内装解体をはじめるときの貸主や隣人・近隣の人々の許可は必要?
かいたいコラム ビルの一室や一部のスペースを借りて店舗や会社などを経営されている方にとっては、「内装解体」という言葉は身近に感じるかもしれません。そういった方以外にも、自宅の一部をリフォームするような場合にも内装解体は行われることがあります。
今回は、この内装解体を行う際の許可や手続きに焦点を当てて、説明を進めていきます。
なお、解体工事にはいくつかの種類がありますが、それについてはこちらのコラムをご参照ください。
内装解体とは
解体工事には、建物すべてを解体撤去して更地にする家屋解体と、この内装解体、そして外構解体などがあります。まずは、今回のテーマに挙げた内装解体とはどのようなことを指すのか、またその目的について説明します。
内装解体の意味
内装解体は建物すべてを解体するのではなく、後からその部屋やスペースに取り付けた設備機器や備品、床材や天井材、壁などを解体撤去する工事の総称です。
内装解体には、その範囲や目的に応じて次のような種類があります。
① 原状回復工事
建物の一室などを借りていた場合、そこを退去するときなどに借りるまえの状態に戻す工事です。借主が持ち込んだ備品・設備類、契約後に追加工事で変えた壁や床などを解体撤去します。契約段階の状態がスケルトンであれば、スケルトンに戻します。
原状回復工事の進め方や費用等については、こちらのコラムで詳しく説明していますので、参考になさってください。
② スケルトン解体工事
もともとある建物の柱などの構造体以外の、壁材・床材・天井材、その他の設備や備品などを解体撤去して、その場所を骨組みだけの状態にします。
スケルトン工事の際の進め方や費用については、こちらのコラムで詳しく説明しています。どうぞ、ご一読なさってください。
③ 改装・改修工事
現在、利用している住居などの一室・一部をリフォームする際にも、その範囲の不要な
ものを解体撤去します。
なお、リフォーム時の内装解体については、こちらのコラムで説明しています。どうぞ、ご覧ください。
内装解体の目的
内装解体には前述のように3つの種類があります。どれを選択するかは、目的によって異なってきます。
例えば、その部屋やスペースを借りている場合、契約を打ち切って退居するときに内装解体を行います。このときは、次に入居する人たちがその利用目的に応じた状態に整えやすい状態にしておくことが目的となります。それによって、次の入居者が決まりやすくなる、という貸主側の都合も関係してきます。
このように賃貸の内装解体は、貸主側の都合が大きく関係してきます。そのため、貸主との事前の話し合いや、次の入居者が決まっている場合などは、契約書に記載されている返却条件とは異なるものになる可能性があります。
また、リフォームやリノベーションを目的にした内装解体もあります。
このように内装解体工事を行うには、その目的やそのときの状況によって工事内容が変更されることがあります。とはいえ、いずれの場合にも基本的な知識をもっておくことは大切です。こちらのコラムに、内装解体工事を行う際の基本的な情報をまとめています。内装解体工事を検討する際は、どうぞ目を通してみてください。
内装解体を行う際に取るべき許可の相手
内装解体を行う際、家屋や土地がご自身で所有するものであれば、業者の選択をはじめとした諸々のことは、ご自身の意向を中心にして決定できます。
しかし、それが賃貸であったり、借地であったりした場合はどうでしょうか?この点に疑問を感じる方もいらっしゃるようです。
そこで、まずは内装解体に入る以前の準備として、取るべき許可・承諾について説明します。
建物も土地も自己所有の場合、必要な許可はある?
建物も土地もご自身名義のものであった場合、なおかつ自分たちが住んだり、使用したりしているのであれば、別の人に許可を得る必要はありません。
しかし、自己所有であったとしても、アパートや下宿のように他者に貸しているのであれば、事前にその人たちに知らせる必要があります。“許可を得る”とまではいかないものの、貸主としての希望内容を伝えて、工事期間やその間の協力を求めることになります。工事の程度によっては、一時的な退居を求める必要が出てくるかもしれません。そういったことも含めて、できるだけ早い時期に入居者に工事のお知らせをする必要があります。
なお、こちらのコラムではアパートの解体について説明しています。内装解体とは違いがありますが、入居者への説明など、参考になる内容も含まれていますので、ご覧ください。
借地の場合、その建物の内装解体で必要な許可はある?
借地契約をしている場合、一般的には借地上の建物を改築・改修・増築などの際は、地主に対して事前に書面による承諾を得ることが必要です。
その際、床面積が増える「増築」は判断しやすいですが、「改築・改修」と「修繕」との区別が難しく、地主と借地人との間のトラブルを引き起こしがちな点となります。判断のポイントは、「建物の耐用年数を大きく延長するような工事」かどうかということです。
例えば、屋上のリフォームとともに屋上防水工事を行って建物の寿命を延ばすような工事です。建物の耐用年数が大きく延長されることは、地主にとって借地権の存続期間に大きく関係するからです。
内装解体の内容にもよりますが、借地の場合は事前に地主に承諾を取っておくことをお勧めします。もしかしたら、それによって増改築承諾料を請求される場合があるかもしれませんが、それによってトラブル回避できます。
なお、借地に建つ建物を解体について、こちらのコラムで取り上げています。借地に建つ建物の扱いに関する情報も多数組み込まれているので、お手すきの際にご覧ください。
隣室・隣家、周辺の家々の許可は必要?
ビルなどの一室や一軒家などで内装解体をする場合、隣り合う部屋の人や隣家、周辺の家々の住人に対しての対応はどのようにすべきでしょうか?
「許可を得る」ということではないものの、なんらかの断りは必要になってきます。
通常の解体工事では、着工の1週間前くらいに周辺の家々に挨拶をして回ります。これは工事によってなんらかの迷惑をかけるために、そのお知らせ、お詫び、協力のお願いをするためのものです。
内装解体では、家屋全体を解体するよりも規模は小さくて済むものの、周囲になんらかの影響を与えることに変わりありません。そのために、やはり挨拶回りをしておくことは大切です。
挨拶回りについては、こちらのコラムをご参照ください。
内装解体工事で必要な届け出と手続きの方法
実際に工事が着工されると、さまざまな手続きや届け出が必要になります。それらのほとんどは業者が代行して行いますが、施主様としても知っておくと全体の流れや業者の動きが理解しやすいと思います。
行政手続きの基本となる「建設リサイクル法」
まず、内装解体を含めた解体工事における手続きの基本になっているものとして、「建設リサイクル法」というものがあります。
これは「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」という法律の略称です。解体工事や建築工事等ではたくさんの廃棄物が排出されますが、この法律によってそれらを適切に分別し、リサイクルの促進をしていくために制定された法律です。
この法律に基づく手続きは、解体工事を進めるうえでとても重要なものとなります。
建設リサイクル法に基づく解体届出書
この解体届出書は施主様が、内装解体を行う家屋が存在する都道府県地知事に提出する書類です。
書類には、工事の概要・業者名・工程などを記載します。この届出は内装解体を依頼する業者に委託することもできます。委託するか否かは、事前の打ち合わせの際に確認しておくようにしましょう。なお、委託する場合は委任状が必要です。
解体届出書の提出に際しては、それ以外に次のものも別表として添付します。
① 分別解体等の計画等(建物の構造、建物の状況、アスベストの有無、分別作業の場所や搬出経路の確保または必要な届け出の有無、解体方法、発生する廃棄物の見込み量などを記載)
② 現場付近の見取り図
③ 工事を行う建築物の写真、もしくは平面図など
④ 業者の解体工事業の登録、または建設業法の許認可を受けた書類の写し
⑤ 工程表(届出書類にある「工程の概要」の記入欄に書ききれない場合、工程表を別に添付する)
⑥ 委任状(施主様に代わって代理人が届け出る場合に必要)
これらは工事着工の7日前までに提出することが義務付けられています。
なお、こちらのコラムでも解体にまつわる届け出や建設リサイクル法の詳細について説明しています。どうぞ、ご一読なさってください。
道路使用許可
工事中は現場付近の道路に作業用車両を駐車したり、歩道に乗り上げたりして、重機の使用や資材の搬入など、通行以外の目的で道路を使用することがあります。そのため、「道路使用許可申請」が必要になります。これは、解体業者が道路交通法に基づいて、工事現場となる地域の警察署長へ申請します。
この申請は有料になるため、見積りに「道路使用許可申請費用」として項目が記載されます。その記載が見当たらない場合は、業者に確認してください。他の項目に含まれているのであればいいのですが、そうでない場合は申請を出していないことが考えられます。そうなると、工事の進捗に影響を与える可能性が出てきます。
ライフラインの停止
どのような内装解体を行うのか、どこをリフォームするのかに応じて、ガス・電気・電話やインターネット回線などのライフラインの停止や撤去を行います。
これは工事着工前、およそ2週間前から遅くても1週間前ぐらいまでに、施主様が各会社の窓口に連絡を入れ、停止期間を伝えます。ただし、水道については作業時も使用することがあるので、解体業者に確認してからにした方がよいでしょう。
なお、ライフライン停止のための連絡は、基本的に施主様が行うことになっていますが、施主様の方で連絡が難しいようであれば、業者に相談してみてください。業者が代行することも可能です。
アスベスト解体工事の届け出
健康被害を及ぼすことで知られるアスベストですが、解体工事を行う際はその使用の有無や使用レベルなどを調べるための事前調査を行うことが義務付けられています。その結果、アスベストの吹き付けやアスベストを含む建材などを使用している建物であることが判明した場合、大気汚染防止法、建築リサイクル法、労働安全衛生法などに基づく事前の届け出が必要です。
なお、令和5(2023)年から、アスベストの事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの資格をもったものが行うことが義務付けられます。マトイではそれに先立って、現場対応の窓口となっている営業職のすべての社員がこの資格を取得し、アスベストの事前調査にあたっています。
なお、解体工事におけるアスベストの基礎的な情報を、こちらのコラムで説明しています。どうぞ、お読みください。
マトイにおける内装解体工事のキーポイント
マトイでは、常に丁寧な仕事を行っています。
とくに内装解体工事では、はつり作業などがしっかり、きれいに行われているか否かによって、その後の仕上がりが変わってきます。
規模の大小に関係なく、きれいな仕上げの解体作業を行い、次の内装作業を行う業者にバトンタッチすることで、その後の作業もスムーズに良質に仕上がるからです。この点で、マトイの仕事は評価されています。
また、内装解体の場合は、オーナーさんはもちろんのこと現場となるスペースに隣り合う方々、現場付近の商店・学校や塾などの教育施設・病院などの医療介護施設に対して、その利用時間や繁忙時間、それらを利用する人たちの動きに配慮して工事計画を進めています。
まとめ
ここまでお読みいただいきありがとうございます。内装解体工事においてもその流れや手続きは、建物全体を解体する工事と大きな違いがないことがお分かりになったことでしょう。
むしろ、隣り合う部屋やスペースが限られていること、施主様だけではなくその建物の貸主であるオーナー様との連絡調整も必要になってくること、などから、私たち業者としては、より細やかな配慮を心掛けています。
それは施主様も同様です。単に近隣の方々だけへの配慮ではなく、その建物のオーナー様との打ち合わせや配慮なども必要になってきます。
そのような多方面にわたる配慮や手続きなどが必要になってくる内装解体において、私たちマトイはいつでも施主様のサポート役としてお力になれるように心掛け、体制を整えています。
私たちマトイが目指すあり方は、最初にお声がけいただいた段階から、解体を検討する皆様のパートナーであることです。どうぞ、いつでもお気軽にお声掛けください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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