解体費用の坪単価について考える
かいたいコラム家の解体工事を検討するときに気になる点の1つに、費用があると思います。1軒の家を解体するのに少なくとも100万円前後、もしくはそれ以上の費用がかかるのですから、当然です。費用について考えるキーワードに「坪単価」があります。今回は、この坪単価やそれに関連することについて説明します。
知っておきたい2つの用語
解体工事費用について考えたり、業者と話を進めたりする際のキーワードとなるのが「坪単価」。それとともに「延べ床面積」についても把握しておくことで、相場を計算したり、提示された費用を検討したりするときに役立ちます。まずはこの2つの用語について説明します。
解体費用の計算で欠かせない「単価・坪単価」と「延べ床面積」
【単価・坪単価】
坪単価(●●)の単価とは、そのもの自体の価格を示します。では、解体工事における「坪単価」はどういうものかというと、解体する建物の1坪あたりの費用の額を意味します。
【延べ床面積】
延べ床面積は、建物の床面積の合計を指します。ただし、吹き抜けやポーチ、庇などの部分は床面積に含まれません。
解体費用を計算する際には、坪単価とともに解体する建物の延べ床面積がはっきりしていることが必要です。なかにはこの延べ床面積が分からない方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、建物の登記簿謄本に各階ごとの床面積が記載されています。
登記簿謄本は法務局で取得しますが、実際に法務局に出向いて取得するほか、郵送やオンラインで取得することができます。
坪数と㎡数の求め方
延べ床面積は、坪数で表記されている場合と㎡数で表記されている場合があります。そのため単位を確認し、計算したり、記載したりする場合には揃ることが大切です。
【㎡数で記載されているものを坪数に換える場合】
「建物面積(㎡数)×0.3025」で換算します。
【坪数で記載されているものを㎡数に換える場合】
「坪数÷0.3025」で換算します。
簡易的に坪数を知りたい場合は、「坪数÷3.3」で計算します。
坪単価から計算する解体費用の目安
建物1坪あたりの解体費用を基に、目安となる解体費用を算出できます。
坪単価から解体費用の目安を計算
解体費用の目安は次のように算出できます。
坪単価×延べ床面積
しかし、必ずしもこの計算で的確な費用が算出できるわけではありません。
解体工事には建物を解体する「家屋解体」と、事務所や店舗などのようにテナントとして借りているスペースを部分的に解体する「内装解体」があります。いずれの場合も解体費用として坪単価によって費用を見積ります。
しかし、内装解体の場合は、そのスペースの造作などによって坪単価はかなり変わる可能性が高くあります。そのため、坪単価だけで解体費用の目安をつけるのは難しいといえます。
解体工事を検討中の方のなかには、内装解体を考えている方もいらっしゃることでしょう。内装解体の見積り等についてこちらのコラムでも解説していますので、参考になさってください。
建物の構造によって異なる坪単価
解体工事費用は、解体する建物の構造によって異なります。もちろんそれ以外の要因も関係してきますが、まずは以下に挙げた構造別の坪単価が基になります。
【木 造】 30,000円~
【鉄骨造】 40,000円~
【鉄筋コンクリート造】 50,000円~
ここに挙げたように、坪単価は木造より鉄骨造が、鉄骨造より鉄筋コンクリート造の坪単価が高くなります。これは木造➡鉄骨造➡鉄筋コンクリート造といった順で素材が硬く頑丈になって、解体の手間がかかるためです。
坪単価に影響を与える要因
前述した構造のほかに、次の要因によっても解体工事の坪単価は変動します。
建物の前面道路の幅員の広さ
建物に面した道幅が狭いと、工事車両や重機などが現場に入りにくい、もしくは入れない場合があります。そうなると現場から少し離れた場所に駐車場を確保したり、そこから機材等を人力で現場に運び入れたりする必要が生じます。また、現場に運び入れられるサイズの小型重機などを業者が所有していない場合には、そのリース料金が発生することもあります。
このように人件費、駐車場費用、現場に合った重機のリース代金などが加わって、坪単価が高くなることがあります。
敷地の広さ
工事現場の敷地が狭い場合も、前述の建物前面の道路の幅と同様に重機類が入るスペースの確保が難しいなどが起こりえます。そうなると、手壊し作業が多くなって工期も長くなってしまうこともあり、その場合、坪単価が高くなりかねません。
建物の規模―延べ床面積の広さ
敷地の広さとは逆に、解体しようとする建物の延べ床面積が大きいと、坪単価は安くなる傾向が見られます。
延べ床面積が広ければ広いほど廃材の量は多く、それに伴って処分費用は増加します。しかし、人件費などが大幅に増加することはあまりありません。そのため、建物の延べ床面積が広くなると、坪単価は安くなる傾向が見られます。
ただし、これは坪単価についてのことです。例えば、延べ床面積30坪の家と延べ床面積40坪、50坪の家では、建物が広くなるに伴って解体費用は増加します。
地域の物価
そもそも解体費用の相場は業者によっても、また地域によっても異なります。
そのため、地域が異なる解体費用の安い業者に解体工事を依頼したいと思う方が、ときにいらっしゃるかもしれません。しかし、そもそも解体工事は都道府県知事の登録・許可を得た業者が行うことになっています。そのため、その物件が所在する地域の登録・許可を得ている業者が工事を行うことがほとんどです。
安いからといって、その地域の登録・許可をもたない業者はできません。もし別の地域の業者が工事を行うとしても、現場までの移動費用や出張料金などがかかってしまい、結果的に支払額が高くなってしまいがちです。
屋根材の種類
屋根材には瓦屋根、スレート屋根、ガルバリウム、トタン、モルタルというように、さまざまな種類があります。
ガルバリウム、トタン、モルタルは一般的ですが、スレート屋根はそれらよりも撤去費用が高くなることがあります。それはアスベストが含有されている可能性があるからです。アスベストが含有されているスレート屋根の場合は、その調査や撤去作業の費用が必要となり、一般的な屋根材撤去費用の1.5倍以上の費用がかかってしまうことがあります。
アスベストの使用
屋根材の項でも触れたアスベストは、人の健康に悪影響があることから、現在ではその使用が禁止されています。しかし、それ以前に建てられた建築物等には使用されている可能性があることから、解体工事前にはアスベストの事前調査とその結果報告が義務付けられています。
アスベストは屋根材のほかにもガレージやボイラー室などに吹き付けられていたり、使われていたりする可能性があります。その使用の程度によって、除去にあたっては特別な対策が必要になります。
これらのことから、事前調査、およびその結果に応じた除去作業等の費用が発生する可能性があります。
建て替えに際しては、アスベストの事前調査やその対応は費用以外にも健康への影響も考えなくてはならない気になる点です。こちらのコラムでは事前調査を中心に、アスベストに関する情報を説明しています。
付帯工事
坪面積で計算できる解体費用は、主に解体する建物の費用相場です。それ以外にブロック塀や物置、庭の植木や庭石などがある場合、それらの解体撤去は追加工事となって、別に費用が請求されることになります。
解体工事検討時に注意したい、坪単価にまつわる事項
実は坪単価に定価のようなものはなく、地域や業者によって異なります。また、坪単価に廃棄物の処分費用などを加えているか否かも、業者によって変わってきます。そのため、解体工事を検討するとき、見積りを取るときなどに注意しておきたいことがありますので、ここで説明します。
坪単価の設定に明確な決まりはない
坪単価に何を含めているかは、業者や地域による共通のものはなく、業者ごとに異なります。そのため、見積りを取る際などは、坪単価にどのような費用が含まれているか、見積り依頼する業者ごとに確認することをお進めします。
安すぎる坪単価を提示する業者
相見積りを取った際に、極端に提示金額が安い業者があったら要注意です。相見積り以外でも、ある程度ご自身でリサーチしている坪単価よりも“かなり”安い見積り額である場合も同様です。
よくよく見積り書を見たり、質問したりしていくと、廃棄物の処分費用が加えられていなかったり、見積り項目が大雑把であいまいだったり、といったことがあります。
こういった場合、あとから追加工事や追加費用としての請求を発生させて、結局、相場と変わらない坪単価になることや、相場よりもかなり高い請求金額になることがあります。
こういった悪質な業者と契約を結ぶことにならないためには、何よりも見積書の内容をしっかり精査して判断することが必要です。こちらのコラムでは、見積り書を正しく読み解いていくために必要なことを詳しく説明しています。是非、お読みください。
坪単価以外の工事と費用をしっかりチェック
解体工事に際して予算計画などを進めるにあたっては、坪単価以外の費用も考えに入れる必要があります。
もちろん、その業者が坪単価にどのような費用を組み入れて坪単価を提示しているかを知ることも必要ですが、それとともにそれ以外に必要になる費用を把握しておくことも大切です。以下に坪単価以外の工事と予算計画に組み入れておきたい費用について説明します。
養生費
養生とは解体工事を始める前に、安全な工事のための準備として足場を組み立てたり、埃・騒音・解体中に発生する細かな飛散物が周辺に広がったりしないようにシートで解体する建物を囲う作業をいいます。これは、安全な工事の進行はもちろん、近隣住民の安全を守ってクレームなどのトラブルを未然に防ぐためにも重要です。
こちらのコラムで養生について、その大切さについて解説しています。どうぞお読みください。
近隣の清掃費
清掃費用も坪単価に含まれていません。
他の業者も同じだと思いますが、マトイでは工事現場の清掃については毎日の作業が終わった際に作業員によってきちんと行っています。通常、追加請求することはありません。しかし、周辺への配慮をとくに細やかに行う必要がある現場では、清掃要員を配置して適宜清掃を行う場合があります。その際は、清掃費を追加させていただくことがあります。
残置物の処分費用
残置物の撤去費用も坪単価には含まれていません。残置物の処分は、基本的には施主様が行うものです。しかし、どうしても処分しきれなかったものは、解体工事で発生する廃棄物とともに、産業廃棄物として処分することも可能です。
産業廃棄物の処分費用は一般的な廃棄物よりも高額なため、業者に残置物処分を依頼することで坪単価および最終的な工事費用が高くなります。
こちらのコラムでは、解体工事の際の残置物処分で、解体業者に任せた方がいいもの、自分たちで処分したほうがいいものなど、上手な処分方法と業者の活用方法について説明しています。ぜひ、お読みください。
その他、庭の樹木や庭石、物置、井戸などの処分費用
これまでに説明したもののほか、庭の植木等の樹木や庭石、物置、古井戸、門柱・門扉など、建物以外に解体撤去するものはいろいろあると思います。それらの解体撤去費用も坪単価に含まれていません。これらを含めて、どの程度の費用が必要かを知るために、現地調査を行ってもらって見積りを取ることをお勧めします。これによって、具体的かつ確実な工事費用が分かるため、予算の計画も立てやすくなります。
なお、マトイでは無料見積りを受け付けていますので、どうぞご利用ください。
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解体工事費用を安くするために施主様ができること
施主様の立場に立つと費用はできるだけ安く、しかし、工事の内容はしっかりと行ってほしい、と思うのは当然です。もちろん、マトイでもそのお気持ちをじゅうぶん理解したうえで毎回、解体工事にあたらせていただいています。
その際に、施主様にご協力いただくと、かなり費用を抑えられることがあります。それらについて、ここで説明します。
不用品の処分を自分たちで行う
解体する建物のなかにある数々のものを、ご自分たちで地域の一般ごみ回収、粗大ごみ回収などを利用して処分します。これが、何よりも費用が高くなることを抑制する対策です。
なお、そのなかでもまだ使えるものや、自分たちは使おうとは思わないけれど壊れていないものなどを、リサイクルショップやネットオークションを活用して処分するのもお勧めです。「不用品として捨てるだけ」、と思っていてもそれを欲しい人はいて、逆に収益につながることもあります。
諸手続きを自分たちで行う
家の解体工事では、着工前や着工後にいろいろな手続きをする必要があります。それらは業者が代行することも可能ですが、その手続きによっては手数料が発生する場合があります。可能であれば、ご自身で行うとその分が節約できます。
とくに、解体工事終了後の1か月以内に行うとされる建物滅失登記は、土地家屋調査士に依頼すると手数料が必要になります。この手続きもご自身で行うことが可能です。
こちらのコラムで、建物滅失登記をご自身で行う方法を説明しています。どうぞ参考になさってください。
誠実な仕事をする業者を選択する
業者を選択する際、見積り額が安いところを選びがちです。確かにその点は大切ではありますが、それとともに見ていただきたいのは、誠実な仕事をする業者を選ぶという点です。例えば、安い工事費用にひかれて依頼したもののあとから追加請求が重なって、最終的には見積金額よりも高い工事費用になってしまった、ということがあります。
また、作業員の態度が悪く、クレームに対してもきちんとした対応が行われず、最初はささやかなクレームだったものが大きな問題への広がってしまい工事の遅延や中断に発展することもあります。
こうしたことを避けるためには、誠実な仕事をする業者を選ぶことが必要です。
「“誠実な仕事をする業者”といっても、どのように選んだらいいの?」と思われている方もいらっしゃるでしょう。こちらのコラムで、そのポイントについて説明しています。どうぞ、ご一読なさってください。
家の解体に使える補助金を調べて、積極的に活用する
解体工事にあたって、積極的に活用したいものが自治体で行っている補助金制度の活用です。空き家を含めて家の解体工事で使える補助金制度の有無は自治体によって異なりますので、是非、解体する家が存在する自治体に補助金制度があるか否かを確認し、あるようであれば積極的に活用してください。
ただし、補助金の活用には応募条件があること、申請・審査等に時間がかかること、実際に補助金が支給されるのは工事終了後になること、等々があります。それらを踏まえて時間に十分な余裕がある計画を立ててください。
補助金制度はそれぞれの自治体によって内容や条件等が異なります。こちらのコラムでは東京都における助成金・補助金について説明していますが、他の自治体の方も参考になると思います。どうぞ、お目通しください。
まとめ
今回は「坪単価」を中心にコラムを進めてきました。坪単価は解体費用を検討する際に重要な情報になります。しかし、解体費用はそれだけで決まるものではありません。養生費用や付帯工事費用など、坪単価からさらに加算されるものがあります。
建物の解体工事の検討を始めた段階から、ある程度、実際の解体工事費用と大きな差がないような見積り額を知りたいと多くの人が望むことでしょう。そのためには、まず無料見積りを利用されることをお勧めしています。もちろんマトイでも無料見積りと無料相談を受け付けていますので、お気軽にご依頼ください。
マトイでは無料見積りの際にもしっかり現地に足を運び、現地調査を行ったうえで見積り金額をご提示いたします。そのため、実際にかかる費用と大きな違いは生じません。どうぞ安心してご依頼ください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
どんな些細なことでも丁寧にお答えいたします。お気軽にお問い合せください。
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