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公費で解体できるの? 気になる公費解体の詳細が知りたい。

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 日本はたびたび大地震に見舞われています。そういったなかで、私たちの防災に対する意識が高まり、1人ひとりが「もしものとき」の備えに対して不安を感じたり、対策を整えたりしていると思います。
 そこで、今回は地震などで家屋が倒壊した際の社会的な援助、「公費解体」について取り上げてみます。
※マトイでは東京、埼玉、千葉、神奈川のみのお仕事のみをさせていただいております。
 今回ご紹介いたします公費解体には当てはまらないケースが多いことをご了承ください。

知っておきたい、災害からの復興を支える制度

 ニュースを見ていて、「もしも我が家が倒壊したら、そのあとの処理はどうしたらいいのだろう?」と不安を持つ方もいらっしゃるでしょう。大災害では家が倒壊するだけでなく、生活基盤も経済的基盤も崩れてしまうのですから。
 そんな環境において、建物の解体撤去を補助する制度として「公費解体制度」と「自費解体費用償還制度」があります。

 災害には規模の異なるものがいろいろとあります。しかし、たとえ小さなものであっても、当事者にとっては一大事です。例えば、所有している空き家が、台風などで浸水被害にあった、近所の家の火災でもらい火をした、ということでも大きな出来事です。そんなときには、どうぞマトイにご相談ください。一緒に、ベストな対処法を考えさせていただきます。
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公費解体制度

 これは、特定非常災害と指定された災害によって家屋が全壊した場合、自治体が公費で全壊した家屋を解体撤去する制度です。
半壊の家屋に対しては、一定の条件を満たした家屋に適用され、すべての半壊家屋に公費解体が認められるわけではありません。しかし、廃棄物の運搬・処分・処理は公費で受け付けてもらえます。

自費解体費用償還制度

 大きな災害が発生し、それが特定非常災害の指定を受けるまでには時間がかかります。そのため、被災者のなかには特定非常災害の指定前に自費で家屋の解体・撤去を行うケースが出てきます。その場合に、費用の全額、もしくは一部を自治体が補助する制度です。
 なお、補助してもらえる金額は自治体が算定する金額であり、解体費用全額でない場合もあります。
 また、この制度を利用するには、まず建物が全壊、もしくは半壊していることが前提であるため、それを証明するための解体工事前・工事中、そして工事後の状況を記録した写真、解体工事の契約書、見積り書、領収書、解体工事のマニフェストなどが必要です。

 家屋の解体撤去の費用負担を軽くするための補助金等の制度は、通常の家屋の解体撤去に対してもあります。そうしたものを利用しながら家の解体工事を行う際の段取りについて、こちらのコラムで取り上げています。どうぞご覧ください。

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木造解体を考え始めたら…。 費用や段取り、補助金等を徹底解説。

公費解体制度と自費解体費用償還制度におけるメリット・デメリットの違い

 公費解体制度と自費解体費用償還制度は、被災した家屋の解体を補助するものですが、それぞれのメリット・デメリットに違いがあります。

制    度 メリット デメリット
公費解体制度 *費用は発生しない。一部負担が生じる場合でも、自費負担が軽減される。

*解体業者との連携は、主に自治体が行う。

*申請手続きの負担が大きく、解体作業まで時間を要する。

*半壊未満の建物には適用されない。

自費解体費用償還制度 *早期に解体作業を実施できる。 *一時的に費用負担が発生。

*全額補助されない場合がある。

*費用償還まで時間を要する。

「特定非常災害」について

 大災害時の生活復旧については、さまざまなことに対する不安や混乱を伴います。そのため「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための別措置に関する法律」によって、被災者の被災後の生活再建を助けるためのさまざまな特例や支援がはかられます。

各種生活支援制度が適用される特定非常災害

 前述の法律名にもある「特定非常災害」とは、「著しく異常かつ激甚な非常災害」であり、それによって次に挙げるようなことが引き起こされます。
* 死者・行方不明者、負傷者、避難者等の多数発生
* 住宅の倒壊等の多数発生
* 交通やライフラインの広範囲にわたる途絶
* 地域全体の日常業務や業務間環境の破壊

 これらに対して、さまざまな公的支援が行われます。そして倒壊した家屋等の解体撤去を支援する制度として今回のテーマに取り上げている「公費解体制度」や「自費解体費用償還制度」があります。

特定非常災害と指定された過去の災害

 特定非常災害と指定された近年の災害には、次のようなものがあります。

【能登半島地震】
*発生日時:2024(令和6)年1月1日
*発生場所:石川県能登地方
*規  模:マグニチュード7.6

【令和元年台風19号】
*発生日時:2019(令和元)年10月12日日本上陸
*規  模:静岡県、関東地方、甲信地方、新潟県、東北地方などで記録的な大雨と甚大な被害をもたらした。

【熊本地震】
*発生日時:2016(平成28)年4月16日
*発生場所:熊本県熊本地方
*規  模:マグニチュード7.3

【東日本大震災】
*発生日時:2011(平成23)年3月11日
*発生場所:三陸沖の宮城県牡鹿半島の東南東130㎞付近
*規  模:マグニチュード9.0

【阪神・淡路大震災】
*発生日時:1995(平成7)年1月17日
*発生場所:淡路島北部
*規  模:マグニチュード7.3

 災害時でなくても、家の解体撤去は施主様にとって非日常的なことでさまざまな戸惑いや疑問がついてきます。そんなときは、どうぞマトイの無料相談や無料見積りをご利用ください。
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能登半島地震に見る公費解体制度

 公費解体制度の活用については、対象となる建物や支援を受けるための要件などが各特定非常災害によって異なります。そこで、最近発生した能登半島地震で支援を受けるまでを見てみましょう。

対象になる人

 発災日である令和6年1月1日時点で被災家屋などを所有している人。また、被災日以降に相続で所有権を得た人も、公費解体の対象者となります。しかし、次の人は対象にはなりません。
*被災した時点で建物を所有していない人。
*被災日以降に売買や贈与で所有権を移転した人。
*所有者と申請者が異なり、所有者から公費解体申請の同意を得ていない人。

対象となる建造物

 対象となる建造物は、罹災証明書で半壊以上と判定された家屋と、その基礎と家屋に付属する浄化槽や便槽などです。

対象とならないものなど

 一方、公費解体の対象にならないものに次のようなものがあり、注意が必要です。
*解体撤去する家屋と別れている浄化槽や便槽、カーポート(家屋等の対象建造物の解体撤去に支障がある場合は、対象となることもある)。
*解体工事後のほかの土地から集められた土。
*アスファルト舗装や砂利などの敷設物。
*ブロック塀や擁壁、庭木、庭石など。
*リフォーム目的の解体や、屋根や外壁などの建物の一部を解体するケース。
*損壊の判定を受ける前に自費で解体撤去を行い、損壊の程度が半壊以上と判断できない家屋。

対象となる費用、対象とならない費用

【公費解体の対象となる費用】
*家屋の解体費用とその廃材等の運搬費用。
*家屋の基礎の解体費用とその廃材等の運搬費用。
上記の費用の補助金額は各自治体によって異なります。また、運搬費用については、運搬する距離によって補助額が変わります。

【公費解体の対象とならない費用】
*家屋や建造物解体撤去後の整地費用。

申請から解体・撤去までの流れとその概要

 公費解体の申請から補助を受けるまでの流れは自治体によって異なり、多くの手続きが必要です。

 公費解体の対象とならない、メインの建物以外の解体撤去をするものは、通常の解体工事では「付帯工事」と呼ばれています。その付帯工事については、こちらのコラムで説明しています。是非、お読みください。

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解体の付帯工事とは? 追加でかかる費用などを細かくご説明。

ステップ1:申請・審査

 申請手続きに必要なものは、誰が申請するかによって異なります。また、申請には申請受付期間が定められています。能登半島地震の場合は、2025(令和7)年3月31日までです。これらのことから、申請書類や申請の締め切りなどについて、申請前に必ず自治体に確認することが大切です。
 なお、申請にはおもに次の書類をそろえる必要があります。
*被災家屋等の解体・撤去の申請書。
*罹災証明書、もしくは被災証明書。
*申請する人の身分証明書。
*申請する人の印鑑登録証明書。
*被災家屋等の配置図。
*被災家屋等の状況写真。
*固定資産評価証明書。
*解体および撤去する被災家屋等の一覧、
*実印
 申請に必要な書類をすべてそろえて申請手続きを行ってから、自治体による審査が開始されます。

ステップ2:現地調査

 現地調査を行って、現地の家屋の状態や構造などと提出された書類との照合によって審査が行われます。この現地調査には、申請者も立ち合います。

ステップ3:決定通知と事前立ち合い

 現地調査によって実際の家屋の状況等の確認ができたら、自治体から解体撤去の決定通知が申請者に届けられます。その後、実際に解体撤去する建物の確認、解体方法、作業の流れなどについて自治体担当者と申請者で確認をします。

 解体工事着工前の現地調査に立ち会うことは、通常の解体工事でも行います。こちらのコラムに、施主様が立ち会う際のポイントなどを説明しています。状況は災害時とは異なりますが、よろしければ参考になさってください。

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解体工事の立ち会いとは? 施主様立ち合いとそのポイント

ステップ4:解体撤去工事

 事前立ち合い等が終了したら、解体業者から申請者に解体撤去工事の着工日の連絡が届きます。その連絡を受けたら、着工日までに次のことを行います。

*解体工事を実施すること、その日程などを近隣の人に知らせ、挨拶をしておく。
*電気、電話、水道、ガス等のライフラインの停止や必要に応じて解約等の手続きを済ませる。
*家具や食器類、不用品等その他の家庭ごみの搬出・処分をしておく。

【水道の停止について】
 一般的な建物の解体工事の場合、水道の停止は解体工事が終了してから行います。これは、解体工事中にも散水などで水道を使用するためです。
 しかし、被災した建物の解体を前提とする公費解体の場合は、工事前に水道も他のライフラインと同じように停止する必要があります。その理由は、次の通りです。
*家屋同様に水道管も破損している可能性が高く、工事中に漏水のリスクがある。
*漏水によって作業員が足を滑らせたり、感電したりするリスクがある。
*大量の漏水が発生することで、周辺の土壌や地下水を汚染する可能性がある。
*事前に水道を停止しておくことで、水道管の破損や老衰の対応に当たることがなくなり、効率的に解体作業を進めることができる。

 被災時の解体工事は、通常時の解体工事とは流れに異なる点が出てきます。こちらのコラムでは、通常時の解体工事の流れを説明していますので、参考までにご覧ください。

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解体作業を順序よく徹底解説。

ステップ5:完了立ち合い・完了通知

 解体撤去工事が完了したら自治体担当者が現地を確認し、「被災家屋等の解体・撤去完了通知書」が申請者のもとに届きます。この通知書には被災家屋等の所在地や概要、撤去完了日などが記載されているので、その内容を確認しておきましょう。

ステップ6:滅失登記

 解体撤去が終了して完了通知が届いたら滅失登記を行いますが、公費解体の場合は原則として自治体が手続きを行ってくれます。ただし、建物登記に付属建物登記があって、付属建物に該当する建物が解体されないまま残っている場合は、自治体による職権による滅失登記は行えません。この場合は、所有者自身で滅失登記を行う必要があります。

 通常の滅失登記の手続き等については、こちらのコラムで説明していますので、どうぞお読みください。

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解体後の建物滅失登記をご説明。申請方法はこのコラムを読めば安心。

公費解体制度活用時の留意点

 公費解体制度を利用する場合には、次の点について留意する必要があります。

〇所有者全員の合意が必要
 1つの建物に対して所有者が複数名存在する場合、その内の1名が代表者として申請できます。しかし、公費解体制度を利用するには所有者全員の同意が必要であり、申請書類のなかには、所有者全員の実印を捺印と全員分の印鑑証明書の添付と同意書が必要になります。
 未成年者や青年被後見人が共有者にいる場合は、その人の親権者や後見人の同意が必要になります。

〇残置物を事前に撤去
 通常解体の室内残置物の撤去と異なり、被災した状況での残置物の撤去はとても大変です。被災した家屋の瓦礫と残置物を見分けることも、取り出すこともしにくい状況であることが予測されます。
 この場合、不要になった残置物を解体時の廃棄物などと一緒に処分できるかなどといったことを含めて、自治体担当者と相談する必要があります。

〇ブロック塀や庭木などは対象外
 公費解体制度を利用しても、ブロック塀や庭木などの対象にならないものもあります。対象外となるそれらのものを撤去するための費用は自己負担になります。これらを含めた経済面での計画も生活再建に向けて重要です。

〇災害発生日以降に所有者が変更された場合は対象にならない
 被災日以降に解体する建物が売買や贈与などで所有者が変わると、公費解体の対象でなくなります。しかし、相続で所有権が変わった場合は、相続人全員の同意によって公費解体制度を利用できます。

災害に備えておきたい情報ツール

 災害、とくに自然災害を避けることはできません。しかし、日ごろからの備えと冷静かつ適切な行動によって、被害を最小限にすることは可能です。そのために大切なことの1つとして、確かな情報をキャッチすることが挙げられます。
 各自治体では、独自の情報提供体制を整えています。そこで、マトイが日ごろから解体工事等でかかわっている、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県についてご紹介します。日ごろから、こういった情報ツールに親しんでおくことで、いざというときの冷静な行動につながります。

東京都

 東京都では、「東京マイ・タイムライン」やスマートフォン等にインストールして利用する「東京都防災アプリ」を都民に提供しています。

【東京マイ・タイムライン】
 東京都の地域の特性を踏まえて、風水害からの非難に必要な知識の習得や、1人ひとりの災害時の避難行動計画を作成して準備しておくためのツールです。冊子版、デジタル版、アプリ版などがあります。

【東京都防災アプリ(Android版・iOS版)】
 東京都公式の防災アプリです。防災マップクイズ等を楽しみながら、防災知識を学んだり、いざというときの食品や室内の備えなどに関するチェックリスト、避難シミュレーションなどを活用できるようになっています。

埼玉県

【LINE公式アカウント「埼玉県庁」】
 埼玉県ではコミュニケーションアプリのLINEを活用して防災情報や非常時の情報を配信しています。
 配信情報は避難情報、避難所解説情報、気象警報、震度情報、竜巻注意情報など13項目。これらは受信設定によって自分が必要とする選んだ情報だけ届くようにできます。

千葉県

【千葉県防災ポータルサイト】
 千葉県では防災に関するポータルサイトを開設し、防災気象情報、地震・津波情報などの情報を提供しています。このポータルサイトは10分ごとに更新されます。

【ちば防災メール】
 登録者に向けて気象警報・注意報、地震情報、津波情報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報などの情報を送信します。

神奈川県

【LINE公式アカウント かながわ防災パーソナルサポート】
 神奈川県でもLINEを活用して、災害時の避難や災害に対する事前の備えに関する情報を配信するとともに、ライフラインの復旧状況や道路の通行状況など避難や災害時の生活に必要な情報を検索できるようしています。

まとめ

 「備えあれば憂いなし」とは昔から言われていますが、さまざまな災害を経験したり、その情報に接したりする機会が増えている現在、人々の防災意識は高まってきていることを感じます。
 そして老朽化が進んだ空き家を所有している方のなかにも、倒壊を心配している人もいらっしゃることでしょう。その方が今回の公費解体のコラムをお読みになって、もしも「公費で解体してもらえるならば……」と解体工事の先延ばしを考える方がいらしたら、それはお勧めしません。
 公費で解体してもらえる点で、経済的負担が軽くなることは確かにあります。しかし、対象となるのは建物だけで塀やカーポートなどは対象にはならないため、生活を復旧するには多くの費用が必要になります。そして、被災した環境のなかで書類の準備や残置物の片づけなどを行っていくのは、とても大変な作業です。そのため、活用していない古い空き家は、災害とは関係なく早期に解体することがベストです。
 もし、老朽化が進んで解体撤去を検討している場合は、どうぞマトイにお声をかけてください。無料見積りはもちろん土地活用等も含めて、ご相談に対応させていただきます。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

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