棄物の定義
そもそも廃棄物は、あらゆる場面で発生します。そこから、私たちが暮らしているなかで発生するものを「一般廃棄物」、そして事業活動によって排出された廃棄物を「産業廃棄物」として分類しています。
このように同じものであったとしても、それが発生したプロセスや場所によって一般廃棄物か産業廃棄物かに分かれ、その廃棄方法も異なります。
産業廃棄物の分類と瓦礫の位置づけ
さらに産業廃棄物は、法令によって定められた20種類と「特別管理産業廃棄物」と呼ばれるものがあります。これらについても、排出場所やそのプロセス、性状などが異なり、それぞれに適した方法で処理されるため、一緒に処理することはできません。
それぞれをしっかり分類・保管・運搬し、処分します。すでに説明したがれき類とガラスくず類などのように、異なる産業廃棄物を混ぜて廃棄するようなことをした場合は、違法行為となります。
産業廃棄物とされるのは以下の20種類です。そしてがれき類は、「建築現場や解体現場から排出される産業廃棄物」として適切に処理されることが求められます。
【産業廃棄物】
〇燃えがら:事業として何らかのものを焼却した後に残った石炭ガラ、灰カス、焼却残灰、炉清掃掃出物等。
〇汚 泥:排水処理後、および各種製造業生産工程で排出された泥状のもので、有機性・無機性すべてのもの。
〇廃 油:鉱物性および動植物性油脂のすべての廃油。
〇廃 酸:すべての酸性廃液。中和処理した場合に生じる沈殿物は汚泥として扱われる。
〇廃アルカリ:すべてのアルカリ性廃液。中和処理した場合に生じる沈殿物は汚泥として扱われる。
〇廃プラスチック類:合成高分子系化合物に係る固形状および液状のすべての廃プラスチック類。
〇ゴムくず:天然ゴムくず(合成ゴムは廃プラスチック類の扱い)
〇金属くず:金属を含む廃材の総称で、空き缶、研磨くず、切削くず、金属スクラップなどで、排出シーンは多岐に渡る。
〇ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず:これら3種は産業廃棄物として1つに分類。
〇鉱さい:鉄やニッケルなどの鉱物を高熱で融合した際に表面に現れる不純物で、石や砂の形で排出される。
〇がれき類:建築現場や解体現場で発生するコンクリートやアスファルトの破片など。
〇ばいじん:物の燃焼によって発生する煙やすす、ちりなど。
〇紙くず:建設業やパルプ製造業など特定の業種から排出されたものに限り、産業廃棄物に分類。
〇木くず:建築や解体に伴って生じる木材、木材や木製品の製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業に由来する木材。また、物流過程で使用されるパレットやそれに関連する梱包材なども含まれる。
〇繊維くず:衣服やその他の繊維製品の製造業を除く繊維工業や建設業から発生する畳、木綿くず、絨毯など。
〇動植物性残さ:食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業などから排出される動植物を原料とした固形状の廃棄物。
〇動物系固形不要物:屠畜(とちく)場や食鳥処理場で発生する廃棄物。
〇動物の糞尿:畜産農業に関連する事業活動で発生する動物の糞尿、
〇動物の死体:畜産農業から発生した動物の死体。
〇その他:産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記に該当しないもの。
瓦礫の排出量は産業廃棄物中で上位
環境省の調査によると、建設業全体での産業廃棄物の排出量を見ると、がれき類が最も多くなっています。なお、この単位は1tの処理費用が十億円かかることを示しています。
がれき類 排出量 991.1 t/十億円
木 く ず 排出量 143,84 t/十億円
汚 泥 排出量 42.72 t/十億円
(環境省:産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値より引用)
解体工事の際の産業廃棄物の量を増やしてしまう要因の1つに、屋内残置物があります。こちらのコラムで「解体工事の前に行うべきこと」の1つとして詳しく解説していますので、どうぞお読みください。
また、解体工事前に家のなかの不用品を自分たちで処分できるかどうか心配、ということがありましたら、お気軽にお声をかけてください。無料見積りとともに、不用品の処分についてもご相談に乗らせていただきます。
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産業廃棄物処理のプロセス
排出量も処理費用も膨大となるがれき類で、どのように処理されるのかが気になるところです。そこで、産業廃棄物の一般的な処理のプロセスとともに、がれき類がどのような形で処理されるのかについて紹介します。
家を解体する際、多くの廃棄物が産業廃棄物として排出・処理されます。それらの処理方法やその根拠となる法令や廃棄する上での注意点など、こちらのコラムで詳しく説明しています。どうぞ、参考になさってください。
産業廃棄物処理の一般的な流れ
産業廃棄物として排出された廃棄物は、おもに以下のような流れで処理されます。
①さまざまな事業の場で排出された産業廃棄物
↓
②収集:排出される事業所等の現場で安全に収集。
↓
③運搬:現場からトラックに積み込み、転送ステーションと呼ばれる中継所で大型トラックに移され、中間処理を行う施設へ搬送。
↓
④中間処理:廃棄物の量や有害性を減らして、処理を安全に効率よく行うための施設。
中間処理として物理的処理、化学的処理、生物学的処理の3種の処理を廃棄物の特徴に応じて実施。
物理的処理/粉砕や圧縮を行い、廃棄物の容量を減少させる。
化学的処理/特定の化学物質を中和などして処理。
生物学的処理/微生物などを用いて有機廃棄物を分解する処理。処理したもの
は肥料菜としてリサイクル。
↓
⑤最終処分:中間処理を施して残ったものについては、埋め立て処分をするか、焼却処分を行う。
がれき類の処分と再生
前述のような一連のプロセスを経て産業廃棄物の処分は行われます。そして、収集から中間処理の過程において、リサイクルできるものは選別されて再生処理を実施し、再利用されます。なかでもがれき類は、その9割が再利用されるといわれています。
中間処理施設に運ばれたがれき類での処理
がれき類は、中間処理施設に運ばれると、次のような処理を受けてその多くが再利用されます。
〇前処理として重機などによってコンクリートくずの一次破砕・粗破砕、鉄筋などの抜き取りが行われます。
〇その後、固定式破砕機かけられて破砕、そして磁力選別機によって金属類が除去されます。
〇ふるいにかけられ、粒度の調整やさらに磁力選別機にかけられて金属類が除去されます。
〇ふるいにかけられたものを分別してリサイクルします。
処分後のがれき類
産業廃棄物として処理のプロセスに進んだがれき類は、その処理の段階で再生されてます。それがどのような形にリサイクルされ、私たちの生活に戻ってくるのでしょうか。
【再生路盤材】
路盤材とは、道路の基盤を形成する材料の1つです。処理されたがれき類は直径4㎝程度の粒に加工され、路盤材の材料として再利用されます。道路はそこを走る車両の重量に耐えなくてはならないため、コンクリート片などからなるがれき類の変形しにくい特性が活かされます。
【再生骨材】
路盤材と同じ理由から、がれき類は建築用のコンクリートやモルタルに混ぜる砂利や砂などの骨材としても利用されます。混ぜることで、コンクリートの強度を高められるとともに、骨材として利用する砂利や砂を新たに採掘する量を減らせることから、環境負荷の低減にも役立っています。
【再生砕石】
処理によってがれき類から鉄分を除去し、コンクリート片を細かく砕いて砕石とします。駐車場や建物の基礎、庭の舗装などに使われる砕石は、再生砕石が天然の砕石と比べて低コストなためによく利用されます。
【アスファルト合材】
粉砕されたコンクリートをアスファルトに混ぜ、新しい道路の舗装材料として使用します。これによって新たな資源の採掘を減らし、環境への配慮もできる材料となっています。
解体工事業として事業活動を進めていくうえではさまざまな許認可が必要になり、そのなかには廃棄物に関するものもあります。その1つが「産業廃棄物収集運搬業許可」です。こちらのコラムでは、それを含めた許認可について説明していますので、参考にお目通しください。
瓦礫の処分や取り扱いで私たち業者が心がけていること
“瓦礫”というと廃棄するしかないもののようなイメージを抱きがちですが、実は私たちの扱い方次第で社会環境に役立てられることをおわかりいただけたと思います。
そこで、私たちマトイをはじめとした解体業者はその取扱いに際して次のことを心掛けています。
環境を守る
私たち業者が解体工事を行う際の1つひとつの作業が、環境に影響を与えていることを常に意識し、作業に当たっています。そして現場周辺に暮らす方々への配慮を行うことが、工事による環境への影響を最小限にとどめ、環境保全につながっていると考えています。
法令を守る
環境を守りながら誠実な解体工事を行うための根拠となる、廃棄物処理法をはじめとした関係法令をしっかりと守って作業に当たっています。
解体作業はもちろん、がれき類をはじめとした廃棄物の取り扱い等についても、ただ「正しく取り扱っている」といっても、その方法が曖昧なものでは意味がありません。私たちの行動が関係法令に基づいたしっかりしたものであることを、誠実な作業の根拠としています。
正しく分別する
「廃棄物の分別を正しく行う」という、当たり前のことをしっかり行うことを大切にしています。
解体というと、既存のものを取り壊して無の状態にする、と思われがちです。しかし、瓦礫となったそこに存在していたものを、正しく分別して別の場所に運び出すことで、再生して新たなものを生み出せると、私たちは捉えています。
上記は解体工事全般に渡って、私たち業者が心掛けていることです。さらに、解体工事のなかには、「特定解体工事」としてフロンやアスベストなど、より環境への配慮が必要な工事があります。こちらのコラムで、それらについて説明しています。こちらもどうぞご覧ください。
まとめ
毎日の解体作業で発生する廃棄物の大半はがれき類です。それらをどのように取り扱うかは、ある程度、決められています。しかし、それでもときどき不法投棄がニュースとなることがあります。
私たちマトイをはじめとした多くの解体業者は、廃棄物についても正しく対処するまでを解体工事としてとらえています。それだけに不法投棄等の情報に接すると、同業者としてとても残念な気持ちになります。
がれき類をはじめとした廃棄物を私たちが正しく取り扱うことで、再び形を変えて私たちの役に立つものに生まれ変わります。マトイでは解体工事は、新たなものへの橋渡しであり、それが事業者として環境保全への貢献の仕方ととらえて日々の仕事に取り組んでいます。
家を解体する際は、検討段階から解体工事が終了するまで、さまざまなことが気になったり、心配になったりすることと思います。その際は、どうぞお気軽にマトイにお問い合わせください。解体工事のパートナーとして一緒に考え、取り組ませていただきます。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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