解体工事の際に、残していいものはある? 必ず処分した方がいいものは?
かいたいコラム 解体工事の費用には大金を要する場合が多くあります。実は、その金額の半分近くが、廃棄物の処分費用です。このコラムでも「費用を安く抑えるためコツやポイントは……」として、「残置物をできるだけ自分たちで処分する」ということをお伝えしています。そうすることで、処分費用を減らせるからです。
残置物とは、家屋内、敷地内に残ったもののことです。でも、実際に処分する施主様たちにしてみると、スケジュールやお仕事の都合などで迷うことや進めるうえでの疑問などが出てくるでしょう。今回は、そういったことが少しでも解決するための情報をまとめました。
残置物処分に決まりはある? すべて自分でやらなくてはダメ?
残置物の処分に明確な決まりはありません。ただ、施主様がご自身で処分するということが基本となります。また最も大切なことは、「不法投棄は絶対にしない!」ということです。これは業者に依頼した場合でも、業者が請け負った工事の廃棄物を処分する場合でも同様です。これを厳守すれば、あとは施主様のご都合に応じて、業者に処分を依頼したり、ネットオークション等にかけたりと、どのような方法をとってもかまいません。
なお、以下のコラムでは一軒家を処分する際の流れとともに、残置物の処分についてどのようなことから始めるべきか、どのような方法があるかなどについて詳しく説明しています。どうぞご参考になさってください。
残置物処分の前に、知っておきたい“廃棄の基本”
「残置物の処分は施主様自身が行う」といいました。それは施主様がご自身でゴミ処理場まで持参する……ということではありません。施主様の責任において、ということです。そのため、きちんと処理を行う(不法投棄などを絶対に行わない)業者に依頼することや廃棄ではなくて必要な人に譲渡する、といったいろいろな方法が考えられます。
廃棄物の種類とその処理の流れ
残置物を廃棄する場合、残置物はそのときから“廃棄物”になります。廃棄物にはどのような種類があるのかを知っておく必要があります。
① 一般廃棄物と産業廃棄物
解体にともなう廃棄物処理に際して、最初に知っておきたいことは一般廃棄物と産業廃棄物の違いです。また施主様が残置物の整理・処分を行う際に知っておくべきことは、家庭における一般廃棄物の種類です。その分類は、家屋が存在する自治体によって若干の違いはありますが、おおむね次のような種類に分けて決められたゴミ回収日等を利用して廃棄します。
【家庭から排出される一般廃棄物(家庭廃棄物)の種類】
これは、私たちの日常生活のなかから発生する、ほぼすべての廃棄物です。その区分や内容は次の通りです。
家庭廃棄物:「可燃ゴミ」、「資源ゴミ」、「不燃ゴミ」、「粗大ゴミ」、洗濯機・エアコン・テレビ・冷蔵庫といった「家電4品目」、「パソコン」、「自動車」、乾電池・蛍光灯などの「有害ゴミ」。
これらのそれぞれには、各地域で分類方法など細かい決まりごとがありますので、それにならって処分をすることが必要です。
【産業廃棄物】
産業廃棄物は、さまざまな事業活動によって発生する廃棄物です。解体工事によって発生する瓦礫や廃材はすべて産業廃棄物になります。なお、解体工事の際に一緒に残置物を廃棄するように依頼することは可能です。
ただしご自身で粗大ゴミとして廃棄する場合と、業者が産業廃棄物として廃棄する場合には、廃棄料金は粗大ゴミとして廃棄した方が安くすみます。これが、「残置物はご自身で処分する方が費用を安く抑えられる」ということの理由です。
② 廃棄物処理の流れ―一般的な家庭ゴミの場合
家庭から出たゴミは、それぞれに分類された内容の処理場に運ばれ処分されます。
●可燃ゴミ
ゴミ焼却処理場……焼却処理
⇓
最終処分……焼却後に残った灰はセメント原料として活用。
●不燃ごみ
不燃ごみ用処理センター……粉砕・選別。鉄やアルミ類は回収業者へ引き渡し。
⇓
最終処分……埋め立て処分。
●粗大ゴミ
粗大ゴミ中継所
⇓
粗大ゴミ粉砕処理センター……高速回転ハンマーで粉砕の後、可燃ゴミ類と不燃ゴミ類を選別。その後、鉄・アルミ類は回収業者に引き渡し。
⇓
最終処分……埋め立て処分。
③廃棄物処理の流れ―産業廃棄物の場合
各現場で分別(プラスチック類、金属、ガラス・コンクリート類、木くず、紙くず)
⇓
中間処理場……破砕・溶融・焼却・選別。
⇓
最終処分……埋め立て処分。
廃棄物処理については、こちらのコラムでも詳しく説明していますので、ご覧ください。
家屋内にある処分するものの種類
家の中に残されているものを処分する、といっても簡単なことではありません。いざ、処分しようと思うと、家には本当にたくさんのものが収まっていることに気づくのではないでしょうか。
ざっと見渡しただけでも、食器類、額入りの絵画や写真、アルバム、家具、電化製品、衣類、カーペット、カーテン、書籍類、パソコンなどなど、これらの1つ1つを数えだしたら切りがありません。
もちろんそれらを、業者に依頼してまとめて一気に処分することは可能です。しかしそれでは費用も掛かりますし、そのなかには捨てがたい思い出のものやまだまだ使えるものなどもあるはず。そして自分にとっては必要ないものでも、誰かにとっては非常に価値のあるものである場合もあります。
そこで、処分より前の段階で行うこととして「分類=仕分け」作業を行います。これは、前段で触れたような、残置物を可燃ゴミや不燃ごみ、粗大ゴミといった種類に分ける前に、次のように処分に備えて仕分けるのです。
その分け方としては、
① 思い出の品として自分たちが引き継いでいくもの
② 自分たちには必要ないけれど、まだまだ使えるもの、必要とする人がいそうなもの
③ 明らかに廃棄処分するもの
こうして仕訳けたものは、後に説明するようないくつかの方法を使い分けながら処分を進めていきます。しかし、その前に処分に向けて注意すること、行うべきことがあります。それについて、次に説明します。
なお、ここで説明した、残置物処分の最初の段階からなにをするべきか、どのように進めるべきか、といったことをさらに詳しく次のコラムで説明しています。ご一読なさって参考にしてください。
残置物を処分する際に注意が必要なもの
家庭ごみとして日常的に回収日に無料で廃棄していたものが、解体時に残置物として残っているものはすべて産業廃棄物となって、解体費用を高くすることにつながります。それはその内容や大きさに関係ありません。「こんなものが?」「これくらいの小さいものが?」といったものもたくさんあります。また、家電のなかでも、特別な手続きを必要とするものがあり、処分にあたってはそれらについて、きちんと理解しておくことが必要です。
【撤去を忘れがちなエアコンや照明器具】
冷蔵庫やテレビなどはだいたい視野に入るために、その存在を忘れることは少なく、そのまま家屋内に置き忘れたままになっていることはあまりありません。しかし、クーラーや蛍光灯などの照明器具の場合は、部屋に備え付いた状態であることもあってか、忘れがちです。しかし、これらも残っていると産業廃棄物となって、高額の費用となってしまいます。撤去を解体業者に任せる場合以外は、なるべく自分たちで撤去するようにしましょう。蛍光灯や電球などは、自分たちで取り外せば、居住地域のゴミ回収を利用して無料で廃棄できます。
【特別な回収方法が必要な家電4品目】
冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコンは家電4品目とされています。これらは正しくリサイクルおよび廃棄され、不法投棄を予防するために、家電リサイクル法によって処分に際しては特別な取り扱いが必要になります。また、買い替えする場合と、処分する場合とでは方法が異なります。処分する場合には、
① 購入した店に引き取りを依頼する。
② 購入店が不明の場合は、各自治体に問い合わせて、その地域の方法に従って処分する。
③ 郵便振り込みで料金を支払った後、指定取引場所に直接持ち込む。
※ 指定された回収日時に引き取り店や店から委託された回収業者が訪問し回収します。店頭依頼時、または回収時に「回収リサイクル券」に必要事項の記載を行います。そして回収時に、その控えを業者から渡されます。この控え券によって、改修を依頼した店舗や家電リサイクル券センターのホームページでリサイクル状況を確認することができます。
【メーカーによる回収とリサイクルが義務付けられているパソコン】
使用済みのパソコンも家電4品目と同じように、資源有効利用促進法によってメーカーによる回収とリサイクルが義務付けられています。また、個人情報保護の点からも、確実に処分することが重要です。処分には、回収業者を利用する、中古品専門の買取店に買い取ってもらう、自治体が設置している回収ボックスを利用する、メーカーの回収サービスを利用する、などの方法があります。
【資源ゴミ扱いになる書籍や雑誌も置きっぱなしは産業廃棄物】
書籍や雑誌などは、家庭ゴミとして処分できます。そしてなかには「紙ゴミは簡単に燃やせるからそんなにお金はかからないだろう」と思う人もいるかもしれません。しかし、これらも残置物として処分する際は産業廃棄物となって、解体費用を増やす原因にもなるので、資源ゴミとして地域の回収日に出すことをお勧めします。
【見落としがちなキッチンの調味料やスパイス類】
そしてキッチンにある調味料やスパイス類も見落としがちなものです。見落としがちというよりも、比較的小瓶に収まっているために、「このくらいはいいかな」と思って、キッチンの隅の方にまとめておいたまま……という状態のことがあるようです。
しかし、これは分別に手間がかかって意外にも高い費用がかかりがちです。というのは、調味料とひとくくりでいっても、それには液体、粉末、固形、半固形と形状がさまざまです。それぞれに合わせて廃棄しなくてはなりません。それぞれの廃棄方法としては次の通りです。少し手間ですが、こうすることで家庭ごみとして費用をかけることなく処分できます。
・液体調味料……新聞紙などの紙類に吸わせて可燃ゴミとして廃棄。
・粉末調味料……袋などに入れてこぼれないようにして、可燃ゴミとして廃棄。
・固形調味料……紙などに包んで可燃ゴミとして廃棄。
・半固形調味料……ビニール袋に中身を入れて可燃ゴミとして廃棄。
※調味料の容器処分……なかの調味料を取り出した後の各容器は、きれいに水洗いした後に自治体の分別の決まりに従って廃棄する。
また、キッチンの収納庫は、解体工事をしていてよく見つける撤去を忘れがちな場所です。普段使っていない鍋などが、そのままになっていることがけっこうあり、残置物となってしまいます。費用を安くするためにも、是非確認してみてください。
残置物の処分で活用できるいろいろな方法と利用時の注意点
では、ご自分で残置物を処分する際にどのような方法があるか、そして利用時の注意点などについて説明します。
① 自治体のゴミ回収
自治体のゴミ回収に従い正しく分別して、それぞれの地域のルールを利用。大きな廃棄物も、決められた大きさに切断して所定の袋に入れて出すことで、無料で廃棄できます。ただし、回収日が決められているので、それに合わせて指定場所に出すことが必要。
② 粗大ゴミ回収
事前に申し込み、その際に指定された日時の前までに、指定場所に購入した処理券に必要事項を記載して、それを貼付した粗大ごみを運び出しておきます。申し込みから回収までに1週間前後かかるので時間に余裕をもって行うことが大切。なお、冷蔵庫やテレビなど家電4品目は回収してもらえません。
③ リサイクルショップ、不用品買取サービス
まだ使える家電製品や衣類、食器類などはリサイクルショップや買取店などのサービスを使えます。これによって廃棄しないで活かすことができ、しかもお金も手に入って一石二鳥。環境にもお財布にも優しい是非活用したい方法です。
しかし、それぞれの店で扱う品が異なったり、条件が違ったりするので、事前のリサーチや見積りは必要です。
④ フリーマーケット
休日などに開催されるフリーマーケットも有効な方法の1つです。ただし、その参加には事前の申し込みや費用、会場への運び入れ、売れ残ったものの運び出しなどがあることを理解しておきましょう。もしも解体する家がある場所と、施主様が暮らしている場所が近い距離にあるならば、自宅の前などのスペースに「必要な方はお持ち帰りください」等とメッセージを掲げて、処分する方法もあります。そのときには、使わない手提げ袋等も一緒に置いておくと、それに入れてほしいものを持ち帰ることができるので、ものが捌けやすいようです。
⑤ フリマアプリ、ネットオークション
インターネット上でのフリマアプリやネットオークションを活用するのも有効な手段です。ただし、これらを利用する場合は自分で梱包などを行う必要があります。手慣れている人はいいですが、そうでないと負担に感じるかもしれません。こういった方法は、扱いやすさや自分の空き時間を使って処理しやすい小物処分に使うなど、他の方法と使い分けてみるのもいいでしょう。
⑥ 譲る、寄付する
親族の方や知人の方に譲ったり、寄付したりすることもできます。例えばネットで検索すると衣類や書籍の寄付サービスを見つけることができますので、そういったものを利用することも可能です。
単に廃棄するのではなく、このような方法によって再び活かすことができます。また自分にとって不要なものでも必要な人がいて、買取サービスやネットオークションで思ってもいなかったような高値がつけられることもあります。廃棄する前に、ものを活かすためにこういった方法を取り入れてみることは、現在盛んに取り組まれている「SDGs」活動の一環にもなるのではないでしょうか。
処分を業者に任せていいものは?
残置物を処分する際の目標は「家のなかを空っぽの状態」にすることです。しかし、必ずしもそうとは言いきれない点があります。それは「残しても大丈夫なものがある」、という点です。
その内容は、木製品と鉄類です。木製品では、木材でできたタンスや椅子などの家具類、そして鉄類ではスチール製の机などがあります。これらは解体業者にもよりますが、残しておいても解体費用にはあまり影響しません。
残置物の処分費用の目安をつける基準
いくら安くなるからといっても、完璧に自分たちで残置物を処分することは難しいものです。どのように処分するかは、施主様ごとのライフスタイルやお仕事などの都合によって、それぞれの方法を選ぶことになります。なお、業者に処分を依頼する際、それぞれの業者によって料金を計算する際の基準になる単位が異なります。それについて説明しておきましょう。
① 部屋の間取り
部屋の間取りを基準に基本料金を決めます。そのうえで、一般的に“ゴミ屋敷”といわれるようなゴミやモノで埋まってしまっているような状態や有害物などがある状態では料金が追加されます。
② 運搬車両の大きさ
運搬するものによって料金設定するケースと、トラックの大きさ(軽トラック・1.5tトラック・2tトラック)別に“積み放題”として料金を設定するケースがあります。
③ 廃棄物全体の体積
廃棄物の体積で料金を設定します。体積といわれてもピンとこない方も多いと思います。1つの目安としては次のことを参考になさってください。
1㎥(立米ともいます)=一般的な押し入れの1/4区画分程度
3tトラックの一般的な積載量は4㎥ほどなので、押し入れ1つ分程度の荷物は3tトラックに積み込めます。
このように、料金が決められる基準がどのように設定しているかはそれぞれの業者によって異なります。また、注意すべき点として次のことを事前にはっきりと業者に確認しておきましょう。
① 基本料金はなにを基準に換算するか。
② 基本料金のほかの追加料金としてどのようなものが加わってくるか。(人件費、荷物を運び出す部屋の階、エレベータの有無、回収作業の基本時間等)
③ 家電4品目の取り扱いの有無と回収リサイクル券の控え発行の確認。
知っておくべき残置物処分費用を安く抑えるコツと考え方
残置物の処分をできるだけ安く抑えるコツは、できるだけ施主様たちで行うことです。しかし、そのために有給休暇を取るなどして時間を使い切ってしまったり、何度も交通費をかけて離れた実家に通ったりするのは本末転倒の事態になりかねません。また、かなり体力も時間も使う作業です。では、どのようにしたらいいでしょうか。
① 空き家になった段階から徐々に明らかな不用品は処分を進めておく。
② 解体の話が現実のものとしてあがり始めた段階から、残置物処分の計画を立てる。
③ 自分が引き継ぎたいもの、取っておきたいもの、親族や知人の方々に譲れるものなどを分類し、譲渡しておく。
④ 残ったものは時間をかけながら、リサイクルセンターやフリマアプリ、ネットオークションなどを活用して処分を進める。
⑤ 同時に、地域のゴミ回収日などを利用して廃棄を進める。
⑥ 回収業者などを使って家電4品目や大型家具などの処分を行う。
こういった流れで進めていくことも考えられますし、すべて業者におまかせすることも可能です。時間と労力を金額に換算した際の“安さ”の判断は、施主様の価値観や都合によって変わってきます。最終的にはどうしたら安く抑えられるかの結論は施主様の考え次第といえます。まずはご自身がどのように進めたいか、ご自身の都合を優先したらどのような方法がベストかをじっくりと考え、それに応じて残置処分にあてる時間や方法を選択して計画的に進めてください。
まとめ
ここまでお読みいただくなかで、残置物の処理にはいろいろなものがあり、それぞれを組み合わせながら計画的に進めることが大切であることをご理解いただけたと思います。
ただ、それを施主様や施主様のお家族だけで考え、進めるというのはご負担が大きいのではないでしょうか。そんなときはお気軽にマトイにご相談ください。マトイでは建物の解体はもちろんのこと、不用品回収、廃棄物の運搬なども一緒に行っています。施主様が処分しきれないもの、どのように扱ったらいいのか迷うものなど、残置物処理の段階からお力になれるマトイにお声掛けください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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