マトイ かいたいコラム

借地を返すときの流れは?

かいたいコラム

解体工事・外構工事は
よく働くマトイにお任せください!

解体実績の詳細はこちら

 土地を借りて、そこに建物を建てて暮らす人、仕事をする人は多くいらっしゃいます。
 しかし、同じ状況がずっと続くわけではありません。もしかしたら引っ越しを余儀なくされる場合があるかもしれません。また、業績が上がって事業拡大のためにさらに広い場所に移ることもあるでしょう。
 さまざまな状況の変化によって借地を返すことがあります。そんなとき、いったいどのようなことに注意し、どのように地主に返すべきなのでしょうか。
 今回は借地返還について考えてみたいと思います。

借地に関する基礎知識

 最初に、土地の貸借契約について確認しておくことが大切です。それに当たっては、まずどのような契約なのかと深く関係する「借地法」について確認しておきましょう。
 借地法は途中で新しい法律が制定されているため、新しい借地法が制定される以前の法律を旧法、そして1992(平成4)年に制定された新法の2つがあります。それぞれの特徴は次の通りです。

借地法:旧法

 旧法では、次のように建物の構造によって契約期間が定められています。

【木造住宅(非堅固建物)の場合】
*初回の契約期間:20年以上。定めがない場合は30年。
*更  新:可能。地主から更新を拒否されない限り、自動的に更新が継続できます。地主から更新拒否する場合は、正当な理由が必要となります。さらに、地主が契約更新を拒否した場合、借地人は地主に対して借地に建っている建物の買い取り請求を行う「建物買い取り請求権」を行使できます。
*更新後の契約期間:20年以上。定めがない場合は30年。

【重量鉄骨造、RC造などの堅固建物の場合】
*初回の契約期間:30年以上。定めがない場合は60年。
*更  新:可能。更新の継続および拒否については木造住宅と同じ。
*更新後の契約期間:30年以上。定めがない場合は30年。

借地法:新法

 新法による借地権には、「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。さらに定期借地権には、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権等があります。
 まず、普通借地権では契約期間満了後に更新が可能であるのに対し、定期借地権では契約期間満了後の更新ができません。この点が普通借地権と定期借地権の大きな違いです。
 この点も含めたそれぞれの違いは、次の通りです。

【新法:普通借地権の場合】
*初回の契約期間:30年以上。
*更  新:可能。
*更新後の契約期間:初回更新時20年以上、2回目以降は10年以上。

【新法:定期借地権の場合】
*初回の契約期間:一般定期借地権50年以上。建物譲渡特約付き借地権30年以上。事業用借地権10~50年未満
*更  新:不可能。
*更新後の契約期間:設定なし。
 なお借地および借地に関する条件等に付いては、こちらのコラムでも説明しています。どうぞ、参考になさってください。

借地を返すときの流れは?

かいたいコラム

借地にある建物は解体していい? 借地の条件や建物解体について

借地を返すのはどんなとき?

 では、借地および借地権を返すようなときとは、どのようなときでしょうか。これには、借主側と地主側の双方に理由があります。

借主側の事情による場合

① 契約期間が満了した場合。
② 借主の高齢化や病気等で施設などに入所・長期入院したり、転勤などで転居したりして、そこに戻ることがない場合。
③ なんらかの理由で第三者に借地権を売却したい場合。

地主側の事情による場合

 基本的に、地主側から借地および借地権の返還を要求することはできません。できるのは、正当と認められる事由があった場合です。
 では正当な事由とはどのようなものかというと、次のようなことが挙げられます。
① 地代の不払いがあった場合。
② 許可なく建物の増築などを行った場合。
③ 老朽化が進んでいて建物が使えない状態の場合。

借地を返す方法

 なんらかの理由で借地および借地権を返還する場合、その方法には「無償で返還する」「有償で返還する」「第三者に売却する」という3つがあります。それぞれについて説明します。

無償で返す

 借主が地主に借地と借地権を無償で返還する場合、借主は課税の対象にならず、税金は発生しません。
 一方、返還を受ける地主側は借地権に相当する額の贈与・譲渡を受けたとみなされるため、課税の対象となります。
 また、その内容は借主や地主が「個人」であるか、「法人」であるかによって変わります。

【借主が個人×地主が個人】での無償返還=地主に「贈与税」が発生。
【借主が法人×地主が個人】での無償返還=一時所得として地主に「所得税」が発生。
【借主が個人×地主が法人】での無償返還=課税対象外。
【借主が法人×地主が法人】での無償返還=課税対象外。

 なお、老朽化した建物が借地に残っている場合や、管轄の税務署から無償返還が認められている場合は、例外として課税対象にはなりません。

有償で返す

 地主は、借主および借地権が付いている土地を勝手に使用したり、売却したりすることはできません。借地権がある以上、いくら自分の土地といっても自由にはできないのです。
 そのため、借地権を地主と借主の交渉によって有償で買い取ってもらうことができます。買取価格の相場は、路線価の60~90%といわれています。しかし、借主から買取の申し出をした場合は、一般的な相場よりも買取価格が低くなる傾向があります。
 また、借地を手放す際には、原則としてそこある建物を解体撤去する必要があります。もし借地権を買い取ってもらおうとするのであれば、建物の解体撤去費用なども含めて買取価格の交渉をすることをお勧めします。
 なお、有償で借地および借地権の返還がなされた場合、その代金を受け取る借主側に課税が生じます。この場合、借主が個人の場合は譲渡取得として、法人の場合は譲渡益(借地件譲渡益)として課税されます。そして、地主が支払った費用は立ち退き料等の土地取得費とみなされ、地主の課税対象にはなりません。

第三者に売却

 借地権は資産としての価値をもっています。そのため、第三者に売却することができます。
 しかし、第三者に売却する場合は、地主の承諾が必要です。地主に相談することなく、売却に向けた行動をとってしまうと、地主との関係がこじれて売却を認めてもらえなくなったり、不必要なトラブルに巻き込まれることを心配した購入予定者が購入をあきらめたり、購入を希望していた人との新たなトラブルに発展してしまう可能性もあります。
 借地および借地権を売却する際は、まず地主への相談から始めることで不要なトラブルを避けられるでしょう。

借地を返す際に留意すること

 借地および借地権を返還するタイミングは、借地契約が満了するときが一般的ですが、それ以外のタイミングで返還することもあります。返還のタイミングや、返還にかかる期間などの違いはあるものの、共通して留意すべき点として次のようなものがあります。

建物解体について

 どのような形で借地を返すかは、具体的にはそれぞれの賃貸借契約書に記載されている内容に沿って行います。
 しかし、契約書のなかには、具体的なことが記されていないものもあります。そのような場合も含めて、一般的に借地を返す場合には、そこに建っている建物を解体することが基本的なルールです。
 これは「原状回復」といって、その土地を借りる前の状態に戻して地主に返すことが一般的となっています。

建物買取請求権の行使について

 借地を返すにあたって、借主には「建物買取請求権」という権利があります。
 これは、借地契約を更新しない場合、借主が地主に対してその土地の建物や付属物等を時価で買い取ってもらえるように請求できる権利です。これによって建物等が建っているままの土地を地主に返却し、買い取ってもらうことができます。
 この権利を行使することによって、借主は建物等を解体しないで土地を返すことができるのです。しかし、この権利を行使できるのは、その建物等に資産価値が残っている場合に限ります。老朽化が進んで建て替え等が必要な状態になっている建物などでは、この権利を行使することが難しくなる可能性があるので、建物の見極めをしっかり行って判断してください。

建物解体費用の負担について

 借地を返す際に借主に生じる費用は、建物の解体費用です。建物買取請求権を行使しないで、建物等を解体して借地を返す場合、その費用は借主が負担することになります。これは契約書が存在しない、きちんとした契約を結んでいない、といった場合も同様です。

借地を返す際に生じる費用について

 借地の返却に際して生じる費用を、借主と地主のそれぞれの立場からどのようなものがあるか、あらためて見直してみましょう。

【借主に生じる費用負担】
① 建物等の解体費用
② 地主から有償で借地権を買い取ってもらった場合、その代金によって生じる税金。

【地主に生じる費用負担】
① 借主が建物買取請求権を行使した場合、借主に支払う建物買取費用。
② 地主都合によって土地を返却された場合、立退料。
③ 借主から無償で土地を返却された場合、贈与税もしくは所得税としての課税。

借地返還の手続きの流れ

 では借地を返すための流れを説明します。

Step1 土地貸借契約書の確認

 それまで自宅や仕事場としていた場所として借りていた土地を返すことになったとき、最初に行うべきことは土地貸借契約書の契約内容です。
 借地の契約期間等の内容は、旧法と新法のどちらで契約しているか、新法で契約していたとしてもどのような種類での契約かによって変わっています。また、最初に契約した時期は、多くの場合は数十年前というように契約時からかなりの期間を経ているため、契約内容の記憶もしっかりしていないことがほとんどといえるでしょう。
 そのため、最初に行うべきは契約内容の確認です。
 どのよう借地法で契約しているか、契約期間はどのようになっているか、建物等の返却条件はどのようになっているか等、その後の地主や業者との交渉や打ち合わせを進めるために事前に確認しておくことが大切です。

Step2 地主への連絡・相談および交渉

 次に行うことは、地主への連絡と相談です。
 まず、借地の契約を更新しないこととその理由を伝えましょう。単に契約を更新しないと伝えるだけだと、その後の話し合いがスムーズにいかないことが起こりえます。なぜ、更新しないのか、できないのかを伝えて地主に借主側の事情を理解してもらうことで、その後の交渉が進めやすくなります。
 相談および交渉する内容としては、借地権や建物の買い取りが可能か否か、契約書に原状回復と書かれているものの建物を解体する必要があるか、建物を解体する場合いつまでに更地にして引き渡したらいいか、等々です。これらとともに、いままでどのようなことに建物を利用してきたか、住まいとして使っていたのであれば築年数のほかにリフォームの有無や程度、建物の状況などの情報も、地主との対話のなかに盛り込んでおきましょう。
 それらの情報によって建物の利用価値を判断されて、建物の解体と解体費負担を免れることもあります。

Step3 解体業者の選定と解体工事

 借地の返還において、解体業者の選定も大切です。土地返還の予定日を地主との話し合いで決めますが、その期日までに間に合うようにしっかりした仕事をしてくれる業者を選ぶ必要があります。
 地主は借主が契約を更新しないとなると、次の借主を探したり、土地活用の計画を進めたりします。その場合、解体業者の周辺への配慮不足から近隣の人たちとのトラブルを起こして工期が延長するようなことがあると、地主のその後の計画に支障を与えかねません。また、近隣の人たちと業者とのトラブルは、地主や借主、近隣の方々それぞれの関係にわだかまりを残す可能性があります。
 そういうことを引き起こさないためにも、見積価格の安さのほか、しっかり、誠実に、細やかな配慮をもって作業を行う業者を選択することが大切です。
 解体業者の選定、業者との打ち合わせ、解体業者を決めてから解体工事が無事に終わるまでに施主として知っておくべきこと、心掛けておくこと、行うべきことなどについて、こちらのコラムで細かく解説しています。参考になると思いますので、ご一読なさってください。

借地を返すときの流れは?

かいたいコラム

どこから手を付けたらいい? 解体工事の進め方

Step4 借地の返還と建物滅失登記

 解体工事が終了して借地が更地になったら、地主に返します。
 それとともに、法務局で「建物滅失登記」の申請を行います。建物滅失登記は、建物を解体撤去して、その建物が無くなったことを証明するための登記です。これは、解体後1か月以内に行うことが決められています。
 この登記手続きを忘れてしまうと、後々、その土地に建物を建てようとした際にスムーズに進まないことや、過料(10万円以下)が課せられることがあります。忘れずに手続きするようにしてください。
 なお、建物滅失登記は所轄の法務局窓口とともにインターネットでも行うことができますし、土地家屋調査士に依頼することもできます。
 建物滅失登記に関しては、以下のコラムで詳しく説明していますので、ご覧ください。

借地を返すときの流れは?

かいたいコラム

解体後の建物滅失登記をご説明。申請方法はこのコラムを読めば安心。

まとめ

  “借地を返す”ということは、家を解体するのと同じように人生のなかで何度もあることではありません。それだけに、戸惑うこともたくさん起こってきます。同時に、借地返却の背景には、人生の大きな節目となるような出来事が伴っていることがあります。
 ですから、できるだけスムーズに進めていきたいとだれもが思うことでしょう。そのため、借地を返すための流れや留意すべき点を事前に把握しておくことが大切です。それができていれば、ちょっと戸惑うようなことがあっても、すぐにリカバリーできるはずです。
 また、借地の返却には、建物の解体工事や引っ越し等を伴います。そのようなときには、早めに解体業者を選んでおくことをお勧めします。そうすることで、解体業者が困ったときの相談相手になれる場合があるからです。
 マトイでは解体工事のほか、不用品の処分、助成金に関するご相談などにも対応させていただいています。早めにご連絡いただくことで解体工事だけでなくいろいろとお力になれる点も多くなります。どうぞお気軽にお声を掛けてください。
マトイ無料ご相談・お見積りフォーム

記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

どのような内容でもお気軽にご相談ください。
メールアドレスか、お電話番号さえいただければ、
折り返しご連絡させていただきます。

TEL:03-5947-5606

お見積りはこちら