ある日、固定資産税が6倍に!? 避けたい空き家放置の結末
かいたいコラム 固定資産税は空き家に対してもかかります。ただし、その額は税の優遇措置があるため、更地のときよりも低く抑えられています。
このことが現在の空き家問題の一因にもなっていて、行政はその対策により力を入れてきています。適切な管理がなされないままになっている空き家の場合、税の優遇措置が外されることもあるのです。それによって固定資産税が6倍になることも起こりえます。
今回はそういった空き家と固定資産税について取り上げてみます。
空き家を所有されている方で、「毎年の固定資産税の支払いも、空き家の管理も頻繁にはできない。どうにかしたい」と考えていらっしゃる方。家屋の解体等をご検討されてはいかがでしょうか? 東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県でご対応させていただきます。
そういったご相談も含めて、マトイをご利用ください。
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空き家にかかる税金―固定資産税・都市計画税
空き家にかかる税金として固定資産税と空き家が建っている場所によって都市計画税がかかる場合があります(以後、“固定資産税等”と表記)。この2つの税金がかかることは皆さんもご存じと思いますが、何の目的で徴収されているのか、どのような計算がなされているのかなどについては曖昧……という方もいらっしゃるのでは?
まずはその点について、確認してみましょう。
「そもそも、ときどき親類が集まっているあの実家。普段はだれも住んでいないけれど、あれも空き家になるの?」
そんな疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。空き家の定義について、こちらのコラムで解説していますので、どうぞご覧ください。
固定資産税とその計算方法
○固定資産税はなににかかる税金?
固定資産とは土地や家屋、そして事業用(ボランティア活動なども含む)の施設・設備となる償却資産にもかかります。
○固定資産税の目的は?
固定資産税は「普通税」の扱いになり、使途が定められていません。徴収する市町村によって使い道は異なり、道路や教育施設をはじめとした公共施設の整備、介護・福祉といった行政サービスなどにも使われています。
○誰が、どこに固定資産税を納める?
固定資産税は、家や家屋といった不動産が所在する市町村に、それを所有する人や法人が市町村税として納税します。ただし、東京都23区の場合は、都税として東京都に納めることになっています。
○固定資産税の納税額はどのように計算される?
納税額は、次の図のように計算されます。
〔固定資産税の納税額=課税標準額×税率 1.4%〕
課税標準額は固定資産評価基準によって算出され、「住宅用地特例」があります。これは住宅やマンションなどの建物の敷地に対する特例措置で、200㎡以下の住宅用地は、課税標準額が住宅用地の価格の6分の1に軽減されます。200㎡を超える住宅用地に対しては、超えた部分の課税標準額が価格の3分の1に軽減されます。
都市計画税とその計算方法
○都市計画税は何にかかる税金?
これは、それぞれの自治体が計画している都市計画区域内にある土地や家屋にかかってくる税金です。そのため同じ自治体内でも、不動産が所在する地域が都市計画地域であるか否かによって都市計画税がかかる地域とかからない地域があります。
また、都市計画税を課税するか否かは、それぞれの自治体の都市計画事業に対する自治体の判断に委ねられています。
○都市計画税の目的は?
都市計画税は、政策上の目的を遂げるために使途が定められている目的税です。道路や鉄道に関する交通、公園や緑地などの公共施設、水道・電気・ごみ処理等の生活に関する都市計画事業や土地区画整備事業などに使われます。
○誰が、どこに都市計画税を納める?
固定資産税同様に、家や家屋といった不動産が所在する市町村に、それを所有する人や法人が市町村税として、固定資産税とともに納税します。ただし、東京都23区の場合は、都税として東京都に納めることになっています。
○都市計画税の納税額はどのように計算される?
固定資産税の課税標準額に対して税率をかけて都市計画税の納税額を計算します。
〔都市計画税の納税額=土地または家屋の評価額×税率 0.3%以下〕
固定資産税等の調べ方
すでに空き家を所有している方はご存じと思いますが、空き家にも固定資産税等が発生します。
これから家の相続や不動産の購入を予定している方々は、固定資産税等としてどの程度課税されるのか、知っておきたいと思うのではないでしょうか。そんなときの調べ方には
・納税通知書で調べる、
・路線価から調べる、
・課税明細書から調べる、
・固定資産課税台帳から調べる、といった4つの方法があります。
それぞれについて説明します。
納税通知書で調べる
固定資産税はその年の1月1日時点で所有している不動産に対して課税され、毎年4月~6月ごろに市町村からその詳細が記載された納税通知書が届きます。
納税通知書には、納税義務者・問い合わせ番号(納税通知書番号)・課税標準額・算出税額・軽減税額・差し引き税額・合計税額・納付税額が記載されています。
ただし、これから相続もしくは古家を購入するといった場合、納税通知書は相続もしくは購入以前の所有者のもとに届いているため、その人に確認することになります。
固定資産税路線価から調べる
固定資産税は〔固定資産税=課税標準額×1.4%〕で計算できます。
しかし、課税標準額の基準となる固定資産税評価額は自身で調べる必要があります。市町村は接道する土地1㎡当たりの価格を固定資産税路線価として表しています。この固定資産税路線価から固定資産税路線額を算出する場合は次の計算で割り出します。
〔固定資産税評価額=固定資産材路線価(㎡)÷0.7〕
そして土地の固定資産税はこの固定資産税路線価を基準に、宅地の状況を加味して固定資産税評価額を計算します。これによって導き出された1㎡当たりの固定資産税評価額に実際の坪数(㎡数)を乗じたものが固定資産税になります。
課税明細書から調べる
課税明細書は納税通知書と併せて送られる書類です。
課税明細書内に記されている「固定資産税課税標準額」の欄に記載されているものが、固定資産税課税標準額になります。
固定資産課税台帳から調べる
固定資産課税台帳には、空き家の所有者・所在・評価額等が記載されています。前述のいずれの書類もない場合にこの方法で調べられます。
ただし市町村の窓口で閲覧申し込みの手続きが必要であること、そして閲覧できるのは所有者・相続人・借地人などの限られた人物であり、閲覧には本人確認書類と手数料が必要になります。
空き家の相続や購入に関連する税金は固定資産税だけではありません。こちらのコラムで、その他の税金についても説明していますので、どうぞ参考になさってください。
固定資産税の見積りと同時に長期的プランを
相続や古家などの不動産購入の際に、上記のような方法で固定資産税等を見積もっておくことは大切です。
同時に固定資産税額等を知るだけでなく、長期的展望をもって固定資産税をはじめとした空き家の維持・管理にかかる手間や費用などを見積もることも大切です。そのときに検討すべきこととして次のようなことが挙げられます。
・毎年かかる固定資産税の負担。
・空き家や土地の管理にかかるための費用と手間の負担。
・空き家等の不動産の利活用の可能性や目的およびプラン。
・空き家等の維持・管理によって生じる経済面・労力面のデメリットと、利活用の可能性やプランの実現、それによるメリットとの収支等のバランス。
これらの内容を長期的に検討し、納得のいく方法を選ぶことが大切です。もしこれらを検討し、デメリットの方が大きそう、メリットはあるものの当面は空き家の維持・管理のための費用や手間の負担が難しい、ということであれば、空き家を解体したり、売却したりする検討もお勧めします。
定期的に適切な管理ができずにいる空き家の対応として挙がってくるのは、解体撤去です。その後の更地を売却する、駐車場として活用する、もしくは賃貸用に家を新築するなど、解体工事から新たな利活用をスタートすることもできます。
マトイでは、更地にするだけでなくその後の土地の利活用に合わせた整地などにも対応しています。まずはお気軽にお声がけください。
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空き家問題と固定資産税の関係
空き家の固定資産税等は納めていればいいというものではありません。空き家の状態が地域社会の環境と深く関係しているため、空き家の状態に応じて行政的介入が発生します。それを防ぐためにも、空き家の適正管理が必要になってくるのです。空き家を所有する場合は、この点を十分に理解しておくことが大切です。
そして、そこでポイントになるのが固定資産税等です。
空き家問題の一因となっている固定資産税
空き家が社会問題となっているのは、荒廃した空き家がその周辺で暮らす人たちの生活環境を悪化させたり、安全を脅かしたりするからです。
利活用されず、適切な管理もされないまま荒れていく空き家が増加している原因の1つが、現在の税制にあります。
前述したように、現在の税制では所有する土地に家屋が建っていると、その土地に対する固定資産税が減額される特例が適用されます。家屋が存在しない場合は特例の対象にはなりません。
そのため、家屋を解体撤去すると特例措置が除外され、納める固定資産税額が増えてしまいます。このことから、適切に管理できずに空き家が荒れても、解体撤去しないままにしている所有者が多くいます。このことが空き家の増加を招き、社会問題化している一因となっているのです。
このように固定資産税等に関連する税制と空き家問題は、関連しています。
固定資産税に踏み入った空き家対策法改正
もちろん、空き家問題およびその一因となっている固定資産税等については、行政もいろいろな対応策を重ねてきています。その対策は、空き家対策特別措置法(空き家対策の推進に関する特別措置法)に基づいて行われます。
例えば、管理が行き届かず、周囲への悪影響が懸念される空き家を抽出し、なかでも周辺への衛生・安全・防犯面などに対して悪影響を与える空き家を「特定空き家」に指定して改善を求めていきます。その段階は「助言・指導」「勧告」「命令」といった段階を踏み、勧告を受けても改善しない場合は固定資産税の軽減措置の対象から除外されます。さらに進んで、命令を受けても従わない場合は50万円以下の過料を徴収され、家屋解体等の行政代執行が行われます。
このように法に基づき、固定資産税の領域にも踏み入りながら空き家対策を推進しています。
空き家を所有する方は、空き家対策特別措置法に関する知識をもっておくと空き家に関する対応時に役に立ちます。こちらのコラムでは、そのポイント等について説明していますので、ご覧ください。
空き家対策特別措置法の改定で、税優遇措置対象が厳しく
これまでは特定空き家の状態になる前の段階では、市町村が空き家に対する指導や勧告を行えませんでした。しかし、特定空き家になってから行政として対応するのでは、増え続ける空き家の対策は追いつかないことから、2023(令和5)年に空き家対策特別措置法が改正されました。
これによってその特定空き家に指定される以前の、周囲に悪影響を及ぼすような空き家に対して「管理不全空き家」という段階を設けて、市区町村が指導・勧告を行い、特定空き家への移行の阻止を図るようになりました。
その指導・勧告を受けても適切な改善が図れない場合は、管理不全空き家として特定空き家と同様に敷地にかかる固定資産税の軽減措置を受けられなくなりました。
空き家の固定資産税等が6倍になる流れ
再度、税の特例措置の対象外となる流れについてみてみましょう。対象外となる場合は、管理不全空き家と特定空き家に指定される2つのケースがあります。
【管理不全空き家に認定された場合】
管理不全空き家に認定➡助言・指導➡勧 告〈特例措置の対象外となる〉
そのまま放置していたら特定空き家になる恐れがあるとして「管理不全空き家」に認定されると市区町村から適正管理に向けた助言・指導を受けます。それでも改善を図らず、勧告を受けた管理不全空き家は、敷地にかかる固定資産税の軽減措置の適用から外されます。
【特定空き家に認定された場合】
特定空き家に認定➡助言・指導➡勧 告〈特例措置の対象外となる〉
➡命 令〈従わないと50万円以下の過料〉➡強制撤去等の行政代執行〈要した費用は所有者から徴収〉
特定空き家では勧告を受けた段階で特例措置である税の軽減措置の対象から除外されます。さらに改善を図らないでいると「命令」が下され、50万円以下の過料が徴収され、最終的には強制撤去等の行政代執行が行われます。
管理不全空き家も特定空き家も、税の特例措置の対象から除外されるのは、勧告の段階です。
では、実際に特例措置が適用されないと、固定資産税がどのように変化するのか、課税標準額1,000万円のケースを例に確認してみましょう。
【住宅用地(小規模住宅用地)の特例の対象となっている場合】
固定資産税=1,000万円×1/6×1.4%=23,333円(年間)
【住宅用地(小規模住宅用地)の特例の対象外となった場合】
固定資産税=1,000万円×1.4%=14万円(年間)
特例が外れると、当然のことながら固定資産税は6倍になってしまいます。また評価額が高くなれば、固定資産税はさらに上がります。
税の軽減措置の除外、過料の徴収、行政代執行の費用の支払いなどによって、最終的には空き家放置によって受ける経済的な損失は大きなものになります。さらに行政や空き家近隣の住民からのプレッシャーなどの心理的負担も無視できません。
それらを考えると、早い段階で適切な対応をとることがいかに大切であるかがわかると思います。
いまが見直し時! 解体撤去などで空き家のリスク回避4対策
2023(令和5)年の空き家対策措置法の改定でも表れているように、空き家対策として行政から空き家所有者に対する適正管理の働きかけはどんどん高まってきています。税の優遇措置の除外のようなペナルティが今後も対策の一環として、所有者に科せられる可能性もあります。それらのリスクを回避するための対策として次のことが挙げられます。
特定空き家・管理不全空き家状態は解体撤去
リスク回避策の筆頭として挙がるのは、“管理できない空き家は解体撤去する”ことです。もしも所有する空き家が特定空き家や管理不全空き家に指定されたり、それに近い状態になっていたりしたら、それは実際に適正な管理が行えていない、ということです。その場合は維持に多額の費用をかけるのではなく、解体撤去等を含めた空き家の処分を検討するべきときです。
解体工事を検討しはじめたときから、解体工事に向けて施主として考えておくべきこと、行うべきことなどをこちらのコラムにまとめています。どうぞ参考になさってください。
空き家を適切に管理
理想は、日ごろから空き家を適切に管理しておくことです。しかし、そうはいかない事情を抱える所有者もいらっしゃることでしょう。
その結果、管理不全空き家や特定空き家の指定を受けたとしても、リカバリーは可能です。市区町村から「勧告」を受ける前段階である「助言・指導」の段階で改善を図れば、特定空き家の指定は除外され、税の特別措置解除も免れ、固定資産税は上がりません。
管理不全空き家や特定空き家の指定を回避するための空き家の適切な管理について、こちらのコラムで説明しています。どうぞお読みください。
空き家を活用
自身が居住したりセカンドハウスとして利用したりするほか、リフォームして賃貸物件として活用することも、空き家を健全に保つ1つの方法です。
賃貸物件として活用することで、税の特別措置解除や固定資産税の増加は免れ、空き家活用による収益も得られます。
古家付き土地として売却
空き家の状態にもよりますが、家屋が建ったままの状態で「古家付き土地」として売却する方法もあります。
買い手からは古家の解体費用を見込んで価格を低くすることを求められることがありますが、所有者自身が家屋の解体にかかる費用や手間が省けます。
空き家対策には、売却・利活用を含めて解体することからスタートするものが多くあります。解体工事が新たなスタートを意味しています。こちらのコラムでは、解体工事を進めるにあたっての流れを説明しています。どうぞ、お読みください。
まとめ
税金は私たちの生活環境を整えるためにも必要なことは承知していますが、できればその負担を減らしたい、とは多くの人が思うこと。
ただ空き家問題では、所有者の管理次第によって思いとは別に多くの税負担をすることになりかねません。それはぜひとも避けたいものです。まずは所有する空き家をどのように扱っていくべきか、所有者それぞれがしっかりと考え、見定めていくことが大切です。
そのための選択肢として家屋全体を解体撤去する場合もあれば、その空き家を改修・改築する場合もあるでしょう。そんなときマトイをご利用ください。建物全部を解体することはもちろん、改修・改築の際の部分的な解体やリフォームも承っております。
また、東京都をはじめ多くの自治体では、空き家の解体工事や改築などに対する補助金・助成金制度を設けています。それら利用のご検討も含めて、マトイでは施主様のご希望を伺いながら必要な情報提供やプラン等をご提案し、施主様のサポートをさせていただいています。
マトイを皆様の空き家対策のパートナーとしてお役立てください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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