古家を解体して家を新築する際に、知っておきたい8つのこと
かいたいコラム “家を建てよう!”
多くの人にとって人生において何度ともない大きな出来事です。それには計画段階から、実際に完成して新築の家で問題なく日常生活を送れるようになるまでさまざまなことが必要になり、施主様として行うべきこともたくさんあります。もちろん、楽しいことではありますが、時間、労力、経済的負担もかかってきます。できれば、そういった負担をできるだけ軽く、効率よく進めていきたいものです。
今回は、そのなかでも「古家を解体して家を新築する」ことに焦点を当てて、ポイントを解説します。
家を新築する際の異なるケース
新築の家をもつには、次のようにいくつかの方法があります。
それぞれに完成までのアプローチが異なってきます。
建売住宅を購入する
すでに建物として出来上がっている建売住宅は、実際に見て購入を決められる、価格も明確になっているため、自分たちの求める条件に合うかどうかを見定めることに集中して選ぶことができます。
その一方で、間取りや仕様を十分に自分たちの希望どおりにできない、個性を発揮できない、といったこともあります。
更地から家を建てる
すでに所有している更地や、更地を購入して家を新築するケースもあります。すでに土地を所有している場合は、すぐに建築に向けた行動に移れます。しかし、そうでない場合は、住みたい場所での土地探しから始めることになります。その際、できればより自分たちの希望に合った土地を探すために、複数の方法を使って探すことをお勧めします。
その方法としては次のような方法があります。
① 不動産会社に声をかけておく。
一般的な方法といえます。希望するエリア、広さ、予算などを伝えることで、それらの条件に合う物件を紹介してくれます。また、希望のエリアは決まっているものの、土地価格の相場がわからない場合も、そのエリアの不動産会社に聞くことで詳しい価格情報を得られます。
② 建築の依頼候補に挙がっているハウスメーカーや工務店等にも相談。
ハウスメーカーや工務店のなかには、自社で建築条件付きの土地を所有していたり、不動産会社と提携していたりするため、土地探しに協力してくれる場合があります。
③ 自分でも探す。
インターネットで情報を収集したり、自分で希望エリアを実際に歩いて探したり、といった方法もあります。これは他の方法で土地探しをしていたとしても、大切なことです。
住んでいる家を建て替える
この場合は、土地探しなどの手間はかかりません。しかし、住んでいる家が一時的であってもなくなるため、その間の仮住まいの場所を探したり、引っ越したりする必要があります。また、引っ越しも「古い住まい~仮住まい」「仮住まい~新築した家」の2回必要です。そのため、建築費用のほかに仮住まいの手配と敷金・礼金・家賃、2回分の引っ越し費用、そしてこれまで住んでいた家の解体費用などを必要経費として、予算に組み込んでおく必要があります。
仮住まいの準備や引っ越し、すでにある家の解体など、建て替えにはさまざまなことを行わなくてはなりません。そのために必要なことについて、こちらのコラムでは建て替えの流れに沿って説明しています。どうぞ参考になさってください。
古家付き土地で購入した土地の古家を解体撤去して家を建てる
理想の土地が見つからない、実際にその土地に家を建てたときの日当たりや周辺環境と建物の関係などのイメージをつかんでおきたい、といったときに「古家付き土地」を探すという手があります。古家付き土地とは、土地に古家が建っている状態で売りに出されている土地です。建物の解体費用は購入した人が負担することが一般的なのですが、その分、土地代が完全な更地のものより安くなっていることが多いです。
なお、古家付き土地を購入する際のメリットやデメリット、注意点などはこちらのコラムで詳しく説明しています。どうぞご一読ください。
いまある家を解体撤去して家を建てる際の8つの留意点
家の解体工事は建築工事と同じくらい大切なことであり、そのために施主様が行うべきことも建築工事と同様にあります。ここでは、既存の家を解体して家を建てる際に心がけておくべき点について説明します。
なお、家屋の解体に関して、こちらのコラムで詳しく解説していますので、参考になさってください。
1:建て替えようとしているその家屋、再建築不可物件でないかの確認を
再建築不可物件とは、すでにある建物を解体撤去したら、その場所に新たな建物を建てることができない物件をいいます。これは「敷地が道路に2m以上接していなければいけない」とした建築基準法第43条による「接道義務」を満たしていないものです。しかし、建築基準法ができた1950(昭和25)年以前、都市計画区域等を定めた都市計画法ができた1968(昭和43)年以前に建てられた建物のなかにはこの接道義務を果たしていないものがあります。この時期に建てられた建物を建て替える際は、再建築不可物件になっていないかどうかを確かめてから、計画を進めることが必要です。
再建築不可物件の詳細は、こちらのコラムで解説していますので、どうぞご覧ください。
2:新築前提での古家付き土地購入時は、解体費用を費用の交渉材料に
建物の解体費用は決して安いものではありません。とくにその後に建築工事が控えているのであれば、なおさら抑えて全体の費用負担を軽くしたいところです。そのためには土地購入時から費用を抑えるための交渉が必要です。その大きなポイントとして、古家付き土地を購入する際の価格交渉があります。古家付き土地のなかには、購入者が決まってから解体工事をする場合があります。それ以外は多くの場合、解体費用を購入者が負担することを前提としています。とはいえ、周辺の土地の相場との比較、ご自身の予算との検討などを併せて考え、
① 解体工事費用をどちらが負担するかを改めて話し合う、
② 解体工事手配や費用は買手が負担する前提で、土地価格を値引きしてもらう、
等について、あらためて再度、交渉をしてみましょう。
3:実際の費用と相場は異なる。相見積りを基に余裕をもった予算計画を
「想定外」ということはなんにでも起こりうることです。解体や建築工事においても言えます。しかし、それによって費用の変更が起こって予算を大きく上回ってしまうことは避けたいものです。そのためにも施主様としては解体工事や建築費の相場を知りたいと思うはずです。しかし、相場はあくまでも目安にすぎず、実際の費用はその枠を外れることが往々にして起こります。
例えば次のようなことによって、当初の予算を上回ってしまうことがあります。
【解体工事では……】
*現場に重機が入らず、手こわし作業が増えた。
*建物以外にコンクリート造のカーポートや物置があってその解体費用がかさんだ。
*解体工事を進めていくなかで、地中に浄化槽や瓦礫などの埋設物が見つかった。
【建築工事では……】
*予定していた床面積を後から広げる。
*家の形を複雑にする。
*材料のグレードを高いものに変える。
*高価な内装や設備を入れる。
これを見てお分かりになると思いますが、建築工事に関して相場や当初の予算からオーバーすることは、施主様の判断でコントロールすることができます。しかし、解体工事に関しては、前もって把握することが難しい要素が多くあります。
いずれにしても、相場の金額を知ることは必要ではありますが、まずはそれぞれに見積りを取ること、見積りは1業者だけでなく複数の業者から相見積りをとること、想定外のことも起こりうることを念頭に入れて、余裕をもって予算計画を立てることが重要です。
このように見積りを取ることは、実際に必要になる費用を具体的に知るために重要なものです。しかし見積りの書式、記載されている内容などは解体工事と建築工事によって、またそれぞれの業者によっても違いがあります。まずは見積りやそれに立ち会う際の注意点、見積り書の内容をしっかり理解するためのポイントなどを知ることも大切です。こちらの2つのコラムでは、それらについて説明していますので、是非ご一読なさってください。
4:解体業者と建築業者、一括発注か分離発注かは施主様自身の状況で
建て替えでは、解体業者と建築業者が必要になります。この場合の発注方法として、解体業者と建築業者にまとめて依頼する方法と、施主様が解体業と建築業者それぞれ別に依頼する分離発注があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。この点をご自身の予算や状況と併せて検討しながら決めることが必要です。
一括発注は、家の建築をハウスメーカーや建築会社に依頼する際に、解体工事も含めて依頼します。この場合、解体工事を行うのはその会社ではなく、その会社の下請けや提携している解体業者です。そのため、解体費用には仲介するハウスメーカーや建築会社への手数料などが含まれています。
分離発注は、施主様が解体は解体業者、建築はハウスメーカーや建築会社と別々に依頼します。そのため、中間マージンや手数料はかかりません。しかし、それぞれに業者を選択し、詳細を打ち合わせるなど、施主様の負担は増えます。一方、一括発注では手数料はかかるものの、そういった負担はありません。どちらを選ぶかは、施主様の状況や都合によるので、しっかりと検討して決めることが大切です。
なお、方法の違いによるメリットやデメリット、建て替えまでの流れなどは、こちらのコラムで説明しています。参考になさってください。
5:解体業者と建築業者それぞれのコミュニケーションのポイント
工事の内容は異なるものの、共通する点もあります。その点に行き違いや間違いが生じないように、解体業者と建築業者が互いにコミュニケーションを取って打ち合わせることが大切です。一括発注の場合は、ハウスメーカーや建築会社の担当者が間に入って調整できますが、分離発注ではそれが難しかったり、施主様が行わなければならなかったりする場合があります。しかし、それも大変なので、可能であれば最初にそれぞれの業者に話をして、双方で打ち合わせをしてもらえる関係を作っておくとよいでしょう。また、解体工事に際して庭木やカーポートなど、残しておいてほしいものがある場合は、現場担当者に伝えるだけでなく、そのものに印をつける、残すものをマークした簡単な図面を作っておく、などすると工事内容や業者が変わっても確実に伝えられます。
なお、建て替えに際して庭のイメージチェンジや、庭の一部を居室にする場合もあります。その際に庭木や庭石を撤去するための段取りや費用などについて、こちらのコラムで詳しく説明していますので、ご覧ください。
6:後々の暮らしも考えて、近隣住宅への挨拶回り
解体工事や建築工事では、騒音や振動を押さえるために最大限の努力をしているものの、ゼロにはできません。そのため工事現場の近隣の方々にはご迷惑をおかけします。そのお詫びと協力のお願い、工事内容や期間などの説明のために事前に挨拶回りをします。これはとても大切なことです。とくに建て替えでは工事終了後も施主様ご一家はそこに暮らし続けるため、ご近所の方々とのより良い関係を継続するためにも欠かせません。
挨拶回りをどのように行うかについては、こちらのコラムで詳しく説明しています。ぜひ、ご一読なさってください。
7:忘れてはいけない古家解体に伴う滅失登記
私たちに戸籍があるように、建物にもその存在を証明する登記が義務付けられています。実は、建て替えのために今ある建物を解体した際、すぐに新たな建物を建て替えるとしても、その建物が無くなったことの登記手続きを行う人が必要です。これを滅失登記といいます。
解体や建築工事にはいろいろな申請や手続きが必要ですが、その多くは業者による代行が可能です。しかし、この滅失登記は施主様ご自身が行うか、土地家屋調査士に依頼するかのどちらかとなります。
建て替えの場合、解体後にもいろいろと行うべきことがあって施主様もほっとはしていられません。そのため、こういった手続きを忘れがちではありますが、建物滅失登記は解体工事完了から1か月以内に行わなくてはなりません。ぜひ、忘れずに行うようにしてください。
この建物滅失登記の具体的な方法については、こちらのコラムで詳しく説明しています。
8:解体・新築工事で余計な出費を抑えて費用を抑えるためのポイント
建て替えを行う場合は、解体工事や一時的な仮住まいや引っ越しが必要になるため、できるだけ全体の費用を押さえたいと思うのは当然です。では、そのためにはどのようなポイントがあるか、1つずつ取り上げてみましょう。
① 解体業者の選択は、ハウスメーカー等に一任(一括発注)すると手数料が発生するため、施主様自身の状況に合わせて一括発注か分離発注か業者の依頼方法を検討しましょう。また、登記以外の諸手続きも、自分で行えるものは自分で行うようにしましょう。
② 工事費用や必要な手続きを委任する際の手数料の有無など、業者によって違いがあります。複数社を選択し、現地調査、相見積りを取るなどして、提示費用や内容などを比較検討したうえで決定しましょう。
③ 業者選びでは、提示価格が安すぎる業者に注意しましょう。追加工事の発生や粗悪工事などで、かえって高いものになる可能性があります。
④ 建物の解体や建築には、自治体によって補助金や助成金制度があります。その内容や申請条件などは自治体ごとに異なるため、自治体のホームページや直接窓口を訪ねるなどして、制度の有無や申請条件、申請方法などを確認しましょう。
こちらのコラムで、解体に利用できる補助金等についての説明を行っています。また、解体費用の捻出が難しい時の対策にも触れているため、費用を抑えるためのヒントになるかもしれません。参考になさってください。
まとめ
建て替えを行う場合、どうしてもこれから建てる家に細かく意識が向かいがちです。しかし、解体費用はそれぞれの建物の状況や敷地内の状況によって大きく異なり、また追加工事などが生じて当初の費用予算を超える可能性もあります。それだけに余裕をもった計画や業者との打ち合わせ等が費用になります。
マトイでは、解体から建築工事に至るさまざまな相談に応じるとともに、解体工事では欠かせない不用品の処分や仮住まいなどの引っ越しや補助金・助成金のご相談にも応じています。まずはお気軽にマトイにご相談ください。
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記事の監修
株式会社マトイ 営業担当菅野(かんの)
株式会社マトイ営業部の菅野です。コラムの監修をしております。
実際に仕事の中で経験したこと、調べてより勉強になったこと、両方を読んでくださる皆さまと共有できたらと思っています。
解体は初めてのご経験という方、とても多いのではないでしょうか。
ご不明な点やご要望、疑問に思われていることはございませんか。
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