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実家じまいをして、家の解体を始めるには

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 実家を相続したもののそこに住む予定はない、または親が高齢になって施設に入所し、実家が空き家のままになっている、といった状況の人も多くいらっしゃることでしょう。
 自分たちは住まないにしても、定期的に手入れや管理のための実家通いや、先々の実家の扱いをどのようにするか。これは経済的にも精神的にも負担を感じることと思います。
 今回はそんな実家の扱い=「実家じまい」について考えていきます。

実家じまい、その前に知っておくこと

 まずは「実家じまい」とはどのようなことなのか、そして「実家じまい」を行うとして、最初に念頭に置くべきことについて説明します。

実家じまいとは

 「実家じまい」とは、実家を処分することです。言葉にすると、この数文字で終わってしまうことですが、その行為はとても重たいものです。
 なぜならば、まさに自分が処分しようとしているその実家は何代も続いてきた家族の思い出が刻まれた家かもしれません。または、ご両親が苦労を重ねながらその家をもち、そして家族のベースとなっていた場所であったはずです。
 ですから、処分するといっても、そう簡単に思いきれるものではないでしょう。

実家を空き家にしておくことのデメリット

 しかし、いくら家族の思い出や歴史が刻まれているといっても、空き家のままにしておくのも問題です。そこには次のようないくつかのデメリットがあります。

① 誰も住んでいないけれど、固定資産税等の税金を納めなくてはならない。

② 定期的に実家に出向いて、空気の入れ替えや庭の手入れなどの管理を行わなくてはならない。そのために手間や交通費等がかかってしまう。

③ 定期的に管理していたとしても、人が住まない家は老朽化が早く進んで、売却しようとするときには価値が下がってしまう。

④ 管理が行き届かずに、行政指導が入ったり、「特定空家」に指定されたりしたら、強制取壊しされることがある。その場合、解体費用を請求される。

 一方、空き家であっても所有する土地に家屋を残しておくことのメリットとして、税金の優遇措置がありました。しかし、それによって空き家の増加を招いている、との理由から、優遇措置は見直される流れにあります。
 空き家になっている実家をお持ちの方にとって、空き家であっても、老朽化が進んでしまった状態であっても、所有する土地に家が建っていれば税金が安くなる、というメリットはもはやないと思った方がいいでしょう。
 さらにここに記したようなデメリットを考えると、できるだけ早くに実家を解体するなり、売却するなりを決めて、実家じまいへの行動を始めることをお勧めします。

実家じまいの前に確かめておくべき「実家」か「自分の家」か

 実家じまいについては、具体的な行動を始める前に、確認しておくべきことがあります。それはその家が、「実家=親の家」であるか、「自分の、もしくは自分たちきょうだいの家」であるかということです。
 親がご存命でその家の名義が親名義である場合、その家は「実家=親の家」です。そうではなく、すでに親が亡くなられて相続をしているのであれば、その家は「自分の、もしくは自分ときょうだいの家」ということになります。
 実家じまいをする時点で、その家がどのような状況にあるのかによって、実家じまいの進め方は違ってきます。
 実家に限らず、空き家を所有していることのデメリットについて、こちらのコラムでも取り上げています。是非、参考になさってください。

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実家じまいを決断するきっかけとなるさまざまな理由

 家族との思い出や、それまで家を守ってきた親の思いなどを考えると、実家じまいをすることにはさまざまな感情がわいて、なかなか行動に移せない人がいらっしゃいます。では、すでに実家じまいをした人たちが、どのようなことをきっかけになさったかというと、次のようなことがみられます。

① 親が亡くなって、その家に住む人がいなくなった。
② 親が高齢者施設に入所して、実家に戻る見込みがなくなった。
③ 実家を引き継ぐ人が誰もいない。
④ 実家を引き継いだものの、転勤等で他所に引っ越すことになった。
⑤ 固定資産税等の税金や維持費の負担ができなくなった。

 空き家状態になった実家を定期的に管理していくことは、とても大変です。換気や家の内外の掃除、実家に通うための交通費のほかに必要な定期点検やメンテナンス等について、こちらのコラム内でも説明していますので、是非、参考になさってください。

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実家じまいに伴うさまざまな“大変さ”

 実家じまいは「大変」と言われます。この大変さには物理的な大変さとともに感情的なものとが入り混じっています。では、具体的にどのような大変さがあるかというと、次のようなものが挙げられます。

① 家のなかにあるさまざまな“モノ”をすべて処分する。
 実家じまいで家を売却したり解体したりする際の最初にすることは、家のなかにある物をすべて処分することです。引き継ぎたいもの、自分でもっていたいもの、不要で廃棄処分してもいいもの、などを分別して処分していきます。
 この作業の目標は「家のなかを空っぽにする!」ことで、とても大変です。一気に済ませることは難しいですし、状況によっては業者を上手に利用しながら進めるといいでしょう。

② 家や土地を売却しようとしても、思うようなスケジュールで売れるとは限らない。
 売却を検討している場合、実際にいつ買手がつくかはわかりません。「きっと、すぐには売れないだろう」と家屋内の物品の処分を先延ばしにしていたら、すぐに買主が見つかって大慌てをする、ということもあります。逆に、不動産業者と売買仲介契約を結んだものの、なかなか買い手が見つからない、といったこともあります。
 不動産売買はタイミングも関係してくるため、必ずしもスケジュール通りには進みません。まずは専門業者と相談しながら余裕をもったスケジュールで進めるといいでしょう。

③ 実家の維持にも費用がかかるが、実家じまいにも費用や時間がかかる。
 実家を維持するにも費用がかかりますが、実家じまいをするにも費用がかかります。しかし、ずっと維持管理のための費用や税金を払い続けることと、人生の一時期の時間を割いて費用をかけて実家じまいをするのとどちらがいいかを考えてみてください。
 絶対に避けるべきは、維持管理もできず、かつ実家じまいも先延ばしにしていたために特定空家に指定されて行政から「勧告」「命令」「代執行」などを受ける、という事態です。
 なお、特定空家に関してはこちらのコラムで詳しく説明しています。是非、お目通しになってください。

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④ 家族や自分が育ってきた家や心の拠り所が無くなる寂しさが生まれる。
 やはり、自分が生まれ育ってきた場所が無くなる寂しさは大きなものです。家屋内にある品々の処分についても、1つ1つを手に取りながら考え込んでしまう……ということも少なくありません。一気に処分してしまう、ということできるかもしれませんが、できれば時間に余裕をもって、気持ちに折り合いをつけながら進めたいものです。

実家じまいの進め方

 実家じまいには前述のような大変さがありますが、かといって先延ばしにしておくことはお勧めしません。できるだけ早く整理するには、ご自分だけで進めるのではなく、ご親族やお知り合いの方々、もしくは業者の協力を仰ぐなどして進めてみましょう。次に実際に実家じまいの進め方について説明していきます。

実家じまいに必要な手続き

 実家じまいを始めるにあたって、最初に確認しておくことがあります。今回のコラムの冒頭でも説明したことと関係していますが、まずその家屋の所有者が誰であるかによって必要な行うべきことが異なってきます。
 実家じまいに取り組む際の状況としては、主に次の4つが考えられます。

① 親は存命だが実家には暮らしていない
② 親はなくなっていて相続している
③ 相続人がご自分だけである
④ 自分以外にも相続人がいる

 これらの状況を大きく「相続前」と「相続後」に分けて、それぞれにどのような手続きが必要かについて説明します。

実家相続前の実家じまいで必要な手続き

 相続前に売却処分するということは、多くの場合、親がその家には住んでいなく、施設などに入所しているという状況です。その際、親が認知機能の低下、もしくは認知症の診断を受けていると、本人による売却行為は難しくなります。この場合、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てて、選任された成年後見人が本人に代わって売却行為を行うことになります。
 こういったことから、子どもの立場としては、成年後見人の専任の申し立て手続きを行うことになります。
 なお、施設のなかには、「要介護状態でないこと」が施設入所の条件となっているものがあります。そのような施設に入所している場合、要介護状態になってその施設を退所しなくてはならない場合の対策を決めておく必要があります。
 相続前に実家を売却処分する場合、税制面でいくつかのメリットがあります。

実家相続後の実家じまいで必要な手続き

 相続した実家を売却処分する際は、親の意思や認知機能がどうであったかということに関係なく売却できます。
 この場合、相続人がご本人1人の場合は話が簡単ですが、複数名いる場合は「遺産分割協議」を行って、相続人のうちの誰か1人が相続するか、共有財産とするかを決めます。それによって費用負担や売却利益の分配などを決めて、相続手続きを進めていきます。
 なお、税制面での特例の活用や相続税の節税対策なども含めて、相続に詳しい税理士や弁護士、司法書士、そして不動産業者に相談しながら手続きを検討していくことをお勧めします。

実家じまいの流れ

 実際に実家じまいを進めるにあたっての流れは次の通りです。

① きょうだいなどが集まっての話し合い
 実家の扱いをどのようにするかを話し合います。

② 相続対象となる実家を含めた全財産を把握
 実家を含めた全財産を洗い出し、だれが何を相続するかを決めます。

③ 親などの居住者が存命の場合、実家じまい後の住まいについて決めておく
 親が施設入所しているものの存命の場合、入所中の施設の入所条件によっては要介護状態になったら対処しなくてはならないケースがあります。入所中の施設の条件を確認し、退所の可能性がった場合、そこを退所するような場合の次の住まいや施設を検討しておくことが必要です。

④ 実家の処分方法を検討
 実家を古家付き土地として売却する、更地にして売却する、相続人の誰かが住む、売却しないでなんらかの形で再活用する、といったような実家の処分について話し合います。

⑤ 処分方法に応じて、不動産業者や解体業者等を選定
 売却であれば不動産業者、更地にするのであれば解体業者というように、実家じまいのかたちに応じた業者を選び出して、計画を進めます。

⑥ 家屋内にある家具や物品を把握し、仕分ける
 廃棄処分するもの、引き継いで使用するもの、リサイクルショップなどを活用して売却処分するもの、家電4品目などのように業者に処分を委託するものなど、家屋内にある品々を仕分けておきましょう。

⑦ 実家処分までのスケジュールを立てる
実家の処分および屋内にあるものの処分などを、時間の余裕をもってスケジュールを立てます。

⑧ スケジュールに沿って行動を開始!

実家じまいにかかる費用の目安

 実家じまいに備えて行うべきことは前項で示したようにいろいろとありますが、それとともにどのくらいの費用がかかるかも気になる点だと思います。ここで、それについて説明しておきましょう。

【不用品の処分】
 家具や食器、その他の不用品は、基本的にご自分たちで処分するのがもっとも経済的です。なかでも家電4品目といわれる冷蔵庫・テレビ・エアコン・洗濯機はリサイクルが義務付けられています。その費用だけでも4,000円前後かかり、加えて運搬収集費、そして業者に依頼するとさらに手数料がかかって割高になってしまいます。
 床面積30坪程度の戸建て住宅内の荷物の処分を回収業者に依頼すると、30万円以上かかるといわれます。また業者による違いも大きく、業者に依頼する場合は事前に相見積もりを取ったうえで進めることが必要です。そして、できるだけ地域の不用品回収を利用しながらご自分たちで作業を進めることが、経済的に処分するためのポイントになります。
 なお、マトイでは解体のご依頼をいただいた場合、タンスなどの家具類や大型のものの処分をはじめ、不用品の処分もお請けしています。その内容や量によっては無料の場合もありますし、料金が発生する場合もあります。いずれにしても、施主様のご負担が少なく済むような配慮をさせていただいています。
 詳しくは、お気軽にご相談ください。
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 こちらのコラムで、不用品処分の費用について説明していますので、どうぞご一読なさってください。

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解体前の片付けには、どのくらいの費用を確保しておけばいい?

【不動産仲介手数料】
 家屋や土地を売却する場合は、不動産会社に仲介を依頼して進めることをお勧めします。その場合は、売却できた価格から割り出した仲介手数料が発生します。この仲介手数料は売買契約時や決済後に支払うこととなります。
仲介手数料=売却した物件価格の3%+60,000円+消費税

【印紙税】
 不動産の売買契約書を作成したときに使用されます。その金額は物件の規模にもよりますが、1,000~60,000円前後となります。

【抵当権抹消費用】
 住宅ローン等を使っていた場合、ローンはすでに終了しているのに抵当権の記録が消されていない場合があります。そういったときには、抵当権抹消の手続きが必要です。抵当権が残ったままでは、新たにローンを組むことが難しく、それを嫌がって購入者が見つからないということがあります。
 実家を売却する場合は、抵当権が抹消されていることを確認し、もし抹消されていなければ抹消手続を行います。その際、登録免許税が必要となり、さらに司法書士などの専門家に依頼する場合はその費用が必要になります。
登録免許税 1,000円
司法書士等の手数料 15,000円~

【譲渡所得税】
 売却した価格に応じて確定申告後に徴収されます。
所得税額(所有期間が5年以内)=売却益×30.63%
所得税額(所有期間が5年以上)=売却益×15.315%

【解体工事費用】
 解体工事の費用は建物構造、大きさ、立地条件などによって異なります。費用としては各業者が建物構造別に設定している坪単価と解体する建物の延べ床面積をかけて算出しています。さらに、残置物や埋設物の有無、建物の周辺環境を加味した作業内容などに応じた費用が加算されます。
 一般的な解体費用の坪単価は以下の通りです。
●木   造      30,000円/坪~
●鉄 骨 造      40,000円/坪
●鉄筋コンクリート造  50,000円/坪
 なお、こちらのコラムでも相続した家の解体費用や解体費用負担について説明しています。こちらもどうぞご覧ください。

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相続した家の解体は? 費用や手続きはどうする?

まとめ

 今回は実家じまいを取り上げました。“家を解体する”こと自体が「人生における一大事業」といってもいいほど大変なことです。それが“実家”となると、そこで長年暮らしてきた親の思い、生まれ育ってきたご自身やごきょうだいの思い出や愛着があります。さらに親戚の方々にも同じように家に対するお気持ちがあります。
 そんなことから、親・きょうだい、そして親族から、いろいろなご意見が出てくることもあるでしょう。それによってさらに迷ったり、決断できなかったりすることも多々あると思います。そんなとき、マトイでは冷静な立場で施主様にとってよりよい選択ができるようなアドバイスを心掛けています。
 加えて、解体工事はもちろん、それに伴う不用品の処分、諸手続きのご相談、助成金の活用と申請のご相談などにも対応させていただいています。どうぞお気軽にお声を掛けてください。
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記事の監修

株式会社マトイ 営業担当菅野

株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
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