持て余した空き家をおトクに処分するには?
未分類 空き家を所有している方のなかには、「とくに住むつもりも、活用するつもりもない」という方も多いのではないでしょうか。
そういった方でも、内心では「何とかしなきゃ」「早く処分した方がいい」と思っているようです。でも、積極的に対処するには何から手をつければいいのかよくわからない、仕事など日常に行うことが手いっぱいで空き家のことまで考えられない、といったことから具体的な行動に移せない方も多いのでは?
そのような場合は、やはり空き家を処分することが一番の選択肢になると思います。今回は、そんな方に参考になるような情報をお伝えします。
「処分以外の方法も含めて、あらためて空き家の対処について考えてみたい」という方もいらっしゃることでしょう。マトイでは、解体撤去も含めた空き家の対処法などについてのご相談にも対応させていただいています。どうぞお気軽に声をおかけください。
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空き家対処の選択肢とその流れ
利活用しないままになっている空き家はできるだけ早めに対処した方がいいでしょう。まずは、どのような対処方法があるかを考えてみましょう。
「空き家」の処分を考えるとき、そもそも「空き家とは?」とその定義をしっかり把握しておくことが大切です。こちらのコラムで、その説明をしていますので、ご覧ください。
空き家対処法3選
空き家の対処法には、「売却」「無償譲渡」「有効活用」の3つがあります。それぞれにメリットやデメリットがあります。
売却
売却するためには、買い手を探すことや複雑な手続きが必要なことが多いため、通常は不動産業者と契約をして進めます。依頼する不動産業者を探すことは必要になりますが、それ以降は不動産業者に任せることができるので、手間がかからない方法です。
第三者に無償譲渡
「無償譲渡」とは、その物件を活用したい人にその空き家の所有者が無料で譲り渡す仕組みです。
例えば、周辺で事業を行っている人や隣地を所有する人、自治体や地域のNPO法人などが運営する空き家バンクなどが譲渡先として挙がります。ただし、税金等が発生する場合があるので、事前に確認をしておく必要があります。
所有したまま有効活用
空き家を所有者自身で活用する方法です。これには、賃貸物件として貸し出したり、駐車場や駐輪場などに転用したり、逆に更地にして農地にしたり、といったさまざまな活用方法があります。
空き家売却の留意点
【空き家売却の方法とメリット・デメリット】
〇そのまま売却:家屋等はそのままで、「古家付き土地」として買い取ってもらいます。
*メリット:所有者の手間がかからず、解体等の費用もかからない。
*デメリット:家の古さや傷みのひどさにより、なかなか買手が見つからない。また家屋の状態が悪いと、その分、買取価格も低くなる。
〇更地にして売却:所有者によって家屋等を解体撤去して更地にして売却します。
*メリット:価格も高く、早く買い主が見つかる可能性が高い。
*デメリット:解体工事費用がかかってしまう。
〇リフォームして売却:内装や外装など、傷んでいる部分の修繕を含めてリフォームして売却する。
*メリット:すぐに移り住める状態になっているため、スムーズに買い手を見つけられる。
*デメリット:買い手にとっては家屋以外の周辺環境なども選択基準になるので、リフォームしたからといってすぐに買い手が見つかるとは限らない。
〇空き家付きのまま業者が買い取り
空き家の処分方法として、「古家付き土地」として売却する方法があります。それについて、こちらのコラムでも取り上げていますので、ご参考になさってください。
第三者に無償譲渡する際の留意点
売却に出したもののなかなか買い手が見つからない、親族から相続したものの遠方に合って管理を継続するのが難しい、といった場合に、まずは手放すことを優先すると「無償譲渡」という選択肢があります。空き家は所有しているだけで、固定資産税等の税金や管理のための費用がかかってしまいます。その負担から解放されるための利活用しない空き家を処分する方法として有効です。
*メリット:無償なので早期に制約しやすく、早く譲渡できれば維持費や固定資産税の支払い、管理の手間から解放される。
*デメリット:無償で買い手に渡すため、収益はない。
通常、不動産を譲渡する場合には譲渡税などがかかります。しかし、空き家を解体して譲渡する場合には譲渡税が控除されることもあります。これらを含めた節税対策について、こちらのコラムで取り上げています。参考になさってください。
自身で空き家を有効活用する場合の留意点
【有効活用時の選択肢】
〇リフォーム等を行って賃貸物件として貸し出す。
〇更地にして駐車場や駐輪場などにする。
〇更地にして貸し出す。
【有効活用する際のメリット・デメリット】
*メリット:不動産を保持したまま、活用によって継続的な収入を得られる。
*デメリット:初期投資が必要になるとともに、事業経営のノウハウが必要。また、入居者や利用者が確実に埋まるとはいえず、収入につながらない可能性がある。
空き家の対処法として、空き家を解体処分した後の土地を転用する、という方法もあります。こちらのコラムでは、地目転用も含めた土地活用について説明しています。
空き家の処分方法を選択する際の進め方
空き家の処分方法がすでに決まっている場合はいいのですが、そうでない場合、まずはどのようにしたらいいかについて考えてみましょう。
結論からいうと、まずは「不動産業者に相談する」ことをお勧めします。
「不動産業者に相談といっても、まだ売却するか決めていないし、なにかの活用をするかもしれないし……」とためらう方もいらっしゃるでしょう。
もしも、空き家を手放さずに有効活用するには、その地域環境がどうであるか、有効活用しようとすることのニーズがその地域にあるか否かが、その取り組みの成功に大きく影響してきます。その土地の不動産業者は地域の事情を把握していますから、売却だけでなく、不動産を利活用するに際しても有益な情報を提供してくれるはずです。
この点を踏まえて次の流れで、空き家の対処方法を検討していくといいでしょう。
① 空き家が所在する地域の不動産業者を探す。
② 不動産業者等から地域のニーズ等の情報を収集したうえで、「売却」または「利活用」するかを検討。
【売却する場合】
③ 売却を検討する場合、まずは解体工事などの費用をかけずに「(古家付き土地として)そのまま売却」することからスタートする。
④ そのままの状態でなかなか買い手が見つからない場合、次の選択肢として「更地にして売却」「リフォームして売却」「無償譲渡」などを検討する。
【利活用する場合】
利活用する場合には、「家屋を活用する」方法と「家屋を解体撤去して土地を活用する」方法があります。
いずれの方法でも、リフォームや改修が必要になったり、家屋の解体工事や新たな事業のための準備工事等が必要になったりします。
また、貸家やアパート、駐車場など、どれを選ぶにしても事業を行うことになります。そして初期投資などのある程度の費用が必要になり、失敗したくないですね。そのためにも、地域のニーズを熟知している不動産業者と一緒に検討していくことをお勧めします。
建物を解体撤去して土地を利活用する場合、その内容によって基礎工事なども配慮します。解体後の土地活用等が決まっているような場合でも、お気軽にマトイにご相談ください。
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その空き家、できるだけ早期に対処した方がいい理由
もし目的のないまま所有している空き家があるのならば、早く処分するなり利活用するなどの対処をした方がいいでしょう。その理由には、次のようなものがあります。
管理不全空き家や特定空き家の指定
管理が適切に行われないまま家屋やその敷地内があれた状態が続いていると、周辺の環境に様々な悪影響を与えます。そのため、行政ではあれた空き家を対象に、指導や勧告などを行います。そういったことに対して、何もしないでいると特定空き家の指定を受けて、最終的に解体工事の行政代執行が行われ、その料金を請求されるだけでなく、税制面でも不利益を受けることになりかねません。
さらに空き家問題が社会問題として取り上げられるようになってきた現在では、やはり管理が不十分な空き家を特定空き家の前段階として行政指導等が行われるようになりました。
こういったことを含めて、今後はさらに空き家管理について、所有者に対する行政の取り組みは厳しくなると考えられます。まずは管理不全空き家や特定空き家の指定を受けるようなことがないように、しっかりと空き家の管理を進める必要があります。
「管理不全空き家」や「特定空き家」は空き家対策特別措置法によって定められています。この法律は空き家問題のさらなる解決に向けて2023年12月に改正されました。こちらのコラムでその内容を説明しています。どうぞお読みください。
管理維持による身体的・精神的・経済的な負担
空き家の管理には、想像以上に身体的・精神的・経済的な負担を伴います。
まず、身体的負担では、休日などに自宅から離れた場所にある空き家に出向くことや、そこで掃除、草むしりなどを行う負担があります。毎日でないものの、日常の仕事や家事などに加えての空き家管理は疲れます。自宅と空き家の場所が遠くなればなるほど、その負担は大きくなります。
私たちは日々、仕事や家事の段取りや家族や対人関係など、さまざまなことについて考えながら生活しています。空き家を所有しているということは、そういった考えるべきテーマを1つ余分に持っていることになります。ときには、管理の不行き届きなどが原因で、空き家の近隣の方からクレームが届いたり、行政から管理不全などの通知が届いたりする可能性もあり、それらは所有者の精神的負担につながります。
そして経済的負担では、空き家に行くための交通費や維持に必要な物品などを調達する費用、そして傷んでいる場所を修繕するための費用などです。それぞれの金額は大きくはないとしても、1年単位でまとめると馬鹿にならない額になります。
空き家の社会問題化による、今後の税制等の変化
空き家増加の一因として「住宅用地特例」があります。これは、住宅がたっていることで、固定資産税の優遇措置を受けられるもので、空き家であっても、老朽化が進んでいる家屋であっても、その敷地に建物が建っていれば税の優遇を受けられるものでした。しかし、空き家が増加し、社会問題化することでその見直しが進んでいます。
その1つが前述の管理不全空き家や特定空き家に指定された場合、この税金の優遇措置が外されるというものです。このように空き家問題解消につなげる何らかの税制の変更は今後も考えられ、それは決して空き家を維持する所有者にとっての利益につながるとは断言できないものです。
防災・防犯面でのリスクを回避
空き家は文字通り、人が暮らしていない家です。人が暮らしていない家は、傷みの進行が早く、古い家はなおさらです。加えて、管理が適切に行われていないことで、外壁材が風などによって飛ばされたり、空き家に住み着いた害獣によって悪臭などが発生したりすることで、隣人から苦情が発生することがあります。また、傷ついた外壁材がはがれて通行人を傷つけたり、近隣の建物を傷つけたりすることもあります。そうなると、賠償の問題などに発展しかねません。
負の遺産の継承を回避
巷で時折耳にすることに、「空き家状態になっている家を解体しようとしたら、登記の書き換えがされていなくて、大変な思いをした」といったものがあります。空き家だけでも、その対処が大変なのに、登記まで行われていなかったとなると、それを受け継いだ人たちの苦労はどんなに大変なことでしょう。
できれば、遺産として次の世代に引き渡すものは、登記はもちろん空き家も処分して、すっきりした状態にしたいものです。
空き家状態になっている古い家を「解体した方がいい」と思っても、具体的にどのように進めたらいいのか悩むこともあるでしょう。こちらのコラムで、その進め方について説明していますので、どうぞお読みください。
把握しておきたい空き家維持と空き家処分にかかる費用
「使う予定もないし、空き家になったままの家。処分しなきゃと思うけれど、なかなか決断できない」という方もいることでしょう。しかし、それには前項で説明したようなデメリットがあります。
それでも決断できない場合は、空き家の維持にかかる費用を客観的に書き出してみてはいかがでしょうか。
以下に管理にかかる費用を簡単に試算してみました。
【空き家の維持で必要になる費用とその試算】
都内に居住する人が2カ月に1回のペースで埼玉県内に所有する空き家の管理に通うとして試算してみました。
〇固定資産税や都市計画税
家の広さ・場所・築年数等によって異なります。また築年数が下がるほど減額されるのが一般的です。
正確に知るためには、建物や土地の評価額や軽減措置の有無などを考慮しながら、手順に基づいた計算が必要です。そのうえで、取得費用2,000万円~4,500万円の一戸建ての固定資産税の年間平均金額は、おおよそ10万円~15万円と考えられます。(住宅金融支援機構 フラット35利用者調査2021年度より)。
家の広さや場所によって異なるため、ここでは10万円として計算します……10万円~/年
〇光熱費
空き家が所在する地域や電気代などは契約先によっても異なります。ここでは掃除等の管理のために最低限の水や電気を確保するために契約を継続しているとして、3,000円~/月とします。ちなみに東京都では、水道代(水道管の口径13mmの場合)の基本料金860円/月、下水道料金は560円~/月です……36,000~円/年
〇交通費やガソリン代
往復3000円/回……18,000円/年
〇メンテナンス費用
メンテナンス内容によって違いが出てきます。例えば、庭の雑草取りを業者に依頼する場合、小さな庭や家の周りの雑草を取る程度の作業を業者に依頼した場合、2万円~/回ほどかかります。ここでは、年に2回、業者に雑草除去を依頼するとします……40,000円~/年
〇火災保険・地震保険……10万円~/年
〇雑 費:適宜
以上を合計すると、年間に30万円、もしくはそれ以上の費用が空き家管理に費やされることになります。空き家の処分については、こういった管理のための支出と空き家を所有し続ける目的や価値などを合わせた検討が必要です。
東京都の空き家解体の経済的負担を軽くする補助金
一言で「解体撤去」といっても、それなりの金額が必要になります。このこともあって、なかなか空き家の処分に踏み出せない方もいらっしゃることでしょう。
そんなときに心強いものに自治体の補助金制度があります。空き家解体に対して補助金制度を備えている自治体は多くあります。これを活用することで、空き家の解体撤去における経済的負担を軽くできます。どのような補助金があるか、東京都を例にご紹介します。
空き家の解体に活用できる補助金等
東京都内における空き家等の解体工事の補助制度の一部を紹介します。
【文京区:空き家対策事業】
〇事業概要:管理不全状態の空き家等について危険度審査を行い、空き家を除却後に行政と跡地利用契約を結んだものに、解体撤去の費用を補助する。区はその土地を原則10年間無償で借り受け、行政目的で利用。
〇補助内容:200万円(消費税込み)を上限に除却費用を補助。
【墨田区:老朽危険家屋除却費等助成制度】
〇事業概要:老朽建物等が住宅地区改良法に規定する不良度の評点が100点以上の場合、建物所有者に除却費用を助成。
〇補助内容:50万円を上限として、除却費用の1/2を助成。
【墨田区:土地無償貸与を前提とした除却費の助成】
〇事業概要:管理不全に陥っている危険な建物について、その建物を除却後の10年間、区にその土地を無償貸与することを条件に、除却費用を助成。
〇補助内容:上限200万円まで除却費用を助成。
【品川区:都市防災不燃化促進事業の助成】
〇事業概要:耐火・準耐火建築物以外の木造建築物を除却する場合、除却助成対象建築物の床面積に応じて、建物の所有者に除却費用を助成。
〇補助内容:建物の床面積(㎡)×31,000円/㎡(1,550万円を限度とし、千円未満は切り捨て)。ただし、実際にかかった除却費と床面積による金額を比べて。額の小さい方を助成金額とする。
【江東区:老朽建築物除却助成事業】
〇事業概要:老朽建築物の建て替えを進め、市街地の不燃化および耐震化の促進を語って防災上安全な街づくりを推進するため、条件を満たした場合の除却費用の一部を助成。
〇補助内容:50万円を上限に、かかった費用の1/2以内。
東京都の空き家解体に関する補助金について、こちらのコラムでも取り上げています。どうぞご覧ください。
補助金利用にあたっての留意点
補助金等の活用に際しては以下の点を留意し、早めの情報収集と申請手続きをするといいでしょう。
*同じ東京都でも、各区によって制度や申請の条件・流れが異なります。制度がない自治体もありますので、制度の有無や内容について事前の確認が必要です。
*自治体によって助成制度の予算を設けているところがあり、そういった区は予算に達したら申請受付を締め切ってしまいます。できるだけ早い時期に情報収集しましょう。
*申請者の条件として、固定資産税等の税金の滞納がないことがあります。
*所得条件を設けている区もあります。
*申請に際しては、事前に自治体への相談や自治体関係者による現地調査が必要になる場合があります。
まとめ
今回は空き家の処分をテーマにしました。空き家を利活用することなく漫然と放置しておくことは、とても残念なことです。周辺環境に対するマイナス影響はもちろんあるにしても、所有者にとっても決して得になることではありません。
新しく管理不全空き家や特定空き家という区分ができて、空き家管理の徹底が強く求められ、空き家所有者に対する社会的プレッシャーも大きくなってきています。それとともに空き家管理にかかる経済的負担など、何よりも所有者が受けるデメリットが増えています。
家族の思い出の残し方にはいろいろな方法があります。それも含めて、空き家をお持ちの方は処分についてしっかり考えてみてはいかがでしょうか? その際にご不明なこと等がありましたら、どうぞマトイにお声をかけてください。マトイでは、皆さまのご相談に真摯に向き合って、皆さまと一緒にベストな対策を導き出します。
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