撤去工事と解体工事の違いは?
かいたいコラム 家の解体工事を考えていらっしゃる方の多くは、インターネット等で事前情報をいろいろと集めていることでしょう。そんななかで、「解体」とか「撤去」、そして「解体撤去」などという言葉が混在していて、「どう違うの?」と思う方もいらっしゃることと思います。
この違いを知っているかいないかが、家の解体工事を検討している皆さんに大きく影響することはありません。しかし、疑問に感じた方にとって「わからないまま」というのは、何となく気持ちが落ち着かないものですね。それに、この違いを知っておくことで、業者の説明に対して理解や納得が深まるかもしれません。
そこで、今回は撤去工事と解体工事の違いについて説明します。
漢字から紐解く解体工事と撤去工事
実は、施主様の立場からしたら、解体工事も撤去工事もさほど大きな違いはありません。でも、私たち解体業者や建築業者はそれぞれをしっかり区別しながら作業を進めています。
そこで、まずは言葉の意味として、その違いについて説明します。
解体工事の「解」「体」がもつ意味と「解体」の使い方
まず、解体工事に対して、「解体」という言葉を作っている文字の意味をみてみましょう。解体の「解」には「とく」「わける」といった意味があります。そこに続いている「体」はもちろん「からだ」です。そこから「人々が離れ、背く」ことや、「機械や組織などをバラバラにする」ことを意味する言葉として「解体」を用います。
各種工事現場で「解体」を使う場合は後者を示し、組み立ててある機械や建物をバラバラにする意味で使っています。さらに「解体」といった言葉を使う際には、次のようなことがあります。
* 建物や模型などのように、いくつもの部材や部品からできているものに対して「解体」という言葉を使います。
* そのため、部品やパーツが組み合わさった状態でなく一体となっているもの、例えば浴槽や柱のようなものが単体である場合には、それに対して「解体」という言葉は使いません。
* さらに「解体」とはバラバラにすることを意味しているため、バラバラになったものを「取り除く」ことは含まれていません。
撤去工事の「撤」「去」がもつ意味と「撤去」の使い方
では、撤去という文字がもつ意味を見てみましょう。
「撤」には、「すてる」、「取り除く」、「ひきあげる」などの意味があります。さらに「去」には、「のける」、「さける」、「しりぞける」などの意味があります。そこから、ものを取り去ったり、取り除いたりすることを撤去といいます。
このように撤去には解体のように物をバラバラにする意味はありません。しかし、解体工事でバラバラになったものを、移動させ、それらがあった場所をきれいにすることはこの撤去に含まれているといえるでしょう。
解体工事と撤去工事の違い
このように言葉の意味から見ても、解体工事と撤去工事の大まかな違いについて察しは付くと思いますが、ここであらためて「解体工事」と「撤去工事」の違いについて説明します。
解体工事とは?
家屋やプレハブ、物置、プラモデルなどのような、すでに組み立てられてある工作物をバラバラにすることを解体といい、そのなかでも家屋やプレハブなどの建物を解体することを解体工事といいます。
では、解体工事でバラバラにしたものを、解体工事業者は撤去しないかというと、そんなことはありません。解体作業における重要な作業として、きちんと分別して撤去します。その点からいうと、私たち解体業者が行っている解体工事は、厳密には「解体撤去工事」といった方が的確でしょう。
解体工事のなかには、高層ビルのように大型の建物を解体することがあります。この場合は、解体以外のことも含めた総合的な企画・指導・監理・調整が必要になるため、「建築一式工事」として行われます。
なお、解体工事は建設業や解体工事業に関わる許認可を得た業者が請け負うことになっています。
ちなみに解体工事はさまざまな工法を用いながら、その建物の構造や大きさ、周辺環境などに合わせて解体作業を進めていきます。その工法については、こちらのコラムで詳しく説明していますので、ご覧ください。
撤去工事とは?
建物や設備などのモノを取り去る工事をいいます。これには、解体工事で解体されたものをその場から撤去する作業や上下水道や電気・ガスなど各種設備の撤去する作業も含まれ、とても幅広い作業となっています。
なお、「撤去工事」は建設業許可には含まれていません。では、この撤去工事をするのはどのような業種になるかというと、撤去する工作物や設備によって異なってきます。例えば、マンションの1室の内装をリフォームするような場合は、クロスなどの内装を撤去する工事を行います。この場合は、内装仕上げ工事となります。また、設置されている古い街灯を新しい街灯に付け替えるために撤去する工事は、電気工事になります。このように、各種設備の撤去工事にあたっては、撤去するものを設置した業種と同じ業種の業者が撤去するという考えで撤去作業を行います。
しかし、解体工事を進めていくなかには、思いもかけないものが地中に埋まっているのを発見することがあります。例えば、浄化槽や便器、瓦礫やブロックなどです。このような場合、多くは解体業者によってそれらを撤去します。こちらのコラムで、浄化槽の撤去について説明していますので、参考までにお読みください。
解体工事と撤去工事の異なる点
解体工事と撤去工事の違いを、ここであらためて記しておきます。
解体工事は、すでに建っている家屋等の構造や躯体などを取り壊して、建物をバラバラにする工事をいいます。
撤去工事は、解体されて単体になったものや設備などを取り去る工事をいいます。
解体工事と撤去工事、それぞれの対象となる例
ここで解体工事にどのような例があるか、そして解体工事のなかでみられる撤去工事にはどのようなものがあるかについて説明します。
解体工事の場合
解体工事は、構造物をバラバラに取り壊す工事、と説明をしました。構造物といっても、その構造にはいろいろな種類があります。木造建物・鉄骨造建物・鉄筋コンクリート造建物などです。
さらに壁を隔てて隣家と接した造りになっている「長屋」という方法で造られているものや、木造アパート、そしてマンションや大型施設のように多層階で大規模な建物を解体する場合もあります。
また、建物のすべてを取り壊す解体工事のほかに内装解体というものもあります。これは住まいの一部分をリフォームしたり、テナントビルで借主が替わる際にその一室だけを改装したりする場合に行います。
一般的な木造家屋をリフォームする際などに行われる内装解体については、こちらのコラムでも取り上げていますので、どうぞご一読ください。
また、商業ビルなどでテナントの退居や入れ替えなどでも内装解体は行われます。その際に行われる原状回復工事については、こちらのコラムで説明しています。こちらも、どうぞ参考になさってください。
撤去工事の場合
撤去工事は、すでに説明したように単体のものを取り除くための工事です。
では、一般的な建物の解体工事の場合、そこにどのような撤去工事が含まれているでしょうか? その主なものは解体工事によってバラバラにされた建物の構造体(壁材、柱、浴槽や洗面台、システムキッチンなど)です。さらにガスや水道などの配管、電機や通信機器の配線、照明などの撤去工事です。
さらに外構としてフェンスや門扉・門柱、庭石や庭木なども撤去工事の対象となります。とくにフェンスの撤去は、建物の解体とともに頻繁に行われます。こちらのコラムではフェンスの撤去に際して、施主様が知っておくといいこと等も説明しています。これはフェンス以外の外構の撤去にも共通することですので、参考になさってください。
解体工事と撤去工事、施主様はどこに依頼したらいい?
1軒の家を解体するにも、そのプロセスにはさまざまな撤去作業・撤去工事が含まれています。その場合、施主様としては業者の選択をどのようにしたらいいのか、戸惑うことと思います。
解体工事の多くの場合、必要な撤去作業・撤去工事は解体工事業者が行います。もちろん、その種類や内容によっては、専門業者に依頼しなくてはならないものもあります。その場合は、解体業者が撤去するものに合わせた業者に依頼して撤去工事をしてもらうようにしますので、施主様が必要に応じて撤去工事のために業者を探したり、依頼したりすることはありませんので、ご安心ください。
マトイでは解体工事に伴う諸々の撤去工事等についてのご相談についても受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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施主様が知っておきたい、解体工事の際の設備撤去のコツ
では、ご自宅を解体する場合、施主様として知っておくといい設備撤去に関するコツをご紹介します。これまでの説明と重なる点がありますが、あらためてここで説明させていただきます。
① 基本的に解体工事に伴う撤去工事は解体業者で行います。そのため、工事着工前に施主様が各所(ガス会社、電話会社、ネット会社、電気会社、水道局等)にそれぞれの停止依頼を行います。なお、この停止依頼もマトイでは、施主様からのご依頼があれば代行して行っていますので、お気軽にお申し付けください。
② なお、ソーラーパネルや給湯器などは、クーラーや冷蔵庫と同じように処分のための費用がかかります。そのため、できれば事前に取り付けてもらった業者に撤去・処分を相談のうえ、対処方法を検討することをお勧めします。
③ なかには、ライフラインの配管が複雑な現場があります。こういったことについても、事前調査の際に確認しますが、図面などがあればよりスムーズに確認作業が進みます。
④ 解体工事では、散水などのために水道は工事が終了するまで開通させておくことが一般的です。散水には問題がないのですが、稀に水道メーターが家の真ん中や、工事に影響を与える場所にあることがあります。解体中に壊してしまう可能性もありますので、できれば水道局に依頼して、水道メーターを入口付近など別の場所に移設してもらうことになります。なお、この際の料金は施主様にご負担いただきます。
⑤ 解体工事に際して、計画段階で見落としがちなものに庭木や庭石、フェンスや門扉・門柱など外構の撤去があります。これらのものをすべて撤去するか、どれか残しておきたいものはあるか、などを事前に考えておく必要があります。とくに、庭木はいったん撤去して、工事終了後に別の場所に植えようと考える方もいらっしゃいます。その場合、根付きのよさを考えたら、庭木の専門である植木屋や造園業者に依頼することをお勧めします。
まとめ
本文中でも触れているように、解体工事の際の各種設備の撤去工事は、解体業者が解体工事の延長として行っています。なかには、撤去する設備を扱っている業者に撤去を依頼するものもありますが、解体業者から依頼を行うので施主様の手を煩わせることはほとんどない、といっていいでしょう。
そういったなかで、施主様にとって重要なことは、産業廃棄物収集運搬許可証などの産業廃棄物に関する許認可をもっている業者を選ぶことです。
解体工事に伴って撤去した諸々の不要になった設備類を、正しく分別・運搬・処理をするためには、こういった許認可を取得してマニフェストに沿った取り扱いが必要だからです。この点をクリアしないで産業廃棄物を不法投棄するような業者に依頼してしまうと、依頼者である施主様も責任を問われる可能性があるため、業者選びの段階から確認しておくことが大切です。
この点においても、私たちマトイは解体工事業の登録および産業廃棄物収集運搬許可証を取得して、責任をもって1つ1つの現場に向き合っています。どうぞ、解体工事やそれに伴う設備撤去工事や不用品の処分等に際しては、安心してお声掛けください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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