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 自然災害が続く今日この頃。「もしもこの場所で地震があったら、家が倒壊したらどうしよう?」と思っている方は多くいらっしゃることでしょう。
 マトイでは、おもに一都三県にわたって解体工事を中心に事業展開をするなか、たびたび災害に関するお問い合わせをいただきます。ご相談の内容はそれぞれに異なるものの、皆様がいかに自然災害に対する不安を抱えているかを感じます。
 そこで今回は、家が自然災害によって倒壊・損壊した場合の解体費用について取り上げてみます。

 マトイでは解体工事に関するさまざまなご相談を無料見積りとともに無料相談としてお受けしています。東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県などにお住いの皆様、どうぞお気軽にご連絡ください。
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公費を使った2つの解体制度

 地震などの災害にあったことで自宅が倒壊・損壊した場合、その解体費用を公費で負担してもらえる制度があります。
 それは「公費解体制度」というものと「自費解体制度(自費解体費用償還制度)」の2つです。それぞれの対象となる条件や制度内容等は異なりますが、いずれも公費による支援です。

公費解体制度

 公費解体制度は地震によって全壊・半壊の被害を受けた建物について、その建物が所在する自治体に申請すると、自治体側が所有者に代わって公費で解体・撤去をしてくれる制度です。自治体側が一貫して対応することで、災害からの復興とともに二次災害の防止や被災者の生活再建の後押しを目的としています。
 これは1995(平成9)年に起こった阪神・淡路大震災をきっかけに設立された制度です。最近では、2024(令和6)年1月に発生し、特定非常災害に指定された能登半島地震で被災した石川県、富山県、新潟県などの建物に対して適用されています。
 なお、これまでに特定非常災害に指定された災害は、能登半島地震のほかに次のようなものがあります。
 ・1995(平成7)年 阪神淡路大震災
 ・2004(平成16)年 新潟県中越地震
 ・2011(平成23)年 東日本大震災
 ・2016(平成28)年 熊本地震
 ・2019(令和1)年 令和元年台風台19号
 ・2020(令和2)年 令和2年7月豪雨

 平時であっても施主となって家屋の解体を行うには、経済面以外にもいろいろな負担を抱えながら取り組むことになります。
 一般的な家屋解体の流れをこちらで取り上げていますので、どうぞご覧ください。

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木造の建物を解体するには。手順や流れを分かりやすく。

自費解体制度(自費解体費用償還制度)

 自費解体制度は、自費解体費用償還制度ともいうように、特定非常災害の指定前に自費で建物の解体・撤去を行った場合、後から費用の全額、もしくは一部が自治体から償還される制度です。
 この制度はあまり広く知られていないため、利用率が低いそうです。

 自費解体制度では、解体業者を探して依頼することから工事の確認、そして建物の滅失登記までのすべてを自分で行います。
 基本的に、解体工事の各段階でどの程度の時間が必要なのかを知っておくことで、業者との打ち合わせなどに役立ちます。

 解体に必要な基本的期間について、こちらのコラムで取り上げていますので、お目通しください。

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解体工事は何日かかる? その準備から終了までの期間を説明

東京都の公費解体等による災害廃棄物処理の流れ

 大災害時には多くの建物が破壊され、施設や室内は散乱します。豪雨や津波を伴えば、なおさらその状況がひどくなります。
 この場合、制度利用の有無に関係なく、その状況をいかに改善しながら災害以前の状況に近づけるかが大切になります。

地震によって倒壊した建物の扱いは“災害廃棄物”

 被災時の環境はあらゆるものが破壊され、それらが混在しています。そして、これらを片付けるわけですが、その多くは廃棄物、いわゆる「災害廃棄物」として扱われます。
倒壊・損壊した家屋も同様に、災害廃棄物として解体撤去されて廃棄されることになります。
 なお、災害廃棄物の扱いは、被災した自治体の災害廃棄物処理計画に基づいて進められます。公費解体も自費解体費用の償還も、この計画に組み込まれます。

東京都の公費解体と災害廃棄物処理の流れ

 東京都では、おおむね発災3日目以降の災害廃棄物の発生量や処理施設の被災状況などを把握したうえで、公費解体や自費解体を含めた災害廃棄物処理を進めていく計画です。そして以下のように3年間の例を挙げて計画の流れを設定しています。

東京都災害廃棄物処理計画P.24より引用

公費解体制度の活用

 次に公費解体を具体的に活用する際のメリットとデメリット、利用の流れ等について説明します。

公費解体のメリットとデメリット

 倒壊・損壊した家屋の解体を自治体が行ってくれる公費解体は、被災した人たちにとって心強いものですが、メリットもデメリットもあります。制度の利用では、その両方を理解して申請することが重要です。

【公費解体のメリット】
・被災者自身が解体工事費用を支払わずに済み、被災者の負担を軽減できる。
・解体業者の依頼やスケジュール調整のすべて、もしくは一部を自治体が行ってくれる。
・建物滅失登記も自治体の職権で行ってくれる。

【公費解体のデメリット】
・被災生活のなか、申請準備の負担が大きい。
・順番に解体作業を進めていくために、解体工事完了までに時間がかかる。
・解体業者の指定や工事日の希望ができない。
・半壊未満の建物には適用されない。

公費解体制度利用の流れ

 公費解体制度を利用するには、申請から解体撤去が終了して建物の滅失登記を含めて次の8つのステップが必要になります。

ステップ1:申請・審査
 申請に必要な書類を整えて、市区町村の生活環境課などの担当窓口に出向いて予約券を受け取ります。予約券とは、申請に必要な書類を提出するための予約日時が記されたものです。予約券を受け取ったら、そこに記された指定日時に必要書類を提出します。
 なお申請に必要な書類は次のようなものです。ただし、だれが申請するかによって必要書類が変わるため、事前に確認しておくことが大切です。
・被災家屋等の解体・撤去にかかる申請書。
・被災家屋等の配置図。
・被災家屋等の状況写真。
・固定資産評価証明書。
・解体および撤去する被災家屋等の一覧。
・被災家屋等の「罹災証明書」もしくは「被災証明書」
・申請者の身分証明書
・申請者の印鑑登録証明書。
・実印。
・その他(代理人が申請の場合は委任状、所有する家屋が隣地に倒れている場合は隣接地権者等の同意書)
 申請後、提出された各書類を担当者が確認し、公費解体制度の審査が行われます。

ステップ2:現地調査
 審査中に、市町村の担当者が現地に赴き、実際の被害の状況を確認します。このときに確認した状況と、申請時に提出された書類等を照合し、公費解体の適用について決定します。この現地調査には、申請者も立ち会います。
 なお、何らかの理由で解体を取りやめたい場合は、審査期間中に自治体に取り下げ書を提出する必要があります。

ステップ3:決定通知
 現地調査と審査が終了したら、市区町村から解体・撤去の通知が送られてきます。
 公費解体が認められた場合は「解体撤去決定通知」が送付され、そこには解体を行う解体業者名が記載されています。また、公費解体が認められなかった場合には「解体撤去不決定通知」が送付され、不決定の理由が記載されています。

ステップ4:事前立ち合い
 解体撤去決定通知が届いたら、解体現場で解体工事に関する具体的なことを自治体担当者や業者らと打ち合わせます。
 打ち合わせ内容は、どの建物を解体撤去するか、解体方法はどのようなものになるのか、作業の流れ等を確認します。

ステップ5:解体・撤去工事
 事前立ち合いを済ませたら、解体業者から申請者に対して解体工事の着工日がいつになるのか連絡が届きます。この連絡から着工までに、申請者は次のことを済ませておく必要があります。
・近隣の方に解体工事を行うこととその時期を伝え、協力のお願いをする。
・電気、水道、ガス、通信等のライフラインの解約・停止の手続きをする。
・家具や家庭ごみ、不用品類の搬出や処分を行う。

ステップ6:完了立ち合い
 解体工事が完了したら現場に問題がないことを確認し、工事の完了とします。

ステップ7:完了通知
 後日、自治体から「被災家屋等解体・撤去完了通知書」が郵送されます。これには、被災家屋の所在地や概要、撤去完了日などが記載されているので、その内容について確認しておきましょう。

ステップ8:滅失登記
 「被災家屋等解体・撤去完了通知書」が届いたら、自治体の職権において滅失登記が行われます。
 ただし、もともとの建物登記に物置や車庫などのような附属建物登記されているものがあって、それが解体されないで存在している場合は、自治体の職権による滅失登記は行えません。その場合は、建物の所有者が滅失登記を行います。

 滅失登記は建物を解体撤去した際には欠かせないものです。こちらのコラムでも詳しく説明していますので、お確かめください。

もしもご自宅が倒壊したら。撤去費用に公費が使える?

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解体後の建物滅失登記をご説明。申請方法はこのコラムを読めば安心。

公費解体制度の対象となる建物

 罹災証明書(または被災証明書)で、「全壊」・「大規模半壊」・「中規模半壊」・「半壊」と判定された建物。

自費解体制度(自費解体費用償還制度)の活用

 自費解体制度とは、被災者自身が解体業者と直接契約し、自分が所有する家屋の解体撤去費用を負担したうえで、後に費用を自治体から償還してもらう制度です。
 公費解体制度が解体撤去と滅失登記に至る解体撤去のすべてを自治体が行う公費解体制度と違い、自費解体制度は被災者の負担が大きいように思います。しかし、この制度のメリットとデメリットを見ると、あながちそうとはいえないことがわかります。

自費解体のメリットとデメリット

【自費解体のメリット】
・公費解体と比較して、比較的速やかに解体工事に取りかかれる。
・解体業者を自分で決められ、業者との話し合いで着工日や引き渡し日を決定できる。
・償還金によって解体費用の負担を軽減できる。

【自費解体制度のデメリット】
・解体工事費用を前払いしなくてはならない。
・被災して大変なときに、一時的といえども解体費用を自己負担しなくてはならない。
・償還金が支給されるまでに時間がかかる。
・解体費用が償還金より高いときは、高い分を自己負担しなくてはならない。

自費解体制度利用の流れ

 自費解体制度を利用するには自費での解体工事が終了した後に、次のステップを踏んで進めていきます。

ステップ1:申請・審査。
 次に挙げる必要書類を準備します。
・自費解体撤去にかかる償還申請書(個人)。
・自費解体撤去にかかる償還金請求書兼口座振込依頼書。
・被災家屋等の解体撤去に関する委任状(公費解体、自費解体)。
・建物配置図(公費解体、自費解体)。
・自費解体撤去に係る償還申請に係る同意書。
・以上のほかに、罹災証明書で「半壊以上」と判定されている家屋以外は、被害状況が確認できる写真も必要。
 以上の書類を整えて、自治体の生活環境課などの担当窓口に出向いて、予約券を受け取ります。そして、そこに記された指定日時に必要書類を提出します。
 申請後、提出された各書類を担当者が確認し、自費解体制度の審査が行われます。

ステップ2:現地調査
 解体工事が適切に行われたかを確認するために、現地調査を実施します。現地調査では、敷地内に自治体の現地調査員が立ち入ることがある点を承知しておきましょう。
 なお、現地調査の日程は通知されません。

ステップ3:償還される金額の算定。
 現地調査と審査が終了したら、自費解体制度の償還額が算定されます。
 この金額は自治体の基準に則って計算され、必ずしも申請者自身が負担した金額になるとは限りません。もしも算定された金額が、実際の支払額よりも下回った場合は、申請者が負担することになります。

ステップ4:交付決定通知。
 審査や現地調査を基に償還金の算定が行われたら、「償還金交付決定通知書」もしくは「償還金不交付決定通知書」等が送付されます。償還金不交付通知書には、不交付の理由が記載されています。

ステップ5:請求書の提出・支払い。
 償還金交付決定書等が届いたら請求兼口座振込依頼書を作成し、償還金が受け取れるようにします。
 請求兼口座振込依頼書は交付決定通知書が届いた日から30日以内に、市役所に提出します。償還金の振込先は解体工事契約者で、その指定口座に償還金が振り込まれます。

自費解体制度の対象となる建物

 自費解体の場合も、公費解体と同じように罹災証明書(または被災証明書)で「全壊」もしくは特定非常災害の場合は「半壊」以上の建物が対象となります。

 補助金制度はなかなかわかりにくい点がありますが、利用できれば負担を抑えられます。そのため、マトイではお見積りやお問い合わせ時には、その点も含めてお伝えしています。
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公費による解体費用負担が認められない場合の対策

 災害による被害を受けた家屋のなかには、公費解体制度および自費解体制度などが認められない場合があります。そういった際、次の2つが対策として挙げられます。

自身が加入している損害保険の利用とその際の留意点

 損害保険に加入している場合は、その保険会社に連絡を取ります。そして保険会社に被害状況を具体的に説明し、補償を受ける手続きを進めましょう。
 なお、いざというときに保険の“期限が過ぎていた” といったことがないように、平常時から補償内容と期限を確認しておくことをお勧めします。
 また公費解体を受けた場合は、通常、損害保険の対象外となります。しかし、それぞれの保険の内容や特約などによって補償が異なる場合があるので、まずは加入している損害保険があれば問い合わせてみるといいでしょう。

自治体の補助金・助成金制度の利用とその際の留意点

 家屋の解体に補助金・助成金制度を設けている自治体があります。使える補助金・助成金の種類や災害による倒壊・損壊時に使用できるか否かについては自治体ごとに異なりますが、まずは自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
自治体や制度の種類によって補助額は異なりますが、解体費用を抑えられる有効な方法です。

 こちらのコラムでは、東京都の補助金に関する情報をまとめています。補助金活用時の注意点などについても、参考になさってください。

もしもご自宅が倒壊したら。撤去費用に公費が使える?

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空き家の解体で知っておきたい東京都の補助金、2023年最新版

まとめ

 皆さんもご承知であるように、災害はいつ起こるかわかりません。そして大切なことは、いかに備えを整えておくか、ということです。
 備えにはいろいろありますが、知識を備えておくことも大切です。この意味からも、今回のコラムがお役に立てば幸いです。
 発災時はまず安全な場所に避難することが最優先ですが、次には生活環境を整えながら復興への活動に移っていきます。その場面でもマトイをはじめとした解体業者が力になり、皆さんの生活を誠実にサポートしていく所存です。
 いつでも、どこでも、よりよいパートナーであり続けるために、マトイでは日々の皆様からのお問い合わせ等にも誠実に対応しています。解体工事等についてお困りのこと、ご不明のことなどは、どうぞお気軽にお声掛けください。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。

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